キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達- 作:寿垣遥生
その中で今回は20話分の2部目になりますが、ここはちょっと尺を使うことになりそうなので球技大会回以来の3部構成とさせていただきます。今回は中編になりますね⋯どうぞよろしくお願いします。
それでは、また後書きにて。
side蓮
プリルンとメロロンと約束をした翌日、俺達は近くの山に集まってからピクニックをすることに⋯今日はニカ姉と希望さんもスケジュールが空いてたので全員集合できたのは何よりだ。あとは田中さんとプリルンとメロロンが来るのを待つのみである。
「うわぁ、お空キラッキランラン!」
「そうだな⋯久しぶりの友達とのピクニック、俺もめっちゃワクワクしてるぜ!」
「本当ね。学校のピクニックは行ってたけど、こういうのってもうかなり久しぶりよね⋯パパとママがいた時以来かしら?」
「ところで、作戦の方は準備できてるの?こころちゃん、ななちゃん?」
「はい、例の作戦は準備OKです!」
「その時が来たら希望さんもお願いしますね?」
「ええ、任せて!」
「なあ、本当にこの格好で山を登るのか?暑すぎてたまんねえよ⋯」
俺達が楽しく合流組を待ってる中でヨーヨイは人間の姿でいて山を登る前から汗をかいていた。彼の格好は普段のアロハシャツと短パンとサンダルの軽装ではなく登山用の格好をしていていつもよりは重装備である。
「仕方ねえだろ?アロハシャツ1枚に短パンにサンダルで登山とか危険すぎるからな⋯希望さんが折角買ってやったんだから文句言うなよ。」
「ヨーヨイが人間の姿で登山してみたいって言うから買ってあげたのになぁ⋯凄く高かったんだからね?」
「悪かったよ。ありがとな、ホプ⋯」
「ふふっ、どういたしまして。」
ヨーヨイがやや不服そうながらも希望さんにお礼を言うと彼女は嬉しそうに笑みを浮かべて返事をする。何だかんだでこの2人の関係もなかなか良いものだ⋯流石は幼馴染と言うべきか。メロロンからフラれたにしてもこっちの線もあるかもしれないと期待させられる。
「おはようございます。」
「みんなおはようプリ!」
「「「「「「おはよう!」」」」」」
そんなタイミングで田中さんがプリルンとメロロンを連れてやって来た。プリルンは記憶喪失にはなっているものの俺達に挨拶するものだから気さくさとかの性格までは変わっていないみたいだ⋯大体認知症とかになると人の性格も変わるって言われてるしな。プリルンも半分認知症みたいな状態かもだが根が変わってないのは唯一の救いと言える。
「メロロンも来てくれたんだね!」
「ねえたまとはいつも一緒メロ。」
「それにしても、プリルンとメロロンは妖精の姿で行動するのか?人間の姿になって一緒に登ろうぜ?」
「そんな簡単に人間にはなれないメロ。人間になるには物凄いエネルギーを使うから近所への買い物とかぐらいじゃないと疲れるメロ⋯」
「そうなのか。」
メロロン達に俺は人間の姿じゃないのかと疑問を投じると、メロロンが妖精でいる理由を答える。なるほど、エネルギーをかなり使ってしまうからなのか。それなら納得は行くかもしれない⋯山登りって相当体力を要するからな。
「よーし、今日は思いっきり楽しもうね?」
「プリ〜♪」
「メロ⋯」
「本当にうたとプリルンは記憶を失っても仲良しね⋯蓮もそう思う?」
「ああ、これは記憶を取り戻すのも案外難しいことじゃないかもしれねえな。」
「それじゃあ、しゅっぱーつ!!」
「「「「「「お〜っ!」」」」」」
「行ってらっしゃいませ。」
うたの号令を合図にプリルンとメロロンを前のように入れ物に入れてから山登りを始め、そんな中で田中さんは俺達を見送って別行動に⋯田中さんにはこれから重大な作戦を実行してもらうのだ。プリルンが記憶を取り戻すために重要なことを⋯そして、田中さんにアイコンタクトを送った。
~~~~~~~~
田中さんと別れた俺達はとにかく山を登っていく。今日というか今のところは快晴ではあるが、午後から雨も降るとか言われていてうた以外は雨具も用意している。ただ、うたは雨は降らないと読み雨具を持って来ていなかった⋯これが裏目に出なきゃ良いのだが。
「ああ〜っ、気持ち良い〜♪」
「本当ね⋯午後から雨が降りそうなのは気がかりだけど絶好のピクニック日和じゃないかしら?」
「でも、きっとお天道様は私達に味方してくれるはずだよ?最近は雨が降ると予報が出てても晴れてたし⋯」
「キラキランドにいた時からホプは天気を読む力がマジで凄かったよな⋯プリルンとメロロンも分かるだろ?」
「メロロンはその時、ホプと会ったことがなかったから分からないメロ⋯」
「凄かったプリ!ホプはお天気のお姉さんだったプリ♪」
ヨーヨイは思い出話をプリルンとメロロンに振る。プリルンはこれに関しては覚えていたもののメロロンは素っ気なく分からないと答えた。メロロンはその時はまだプリルンとすら会ってなかったんだろうな⋯でも、こんな素っ気なく答えることはないんじゃなかろうかと思ってしまう。
「それにしても、これ楽チンプリ♪」
「ねえたまとギュウギュウメロ♪」
「プリルン、このポシェットに見覚えあるだろ?お前とメロロンを運ぶために俺達が作ったやつだぜ?」
「初めて見たプリ!すっごく可愛いプリ♪」
「覚えてねえか⋯」
俺はポシェットのことをプリルンに覚えてるか訊くもやはりプリルンは覚えていなかった⋯こいつはどのラインまで記憶してるのかを全く掴めない。でも、気に入ってくれたのは嬉しい話だ。
「プリ、川プリ!綺麗プリ〜♪」
「お願いします。」
『了解⋯!』
プリルンは目の前の川を見て綺麗だと呟く。そこで俺達は見合わせて第一の作戦を決行することに⋯こころが田中さんにトランシーバーで呼びかけると、その合図のタイミングで川上からプリルンがはなみちタウンにやって来た時の乗り物であるMOMOを思わせるものが流れてきた。
「おおっ、あれは何だ!?」
「プリ?」
「メロ?」
「「「「「「バーン!」」」」」」
「あれはまさか⋯」
「大きな桃じゃないかしら?」
「こんなところに流れてくるなんて⋯」
「こんなことってあるんですか!?」
「本当だ⋯でっけえなぁ。まるで俺が乗ってきたMOMOみたいだぜ!」
「うたちゃん、拾ってきて!」
「分かりました!」
うたがわざとらしくMOMOっぽいものを見て何かと反応すると、プリルンとメロロンもそれを見る。それに合わせてニカ姉とななとこころもヨーヨイも大袈裟に反応し、希望さんが指示を出しうたが靴と靴下を脱いでズボンの裾をまくってから拾おうとする。
「手伝うプリ!」
「メロロンもねえたまと一緒に手伝うメロ。」
そして、うたとプリルンとメロロンはMOMOっぽいものを協力して拾い上げて川から上がる。これでプリルンは自分がどうやってキラキランドに来たのかを思い出してくれるはずだ!これが俺の計画のもう一つ⋯実際に起こったことをそのまま再現することである。
「プリルン、何か思い出さない?」
「プリ?何か思い出すプリ?プリー⋯」
そして、プリルンは何かを思い出そうと必死に考える。これは思い出せそうか!?自分の思い出が目の前で再現されたんだ⋯これは実際の記憶喪失の人間には効果抜群であるが、果たして?
「思い、思い⋯重いプリ。」
「ねえたま〜!?」
しかし、思い出そうとする前にプリルンがMOMOらしきものの重さに耐えきれずに潰されノックアウトしてしまう。もうちょっと軽い素材で作れば良かったかな⋯そこは反省である。
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「お花可愛いプリ!」
「まだまだ諦めねえぞ⋯」
「「「うん!」」」
「はい!」
「もちろんよ?」
「こんなことでへこたれてたまるか!」
プリルンが花に夢中になる中で俺達は円陣を組んでさらに気持ちを高める。プリルンの記憶は戻りそうなところまでは来ているからな⋯次は俺の番だ!
「プリルン、見てみろ⋯これが何だか分かるか?」
「キュアアイドルの服プリ!」
俺がプリルンにあの時に一生懸命作ったキュアアイドルをモチーフにした服を見せるとプリルンがそれに食いつく。こういう時は好きで釣るのが最適だ⋯これを自分が着ていたことを思い出せるかどうか。
「誰かさんにピッタリなサイズなんだよ?」
「本当プリ、メロロンにピッタリなサイズプリ!」
「メロ!?」
「きっとメロロンのプリ!」
「違うメロ、メロロンのじゃないメロ〜!!」
「ダメですね⋯」
しかし、プリルンはこれがキュアアイドルをモチーフにした服であることには気づいたものの自分が着ていたことは覚えておらずメロロンのものではないかという頓珍漢なことを言い出した。これでもダメか⋯
「プリルン、この人は?」
「僕、くりきゅうただよ。」
次の手としてうたはホットドッグを食べている力士のくりきゅうたさんを連れて来た。彼ははなみちタウン出身のご当地力士で今の大相撲では期待の新星として相撲ファンから人気で、現在は序二段ながらもポテンシャルに関しては未来の横綱級と関係者は評している。そんな人とどこで出会ったんだ!?
「ちょっ⋯うた、どうしてお前がくりきゅうたさんと知り合いなんだよ?大相撲界隈では有名人だぞ⋯」
「実はくりきゅうたさんは私の代わりにプリキュアになってたかもしれない人だったんだ。名前の響きが似てるから聞き間違えてプリルンが連れて行ったけど、聞き間違えだと気づいたプリルンに送還されて⋯」
「なるほど。くりきゅうた⋯プリキュア、確かに響きは似てるわね。」
「笑華、ちょっと無理矢理じゃない?そもそもくりきゅうたさんは男でしょ⋯アイドルプリキュアになれないのにね。」
「いや、俺は男でもアイドルプリキュアになってますけどね。」
「あっ、そっかw」
うたがくりきゅうたさんと知り合いの事情を明かす。なるほど、俺と出会ってからプリキュアになるまでの知らない間でうたもプリルンもドタバタしてたのか。ただ、希望さんは男がアイドルプリキュアになるなんてありえないとは言うものの俺はなってるけどな⋯
「くり⋯思い出したプリ!」
「「「「「「おおっ!?」」」」」」
「おやつに栗持ってきてたプリ!あげるプリ♪」
「くりきゅうたが栗食った!」
「ダジャレみたいだな⋯」
「プフw」
「これもダメみたい。」
しかし、プリルンはくりきゅうたさんを見ても記憶は戻らず栗を持ってきていたことは思い出して栗をくりきゅうたさんに渡す。彼はホットドッグの後は栗をおやつに食べた模様⋯しかし、くりきゅうたさんも呑気すぎて何が何なのか分かっていない。こんな感じで彼は来月の名古屋場所で勝ち越せるか不安になってきた⋯そんな中でヨーヨイはうたが発したダジャレみたいな一言に吹き出してしまう。
「Pretty Holicのリップだよ♪」
「面白いプリ!」
「うた、はみ出してるわよ⋯」
「うたちゃん⋯」
「うた先輩ってこんなにメイク下手なんですか?」
「ああ⋯CMでも何度もやり直してたしな。」
そして最後の手段としてうたはPretty Holicのキュアアイドルモデルのリップを取り出してはそれを自ら塗って思い出させようとする。しかし、塗るのを思いっきり失敗してプリルンは思い出すどころか大ウケした模様⋯ニカ姉は呆れ、ななは絶望。こころに関してはあの場所にはいなかったもののキュアアイドルとして出てたCMだけは見ていて彼女はその裏側を知った。
「はあ、どうすれば⋯」
「いくら頑張っても無駄メロ。」
「分かってる。ハートキラリロックにプリルンはキラキランド時代から縁のある人達以外の記憶を封印したんだろ?それでプリキュアになって願いを叶えた⋯何を封印したか分からないお前と一緒に。」
「物分りが良いのにあなた達はどうして諦めないメロ?」
「俺から言わせてもらうが蓮は諦めが悪いんだよ。現実主義のメロロンとは違う⋯うたもななもこころもホプも俺もタナカーン先輩もそれに刺激を受けて頑張ってるんだ。そんな俺らをバカにしたいのなら何とでも言えば良い⋯蓮は運命を変えるのに必死なんだよ!」
「にいたまも蓮に毒されて変わったメロ⋯どうして蓮の味方をするメロ?学者であるにいたまなら無駄だと分かっているのに。」
「今のアイドルプリキュアの人間達と出会って2ヶ月ちょっと、俺は沢山の奇跡を見てきたんだ。うたとななとこころ、そして蓮と笑華はアイドルプリキュアの縁がなかったら出会うことはなかったし、沢山の絶望を跳ね除けて全てを希望に変えた⋯この5人だったら俺はどんな運命でも変えれると信じてる。学者としてファンタジー路線に賭けてはいけないのは百も承知だ⋯でもな、こいつらの戦う覚悟を見てたら俺もこのギャンブルに乗らなきゃなって思ったよ。理由はそれだけだ⋯」
ヨーヨイは俺よりも熱くプリルンの記憶を取り戻したい気持ちをメロロンにぶつける。俺達のやってる非現実的なことに乗ってくれるヨーヨイと希望さんにマネージャーの田中さんは本当に頼もしい。
「プリ?プリルン、難しいことはよく分からないけどみんな仲良くするプリ!ピクニック続けるプリ〜♪」
「ねえたま⋯」
「プリルンがそう言ってるからピクニック⋯続けようか。山頂まで歩くぞ!」
「そうですね!」
「プリルンもきっとピクニックの中で記憶を取り戻すと思うし、今は楽しもう♪」
「本当にあなた達、切り替えが早いわね⋯」
「みんなアイドルプリキュアとして経験を積む度に人間も強くなってるってことじゃないかな?ななちゃんも行くよ!」
「⋯」
「なな?」
「う、うん⋯大丈夫、何でもない。」
希望さんの言葉で山頂に向けて歩き出そうとするがななは何かを気にしていた様子だった。俺は少し心配したが、とりあえず本人が何ともないと言うんだったら⋯という感じでまた歩みを進めていく。しかし、これが安心できる事態ではなかった。
(5分後⋯)
それからしばらくはななの後ろを追うように俺は歩くも彼女がみるみる前から遅れていく。それに、どこか歩き方もおかしくて右足をかばってるようにも見えた⋯右足を痛めてることは確かである。
「みんな⋯少し休憩にしよう。この先に休憩所があるからお前達は先に休んでてくれ。俺はちょっとななと話をしてから行く。」
「いや、私達は別に疲れてないわよ⋯それに、どうしてななと蓮が2人で別行動をするの?」
「とにかくだ!希望さん、ニカ姉を含めてこいつらを休憩所に案内してください。」
「わ、分かった⋯行くよ、みんな。」
ニカ姉は別行動する俺とななを怪しむも希望さんに休憩所への案内を託し、みんなは希望さんについて行くことに⋯そんな背中を俺は見送るのであった。
「なな、ちょっと裏に来てくれ。」
「えっ⋯うん。」
俺はななを裏の林の中に案内する。とりあえず、みんなは希望さんが何とかしてくれることだろう。何と言ってもPretty Fruitsのリーダーだしな⋯心から信頼できるはずだ。
「あの⋯蓮くん?」
「とりあえず石があるからそこに座ってくれ。」
「う、うん。」
ななは緊張した様子で少し戸惑いながらも大きな石の上に座る。彼女もどうして俺から呼び止められたかは半分分かっているはずだ⋯しかし、どうして分かったのかやら2人きりという緊張感やら、彼女の表情からはそんな感情が見えている。
「とりあえず、右足の靴を脱いでくれるか?あと、靴下も⋯」
「ここで!?一体どうしたの?私は大丈夫だから気にしないで。」
「お前、右足を痛めてるだろ?歩き方で分かるんだよ⋯俺の目に誤魔化しは効かねえからな?」
「そ、そんなことないよ?蓮くんは心配性だよね。私は本当に大丈夫だから⋯って、ええっ!?」
俺はななに有無を言わさず痛めている右足の靴と靴下を脱がす。すると、彼女の右足に靴擦れがあるのを確認できた⋯なるほど、これは痛いのも無理ないか。
「お前、靴擦れしてるじゃねえか⋯どうして黙ってたんだ?」
「ごめんね。この日のために新しい靴を買って早速履いたんだけど山を登ってる途中からずっと靴擦れが痛かったんだ⋯」
「バカ野郎、日頃から俺に無理すんなと言っといて自分は無理しやがって。とりあえず、ワゼリンと絆創膏は持ってきてるからじっとしとけよな?」
「う、うん⋯」
俺は万が一のために持って来ていた救急箱からワゼリンと絆創膏を取り出し、ワゼリンを靴擦れの部分に塗ってその上から絆創膏を貼る。楽しい時間を壊したくない気持ちは分かるけど、こういうことは知らせてほしかったものだ。
「ほら、できた。靴も新聞紙を挟んでおいたからこれならもう靴擦れは起きねえぞ。」
「ありがとう、蓮くんって本当に何でもできるんだね?」
「そうか?まあ、日常のあらゆることとかは全て独学で学んできたものだけどな⋯母さんと親父がいなくなってから親代わりのひま姉ばかりに負担はかけたくねえし。」
「偉いね、蓮くんは⋯私はいつもパパやママだけじゃなくてアイドルプリキュアとしてもみんなに支えられてばかりだから。どうしたら蓮くんのように何でもできる人になれるのかな?」
ななは自分が抱えていた悩みを俺にぶつける。今までこんな悩みを俺達に言えずにいたのか…優等生タイプだから何も戦いとかで悩みはないと思っていたが、そんな彼女でも気にすることは山のようにあったんだな。
「そんな気負うなって⋯ななは十分アイドルプリキュアとして役に立ってるよ。」
「でも、私⋯!」
「お前は俺達が焦っている時、いつも言葉で落ち着かせてくれたよな。それと、バリアと足技も十分に貢献してるぜ?ステージに関しても敵だけじゃなくて俺達の心も清らかにして⋯母さんのような完成された清純派アイドルだよ。だから、そんな自分を卑下すんなって!俺達はお前に救われてることは山ほどあるからさ。自信を持てよ?」
「蓮くん、ありがとう!私⋯凄く自信を持てた気がする。リーダーであるあなたに認められて凄く嬉しい⋯心がスッキリしたよ。」
「それは良かった。お前も困った時はいつでも頼って良いからな?何も気を遣わなくて良い⋯俺達は親友でもあり仲間だろ?」
「そうだね。でも、私⋯もっと蓮くんと仲良くなりたいと思ってるの。」
「えっ、何だよ急に⋯少し落ち着けって。」
ななは顔を赤くしてから俺の方を見て真剣に語りかける。これは二度似たようなシチュエーションに遭遇しているが、今度こそ告白なのか!?ななが俺に好意を抱いているのは察している。ただ、ここで告白されたら俺はどうすれば良いのだろうか?断るにも断れない⋯受け入れてしまってもうたのために積み上げてきたことが無駄になる。どうすれば⋯!
「蓮先輩、なな先輩⋯そろそろ行きますけど?」
これから告白されようかというタイミングでこころが休憩所からここまでやって来る。これは助かったと言えるだろうか?偶然だとしても俺にとっては救われた。
「こころちゃん!?」
「こころ⋯」
「蓮先輩、なな先輩に何があったんですか?」
「ああ、ななが靴擦れをして右足を痛めててな⋯治療してたんだよ。でも、もう済んだから大丈夫だぜ?」
「そうなんですね。なな先輩も無理はしないでくださいよ?」
「ごめんなさい…それじゃあ、行こっか。」
「そうだな。」
「あっ、蓮先輩⋯ちょっと。」
すると、こころは俺を呼び込む。内緒話でもするのだろうか?とりあえず、俺はこころのもとに寄ってから彼女の話を聞くことにした。
「蓮先輩、もしかしてなな先輩と何も変なことはしてないですよね?(小声)」
「いや、してねえよ⋯それと、何もされてねえから安心しろ。(小声)」
「それは良かったです。蓮先輩はうた先輩のことが好きなのでしょう?だったら相手がなな先輩だろうがブレずに自分の恋心のままに貫いてくださいね?(小声)」
「分かってるよ。自分の気持ちは必ず貫く⋯ありがとな、こころ。(小声)」
「蓮くん、こころちゃん?」
「ああ、それじゃあ俺達も行こうか。希望さん達も待ってることだし⋯なっ、こころ?」
「はい、行きましょう!なな先輩も。」
「うん。」
俺達は希望さん達と合流して再び山頂へと歩みを進めることに。とりあえず、うたのことが好きなことを知っているこころのおかげで気持ちがブレずに済んだ。とにかく、ななの気持ちを傷つけないことを第一に自分の気持ちもうたに主張していきたいところ⋯それができるように何とかしねえとな。
side out
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sideヨーヨイ
こころが蓮とななを迎えに行ってる頃、俺達は休憩所で水分補給なり何なりとしてゆっくりと過ごす。その中で俺は会話の輪に入りつつもどうしてもメロロンのことが気になっていた。どうしてメロロンは俺のことを嫌いになったんだ⋯
「ヨーヨイ、どうしたの?」
「ホプ⋯いや、何でもねえよ。」
「何でもないって顔じゃないよ?もしかしてメロロンと喧嘩したことを気にしてる?」
「そんなんじゃねえって。」
「もう、素直になりなよ?メロロンと仲直りしたいんでしょ?ほら、メロロンはプリルンと今話してるから行ってきて!」
俺はプリルンと話しているメロロンの前までホプから背中を押される。プリルンとメロロンは何なのかと言わんばかりの表情でこっちを見ていて気まずい⋯どうすれば?
「プリ?パイナップルのお兄さんプリ!」
「プリルン、信じてもらえるかどうか分かんねえが俺はヨーヨイだ⋯やっぱりこの姿だと忘れちまってるか。」
「ヨーヨイはこんな姿じゃないプリ。知らない人プリ!」
「プリルン、彼はヨーヨイの人間の姿だよ?あなた達や私と同じように人間になれるの。」
「本当プリ!?ヨーヨイ、凄いプリ!」
「それじゃあ、プリルンは私と遊ぼっか。メロロンとヨーヨイはその間ゆっくりお話をしてて?」
「ホプ、何を勝手なことを言ってるメロ!ねえたまは⋯」
「わーい、ホプと遊ぶプリ〜♪」
「ねえたま!?」
そうして、プリルンはホプのところに向かって飛び込んで2人は2人で遊ぶことに⋯プリルンも単純だよな、友達から誘われたら他に目もくれずホイホイついて行って。プリキュアになっていくら大人になったとしても心は子供のままなんだろうな⋯
「その⋯メロロン、今日は良い天気だな。」
「午後から雨が降るって言ってたメロ。」
「そ、そうだけど⋯なあ、もしかしてまだ怒ってるのか?」
「怒ってないメロ⋯その、あの時もさっきもにいたまに酷いことを言ってごめんなさいメロ。にいたまはメロロンに大好きな気持ちを伝えてくれたのに⋯」
「気にすんなよ。俺はその程度の男だったんだろ?俺はまた新しい恋を探すよ…ただ、俺はずっと前からメロロンのことを好きだった気持ちは本心だった。でも、お前は俺のことが嫌いになったんだろ?」
「そんなことはないメロ⋯にいたまのことを嫌いになるなんて、できないメロ。メロロンもにいたまのことが大好き、なのに⋯」
メロロンは俺の言葉を聞いて涙を流しながら本心を漏らす。俺のことを嫌いになってなかったのか⋯それを聞けて俺の心は少しながら安心する。
「だったらどうして俺が告白した時に気持ちを受け取らなかったんだ?」
「その⋯ねえたまとは2人でプリキュアだから常に傍にいないとダメだからメロ。だから、にいたまには負担をかけたくないと思って冷たいことを言ってしまったメロ。にいたまに誤解を与えてしまってごめんなさいメロ⋯」
「そういうことか。何があったのか教えてくれてありがとな、メロロン…でも、お前は1人じゃねえよ。困ったことがあったら俺やホプやタナカーン先輩を頼ったって良い⋯いつでも俺やみんなを頼れよな?」
俺はメロロンの頭を撫でて泣いて謝るメロロンを励ましつつ慰める。こうして人間の姿で撫でてみると、メロロンの頭って結構小さいんだな⋯何と言うか、握るだけで潰れそうな脆くも儚いような感じだ。それでいて毛艶はとても良い⋯
「にいたま⋯ありがとうメロ。その、あの時の告白は凄く嬉しかったメロ⋯でも、答えに関してはちょっと待っててほしいメロ。今はまだだけど、いつか答えを出せた時にお返事するメロ。」
「ああ⋯待ってるぜ、仲直りの握手な?」
「メロ⋯にいたまの手、心の底から温かいメロ♪」
そして、俺はメロロンの謝罪とか気持ちを全て受け止め、メロロンと仲直りの握手を交わした。告白の答えは保留ではあるが、どうやら俺とメロロンの未来は明るそうである。メロロンにも笑顔が戻った⋯
「みんな、蓮くん達が戻ってきたからそろそろ出発するよ?」
「はーい!笑華ちゃん、プリルン、ヨーヨイ、メロロン⋯みんな、行くよ♪」
「分かってるわよ。本当に元気ね、うたは⋯」
「プリ〜!」
「俺達も行こうぜ、メロロン。」
「はい、にいたま♪」
そして、俺はメロロンを肩に乗せてからみんなに続いて山頂へとまた歩みを始めた。こうやって仲直りの機会を与えてくれたホプにはとにかく感謝をしねえとな⋯さあ、いざ山頂へ。ピクニックがますます楽しみになってきたぜ!
いかがでしたか?今回はメロロンとヨーヨイの喧嘩がやや軸になったものと思います。その中で蓮とななちゃんも動きが⋯靴擦れの治療のために久しく2人きりになった中でまたななちゃんに迫られましたが、こころちゃんがやって来て蓮からすれば最悪な事態は防げたかなって感じですね。
しかし、記憶を取り戻す作業の中では原作同様のドタバタ劇⋯もうここら辺が最後のおふざけかな?20話のこれからと21話はふざけられませんし。肝心の恋模様に関してはヨーヨイとメロロンは無事に仲直り⋯告白の件に関しては保留とはなりましたが、未来に向けてヨーヨイからすれば前進になったかなぁと思います。ただ、メロロンの方は⋯そこは原作の今を知る皆様ならお察しのことでしょう。残酷ですよね⋯運命と封印した代償は。この時点では原作未履修の方に対しては何とも言えませんが⋯
そして、次回はいよいよ20話分の後編です。過去一に絶望な終わり方になりそうなのは原作を観ても分かりますが、果たして?感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをしてお楽しみに。