キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達-   作:寿垣遥生

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遥生です。また間が空きました⋯申し訳ない!忙しかったりやる気が起きなかったりで大変でした。キミプリって1話あたりの文字数が軽く9000文字はオーバーするんでね⋯ばっどがーるの方がコンパクトに済むから楽ですけど交互投稿と決めたからにはやりますよ。

今回から20話分に突入します。これでもまだまだ18~9話遅れ⋯でも、早めに言っておきますがここからオリジナル回もあるのでさらに遅れる見込みですよ。ただ、気持ちはアクセル全開で頑張っていくのでどうかこれからもよろしくお願いします!

それでは、また後書きにて。


#48 田中さんの帰還、失われた記憶

 プリルンの実状を蓮達が知ったのと同じぐらいの時のこと、その一方で出間はタワマン近くに張り込んでスキャンダルの取材の仕事をしている。今回、編集長から斡旋された仕事は言わずと知れた大物俳優とAV女優の不倫の取材だ⋯情報源は一般人からの目撃情報であるが、それが事実かどうかを確認すべく出間が派遣された。

 

「⋯ったく、今日こそ定時で帰ってプロ野球中継を観ながらビール飲もうと思ったのによ!まあ、俺は文秋のエース記者だから仕方ないよなぁ⋯まあ、これで成果を上げてチーフに出世してから汚れ仕事を卒業し、定時で毎日帰り、土日祝も休んでやるぜ!」

 

「ほう、それは熱心ですね⋯週刊文秋の出間さん、いや⋯デマーン。」

 

 出間の独り言に反応する声がして彼が背後を振り向くと、そこにはピエロのお面を被って策士服を着たスパットがいた。しかし、出間は姿を見たところで彼が故郷のキラキランドをダークイーネと共に闇に染め上げた人だと気づいていない。

 

「誰だあんた⋯どうして俺の正体を?」

 

「私はスパット。君の正体とかは手に取るように分かりますよ⋯キラキランドにてデマ記事を新聞につらつらまとめてみんなに迷惑をかけ、ピカリーネからの罰に耐えられなくなり亡命してノコノコとこの世界で記者をやっている。そうでしょう?」

 

「ノコノコは余計だ。確か、あんたスパットって言ったな⋯妖精仲間から聞いてるよ。俺の故郷だったキラキランドを壊滅状態にしたって⋯むしろあんたには感謝してるぜ?俺が縁を切りたかった場所を滅ぼしてくれて。」

 

「まさか感謝されるとは思いもしませんでしたよ。それで、今回は君にお願いがあるのですが⋯私にキュアズキューンとキュアキッスの正体を教えて頂けませんか?デマーンほどの有能な記者ならもう資料があるんでしょう?」

 

「ああ、喜んで差し出すよ。キラキランドを滅ぼしてくれたお礼だ⋯変身シーンのデータをコピーしたUSBがあるからそれをあんたに託すよ。もちろん、プリキュアを倒したあかつきには報酬も期待してるぜ?」

 

「ええ、約束しましょう⋯欲しいのは地位ですか?お金ですか?」

 

「どっちもだ。」

 

「分かりました⋯では。」

 

 出間はスパットにキュアズキューンとキュアキッスの変身シーンをコピーしたUSBメモリを手渡し、スパットは闇の中へと消えていった。出間が欲しがるお金と地位はいかほどのもなのか⋯彼はそのことを考えて思わず笑みが零れてしまう。

 

(さて、仕事に戻りますか⋯キュアズキューンとキュアキッスの正体発覚に大物俳優の不倫案件、報酬が楽しみだぜ!)

 

 

 

 

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side蓮

 

 あれから俺達は解散してそれぞれ家に帰り、俺とヨーヨイは自分の部屋でプリルンの真実やらメロロンとのあれこれに向き合い絶望する。まさか、俺が恋に落ちていためろんさんの正体がメロロンだったなんて⋯俺にとってはプリルンのことと同じぐらい衝撃的だった。

 

「ヨーヨイ、実は俺⋯うたがいながらもめろんさんに恋していたんだ。まさかその正体がメロロンだと知らなくてお前の恋の邪魔をしてしまっていた。申し訳ねえ⋯」

 

「謝らなくても良いヨイ⋯もう終わったことだ。俺も所詮はメロロンからこの程度のやつとしか思われなかっただけの話だヨイ。」

 

「そんな自分を卑下するなよ。しかし、プリルンはどうしてうたの記憶を失ったんだ?キラキランドで頭を打ったのか、プリキュアになった時に何かあったのか、何か⋯」

 

「俺の中では最悪ながらもこんな考えがあるヨイ⋯ハートキラリロックもなくなっていただろ?もしかしたら、プリルンはそれを使って記憶を封印しそれと引き換えにプリキュアとしてキュアアイドルを守る力を得たとも考えているヨイ。」

 

「そういえば⋯」

 

 俺はプリルンとメロロンがいなくなった後の朝を思い返す。あの時、俺の机の引き出しにメロロンが入れていたハートキラリロックがなくなっていたのだ⋯そのアイテムは何かを封印するのと引き換えに願いを叶える。それを考えればプリルンが封印したものがうたの記憶ということになり今回のことと辻褄が合う⋯でも、メロロンが封印したものとは一体何なんだ?俺達の記憶は残っているし、プリルンとの関係に変化もない。一つ辻褄が合っても一つが矛盾してるこの状況⋯どうなってるんだ?そう考えていると俺のスマホの着信音が鳴る。

 

「蓮、着信だヨイ。」

 

「ああ、『キラキランド出張所はなみちタウン支部』か。田中さんが帰ってきたんだろうな⋯もしもし?田中さん、帰ってたんですか?だったら、電話じゃなくて俺達に直接⋯」

 

『蓮、メロロンだメロ⋯』

 

  田中さんからだと思って出てみると、その相手は何とメロロンだった⋯そういえばあの時にめろんさんであるメロロンに連絡先を渡していたのだが、まさか出張所の電話からかけてくるとは想定外である。

 

「メロロン⋯お前、どうして?」

 

『蓮からもらった連絡先を見てかけたメロ。』

 

「いや、それは言わなくても分かってる⋯それで、何の用でかけてきたんだ?」

 

『その⋯あの時はにいたまに酷いことを言ってしまってごめんなさいメロ。それをあなたに言いたかったのと、これを最後のやり取りとしてあなた達と縁を切るために通話したメロ。』

 

「いや、その気持ちは俺じゃなくてヨーヨイに言えよ。でも、ヨーヨイも失恋してかなり落ち込んでいるからな⋯それは伝えておくよ。」

 

『それは助かるメロ。それじゃあ⋯短い間だったけど今まで楽しかったメロ。もう二度と会うことはないと思うけど、蓮も幸せに過ごすメロ⋯さようならメロ。』

 

「何を言ってるんだ?お前、バカだろ⋯縁を切るつもりが居場所を俺に教えやがって。言っておくが、この出張所の連絡先は俺は登録してるんだぞ?」

 

『えっ、そんな⋯!?』

 

「とりあえず、居場所が分かったことだし押しかけさせてもらうぜ?ご親切にありがとな。」

 

『待つメロ、今のはなしメロ!絶対に来たらダメメロ!!』

 

「今度の休みの時に行かせてもらうぜ?じゃあな。」

 

 俺はメロロンにこれ以上何も言わせることなく通話を切った。どこにプリルンとメロロンがいるのか分からない中でメロロンがまさか居場所を教える形になるなんて⋯メロロンがプリルンと似たり寄ったりのバカで助かったと言える。

 

「メロロンと通話してたのかヨイ?」

 

「ああ、お前に謝りたかったのと縁を切りたいからとのことでな⋯でも、まさか出張所の電話からかけてくるとは。居場所を聞く手間が省けたぜ!」

 

「そうか。居場所が分かれば押しかけることができればプリルンがどうしてうたの記憶を失ったのか、どのようにしてアイツらがズキューンとキッスになったのか、その全てを知ることができる⋯まだ俺達に救いの道はあるヨイ!」

 

「ああ、そうと分かればまた今度の休みに全員を集める。今はうたの心境が穏やかじゃないだろうから行動は次の土曜日まで保留だ⋯とりあえず、ヨーヨイはハートキラリロックのこととか色々調べといてくれ。俺も記憶を取り戻せる術を調べておく⋯」

 

「了解だヨイ。」

 

 こうして俺は平日は特にプリルンやメロロンの話を自分から発信するのを避けていくことに⋯うたがたまにプリルンのことを考えて狂うこともあったが、そこはもうななとこころと時々ニカ姉や希望さんにフォローしてもらって何とかなったと言える。そして、家に帰っては俺とヨーヨイでハートキラリロックのことや記憶喪失の人の記憶を取り戻すためにやるべきことを共有し調べるのだった。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

「みんな、お待たせ!」

 

 それから日が経って土曜日の午後、俺はヨーヨイとラジオの収録を終えたニカ姉とソロ曲のレコーディングを終えた希望さんを連れてみんなが待つグリッターへと入る。ついに自分の話したいことを話せる時が来た⋯うたがどんな反応をするのかは分からないが、とにかく気が楽になればと思っている。

 

「蓮くん、笑華ちゃん、希望さん⋯」

 

「どうしたんだ、なな、こころ⋯それ以上にうたは当然落ち込んでるか。」

 

「それもそうですよ。ズキューンとキッスがプリルンとメロロンと知ってびっくりですし⋯プリルンはうた先輩のことを忘れているものですから。」

 

「本当ね⋯それで、蓮とヨーヨイはプリルンがうたの記憶を忘れた原因が分かるって言ってたけど本当なのかしら?」

 

「詳しくは今から話す。うた⋯やっぱり辛いか?」

 

「うん⋯どうしてプリルンはキュアアイドルのことは覚えているのに私のことを忘れたんだろう?蓮もおかしいと思うよね?」

 

「俺もおかしいと思ってる。でも、残念ながらこれが現実だ⋯簡潔に言おう、プリルンはお前の記憶を失っている。そして、俺達の記憶も⋯」

 

「嘘、だよね?きっとプリルンは私に意地悪しようと思ってからかってるだけのはず⋯プリルンが私のことを忘れるはずがないよ!」

 

「残念ながら蓮さんの言ってることは本当です⋯」

 

「「「「「「誰〜!?」」」」」」

 

 俺とうたが話していると、店内に聞き馴染みのある低い男性の声が耳に入って振り返る。しかし、髪はボサボサで痩せこけていてスーツはヨレヨレ⋯一見すれば誰なのか俺達は分からなかった。

 

「ただいま戻りました⋯私です。」

 

 そして、男が前髪を上げるとその人物が田中さんであることがやっと分かった。これだけボロボロになるってキラキランドで何があったのだろうか?

 

「田中さん!?」

 

「皆さん、あの2人に会われたんですね⋯」

 

「はい。田中さんも色々調べてきましたか?何を知り得たのか俺達に教えてください。プリルンはうたや俺達の記憶をやはり失ったんですよね?」

 

「はい⋯蓮さんのおっしゃる通り、プリルンはうたさんや皆さんのことを忘れてしまったのです。出会ってからの全ての記憶を⋯なくした思い出はもう二度と戻らないでしょう。」

 

「そんな⋯」

 

 田中さんはうたに俺の宣告に重ねてオブラートに包むことなく現実を突きつけた。人の心がないのかと内心思うところはあるが、そもそも田中さんはキラキランドの妖精だから元が人間じゃないしここで事実を受け入れてもらえないと先に進めないものだから致し方ない。

 

「タナカーンさん、何てことを言うんですか!?それが事実だとしても言い方があるでしょ?」

 

「ホプ、こういう時だからこそうたには事実を知らせないといけないんだヨイ。うたには辛いだろうが、この先のことのためだ⋯綺麗事だけじゃどうにもならねえんだヨイ。」

 

「ヨーヨイ⋯」

 

 希望さんは田中さんに強い口調で迫るもそれをヨーヨイが彼女を説得する。今のうたは事実から逃げていてそれを受け入れられない状態だ⋯しかし、それでも綺麗事だけで誤魔化すことなどヨーヨイの言う通りできない。非情だがこの現実から逃げることなど無理なのだ⋯

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 それからしばらくして、身だしなみを整えた田中さんと俺達はいつもの部屋で田中さんがキラキランドを視察してきた上で知った話を聞くことに⋯これだけボロボロになったのだから相当なことがあったのだろうな。

 

「それにしても、キラキランドがあそこまで酷いことになっていたとは⋯あまりの変わりようにもうショックでショックで。」

 

「それであんな姿に⋯」

 

「大変だったんですね。」

 

 田中さんはキラキランドの惨状を思い出したように語ると、目の前に出されたパンと牛乳にがっつく。それだけ腹も減ってたということもよく分かる⋯田中さんはただでさえ俺達のマネージャーとして大変な思いをなさってるのにより残酷な故郷の現状を知ってしまいショックは大きかったはずだ。

 

「田中さん、そんながっつくのは身体に悪いですよ?空腹時の蓮じゃないんですから⋯」

 

「おいニカ姉、俺を例に出すな。」

 

「これは失礼。とりあえず、プリルンのことは女王様に聞きました⋯」

 

「田中さん、プリルンはどうして私のことを忘れたんですか?何故!」

 

 うたは感情を抑えられず台パンしながら田中さんに強く迫る。それもそうだ⋯自分の親友だったプリルンがまた会った時に自分の記憶を失っていたのだから。冷静でいられるわけがない。

 

「田中さん、俺が代わりに答えます。うた⋯プリルンとメロロンはプリキュアになる際に一緒にハートキラリロックという伝説のアイテムを使ってしまったんだ。」

 

「ハートキラリロック?」

 

「確か、はなみちタウンにある永遠の愛を誓うという誓いのスポットに『伝説のハートキラリロック』ってあったよね?蓮くん、それと何か関係があるの?」

 

「関係があるかどうかは分からねえ。ただ、そのハートキラリロックはキラキランドの言い伝えだと2人それぞれ大事なものを鍵をして封印し願いを叶えられるものなんだ⋯まあ、これはヨーヨイから受け売りだがな。」

 

「それじゃあ、まさかプリルンは⋯!?」

 

「そのまさかです。プリルンはキュアアイドルを守りたい一心で願いを叶えるために1番大事なもの⋯うたさんとの思い出を封印したのです。」

 

 俺がうたの質問に代わりに答え、さらにその補足で田中さんも答えていく。この事実を知ったうた、なな、こころ、ニカ姉、希望さんは絶句⋯それもそうだ、プリルンが俺達の知らない間にこんなことを考えていたなど想像もできなかった上に黙っていなくなった末がこれだとは絶望以外のリアクションが見当たらない。

 

「なるほど⋯だから、プリルンはうたのことを覚えてなかったのね。」

 

「それじゃあ、蓮くんとななちゃんとこころちゃんと笑華の記憶も⋯」

 

「さっきも言ったように残念ながら。ただ、ヨーヨイと希望さんは妖精の時の記憶は残っています⋯そうとなると田中さんも。」

 

「そうだよね⋯」

 

「そっか。」

 

「⋯」

 

 俺が希望さんからの質問に答えるとななとこころもニカ姉も落ち込む。みんなだってプリルンとの思い出はうたと同じぐらいあるからな⋯良くも悪くも。

 

「とにかく、プリルンはうたやみんなとの記憶を差し出した⋯となるとメロロンも何かを差し出して封印したってことになるはずだヨイ。」

 

「田中さん、メロロンが何を封印したのかは聞いてないんですか?俺、プリルンだけじゃなくてメロロンも救いたいんです!」

 

「申し訳ありません⋯私も詳しく聞こうと思って訊ねたのですが、女王様は『メロロンが封印した1番大事なもの⋯それはいずれ、分かる時が来るでしょう。』と詳しくは教えてくださいませんでした。」

 

「マジっすか⋯」

 

 俺は田中さんにメロロンが封印したものも同時に訊ねるも、ピカリーネさんが詳しく答えなかったこともあって彼は残念そうに答えた。ピカリーネさんはどうしてそれをハッキリ教えてくれなかったんだ⋯よほど重要なものをメロロンは封印したのだろうか?

 

「よし、とにかくプリルン達と話をしてみよう!」

 

「でも、どこにいるんでしょう?」

 

「「うーん⋯」」

 

 うたはプリルンと話をしようと意気込むもこころから居場所を訊ねられて分からずに迷ってしまう。場所が分からずに言い出していたのか⋯言い出しっぺにしてはちょっと無鉄砲が過ぎるぞ?

 

「それなら俺が場所は知ってる。この前、メロロンが知ってる番号から電話をかけてたんだ⋯」

 

「その場所ってどこなの?勿体ぶらずに教えなさいよ!」

 

「蓮さん、本当にプリルンとメロロンの居場所を知ってるんですか?」

 

「それじゃあ、案内しますよ。」

 

 ニカ姉と田中さんに迫られ、俺はプリルンとメロロンがいる出張所へとみんなを案内する。めろんさんとしての行動を踏まえるとどっちかが出かけてる可能性もあるからな⋯とりあえず、その時間と被ってないことを祈りたい。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 それから移動することしばらく、俺達は田中さんの活動拠点 自宅でもあった出張所へとたどり着く。その入口の前には表札があり、『プリルン♡メロロンのいえ』と書かれたものがあった。

 

「『プリルン♡メロロンのいえ』⋯何と!?」

 

「どうやら、タナカーンさんがいない間にプリルンとメロロンが占領してたみたいだね。」

 

「どうせ行動に移したのはメロロンだろうヨイ。プリルンは精神年齢が幼いしどうしようもねえポンコツだからこういう行動なんて無理だヨイ。」

 

「なんか半分プリルンの悪口を言ってねえか?まあ、とりあえず様子を見ましょう⋯」

 

 俺はプリルンとメロロンにバレないように入口のドアを開けてからどういう様子かを見て、後ろで他のみんなも一緒になって様子を見る。

 

「メロロン特製ランチメロ!どうぞメロ♪」

 

「ハート可愛いプリ!」

 

 中を覗くとそこにはプリルンとメロロンが楽しそうに田中さんの家でもある出張所でランチを楽しんでいた。部屋の中はピンク色に染まり、メロロンの好みに仕上がっている⋯メロロンはまずハートをケチャップで描いたオムライスをプリルンに提供した。

 

「これもあるメロ。カニさんウインナーメロ♪」

 

「カニさん可愛いプリ、頂きますプリ!」

 

「ふふっ、ねえたまの夢の2人暮らしメロ♪」

 

 さらにメロロンはカニの形にしたウインナー⋯カニさんウインナーをプリルンに提供してからプリルンが食べていく。プリルンは確かうたが作ったタコさんウインナーが好きだったはずなのにメロロンのやつめ、記憶喪失なのを良いこと記憶を上書きしやがって!なんて悪いやつだ⋯

 

「これは⋯私の家が!ピンク色にぃ!?ああっ⋯」

 

「田中さん!?」

 

「何メロ?」

 

 田中さんはこの部屋の様子を見て倒れてしまう。この騒ぎには流石にプリルンとメロロンは気づいてしまった⋯もうこうなったら仕方ねえ!

 

「プリルン、メロロン、約束通り来てやったぜ!」

 

「プリルン!」

 

「メロロン、俺がヘタレで本当にすまなかったヨイ⋯頼む、せめてタナカーン先輩の家を返してくれないかヨイ?」

 

「蓮、咲良うた、にいたま⋯ねえたまとの時間を邪魔にしに来たメロ!?」

 

「ヨーヨイ、いらっしゃいプリ!ヨーヨイもメロロンの作ったランチを一緒に食べるプリ!」

 

「ねえたま、下がってるメロ。こいつらはねえたまを狙ってきたねえたま泥棒達メロ!」

 

「プリ?」

 

「メロロンはうたちゃんや蓮くんのことは覚えてるんだね?」

 

「残念ながら覚えてるメロ。」

 

 なながメロロンにうたや俺のことを覚えているのかを訊ねるもメロロンは覚えていると答える。どうやらメロロンには俺達の記憶は残っているようだ⋯そうだとしたら何を封印したのだろうか?

 

「プリルン、みんなのことは覚えてるホプ?蓮くん、うたちゃん、ななちゃん、こころちゃん、笑華⋯みんなホプと同じようにプリルンのお友達ホプ。」

 

「全然分からないプリ。プリルンはメロロンとヨーヨイとホプとタナカーン以外のお友達は知らないプリ。」

 

 中に入る際にホプの姿になってた希望さんは俺達のことを紹介しつつ覚えているのかを訊ねる。しかし、やはりプリルンは俺達のことを覚えてはいなかった⋯やっぱり記憶喪失はマジだったみたいだ。

 

「でも、こいつは覚えているだろ?」

 

 俺はスマホを取り出して動画サイトを開いてからうたことアイドルのライブ動画を再生してプリルンに観せる。キュアアイドルを守るって言うぐらいならどんなものかは見れば分かるはずだ。

 

「キュアアイドルプリ!」

 

「実はこのキュアアイドル、その正体は俺の横にいる咲良うたって子なんだぜ?」

 

「うん!私がキュアアイドルだよ、プリルン♪」

 

「キュアアイドルじゃないプリ⋯」

 

「「ダメか⋯」」

 

 うたが俺の紹介から自分がキュアアイドルの正体だと名乗るもプリルンは信じようとしなかった。瞳や髪の色は違えども顔の特徴や声はそのもののはずなのにな⋯プリルンの目と耳は節穴なのだろうか?記憶喪失がどうのこうのの話ではない。

 

「ねえたまはあなた達のことなんて覚えてないメロ!ねえたまはこの家でメロロンと幸せに暮らすメロ♪」

 

「プリ?プリルンはヨーヨイとホプとタナカーンとも一緒に暮らしたいプリ。みんな一緒だったらもっと楽しいプリ〜♪」

 

「ねえたま!?」

 

「「プリルン⋯」」

 

 メロロンはプリルンと2人きりで暮らすと堂々と宣言するも当のプリルンはヨーヨイやホプさんや田中さんと一緒に暮らしたいとメロロンにお願いする。これを見たヨーヨイとホプさんは一緒に暮らしたいと思ってくれているプリルンの心意気に感動した。

 

「あの、お取り込み中失礼いたします。ここは私の家ですが⋯」

 

「プリ?この人、誰プリ?」

 

「やはり人間としての私は忘れてるようですか⋯致し方ない!」

 

「プリ!?」

 

 そう言うと田中さんはプリルンの顎の下を人差し指で歯を磨くような感じで撫でていく。凄く慣れた指の動き⋯キラキランドにいた時からこうやってプリルンを甘やかしてたのかというのがよく分かる。

 

「プリ〜!この感じはぁ〜♪」

 

「メロ!?」

 

「そう、私は⋯タナカーンなんだタナ。」

 

 すると、田中さんは突如として妖精へと変身する。いや、変身というかこれが元の姿だろうな⋯七三分けのような前髪に大きな眼鏡がトレードマークで声も先ほどまでのThe諏〇部なイケボから打って変わりコミカルなおじさんのような声になった。これがタナカーンなのか⋯

 

「「「「可愛い〜♪」」」」

 

「若い頃はよく言われタナ。」

 

 うた、なな、こころ、ニカ姉の女性組から『可愛い』と言われた田中さんは少し照れ臭そうながらも誇らしくなる。何となくだが、夏〇友人帳に出てくるニ〇〇コ先生に通づるものを田中さんから感じた。(ちなみにその作品には田中さんに声が似た祓い屋が出ている)

 

「タナカーンプリ!」

 

「やはりこの姿は覚えてタナ?」

 

「もちろんプリ!タナカーンはプリルンちの裏に住んでてヨーヨイやホプとも一緒に遊んだ仲良しプリ〜♪」

 

「仲良しメロ!?」

 

 プリルンはタナカーンとしての田中さんにまた会えた喜びを思いっきり味わう。これにメロロンは嫉妬やら怒りやら困惑やら⋯色んな感情が出てくる。それもそうだ⋯今までプリルンが記憶喪失になってることを良いことに私物化してたものだからな。

 

「改めましタナ、向こう世界ではこの姿でやっているんタナ。」

 

「プリ!」

 

「ねえたまから離れるメロ!!」

 

 田中さんとプリルンが楽しそうにしていた中で嫉妬が爆発したメロロンは引き離そうと間に入る。メロロンの独占欲はもうとんでもないものだ⋯たとえプリルンが喜んでいても自分が横にいないと気が済まない。

 

「そっか。田中さんもキラキランドから来ているから⋯」

 

「なるほど、俺と蓮の考察通りだヨイ。」

 

「考察?ああ、さっき言ってた⋯」

 

「プリルンはキラキランドの俺達のことは覚えている⋯しかし、ハートキラリロックを使ったことでこっちでの記憶は全部消えちまった。でも、キュアアイドルのことは覚えている⋯こういうことだヨイ。」

 

「でも、メロロンはみんなのことを覚えているホプ。」

 

「メロロンは俺達の記憶とは別の何かを封印したんでしょうね。何かは分からないですけど⋯とにかく、プリルン!」

 

「プリ?」

 

「俺達と一緒にピクニックに行かねえか?そこでお前の記憶、思い出させてやるよ。」

 

「思い出す?よく分からないけどピクニック大好きプリ!」

 

「いいね!きっとプリルンもピクニックの中で私達のことを思い出してくれるはず⋯流石は蓮だよ♪」

 

「もしかしてこの計画って前から考えてたの?」

 

「ああ。前から記憶喪失に効果のあることが何かと考えててな⋯そうしたらピクニックというか外出が効果的らしいと文献にあったんだ。メロロンも行くか?」

 

「別にメロロンは⋯」

 

「プリルンはピクニックに行きたいと言ってるけど?」

 

「し、仕方ないメロ。ねえたまが行くなら一緒に行くメロ!」

 

 こころがメスガキのような表情をしてメロロンを挑発するとメロロンはプリルンがいるならと渋々ながらピクニックに同行することになった⋯本当に素直じゃないやつだ。しかし、こころも意地悪だなぁ⋯新たな片鱗を見れた気がする。

 

「決まりだな⋯明日は山登りピクニック。決定〜!!」

 

「蓮さんの台詞、どこぞの5人のプリキュアのリーダーみたいだタナ。」

 

「何すか、先輩⋯前からプリキュアがいるような言い回しですけど?」

 

「細かいことは気にしないホプ。ホプ達も楽しむホプ〜♪」

 

 こうして、俺達は次の日にプリルンの記憶を取り戻すためのピクニックを行うことに⋯みんなはこの時ノリノリであるが、この時はまだこの楽しい雰囲気が悪夢になってしまうことなど想像する余地がなかった。




いかがでしたか?まだこの時まではふざけられた感じですかね⋯いや、もっと先か。ここら辺のキミプリはプリルンが記憶喪失と重い雰囲気があったのでね⋯それでもふざけるだけはふざけましたが、冒頭の出間とスパットが不穏な空気です。出間はズキューンキッスの正体を敵のスパットに提供するという⋯キラキランド側なのにそれを裏切る行為をしてしまいました。やってることは政治的に言えば党内野党と言うべきでしょうか⋯これで出間とスパットがそれぞれどうなるのかは今後の焦点になりそうです。

そして、田中さんの妖精態のタナカーンも初登場。リアルタイムで観てて思いましたけど、諏訪部さんのどこからあの声が出たのかと疑問ですよ…それはともかく、ここでは蓮の提案によってピクニックに行くことに!そのピクニックではどうなるのか?そこもご期待ください。

最後に、前々から疑問をお持ちの方が多いと思うので疑問にお答えしたいことがあるのですが⋯プリルンとメロロンは何故原作よりも先に人間になれてたのか?そして、何故人間態を早めに出したのか?その理由はメロロンの人間態に惚れてしまって早く出したいと思ったからです。当時はまだ人間態へのなり方が出てなかった中で書いてましたからね⋯とりあえず、なり方とかは出ましたけどもそれとは別の方法で今後は人間態を出すべき時に出します。なった時のあれこれについては次回明かされるのでそこをお待ちください。

次回は中編か後編になると思いますが、どっちになるかはまだ書いてみないと分かりません。どうなるかはまた次回も後書きにも目を通してくださればと思います。感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをしてまた次回お会いしましょう!
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