キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達- 作:寿垣遥生
さて、今回の5話は原作の3話になります!ななちゃんのスランプから始まりますけども…それをどう乗り越えていくのかが描かれます。蓮とも本格的に接触しますが、ななちゃんとはどんな関係になるのか?それも楽しみにしていてください!
それでは、後書きにて…
side蓮
うたと友達になってしばらく経った日のこと…俺はニカ姉と朝飯(俺の手作り)を食べている。ひま姉はまだ映画の撮影につきこっちには帰って来れていない…でも、ニカ姉と2人きりというのは決して嫌ではないんだよな。楽しいとも言えねえけど…
「明日、1年生の歓迎会があるっぽいけど…蓮のクラスは何をするの?」
「合唱だよ、今はもう放課後まで居残りで練習してる。今日は本番前だから休みだけど…」
「そう…だったら絶対音程を外すことは許さないわよ?何たってあんたはこの天才的なアイドル、笑華様の弟なんだから!」
「はいはい、ご馳走様でした…俺は歯を磨いたらもう行くから、ニカ姉も学校行く準備をしとけよ?遅刻しても知らねえからな…」
「生意気な弟ね。私は高校が歩いて10分だから大丈夫ですよーだ!」
俺はニカ姉の圧力を軽くあしらって歯磨きへと向かう。本当にニカ姉って堂々としてるよな…それだけの地位をグループとしても個人としても築いてきたし、そこは唯一尊敬できるところだ。そんなことを考えてるとインターホンが鳴る…どうせまたあいつだろ、そう思って俺は玄関に向かいドアを開けた。
「おはよう、蓮!今日も一緒に行こう♪」
「おはよう。とりあえず、いつも迎えに来てくれること自体は嬉しいけどよ…異性の家に押しかけるのは恥ずかしくねえのか?」
「ううん。だって、蓮はお友達でしょ?」
「まあ、そうだけど…」
「あら、うたちゃんじゃない!」
「笑華さん、おはようございます。今日も蓮のお迎えに来ました♪」
「本当にいつもありがとう…こんな馬鹿のために一緒に学校に行ってくれるなんて。ほら、あんたもうたちゃんにありがとうって言いなさい?」
ニカ姉はうたと談笑しながら俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。本当にこの馬鹿姉貴は俺の扱いが乱暴すぎだ…頭を撫でられるのは嫌じゃねえけど、撫でられるならひま姉のように優しく撫でられたいと思っている。
「ニカ姉、やめろよ!とにかく、歯を磨いて髪セットしたらすぐ出れるからそれまで待っててくれるか?急いで準備するから!」
俺はニカ姉の手を振り払ってから歯磨きと髪のセットを済ませ、荷物を持って家をうたと共に後にして学校へと向かった。今日は合唱の放課後練習は休みだけど、学校がある日はもう常に全力!それが今の俺のモットーだ。
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「おっはよ〜!」
「おはよう、うた、蓮くん。」
「「おはよう!」」
「よっ!」
そんなこんなで教室に入ると、うたの親友の東中みことに加えて新橋わかば、坂上るかからも挨拶をされる。どうしてこいつらと仲が良いのかって?実はあの後、俺はうたの仲介もあり友達になることができて今ではもう下の名前で呼び合ってるし、ジョークも話せる。最初は俺のあの態度を思い出したか少し引かれたが、色々説明してくれたらもう仲良くなるまで時間はあまり要らなかった。しかし、クラスの男子からは嫉妬の対象とはなっている…ただ、俺の今の仲間は何かあるといつも守ってくれるから本当に頼りになる存在だ。
「ななちゃん?」
そんな中でうたは合唱のピアノ担当の蒼風ななのことを心配する。普段だったらうた達のところに来るのに今日は見向きもせずにため息をついて肩を落としていた。そういえば、この前コンクールに出るとか言ってたからそこで何かあったのだろうな。そして、授業もどこか心ここに在らずの状態でやがては歓迎会の出し物の練習時間を迎えていく。俺達はそこで歌う曲を蒼風の伴奏に併せて合唱していたが、その途中…
「あっ…ごめんなさい。」
何とコンクールに出れるだけの腕前を誇っていてミスが今までなかった蒼風の演奏が途切れてしまう。これに彼女は申し訳ない気持ちになってしまい縮こまってしまった…本当にこれは異常事態である。
「ななちゃんでも間違えるのね…」
「蒼風さん、具合でも悪いんじゃねえの?どうせ生理とかw」
「ちょっと男子、デリカシーなさすぎ!最低なんだけど…」
(本当にひでぇな…女子の不調を何でも生理のせいするやつ。でも、これ以上事を起こしたら俺はクラスの腫れ物どころじゃ済まねえからな。我慢だ…)
俺は震える拳を握り、怒りを押し殺す。こんなところで暴力沙汰を起こすとクラスの雰囲気が悪くなってしまう…もううたや仲間の前で醜態を晒すわけにはいかねえんだ。
(40分後…)
4時間目の出し物(合唱)の練習が終わり、教室に戻って昼休みを迎えたのだが、蒼風は弁当をバッグから出して俺達に見向きもせずに教室を出て行く。相当あの失敗とかを引きずってるのだろうな…
「うた、蓮くん…お弁当食べよう?」
「悪ぃな、みこと…ちょっと用事ができた。お前らで食べててくれ!」
「私も…ごめんね!」
俺とうたは蒼風の背中を追って彼女の動向を見ることに…友達の友達のピンチを放置なんて俺にはできねえし、うたも同じ気持ちなのだろう。こいつのピンチは学級のピンチ状態だからな…何とかしなければ。
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それから俺達は草陰から蒼風の様子を窺う。彼女は外で1人寂しくため息をつきながら弁当を食べている…いつもは自信に満ち溢れていて堂々としている蒼風がここまで弱っているのは正直見てられない。
「ななちゃん、何かあったのかな?」
「分からねえけど、恐らくは今回の失敗だけが原因じゃねえな。コンクールで何かあったんだろう…」
「お弁当一緒に食べようと思ったのに…」
「プリルンはお腹空いたプリ!お弁当食べたいプリ〜!」
「おい、待てヨイ!」
「プリルン!?」
すると、プリルンはあまりの空腹に耐えられずにうたから弁当を奪って表に出ようとする。やばいな…こんなところで妖精が空飛んでたらもう大変なことになっちまう。
「よし、俺が…どわあああっ!?」
俺がプリルンを止めようとしたら、まさかの俺の足が絡まってしまい派手に転んでしまう。こっちは運動神経は良い方だと自負してるんだけどな…妖精の動きは不可解で読めやしねえ。
「蓮、大丈夫?」
「朱藤くん…と、うたちゃん?」
「あっ、えっと…一緒にお弁当食べて良いかな?」
「う、うん…」
そんなこんなでドタバタはあったものの俺とうたは蒼風と一緒に弁当を食べることに…しかし、プリルンの姿は見られてしまったのでプリルンにはぬいぐるみになってもらい、ヨーヨイに関しては安定で隠れてもらった。
「ななちゃん、元気のおすそ分けだよ♪」
「あ、ありがとう…」
うたは蒼風に自分のおかずであるたこさんウインナーをおすそ分けした。自分のおかずを分けられるなんて…マジで懐の深いやつだよ。俺も何か分けねえとな…
「俺は卵焼きをやるよ。味については俺の手作りだが、YouTubeにあった動画のレシピ通りに作ったから保証するぜ?」
「朱藤くんもありがとう。」
それで俺は手作りの卵焼きを蒼風におすそ分けする、もちろん、俺が観たレシピ動画はプロの料理人のチャンネルのやつだからな…これで不味かったら俺の腕が悪いってわけだ。そんな中で蒼風はそれぞれを味わっていく…
「どっちも美味しい!」
「プリルンも食べたいプリ!」
「俺も食わせろヨイ!」
「良いよ、プリルン…あーん?」
「俺もあーんしてやるぜ?」
「俺は自分で食えるヨイ!」
プリルンとヨーヨイもそれぞれで弁当を蒼風に気づかれないように美味しそうに食べていく。特に俺の弁当は全部自分の手作りなんだよな…何しろ、ウチは料理ができるのがひま姉しかいねえんだ。ニカ姉の料理なんてまず無理…何と言っても無理!だからこんな時は俺が独学で身につけたスキルで料理を作ったんだ。
「蒼風、一体何を悩んでたんだ?見た感じ今日の失敗だけじゃなさそうだけど…コンクールで何かやらかしたのか?」
「うん…朱藤くんにはお見通しだね。私、コンクールで失敗しちゃったんだ。ピアノが大好きで毎日ずっと弾いてきたけど、今はもう、逃げたい…」
蒼風は辛そうな表情で何があったのかを打ち明かす。しかし、彼女の気持ちは痛いほど分かる…俺も役者を始めたばかりの時は失敗ばかりの繰り返しで何度も現場から逃げたいと思ったからな。それだけ芸(役者なら演技、歌手なら歌、お笑い芸人ならコントなり漫才)の失敗というものは深く心に刻まれるのだ…これは俺だけの経験じゃなくてどの芸能人も経験してきたものである。
「ななちゃんのピアノ、笑顔も大好き〜、ずっと、一緒にいたいんだ、隣で歌いたい〜♪」
そんな落ち込む蒼風にうたはあの時のようにオリジナルの即興ソングをアカペラで歌って励まそうとする。本当にうたの歌声は可愛くて力強くてノビも良く、元気をもらえる万能薬である…俺はこれで暗闇から抜け出せたんだ。蒼風にも効かないわけがねえよな…
「ななちゃんのピアノで歌うの、私は大好きだよ!何かこう…キラッキランランな気持ちになるんだ♪」
「俺も蒼風のピアノで歌うのは好きだぜ!美しい音色で流れる旋律…こんな演奏はプロレベルで思わず聞き入っちまうんだ。もっと自分のピアノに自信を持てよ、なっ?」
「うたちゃん、朱藤くん…」
「プェックショイ!!」
「えっ?」
「「あっ…」」
良い雰囲気になろうとしたその時、うたの後ろに隠れていたプリルンがいきなり豪快なくしゃみをしてしまう。どうしてよりにもよってこのタイミングなんだよ…ここで妖精の存在がバレたらややこしい事態になるぞ!
「ああ〜っ、内緒だけど…この子は迷子のう、宇宙人?なんちゃって…」
「プリルンはプリルンプリ!」
とりあえず、うたはプリルンを蒼風に見せてから宇宙人だのどうのこうのと誤魔化そうとする。ただ、隠すつもりだったものの良くも悪くも素直なプリルンは喋って名乗り出てしまいもう収拾がつかない事態に陥った…プリルンの馬鹿、もう見てらんねえよ。
「うわあああ、違う!いや、違くないけど…そうじゃなくて、えーっと…この子がプリルンで私がキュアアイドルで、それで蓮がキュアブレイキンってわけ!」
「そうプリ!」
「馬鹿…おまっ、プリキュアの正体は秘密にしろってピカリーネさんに言われただろ!?」
「「言っちゃったああああああ!?」」
そして、うたとプリルンはパニクった末に蒼風にプリキュアの正体やら何やら全てを話してしまった。これはもう明らかにプリルンが元凶とはいえ、うたも誤魔化し方が下手すぎるだろ…
「えっ、うたちゃんがキュアアイドルなら分かるけど…朱藤くんが?でも、キュアブレイキンって女の子だったはず…」
「それは…はぁ、もう隠しようがねえよな。実は俺達が今話題のプリキュアで俺に関してはよく分かんねえけど、変身すると女になっちまうんだ。ああ、プリルンの馬鹿…秘密事項をベラベラ喋っちまったじゃねえか!」
「ごめんプリ…」
「まあ、やっちまったもんは仕方ねえヨイ…今後内緒にすれば良いし。気を落とすなヨイ!」
「えっ、妖精がもう1匹!?」
俺達が落ち込んでいると、隠れていたヨーヨイが出てきて励まそうとする。もうバレたものだから開き直って姿を出したけど、蒼風はまた1匹出てきて驚いてしまう。
「俺はヨーヨイ、プリルンと同じキラキランドから来た妖精だヨイ。お前さんは?」
「私は蒼風なな。プリルン、ヨーヨイ、よろしくね?」
しかし、蒼風は全てを受け入れてプリルンとヨーヨイと仲良くなる。とりあえず、大きな騒ぎにならなかったのが不幸中の幸いだろうな…蒼風どころか他のやつらにも見られてたら大騒動は避けられなかっただろうな。
「とりあえず、このことは内緒で頼むよ…プリキュアの正体とか妖精の存在が表に出ちまうと大変なことになっちまうから。依頼主からも言われてるし…」
「分かった…内緒にするね。」
「ありがとう、ななちゃん…」
こうして、蒼風にプリキュアのこととか色々知られたものの内緒にしてくれるということで折り合いがついてこの騒動は解決した。本当にバレたのが彼女で良かったよ…他のやつらなら間違いなく拡散してただろうな。
「私ね、この前見ちゃったんだ。うたちゃんと朱藤くんが戦ってたところ…」
「あら、見ちゃった?」
「あんな怖いモンスターに立ち向かえるなんて、凄いよね…」
「いや、実は俺達だって怖いんだ。お前や周りから見た俺らプリキュアは強くて勇気があってキラキラしてる…なんて思うかもしれねえけど、心の中ではいつもどこかで怯えてるんだ。実はあの時はかなりピンチだった…馬鹿な俺はうたに頼らず1人で戦おうとして無様に負けちまってよ。でも、助けに来たうたが俺に勇気をくれたんだ…うたがいなかったら、俺とこの世界はどうなってたんだろうな。」
「でも、戦ってる時の2人は凄くかっこよかったよ。私も強くなりたいな…うたちゃんや朱藤くんのように。」
「蒼風…」
「ななちゃん…」
蒼風は俺達のことを憧れの目で見つめる。彼女はいくらピアノが上手くても人間なのだ…失敗はするし弱みだって出てしまう。それだからこそ強いやつに憧れたりもする…その先が俺達というのは少々荷が重いけど、こう思われるのも悪くはねえな。
「そうだ!ねえ、私の家に来ない?ついでに蓮も!」
「「えっ?」」
~~~~~~~~
「たっだいま〜!」
そんなこんなで学校が終わり、俺と蒼風はうたの家でもある喫茶グリッターへと招かれた。まさか俺がうたの家を訪れる機会が訪れるとは…ある意味蒼風には感謝だ。
「「おかえり!」」
「おかえりなさい、お姉ちゃん!」
そんなうたを彼女のご両親と妹と思われる3人が出迎える。ご両親は恐らくこの喫茶店の経営をしつつ接客もしてるんだろうな…それと、妹さんもうたに似てて元気で可愛いな。
「今日はお友達のななちゃんと蓮を連れて来ました。キラッキランラン〜♪」
「はじめまして、蒼風ななです。」
「えっと…同じくはじめまして、朱藤蓮です。うたさんの2軒隣の近所に住んでまして…その、あの…」
「緊張しないで大丈夫だよ?お父さんとお母さんは優しいから…」
「そ、そうなんだ…」
「いらっしゃい。」
「こんにちは♪」
俺はご両親を前に緊張のあまりぶっ飛びそうになったが、うたの声でひとまず落ち着く。異性なものだからもう大変なことになるかと思ったが、蒼風と共に俺も優しく歓迎された。そりゃあ緊張するぜ…俺は異性の本当の友達ができたことが一度もねえんだから。
「こんにちは!えっと…ななちゃん、蓮くん。咲良はもりです!」
そして、妹さんも俺達の前で名前を名乗る。はもりって名前か…うたにはもり、ご両親の名前のセンスは実に最高だ。しかもこの姉妹が可愛すぎる。はもりちゃんはきっとうたぐらいの年頃になったらうたレベルの美少女になるんだろうな…
「こんにちは、はもりちゃん。」
「よろしくな!」
「ささっ、2人ともこっちへ…」
はもりちゃんとも挨拶終えて俺達は店内へと案内される。そこでまず出されたのはクリームソーダ…これって他の店とかだったら高いやつだけど、それを振る舞って大丈夫なのだろうか?
「ウチのキラッキランランなクリームソーダ。これでななちゃんも元気いっぱい!蓮はもっと元気になれるよ♪」
「ありがとう…いやぁ、クリームソーダとか久しぶりだな!いただきます…おおっ、バニラアイスがメロンソーダと融合して凄く美味い!蒼風も1口行ってみろ、飛ぶぞ?」
「うん、いただきます…んん、美味しい。」
「良かった♪」
俺に続いて蒼風がクリームソーダを味わうと、彼女は笑顔で『美味しい』と呟いた。本当にここのクリームソーダは飛びそうでマジでキラッキランランな気分になっちまうよな…蒼風も少し元気が出て何よりだ。
「ピアノ…」
すると、蒼風は店内に置いてあるピアノを見つめる。彼女としてもピアノのことは今は忘れたいだろうが…どうしても目が行ってしまった。本当は心理的には良くねえけど、本能だもんな…
「ななちゃん、ピアノ弾けるの?」
「うん…」
「はもりも弾けるよ、きらきら星!」
すると、はもりちゃんは蒼風の前でピアノのセンスを見せようと童謡のきらきら星を弾いてみせる。まだ片手のみだけど、こうやって本能的に弾けるのはなかなかのセンスだ…はもりちゃんがいくつかは知らねえけど。
「うたも幼稚園の時に習ってたけど…」
「そ、そうだな。」
「うたもピアノを習ってたんですか。その時はどんな腕前で?」
「うーん、ピアノはどうもうたには合わなくて…コンクールで歌って以来、それっきりね。」
「ええ…」
俺はうたのお母さんからうたのピアノエピソードを聞いて絶句する。ピアノのコンクールで歌った…文字にすれば違和感ばかりのエピソードなのだが、歌うことが好きなうたならまあないことはない話だ。
「うたちゃんらしいね。」
「そう?」
「これ、その時の写真。」
うたのお母さんはそう言ってから1枚の写真を俺達に見せる。見た感じはコンクールの時のやつだろう…恐らく話の流れからしてうたが出た時と思われる。
「あっ、これ私!」
「えっ…これ私。」
「ええっ?」
うたと蒼風がそれぞれ写真の自分に指を指すと、何と2人は隣同士だったのだ…彼女達の縁はどうやら今の中2より前からあったらしい。こんな偶然もあるんだな…
「私、うたちゃんのこと知ってる!?確か…この隣の女の子から励まされたんだよね。それがうたちゃんだったなんて…」
「あの子、ななちゃんだったんだ…凄い、運命の再会だね!」
2人は当時のことを思い出して再会を喜ぶ。こういう再会というのは世間的には嬉しい話だろうが、俺にとってはな…芸能界でお世話になった人達には会いたいけど、俺をいじめたやつらとかとは会いたくはない。しかし、ここ7年を振り返ったらそんな奴らばかりで頭が痛くなりそうだ…
「蓮、どうしたの?」
「ああ、何でもねえよ…とりあえずクリームソーダ全部飲み干そうぜ!あはは…」
そして、俺は気を紛らわそうとクリームソーダをアイスからメロンソーダまで飲み干す。危ねえ、危ねえ…また暗い時の自分が出てきそうだった。俺はうたのおかげで明るいキラキラな自分を取り戻せたんだ…もう二度とダークサイドに堕ちてたまるか!
(5分後…)
「「ごちそうさまでした!」」
「はーい♪」
「ねえ、ななちゃん!一緒にピアノ弾こう?」
「えっ…」
クリームソーダを飲み終えた直後、はもりちゃんは蒼風にピアノを一緒に弾かないかと誘う。しかし、彼女の表情はどうも乗り気でない様子だ…やはり、コンクールの失敗がそんなに影響してるのだろう。
「まあ、一緒に弾いてやれよ。はもりちゃんがお前のことを選んでるんだからさ!」
「そうだね、うん。」
そして、蒼風ははもりちゃんと一緒にピアノを弾くことに…はもりちゃんがきらきら星のメロディーを弾くと、それに合わせて蒼風がリズムを弾いていく。この2人の連弾はまさに芸術的で思わず聞き入ってしまうぐらいに魅力的でメロディーを弾くはもりちゃんからキラキラが伝わってくる。
「ななちゃん、凄い!」
「うんうん、お空がきらきら星で満開だよ〜♪」
「うんうん、ななちゃん…素敵!」
「そんな…」
曲を弾き終えて、蒼風はうたとはもりちゃんの2人から最大級に褒められる。それでも彼女の表情からは曇りが抜けない…これだけでは自信が戻らねえか。
「今度の歓迎会、もしかしてななちゃんがピアノ弾くのかしら?」
「はい… 」
「ななちゃんがピアノ弾くなら、はもりも見に行きたい!」
「おおっ…はもりちゃんはななお姉ちゃんのピアノのファンになったのか。是非聴きに来てくれよな?」
「うん!」
「はもり、静かにしていられる?」
「できるもん!良いよね、お母さん?」
「ふふっ…」
「やった〜!」
「良かったね、はもり。」
はもりちゃんは蒼風のピアノを聴けることを心から喜ぶ。対照的に蒼風の方は余計にプレッシャーになったのかますます不安が大きくなって表情がさらに暗くなった…元気づけるどころか逆効果か。仕方ねえ、ここは俺が一肌脱ぐぜ!
「よしっ、俺もピアノ弾くか!」
「えっ?」
「蓮くんもピアノ弾けるの?」
「ああ、はもりちゃんにお兄ちゃんがかっこいいところを見せてやるからな!まあ、見といて?」
俺は椅子に座ってピアノと向かい合う。習い事としてのピアノの経験は0だが、YouTubeであらゆるピアニストの動画を観て独学で学んだスキルが俺にはある…そして、俺は春らしく千本桜を弾いた。まあ、ピアノの春の王道曲だよな…
(この演奏を見てるか、蒼風…独学の俺でも努力すればこんなに弾けるんだぞ?ピアノを極めたお前なら楽勝だろ?だから気負うんじゃねえぞ…)
(演奏終了後…)
千本桜を弾き終えると、来ていたお客さんを含めてその場にいるみんなが拍手をして『凄い』という表情をしていた。俺もここまで独学でピアノを勉強してて良かったぜ…
「凄い、凄いよ…蓮!もしかして蓮もピアノ習ってたの?」
「いや、特にはしてねえな…でも、YouTubeでピアニストの演奏動画を研究してこのスキルを身につけたんだ。努力すれば何だって上手くいくもんだよな…この世って。」
「努力…」
「蒼風、俺でもここまで弾けるんだ!お前ならもっと上手く弾ける…だから、何も気にすんなよ?」
「…」
俺は蒼風のもとに歩み寄ってから彼女を励ます。うたを除いて周りは何が何だかという状況であったが、恐らく蒼風には響いたことだろうな…それから俺達は解散して俺は家の中でまたピアノのことを研究するのであった。
side out
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sideなな
『努力すれば何だって上手くいくもんだよな…この世って。』
『俺でもここまで弾けるんだ!お前ならもっと上手く弾ける…だから、何も気にすんなよ?』
そろそろ寝ようとした時、私は朱藤くんから言われたことを思い出す。昔はピアノを弾くことが楽しかったし、私のピアノを聴いたパパとママが喜ぶのを見て嬉しくなってもっと楽しかったな。でも、時が経つに連れて周りは結果を求めるようになって期待が段々と大きくなってそれがプレッシャーになっていた…その中でのあの失敗、ここから私は狂ってしまって逃げ出したくなっていた。でも、朱藤くんは私のことを励ましてくれた…『努力すれば何だって上手くいく』、『俺に弾けるならお前ならもっと弾ける』、『何も気にすんな』。それらが私の心の闇に光を灯しているのだ。
(ありがとう…少し気持ちが楽になったよ。朱藤くんって見た目は怖そうだけど、俳優さんのようにかっこよくてうたちゃんと同じぐらい優しいんだね。まるで王子様みたい…って、あれ?少しドキドキしてる…何だろう?とにかく、明日…はもりちゃんのために頑張ろう。)
私は謎の胸の高鳴りを感じたが、明日のことのみを考えて眠りについた。とにかく歓迎会は絶対に成功させてみせる…ピアノの私が頑張らないと!もう私、失敗しないから。
いかがでしたか?いやぁ…書いていて思いましたけど、蓮ってイケメンすぎません?僕も惚れましたよ。相手の感情を見抜いてそれに応じた励まし方ができる…これができるのはやはり子役時代の演技経験が活きてるのではと思いますが、まさにその通りです。彼は色んな演技をやってきた上で人の感情が見える力を得ることができているんですよね!まさに主人公ならではの能力付与です。
そして、ななちゃんはそんな彼に何かを感じるように。果たしてそれが恋なのか?でも、蓮はうたちゃんのことが…ちょっとややこしいことになりそうですね。行き当たりばったり、原作の流れに任せたストーリーの行方がどうなるのか見守っていてください!
そして、原作の4話も楽しみですね…僕も朝起きたらリアルタイムで観ます。その感想は次の前書きに書きますので一緒に楽しみましょう!
感想、お気に入り登録、高評価の3点セットもよろしくお願いいたします。それでは、また次回。