キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達-   作:寿垣遥生

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遥生です。最近身内に不幸がありましてこの三連休はお通夜と告別式と三日参りに行ってました。しかし、執筆はちびちびやっていたものの投稿までに至らず。とうとうここまで延びてしまいました…とりあえず、今日から四十九日法要まではまたマイペースに執筆活動ができますのでよろしくお願いします。

その間にキミプリは映画が公開しましたね!僕もすぐ観たかったんですけど、前述の通りに身内の不幸があって今週の日曜日にやっと観に行けます。とりあえず、映画のゲスト声優の情報は踏みましたけどもネタバレは避けていますよ…情報によると現役アイドルがアイドルものだけに多くゲスト声優に起用されてるとありました。あとはもう劇場へ観に行くのみです!楽しみですなぁ…

ゲストのひろプリ、わんぷりがどんな活躍するのかも見ものですね!そんな中で今回はオリジナルストーリーの後編。蓮と杏咲のデートの行方は?また後書きにてお会いしましょう!


#43 コイノチカラ、こころのキュンキュン

side蓮

 

「お待たせしました、アイスコーヒーとミルクティーにチョコケーキ2つですね。ごゆっくりどうぞ…」

 

 俺達は喫茶店に入ってしばらく話をしながら注文した物を待っているとわりとすぐに届いた…この駅前のお店は口コミ頼りに初めて来たが、店内の雰囲気といいメニューの豊富さといい商品の出る速さといい五つ星なのが納得なお店と言える。

 

「朱藤先輩はコーヒーなんですね…良いなぁ、私はまだ舌が子供だからコーヒー飲めませんよ。」

 

「ハハハ…まあ、そんな焦んなくて良いよ。俺だってコーヒーを飲めるようになるまでこれでも時間かかってるからさ。水谷のそのミルクティーも美味しそうだと思うぜ?」

 

「ありがとうございます。それじゃあ、頂きますね…」

 

 水谷はミルクティーを一口飲んでからチョコケーキをフォークで一口サイズにカットしてから食べていく。こうやって美味しそうに食べたり飲んだりするところを見てると、この店に連れて行って良かったなと心の底から思わされる。

 

「ケーキもミルクティーも美味しいです!今度お姉ちゃんと一緒にお出かけした時にはこの店を紹介しようと思います。」

 

「そうか。気に入ってくれて嬉しいよ…しっかり味わってくれ。」

 

 それからも水谷は美味しそうにケーキとミルクティーを味わい、その様子を見ながら俺もケーキを食べる。しっかりとカカオの渋みもどこかにありながら甘みとコクのあるチョコケーキ…これは癖になる味だし、コーヒーも上等な豆をしっかり管理してるのが分かるぐらい味に深みがある。グリッターにもこの店のコーヒー豆をおすそ分けしてあげたいぐらい美味しい。(グリッターのコーヒーも庶民的で良いと思うけど…)

 

「突然ですが、朱藤先輩はアイドルの曲とか聴いたりしますか?」

 

「どうした急に…まあ、俺はアイドル好きだから聴いてるけど。」

 

「そうなんですか!実は蓮先輩に好きなアイドルを質問しようと思ってたんですけど、良かったです…誰が好きなんですか?」

 

「まあ、まずは今の女性アイドルの覇権を握ってるPretty Fruitsだろ?あとはK-POPのEIGHTTEENとか最近ならアイドルプリキュアとかだな。(まあ、Pretty Fruitsはニカ姉と希望さんの身内がいるグループでアイドルプリキュアは自分もいるグループだけど…)」

 

「アイドルプリキュア!朱藤先輩も好きなんですか?」

 

「それはもう話題にもなってるし、当然好きに決まってるだろ。水谷もか?」

 

「もちろん!それで私、キュアブレイキンが推しなんですよね♪」

 

「なるほど、キュアブレイキンが推しなのか…普通ならもっとアイドルっぽい子を選ぶはずだが通だな。どうしてブレイキン推しなんだ?」

 

 水谷がキュアブレイキン推しであることを明かすと、俺はどうして推しなのかを訊ねる。他のやつらはTHEアイドルって雰囲気の中で異端児な俺を推す理由は本人として知りたいからな…

 

「その…キュアブレイキンがかっこいいからです。ダンスが5人の中でも1番上手いし1人だけソロ曲がヒップホップという尖ってる感じもワイルドだし、何よりも朱藤先輩とそっくりなんですよね…雰囲気というか顔というか。あと、キュアホープフルとのデュエット曲での歌声の親和性ですよね!普通に歌っても上手いとかもう弱点なしの究極のアイドルです♪」

 

「…」

 

 俺は水谷がブレイキンを推してる理由を聞き、嬉しいような不安なような…そんな複雑な感情が押し寄せてくる。ここまで饒舌に俺の魅力を語れるファンは恐らく水谷が初めてだ…何かここまで詳しく分析されてたら恥ずかしいのだが、何やら俺が正体だと勘づかれてるような気もして少し怖くなった。おかしいな…性別も髪型も声も変わってるはずなのだが。

 

「へぇ、そんなにブレイキンが好きなのか。愛の強さが伝わってくるよ。」

 

「えへへ。ありがとうございます!そう言う先輩は誰推しなんですか?」

 

「俺はキュアアイドルだな。やっぱり、Theアイドルって感じだし何よりも元気で可愛いし…俺にとって彼女は太陽なんだよ。苦しい時はいつも元気を貰ってたな…」

 

「そうなんですね!アイドルって感じならキュアホープフルもアイドルとしてのツボを押さえてて凄いなと思ってます。彼女は他のグループでアイドル活動をしてたんでしょうね…経験者ならではのオーラがありました。」

 

(まあ、現にホープフルはニカ姉で言うまでもなく別グループでバリバリだからな…)

 

「あと、最近キュアズキューンとキュアキッスという新しいアイドルプリキュアも出て話題になってますけど先輩はどう思いますか?」

 

「そういえば、ズキューンとキッスという新しいアイドルも出てるよな…ズキューンとキッス、ね。」

 

 水谷から最近出てきたズキューンとキッスについての質問をされると、俺は頭の中であの2人を思い浮かべる…本当に歌が上手いし、何よりもお姉さんっぽいビジュアルが結構刺さる人もいて凄いと思う。ただ、ズキューンとキッスの顔を思い出すと何となくだがさっき出会ったあの姉妹にそっくりな気もしてきた。キッスはあの黒髪の女性、ズキューンがそのお姉さんに見えなくもない…これはドッペルゲンガーパターンかそれともズキューンとキッスの正体なのか?それと同時にあの姉妹がプリルンとメロロンの人間態説も浮上してるものだから頭の中がグルグルしてしまいそうだ。

 

「先輩?」

 

「ああ、どうしたんだ?ごめん…ちょっと考え事をしてた。」

 

「そんなに悩むことなんですか?でも、それだけ魅力的ですもんね…キュアズキューンとキュアキッスは。」

 

「まあな…」

 

 そんな悩む中で水谷の声で俺は我に返る。とりあえず、今はズキューンとキッスのことやあのプリルンとメロロンの人間態であろう姉妹のこととかを考えるのはやめよう…そうじゃないと水谷を精一杯楽しませられないからな。とりあえず、俺と水谷は頼まれた品を味わいながら話を弾ませるのだった…

 

「美味しかったです…ごちそうさまでした。」

 

「良かったな、俺も満足だ…じゃあ、会計でもするか。お前は先に店の外に出てろ、俺が全部済ませておくから。」

 

「良いんですか?でも、流石に奢ってもらうのはちょっと…」

 

「気にすんなって。俺が良かれと思ってやってることだからさ…水谷には負担はかけたくねえんだよ。だから、な?」

 

「分かりました…お店の外で待ってますね?」

 

 そう言って水谷は一足先に店の外へと出ていく。その間に俺は注文票をレジに持って行って会計を済ませようとする。しかし、その瞬間に事件が発生した…

 

「きゃあああああ!?」

 

 なんと、店の外から水谷の悲鳴と思われる声が耳に入る。これに何事かと思った店内の客は一斉に店の外に出て様子を確かめに行く…水谷に何が起きたんだ?

 

「すみません…ちょっと店の外を見てきます。」

 

「俺も行きます!」

 

 俺は店員さんと一緒に店の外に出ると、そこには水谷の姿はなくてその代わりに水晶を持ったスパットがいた。まさかとは思うが、水谷のキラキラを…!?

 

「何だあのピエロのお面の人は?」

 

「もしかして、SEK〇I NO OW〇RIのあの人!?」

 

「いやはや、まさかこんなにも人が集まるなんて…そんな皆さんに道化師の私が今からショータイムを見せましょう。来なさい、クラヤミンダー。世界中をクラクラの真っ暗闇にしてやるのです!」

 

「クラヤミンダー!」

 

「きゃああああ!?」

 

「また怪物だ…逃げろおおお!」

 

 そして、スパットは人前で堂々とクラヤミンダーを召喚した。今回のクラヤミンダーはモデルがクレーンゲームの景品である熊のぬいぐるみ…その様子を見ていた一般人は一斉に逃げて行った。

 

「スパット、てめえ…!」

 

「おや、今回は君とヨーヨイだけなんですか…他の4人とキュアズキューンとキュアキッスはどちらに?」

 

「あいつらはまだ来ねえヨイ…ズキューンとキッスに関してはどこにいるのかもいつ現れるかもすら知らねえヨイ!お前、このクラヤミンダーに誰を閉じ込めた?まさか水谷杏咲か!?」

 

「水谷?名前は知りませんが、私はたまたま店を出てきてキラキラを放ってた女の子のキラキラをちょっと拝借しました…それが何か?」

 

「そいつは俺と遊んでた友達なんだよ…よくもやってくれたな?」

 

「ほほう、君のお友達だったんですか…でも、私には何も知ったこっちゃありません。たとえ誰だろうと私は使える器は使う…世界をクラクラの真っ暗闇にするためなら手段は選びませんよ?それにお友達とかそういう生ぬるいものは不要です…心に闇を抱えている君なら分かるでしょう?友達なんて所詮は他人…信用をするだけしてもやがては裏切られる。そんな関係なのに熱くなるなんてバカじゃないですか?」

 

「黙れ!昔の俺だったら友達とかどうのこうの作りたいとは思わなかった…でも、俺はうたと出会い、ななやこころとも出会い変わったんだ!友達と一緒の時間を過ごすことは凄く楽しいことだって…それはたとえ誰が相手だろうと邪魔させはしねえ!!」

 

 俺は友達をバカにするスパットに向けて力強く今の自分の気持ちをぶつけた。もう俺は昔の闇に囚われた俺じゃねえ…友達に、家族に、仲間に支えられて今の俺は前を向いていられるんだ!

 

「プリキュア、ライトアップ!…キラキラドレスチェンジ、YEAH♪」

 

 そして、俺は迷わずプリキュアへと変身する。水谷は何としても取り返したいと思うし何よりも友達の存在をバカにされた怒りがこみ上げてきた…こいつだけは絶対に許さない!

 

「キミとブレイクダンス、ハートの熱気!元気アツアツ、キュアブレイキン!」

 

「まさかと思いますけど、君1人で戦うんじゃないでしょうね…クラヤミンダーに単独で挑むのは無謀ですよ?」

 

「俺は1人じゃねえ。ヨーヨイもいるんだ…行くぞ、ヨーヨイ!」

 

「おうっ!」

 

 そして、ヨーヨイもフェニックス人間の姿になり2人でクラヤミンダーとの戦いに挑む。ヨーヨイはあの時もダークイーネの力を宿したカッティンダーと互角に戦ってたんだ…決め技がどうか分からないが、ヨーヨイがいれば何とかなるはず!

 

「ほほう…ならば試してみましょうか、ズキューンとキッスが現れる前の前座として。クラヤミンダー、この2人に殺さない程度のおもてなしをしてやりなさい!」

 

「クラヤミンダー!」

 

「「はああああっ!」」

 

 俺とヨーヨイはなめた態度で臨むスパットとクラヤミンダーにまずは攻め込み、一発蹴りを入れる。しかし、それをクラヤミンダーは軽く受け止めた…ただの蹴りでは受け止められても無理はないか。

 

「これならどうだ、ブレイキンタイフーン!」

 

「クラ…!?」

 

「俺からも食らえ、不死鳥の雄叫び(フェニックス・シャウト)!」

 

「ガアアッ!?」

 

 俺が通常のブレイキンハリケーンを放ち、後ろへ下げると畳み掛けるようにヨーヨイがビームを放ってクラヤミンダーの右腕を切断する。

 

「やったか!?」

 

「いや、そう言って上手くいった試しがない…」

 

「クラヤミンダー!」

 

 俺が『やったか!?』と勝利を確信したタイミングでクラヤミンダーの切断された腕がくっついて元に戻る…やはりこの台詞は失敗フラグだったのだろうか?ヨーヨイの不安通りになってしまった。

 

「甘いですよ、キュアブレイキン。そんな簡単にクラヤミンダーが負けるわけないじゃないですか…悔しかったらもう一発やってみてごらんなさい?」

 

「こうなったら俺が一発で蹴散らしてやるよ!」

 

「待て、アイツの挑発に乗るな!」

 

 俺はヨーヨイの挑発に乗って攻撃を仕掛ける。俺はもう色んなことで怒りを抑えられなかった。水谷のこと、友達のこと、そして簡単に勝てないイラつき…これらが重なっていたのだ。

 

「ブレイキンタイフーン・BURNING!」

 

「痛い、助けて…」

 

「…!」

 

「クラヤミンダー!」

 

「ぐはあっ!?」

 

 更なる攻撃を仕掛けようとしたその時、クラヤミンダーから水谷の苦しむ声が耳に入ってバランスを崩してしまう。その隙を突かれ、俺はクラヤミンダーに殴り飛ばされた。今のは一体何なんだ!?

 

「ブレイキン!」

 

「いっ…背中打った。」

 

「くそっ、こうなったら俺が…」

 

「そうはさせません…Xスラッシュ!」

 

「があっ…!?」

 

 俺に代わってヨーヨイが攻撃を仕掛けようとしたその時、スパットが剣を出してそれを振るとヨーヨイは胸にXの形をした傷を負い、口からも血を吐く。

 

「ヨーヨイ、しっかりしろ!」

 

「すまねえ…でも、俺はフェニックスの力がある。何とか回復を…ぐうっ!?」

 

 ヨーヨイはフェニックスの力で回復を図るもダメージの大きさからか回復するのに痛みを伴い苦しむ。しかも、時間がかかるばかりだ…これを待つしかないのだろうか?

 

「スパット、お前…ヨーヨイに何をした!それと、あの声は一体何だ?」

 

「ええ、私は剣術が得意なのでね…その技の1つのXスラッシュをしました。ちなみに、私の剣から出た技には回復能力を遅らせる力があるのでヨーヨイには辛いでしょう。それと、さっきのクラヤミンダーの苦しみはこの女の子の苦しみで深刻なダメージをクラヤミンダーに与えるとその人の魂にまでその痛みが刻まれるのです。どうでしょう…君達が良かれと思って与えたダメージでキラキラの主が苦しむのですよ。それでも戦い続けますか?」

 

「そんな…」

 

 俺はスパットから知らされた全てを知り、絶望の淵に立たされる。まさか俺達が進めていた手が何もかも悪手だったとは…後悔してももう遅かった。

 

「クラヤミンダー、もうこの2人は用済みです。とどめを刺して差し上げなさい!」

 

「クラヤミンダー!」

 

「キッズショック!」

 

「クララララ!?」

 

 その時、クラヤミンダーは何者かから…いや、技名からしてキュアキッスからのものと思われる電気ショックを受けて痺れてしまう。

 

「ズキューンバズーカ!」

 

 それから立て続けに今度はバズーカ砲のような勢いの光線がクラヤミンダーに命中する。この光線も流れからすれば恐らくキュアズキューンの技だろう。そう思っていると、ズキューンとキッスが俺達の前に立つ。

 

「お待たせ!大丈夫?」

 

「私達が来たからにはスパット、あなたの好きにはさせない!」

 

「ほう、素晴らしい力ですね。キュアズキューンとキュアキッス…早速力を見せてくるとは。でも、クラヤミンダーはそんな単技だけで勝てるとは思わないことですよ?クラヤミンダー、キュアズキューンとキュアキッスを懲らしめて…」

 

「クラ、クラヤミンダー…」

 

 スパットはクラヤミンダーに指示を送るもクラヤミンダーはもうすっかり戦闘不可能の状態になってノックダウンした…技だけでここまで持ち込むとかやはり強すぎる。

 

「ば、バカな!?」

 

「行くよ、キッス!」

 

「はい、お姉様!」

 

♪:Awakening Harmony

 

「「2人の誓い、今輝け!…取り戻したい、光の世界〜♪」」

 

「その笑顔」

 

「勇気」

 

「涙」 

 

「夢」

 

「「希望の兆し、キミと明日を願うチカラで、生まれる私たちのハーモニー、響け〜♪…プリキュア、ズキューンキッスディスティニー!」」

 

「「キラッキラッター…」」

 

 ズキューンとキッスは圧巻のパフォーマンスでクラヤミンダーを圧倒して見事浄化に成功した。やっぱりこの2人は凄すぎて何と言えば良いのか…言葉が出てこない。そんなこんなでキラルンリボンもキッスが無言で回収する。

 

「キュアズキューンとキュアキッス、まさかここまで強いとは…しかし、面白いデータが取れました。またお会いしましょう♪」

 

 スパットはそれだけを言い残してこの場を後にする。ただ、ズキューンとキッスのデータは取れたと本人は言っていた…これが不気味で怖い。

 

「キッス、キュアアイドルはいないみたいだし今日はもう帰ろう?」

 

「お姉様、お待ちください。その前に…チュッ。」

 

 これから去ろうという時にキッスが投げキッスを俺達に向けてすると、俺の背中を打った痛みやヨーヨイについていた胸の傷が癒えていく。まったくもって不思議な力だ…

 

「ありがとう、キッス…助かったよ。」

 

「俺も傷もなく痛みもなくなった、ありがとな!」

 

「別に私はあなた達を助けたつもりはないわ。ただ、あの時の借りは返させてもらっただけ…」

 

「借り?別に俺はお前に借りを作った覚えはないぞ?」

 

「いえ、こっちの話よ。行きましょう、お姉様…」

 

「うん、またね。」

 

 そう言ってズキューンとキッスはこの場から飛び去っていく。俺はいつの間にかキッスに借りを作っていたのだろうか?全然覚えがない…とりあえず、今は難しいことを考えるのはやめにしてクラヤミンダーにされて苦しい思いをさせてしまった水谷に寄り添うことにした。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「すみません…先輩にご迷惑をおかけして。」

 

 それから俺は目が覚めた水谷と一緒にデートを続け、夜近くになり解散の時が来る。水谷は解散場所の駅前で俺に迷惑をかけたことを謝る…まあ、1番悪いのは彼女ではなく彼女を利用したスパットであるけど。

 

「気にすんなって。でも、お前が無事で良かったよ…何かあったら親御さんやお姉さんに会わせる顔がないからな。」

 

「そうですね。でも、今日のデートは楽しかったです!ありがとうございました。」

 

「こちらこそ。それじゃあ、今日は帰ろうぜ…いくら夏が近くて昼が長くてもそろそろ夜だしな。」

 

「待ってください!」

 

 俺が帰ろうとすると水谷は俺を呼び止める。一体、彼女は何を考えているんだ…まさか、もっと一緒にいたいとでも言うのか?優等生の水谷に不良まがいのことはさせたくないのだが、とりあえず話を聞くことにした。

 

「どうした、まだ話したいことがあるのか?」

 

「はい…最後に一つだけ私から気持ちを伝えさせてください。」

 

「気持ち?」

 

「実は私…ずっと前から朱藤先輩のことが好きでした!面識があまりないのは覚悟してます。お友達からで良いので付き合ってください!」

 

 水谷は俺の顔を見て愛の告白をする。彼女の顔は赤く、それでいて真剣で勇猛果敢だなと思わせられてしまう…それだけ俺のことが好きだということが分かってしまい、胸が苦しくなる。ここでストレートに断れば彼女は二度と立ち直れないだろう…でも、俺は覚悟を決めた。

 

「ありがとう。そこまで俺のことを好きでいてくれるのは嬉しいよ…でも、ごめん。俺は水谷とは付き合えない…」

 

「どうしてですか?もしかして、今回のデートで何か幻滅することをしたりとか…」

 

「いや、お前は一切悪くない。俺…実は好きな子がいてその子のことを諦められないんだ。」

 

「そうなんですか…」

 

「でも、水谷のことも素敵な女の子だと思ってる…今日のデートでよく分かったよ。だから、俺と友達になってくれないか?」

 

「もちろんです。お付き合いが無理なのは残念ですけど、私…お友達として先輩の恋を応援します!これからもよろしくお願いしますね。」

 

 俺にフラれた時は暗い顔をしていた水谷は嬉しさを取り戻して俺からの誘いを受諾する。こうして、俺と水谷は正式に友達になったのだ…

 

「そうだ…もう友達になったことだから名前で呼び合わねえか?名字のままだと距離を感じるし。こちらこそよろしくな、杏咲。」

 

「はい、蓮先輩!」

 

 こうして俺達はお互いに名前で呼び合うことを決めた後に暗くなった中を一緒に帰る。とりあえず、自分でも良い断り方をできて杏咲を悲しませなかったことにはひと安心…俺と杏咲に接点を設けてくれたこころには明日感謝しておくとしよう。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 翌日の昼休み、俺は体育館裏へと向かおうとしていた。実は学校に行く前にこころからLINEが来ていて、『お昼休み、2人きりで話したいことがあるので体育館裏に来てください』と書いてあった。とりあえず、うたとななには内緒で向かうことに…2人に伝えたら特にうたが尾行をするだろうしな。(ただ、ヨーヨイは理由をつけて預けてもらった)

 

「あら、朱藤くんじゃない。」

 

 俺が急いで待ち合わせ場所へと向かう途中で杏咲の姉でラブレターを俺に渡した生徒会副会長の水谷先輩が声をかける。恐らく昨日の話をもちかけることだろうと見た。

 

「水谷先輩、こんにちは!あの、昨日はすみませんでした。妹の杏咲さんの告白を断ってしまって…」

 

「ううん、気にしないで。私も前から杏咲から相談を受けていたけど、朱藤くんって仲の良い女の子が沢山いるもんね…だから、その子達の中に好きな女の子がいるはずだとは思ってたわ。そうよね?」

 

「ええっ!?まあ、それは否定はしませんけど。参ったなぁ…」

 

「ふぅ〜ん…好きな子がいるのね?」

 

 水谷先輩はどこぞの気ぶり屋敷さんのような気ぶりっぷり溢れる表情で俺を見つめからかう。こんな感じで言われると照れるというか先輩の好きな人がいるのかという圧力も感じるものだ…

 

「まあ、はい…俺にもいるんですよね。そんな素敵な人と早く付き合いたいですよ、アハハハハ。」

 

「そう。とりあえず、頑張ってね!あなたのこと心から応援してるわ…じゃあ、私は生徒会の仕事があるからこれで。杏咲のこと、これからもよろしく頼むわね?」

 

 そう言うと水谷先輩は生徒会の話し合いへと向かって行った。今日が話し合いだとしたら健人もそこに参加するのか…まさか、アイツに俺の好きな人とかを聞くんじゃないだろうか?あの自由自在っぷりを見てるとやりかねない。でも、この人になら知られてからかわれても悪い気はしないものだ…

 

「さて、俺も体育館裏に向かうか…こころが待ってるし。」

 

 俺は水谷先輩を見送りこころが待ってる体育館裏へと向かう。どんな話があるかは分からない。だけど、こころが朝から連絡したということは相当な覚悟があってのことなのだろうな…

 

(5分後…)

 

「こころ、お待たせ!」

 

 体育館裏へとたどり着いて俺は待っていたこころに手を挙げてから声をかけて合流。彼女の表情はどこか緊張しているようにも見えていてガチで重要な話があるんだろうなってことが伝わってくる。

 

「いえ、私もさっき来たばかりなので…いきなり呼び出してすみません。」

 

「気にすんなよ。俺とお前の仲じゃないか…で、どうしたんだ?」

 

「あの…昨日の杏咲ちゃんとのデートはどうだったんですか?」

 

「ああ、楽しかったぜ。服も買ったし、ゲーセンも行ったし、喫茶店も行ったしな…その途中で杏咲がクラヤミンダーにされるアクシデントもあったけど、キュアズキューンとキュアキッスが浄化したってところだな。俺も戦ったけど…」

 

「そうなんですか。私達も後でクラヤミンダーが出たことを知ってうた先輩やなな先輩と一緒に現場に行ったんですけど何もなかったので…そういことだったんですね。でも、蓮先輩と杏咲ちゃんが無事で良かったです…」

 

 こころはクラヤミンダーの騒ぎのことを心配していたものの俺が全てを話すと彼女は胸を撫で下ろして安心する。まあ、俺とヨーヨイはあの時明らかに負けていたけどな…ズキューンとキッスがいなかったら間違いなく杏咲のことを救えなかっただろう。

 

「それで、デートが楽しかったのは分かりましたけど…杏咲ちゃんから告白とかは?」

 

「告白されたよ。でも、断った…まだ面識が浅いしな。その代わり杏咲に友達になってくれと逆に言ったらあの子は嬉しそうに受け入れてくれたよ。こころが接点を作ってくれたおかげだぜ…ありがとな。」

 

「いえいえ。でも、良かった…蓮先輩が告白を受け入れなくて。」

 

「いや、お前何を言ってるんだ?友達の告白の失敗を喜ぶとか鬼畜すぎだろ…」

 

「いえ、すみません…そんなつもりはないですけど。ただ、これで私も先輩に気持ちを伝えられるなって。蓮先輩、私もずっと前からあなたのことが好きでした…初めて会った時からかっこいい人だなと思ってたし、アイドルプリキュアの一員になってからも私のそばにいて優しくしてくれたり、一緒に踊ったり…あなたの全てを見ていて心キュンキュンしてました。だから、私と付き合ってください!」

 

「…!」

 

 こころは俺の目を見て真剣な表情で告白をする。杏咲に続いてこころまでもこの展開だとは…彼女の顔は赤いが伝える愛が真っ直ぐだ。こういう迷いがないところはまるで侍か何かのメンタルである。

 

「ごめん。俺、こころとは付き合えないんだ…」

 

「そんな!何か嫌われることをしましたか?」

 

「いや、それはない。お前が気遣いのできる良い子なのは十分に理解している…」

 

「だったらどうしてですか?もしかして、私の身体が貧相なのがダメだったり…確かに身長は低いし胸もお尻も小さいですけど。蓮先輩はやっぱり女の子を身体で選んでるんですね?」

 

「違うって、俺は断じてそんなことはしない!ただ、理由が2つあるんだ…落ち着いて聞いてくれるか?」

 

「分かりました…」

 

 とりあえず、俺はヒステリックになり気味のこころを落ち着かせて付き合えない事情を説明しようとする。ただ、ここでストレートにうたが好きだからと伝えたらこころとうたの関係が気まずくなる恐れも…ここは何とか変なことにならないように説明を試みた。

 

「まず1つ、俺はどう頑張ってもお前のことを妹としてしか見れないんだ…家では末っ子の俺にできた妹のような存在として。可愛くて明るくて元気でそれでいて素直なこころは妹分として大好きだ…でも、異性としてはどう足掻いても上には行けないんだよ。」

 

「そうなんですか。もう1つは?」

 

「ああ、実は俺にはどうしても諦めきれないぐらい好きな女の子がいるんだ…これは杏咲にも伝えている。」

 

「好きな人がいるんですか…それが誰なのか教えてもらえますか?ここだけの内緒ということで。」

 

「誰にも言わないのならこころを信じるよ…実は俺の好きな子はうたなんだ。」

 

「うた先輩、ですか!?」

 

「バカ、声がでかいって!」

 

「すみません…でも、それなら気持ちを伝えられるように私がサポートします。先輩方には幸せになってもらいたいと思ってるので…」

 

「気持ちは嬉しいよ。ただ、今回ばかりは自力でやらせてくれ…自分の恋は自分で決着をつけたいんだ。」

 

「分かりました。それにしても、蓮先輩に自分の心キュンキュンを伝えられて良かったです…ありがとうございました。」

 

「いや、俺もお前の気持ちを知れて良かったよ。これからもアイドルプリキュアとしても友達としても一緒に楽しい思い出を作って行こうな?」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

 そして、俺達は友達でいることを誓った後にうたとなな(とヨーヨイ)が待っている中庭へ向かった。こころは失恋した後とは思えないぐらいに清々しい表情をしていて悲しい思いをさせなくて安心したと言える。こんな感じでこころを含めてみんなと仲良くしていきたいと思うのであった。

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

sideうた

 

 昼休み、私とななちゃんは蓮とこころが中庭に来るのを待っている。あれからどれだけ待ったのだろうか…もう15分は待ってるのにまだ来ない。ヨーヨイを預けて2人は何を考えているのだろうか?

 

「蓮とこころ、遅いね。」

 

「まあ、そんなに焦るなヨイ。しばらくしたら来るだろうし…」

 

「ヨーヨイは蓮くんとこころちゃんがどこに行ったのか知ってるの?」

 

「知ってるが内緒だヨイ…男同士のお約束ってやつだ。」

 

「そうなんだ。ねえ、うたちゃん…私、うたちゃんにどうしても話したいことがあるんだけど、良いかな?」

 

「えっ…うん、良いよ?」

 

 ななちゃんは突然私にどうしても話したいことがあると言って2人きり(ヨーヨイはいるけど…)になったタイミングで話を持ちかけられる。蓮やこころに話せないことなのだろうか?

 

「私ね…実は好きな人がいるんだ。」

 

「本当!?ななちゃんの好きな人って誰なんだろう…気になるなぁ。教えてよ、ねえねえ♪」

 

「うたちゃんったら知りたがりだね…特別に教えてあげるから、ここだけの内緒だよ?それで、私ね…蓮くんのことが好きなの。」

 

「えっ?」

 

 ななちゃんは私の前で蓮が好きだということを打ち明ける。そういえば、ななちゃん…前デートした時に蓮に『大好き』と言ってたけどこういうことだったんだ。

 

「どうしたの、うたちゃん…私、変なこと言った?」

 

「ううん。良いんじゃないかな?蓮って何でもできる優しい男の子だし…ななちゃんが好きなら応援するよ。ねっ、ヨーヨイ?」

 

「お、おう。頑張るんだヨイ…」

 

「嬉しい、うたちゃんやヨーヨイがいたら百人力だよ!それで、蓮くんにいつか告白したいんだけどどんな言葉を伝えたら喜ぶと思う?」

 

「うーん、私には分からないかも。恋したことないから…でも、家に帰ったらお母さんに聞いてみるね。どんな告白をすれば好きになるのかを…」

 

「本当?うたちゃん、ありがとう。明日教えてね?大好きな蓮くんに気持ちを伝えようと思ったらドキドキが止まらないよ…蓮くん♪」

 

 ななちゃんは蓮に告白することを楽しみにし、ワクワクを膨らませる。そうなんだ…ななちゃん、蓮のことが大好きなんだね。そうなると、私はいつまでも蓮の横にいて良いのだろうか?私はまだ恋が何かは分からなくても蓮と一緒にいるのが楽しいし何よりも大好きだ。でも、ななちゃんはそれ以上で恋をしている…それを見た私は蓮を譲るべきかと悩むのであった。

 

(この気持ち、何だろう…蓮のことを考えると胸が苦しい。でも、ななちゃんの幸せも祈りたい…どうすれば良いの?)




いかがでしたか?杏咲もこころちゃんも蓮に告白するも撃沈でした…その中でクラヤミンダーはやはりズキューンとキッスが浄化。スパットはデータを取り、彼が剣士であることもちゃんと明らかになりました。道化師の剣士…ちょっと属性過多かなと思いますが、彼の剣術とかの諸々の設定は次に出てきた時に解説していきたいと思うのでそこら辺はスパットにも注目してください。とりあえず、今は投稿することが先決なのでね…

しかしながら、キッスの借りを返したという意味深発言…そりゃあ蓮は『?』でしょうけど、もう原作の今を知ってる人からすれば答え丸わかりですね。すみませんw

とりあえず、次回は原作に戻って18話をお送りします。ここからまたしばらくは原作通りかなと思ってますね…こんな感じでこれからもまたよろしくお願いいたします。

感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをしてまた次回お会いしましょう!
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