キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達-   作:寿垣遥生

50 / 60
遥生です。今回で記念すべき50話目ですね⋯今回は3部構成の後編です。20話分の最大の山場ですけど、なるべくマイルドには意識してます。それにしても、ばっどがーるから中3日だからまあ悪くないペースかな?よく頑張ってた頃ぐらいですよ。

どんな結末になるのかは本編を読んでくださいませ。では、また後書きにて!


#50 一生懸命のち雨

「はあ⋯(とにかく疲れた。体調も悪いし身体に力が入んねえ⋯もう何連勤してんだ、俺。)」

 

 時同じくしてチョッキリ団のアジトではバーのカウンターでザックリーが疲れ果て、体調不良も重なってか机に突っ伏していた。もうあれから何連勤してきたことだろう⋯彼の身体はもう過労により悲鳴を上げている。

 

「こら、ザックリー!何サボってるんだい?」

 

「何日連続勤務だと思ってるんすか⋯邪魔者は増えたのにスパット様はその邪魔者のデータ収集でまだ帰ってこないし、俺ばっかり、誰かもう1人雇ってくださいよ!」

 

「絶対雇わない!!」

 

「うわああああ!?」

 

 ザックリーはチョッキリーヌに誰か1人雇えと要求するもそれは見事に跳ね返される。どうやらザックリーの連勤はまだまだ続きそうだ⋯

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

side蓮

 

「プリルン、あれに乗りたいプリ!」

 

 プリルンは山頂まで繋がるリフトを見つけては乗ってみたいと興味を持つ。まあ、俺達もそろそろ歩くには疲れた頃合だからちょうど良い⋯ななも靴擦れで痛い中ここまで頑張って歩いたわけだし。

 

「それじゃあ、ペアに分かれて乗ろうか。」

 

「待って、蓮くん⋯プリルンとメロロンを除いて私達は7人だよね?誰か1人は余っちゃうけど。」

 

「それなら心配いらねえよ。田中さん!」

 

 ななが1人余るのではと心配する中で俺は田中さんを呼び、その本人もここで合流する。実は密かにLINEで『一緒にピクニックを楽しみましょう!』と誘っていたのだ⋯当初は遠慮してたものの説得の結果、彼も来てくれた。

 

「皆さん、お待たせしました。」

 

「なるほど、そういうことか⋯タナカーン先輩もいれば8人でペアに分かれられる!蓮はこれを計算してたのか?」

 

「いや、リフトに乗るのはたまたまだよ⋯とにかく、じゃんけんで分かれるぞ?」

 

「プリルン、タナカーンと一緒に乗りたいプリ〜♪」

 

「メロ⋯ねえたま、じゃんけんしなきゃダメメロ!」

 

 プリルンは田中さんと一緒に乗りたいと彼にお願いするもメロロンがじゃんけんで決めることを説明する。本当にプリルンとメロロンってどっちがお姉さん格なのだろうか?ここだけ見たら立場が逆だし、こんなプリルンを慕ってて大丈夫なのかとメロロンが心配だ。

 

「とりあえず、プリルンとメロロンが乗るところは3人でな⋯行くぞ?」

 

「「「「「「「「「「ペアペアじゃんけん、ぽい!」」」」」」」」」」

 

 そして、じゃんけんの結果⋯それぞれ乗るリフトが決まった。肝心のプリルンはななとこころと一緒、うたはニカ姉と、希望さんは田中さんと一緒に乗ることに。そして、肝心の俺はというと⋯

 

「メロ⋯どうして蓮が一緒なのメロ?メロロン、にいたまとねえたまと一緒に乗りたかったメロ。」

 

「わがまま言うなよ。じゃんけんの結果がこれなんだから⋯俺と乗れたんだからまだマシじゃねえか。なっ?」

 

 俺はヨーヨイとメロロンと同じリフトに乗ることになった。メロロンはヨーヨイと一緒になることはできたものの俺と一緒なことに不満を持っている⋯ヨーヨイは必死にフォローするものの『マシ』とか言われて全然フォローにもなっていない。

 

「本人の前でマシとか言うなよ⋯へこむだろ。」

 

「すまねえ。ところで、蓮⋯あの走ってる男は何をしてるんだ?」

 

「ああ、あの人がやってるのはトレイルランニングだよ。頂上にどれだけ速くたどり着けるかタイムを測ってるんだ。」

 

「マジか。すげーな⋯リフトを使わないで山頂を目指すなんて良い運動じゃねえか!」

 

「そうだな⋯手を振って応援しようか。頑張ってくださーい!」

 

「頑張れ〜!」

 

 俺とヨーヨイはトレイルランニングをしている男性に手を振ってからエールを送る。その人も俺達に気づいてか笑顔で手を振り返して応えた。この応援があの人の活力になればな⋯そう思わずにはいられない。

 

「バカバカしいメロ⋯リフトもあるのに走って山頂に挑むなんて無謀すぎるメロ。」

 

「メロロン⋯!」

 

「ヨーヨイ、落ち着け。確かに一見したら無茶なことをしてるかもしれねえ⋯でもな、それでも何事も挑戦することは大事なんだよ。そうすれば明るい未来がきっと待ってるからな。ちなみに、俺もプリルンの記憶を取り戻すのを諦めてねえよ⋯」

 

「無理メロ。ねえたまはみんなとの思い出を封印して願いを叶えた⋯それでも諦めないなんて蓮はバカメロ。」

 

「バカで結構。俺は諦めが悪い頑固者だからな⋯それはそうと、ありがとなメロロン。」

 

「急にどうしたメロ?」

 

「お前がプリルンの願いを叶え、一緒にプリキュアになってくれたおかげであの時の俺達は助かったんだ⋯本当にありがとう。」

 

「メロ⋯そんな風に感謝されると照れるメロ。」

 

「俺からも感謝したい。プリルンとメロロンがプリキュアになってなかったら俺達もカッティーも救われなかった⋯今度は俺達がプリルンとメロロンを救ってみせるぜ?なあ、蓮。」

 

「ああ⋯神は乗り越えられる試練しか与えねえんだ。きっと何とかなるさ!」

 

「⋯」

 

 俺達がメロロンにプリルンの記憶を取り戻す強い気持ちを伝えると何か言いたげも複雑な感情がクロスしてるのか黙り込む。プリルンが周りの記憶を失った中で独り占めしてきたからこうやって割って入られるのが悔しいのかもしれない⋯ただ、どこかにこんな孤立しようとしている自分を受け入れてくれて嬉しいと思うところもあるだろう。人も妖精も感情は複雑なものである。

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

side笑華

 

 山頂へと向かう道中、私はうたと同じリフトに乗っている。ただ、彼女の様子はどこかおかしかった⋯いつもは元気そうに振る舞ううたが落ち込んでいる。もしかして、プリルンの記憶が戻らないことで気を落としてるのだろうか?

 

「うた、さっきから元気なさげだけど⋯具合悪いの?」

 

「笑華ちゃん⋯ううん、大丈夫だよ。ちょっと考え事をしてただけだから⋯」

 

「そうは見えないけど?もしかして、プリルンの記憶が戻らないことに落ち込んでる?」

 

「うん⋯それもあるけど、実は蓮のことも気になってて。」

 

「蓮のこと?もしかしてあのバカ弟⋯事の次第によってはお説教ね。とりあえず、何があったのか言ってみなさい?あいつにはガツンと言ってやるから。」

 

「ありがとう。実はこの前、ななちゃんが蓮のことを好きって私に相談してきたんだ⋯」

 

 うたは真剣な表情で私に相談事を持ちかける。その中身は学校で起きた話でどうやらなながうたに蓮が好きなことを打ち明けたとのことらしい⋯これは蓮の知らないところで起きてることだから説教のしようがない。うたに恋してるにも関わらず他の子に手を出していたのならいくら怒っても足りないぐらいだが、彼はメロロンの人間の姿である『めろんさん』を少し気にしていた程度だし⋯浮気に至らないことが怒りづらい。

 

「それで、うたはどうしたいの?」

 

「えっ⋯蓮は私にいつも優しく接してくれるし、かっこいいし元気をくれるキラッキランランな男の子で大好きだよ?でも、ななちゃんを悲しませたくないんだよね。どうすれば良いのかな?」

 

「それを私に聞く?あなたの人生でしょ⋯こういう決断は自分で決めなさいよ。」

 

「それは分かってるよ。だけど、プリルンのことも考えて蓮のことも考えてると自分で解決できそうな気がしなくて⋯笑華ちゃんの意見も聞きたいなぁって。」

 

「私の意見⋯明確な答えは出せないけど私なら自分も幸せで相手も幸せになれる選択肢を選ぶわね。まあ、蓮は良くも悪くも人たらしで押しに弱いからあなたを惑わせることもしばしばあるから⋯それを踏まえて、ななの気持ちも聞いた上で自分の答えを出しなさい。私から言えることはそれだけよ⋯さっきも言ったけど、これはあなたの人生。人生はゲームのように選択肢もある⋯それを決めるのはプレーヤーのうたなんだから。しっかりしなさいよね?」

 

「ありがとう、笑華ちゃん⋯私、必ず答えを出すね。プリルンのことも絶対に諦めないよ!蓮とヨーヨイが真っ先に頑張ってるんだもん⋯パートナーの私も頑張らないと。」

 

「その心意気よ。さあ、午後からもピクニックを楽しみましょ♪」

 

「うん!」

 

 私なりの答えを聞いたうたはスッキリしたのか悩みが消えていつものような明るい笑顔で返事をした。どうやら、平常通りの元気なうたが戻ってきたようだ⋯やっぱり、うたにはいつでも笑顔でいてもらわないとね。そうじゃないと彼女に恋をしている蓮が不安になるだろうし。私もうたに負けないぐらいピクニックを楽しもうかしらね!

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

side蓮

 

 はなみち山の山頂にたどり着いた俺達は全員集合してから芝生の上にシートを敷いてこれから昼の弁当を食べようとする。ちょうどお腹が空いてきた頃だからちょうど良いタイミングだ⋯最後にリフトを使ったものの良い運動になった。

 

「それでは、お弁当にしましょう。」

 

「プリ〜!」

 

「はい、咲良家特製弁当はプリルンの大好物⋯さて、何でしょう?」

 

「分かったプリ、答えはカニさんウインナープリ!」

 

(ああ⋯そういえば、メロロンが記憶を上書きしてたな。まあ、同じウインナーだからタコかカニかの違いだけど⋯)

 

「カニさんも良いけど、これはタコさんウインナー!」

 

「これがタコさんウインナーメロ?」

 

「ああ。プリルンはここに来た時、うたの作ったタコさんウインナーが大好きだったんだぜ?ただ、使ってるウインナーはお前のカニさんと同じだから味じゃなくてアレンジの差だがな⋯」

 

「頂きますプリ!あーん⋯美味しいプリ〜♪」

 

「良かった、いっぱい食べてね!」

 

 プリルンが興味津々でタコさんウインナーを一口食べると、美味しいと喜んでくれた。しかし、どうも複雑な心境だ⋯同じウインナーのはずなのにうたのタコさんウインナーを忘れてるだなんて。それを記憶喪失の隙に上書きしたメロロンはある意味重罪と言えるが、同じウインナーを使ってるのでどうとも言えない。

 

「これもダメか。」

 

「うた⋯」

 

「そんな暗い顔しないの!うた、さっき私と約束したこと忘れてないでしょ?プリルンのことは絶対に諦めない⋯最後まで希望を捨てちゃダメよ?」

 

「笑華ちゃん⋯」

 

「とにかく、今はお弁当ランランランです♪」

 

「こころ⋯そうだね、ランランラン♪」

 

「「「「「「ランランラン♪」」」」」」

 

 うたはプリルンがタコさんウインナーを覚えていないことに少し表情が曇るもニカ姉とこころの励ましを受けてまた明るさを取り戻し、周りも元気な雰囲気を作る。うたの辛さは言葉で言い表せるものではないが、こうして仲間の間で励まし合えばきっとどんな試練でも乗り越えられそうな気はした。

 

「プリルン、何か忘れてるプリ?」

 

「メロ、それは⋯」

 

「結構忘れてるぜ。まあ、プリルンも焦らず思い出してけよ⋯」

 

「プリ?」

 

 その中でプリルンは何かを忘れてるのではと疑問に思うところをヨーヨイが曖昧ながらも忘れてることがあると指摘する。とりあえず、プリルンも記憶をも取り戻そうという気持ちは一応あるようだが⋯なかなか上手くいかないものである。

 

「⋯!?ブルっと来たプリ!」

 

 しばらく弁当の時間を満喫していた俺達だが、そのタイミングでプリルンがクラヤミンダーの気配を検知したのかブルっと来た。よりにもよってピクニックの時か⋯勘弁してくれよ。

 

「くっ⋯こんな時に。」

 

 そして、俺達はプリルンとメロロンの後を追ってからクラヤミンダーの出た方向へと向かう。現れたのは山頂にある休憩所付近⋯避難する人々に逆らいながら向かった。

 

「みんな、行くぞ!」

 

「「うん!」」

 

「ええ!」

 

「はい!」

 

「プリ?」

 

「「「「「プリキュア、ライトアップ!⋯キラキラドレスチェンジ、YEAH♪」」」」」

 

 そして、俺達はプリルンとメロロンの前でプリキュアに変身する。この様子を見てプリルンは目が点ではあったが、変身しないとどうしようもない状況だからやむなしだ⋯まあ、これで正体を知れて記憶が戻れば良いが。

 

「キミとブレイクダンス、ハートの熱気!元気アツアツ、キュアブレイキン!」

 

「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」

 

「キミと瞬く、ハートの勇気!お目目パッチン、キュアウインク!」

 

「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」

 

「キミと舞う、ハートの希望!幸せいっぱい、キュアホープフル!」

 

「「「「「We are キミとアイドルプリキュア!」」」」」

 

「プリ、本当にあの子がキュアアイドルだったプリ!?」

 

「だから前からうたがそう言ってただろ?俺も行ってくるからプリルンとメロロンは待っといてくれ。」

 

「にいたま⋯」

 

「安心しろメロロン。俺もだいぶ勘を取り戻して戦えてきてるから簡単には負けねえよ⋯ホプ、タナカーン先輩、プリルンとメロロンを。」

 

「分かった!」

 

「お気をつけて。」

 

 プリルンがキュアアイドルの正体がうただと知って目を光らせる中、ヨーヨイは希望さんと田中さんにプリルンとメロロンを託して俺達と一緒に戦う。今回こそは俺達で勝たねえと⋯いくらプリルンとメロロンの正体がズキューンキッスだとしても頼りっぱなしでは俺達のいる意味が色んな意味でなくなる。何としてもズキューンキッス抜きでも勝ってやるぜ!

 

「出たな、アイドルプリキュア⋯今日はズキューンとキッスはお休みか?」

 

「あいつらは必要ねえ⋯俺達5人とヨーヨイで十分だ!お前こそ、俺達はピクニックをしてたってのにどうして邪魔をする!こっちだって休日ぐらいゆっくりさせろよな?」

 

「キーッ、それがムカつくんだよ!こっちはスパット様がまだ帰ってこない上にカッティーがいなくなり、チョッキリーヌ様は働かねえ⋯俺がワンオペでしんどいんだよ!」

 

「ストレス発散か⋯そんなことで迷惑かけんなよ。みんな、こいつに勝ってピクニックに戻るぞ!」

 

「キュアアイドル頑張れプリ〜!ヨーヨイ、頑張れプリ〜!」

 

 俺がみんなに鼓舞したその時、背後から声がして振り向くとプリルンがピンクのキラキライトを振ってアイドルとヨーヨイの応援していた。まさか、キラキライトの記憶はあるというのだろうか?

 

「プリルン、お前⋯そのアイテムは!」

 

「プリ?よく分からないけど、ポシェットに入っていたプリ。応援すると凄くワクワクするプリ〜♪」

 

「プリルンがキラキライトを振って応援してる⋯」

 

「もしかしたら記憶が戻りそうかもしれないわね。」

 

「みんな、今はひとまず戦いに集中しようぜ!プリルンの記憶は自然と戻るはずだ⋯その時間を稼いでから決めるぞ!」

 

「「うん!」」

 

「はい!」

 

「ええ!」

 

「了解!」

 

「まさか、ねえたま⋯」

 

「行け、クラヤランダー!」

 

「クラヤミンダー!」

 

 ザックリーの指示でクラヤミンダーは水鉄砲攻撃を仕掛ける。その中でプリルンはどうやら記憶を取り戻しかけているようだが、俺達はひとまず戦いに集中することにした。

 

「ウインクバリア!」

 

「キュンキュン、右サイド!」

 

「はい!⋯キュンキュンレーザー!」

 

 まずはウインクが前に立ってバリアを張って攻撃を防ぐ。そこから今度はキュンキュンがサイドに回ってキュンキュンレーザーを放つ。

 

「クラァ!?」

 

「アイドルグータッチ!」

 

「ブレイキンタイフーン・BURNING!」

 

「ホープフルシュート!」

 

 レーザーが命中してからはアイドルのグータッチから俺のブレイキンタイフーン・BURNING、ホープフルのホープフルシュートと休むことなく怒涛の3連撃で畳みかける。これで体勢は決したか?

 

「良いぞ、この調子ならズキューンとキッスはいらねえな!」

 

「凄いプリ、頑張れプリ〜!」

 

「ねえたま、こんなことをしてないでメロロン達も行くメロ!」

 

「プリ!?そうだったプリ!」

 

 プリルンが応援に夢中になっていると、それをメロロンが邪魔をした。キラキライトはその反動で遠くに飛んで行ってしまい紛失⋯記憶が戻りかけたのにここで邪魔すんのかよ!

 

「「プリキュア、ライトアップ!⋯キラキラショータイム、YEAH♪」」

 

 そして、プリルンとメロロンも人間態を経由してプリキュアへと変身していく。本当にメロロンは余計なことをしてばかりだ⋯俺の目論見といいプリルンの記憶を取り戻すことといい何もかもを邪魔しやがって!

 

「ハートをプリっとロックオン!キミとズッキュン、キュアズキューン!」

 

「ハートをメロっと独り占め!キミと口づけ、キュアキッス!」

 

「あれが、キュアズキューンとキュアキッス⋯」

 

 後ろで見ていた田中さんは初めて生でズキューンとキッスを見て驚く。プリルンとメロロンが正体であることは知っていたもののその迫力とオーラに押されている⋯

 

「おい、立て!水分補給しろ!!」

 

「クラヤ⋯ミンダー!」

 

 クラヤミンダーはザックリーの指示で水分補給をするとすっかり復活して俺達へと襲いかかる。水分補給する前のさっきよりも下手したら強い⋯

 

「お姉様!」

 

「うん!」

 

「やっぱり来たかキュアズキューンとキュアキッス!まずはお前らからだ!!」

 

「クラヤミー!」

 

 クラヤミンダーはズキューンとキッスに狙いを定めて水鉄砲を放つ。しかし、それを息を揃えた2人のコンビネーションで回避⋯そして背後に回った。

 

「「たあっ!」」

 

「ヤ、ヤ、ヤミー!?」

 

 ズキューンとキッスは手をついた体勢からそのままキックへと切り替えてクラヤミンダーを飛ばす。俺達の向上した身体能力でも難しい動きを簡単に決めるとは⋯言葉が出ない。

 

「「はあああああっ!」」

 

 そのまま一気に2人はクラヤミンダーを潰すような勢いでギロチンキックで畳みかけた。俺達が決定打をこれから打とうとした場面でも一瞬で横取りできる強さ⋯これが代償と引き換えに得た力なのだろう。

 

「やっぱり凄い⋯」

 

(アイドル、お前はどうして感心できるんだ?俺達の役割が奪われてるんだぞ⋯悔しいと思わないのか?でも、明らかに強いのは確かな事実だ。ちくしょう、あと少しで俺達だけでも勝ってたのに⋯美味しいところを奪いやがって!)

 

「お姉様、私達の誓いの力を!」

 

「うん!」

 

♪:Awakening Harmony

 

「「2人の誓い、今輝け!⋯取り戻したい、光の世界〜♪」」

 

「その笑顔」

 

「勇気」

 

「涙」 

 

「夢」

 

「「希望の兆し、キミと明日を願うチカラで、生まれる私たちのハーモニー、響け〜♪⋯プリキュア、ズキューンキッスディスティニー!」」

 

「「キラッキラッター⋯」」

 

 ズキューンとキッスはそのまま容赦なくズキューンキッスディスティニーで相手のクラヤミンダーを浄化する。ほんのあっという間の時間でねじ伏さられ、俺達は前座にしかならなかった。悔しいが強さではあの2人が上なのは事実⋯でも、いつかは俺達がこいつらの独壇場は止めてみせる!そう心に誓うのであった。

 

「くそっ、休みが少ないせいだ。スパット様、早く帰ってきてくんねえかな⋯」

 

 そう言い残してザックリーはこの場を後にして平和は戻った。しかし、空は予報通りか今にも雨が降りそうでどんよりと暗くなっている⋯俺は(みんなと一緒に)変身を解除してから予定より早めにみんなで下山することを決断するのだった。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「楽しかったプリ〜♪」

 

 下山の道中、プリルンはこのピクニックを楽しかったと振り返る。しかし、肝心の記憶に関して戻ることはなく結局、俺達は何の成果も得られなかったのだ⋯楽しんだプリルンとは対照的に仕掛け人の俺達は少し残念な心境である。

 

「結局、プリルン⋯」

 

「何も思い出さなかったね。」

 

「こころもななもそんな落ち込むなよ。あいつ、キラキライトを振ってうたのことを応援してたじゃねえか⋯それに、アイドルプリキュアの正体が俺達だと知れたのも大きいと思うぜ?」

 

「蓮の言う通りだよ。キラキライトを通して私やみんなのことを思い出せたらなぁ⋯」

 

「ああ。諦めなければ奇跡は起こる⋯それは常識を越えた領域に達した時、俺達は虹を掴むんだよ。」

 

「ヨーヨイもみんなと接するうちに変わったね。メロロンも言ってたけど、ここに来る前までは現実主義の堅苦しい学者だったのに。」

 

「こりゃあホプには敵わねえな⋯俺はこいつらの奇跡の数々を見てどんなことでも信じようって思ったんだよ。だから、きっとプリルンの記憶だって戻るさ⋯うたやみんなが諦めなければな。」

 

 ヨーヨイは笑顔でうたや俺達のことを励ます。確かに最初の時のヨーヨイは口調は前からチャラかったとてどこか堅苦しいというか型にはまってる感じが否めなかった⋯でも、俺やうた、なな、こころ、ニカ姉と出会っていくうちに俺達の理想像とかを信じて付き合ってくれるようになって今がある。俺だけじゃなくてヨーヨイもプリキュアとしての活動を通して変わっていたと改めて認識できた。

 

「プリ?ないプリ!」

 

「どうしたのメロ?」

 

「あの『頑張れ〜』ってするやつがないプリ!」

 

「それ、キラキライトのこと!?私、探してくる!」

 

「おい、うた!もうすぐ雨が降るんだぞ!?」

 

「うたちゃん、私も探すよ?」

 

「大丈夫です、希望さん達は下で待っててください。すぐ戻りますから!」

 

「うたちゃん!」

 

「本当にあの子ったら⋯とにかく大丈夫よね?」

 

「本当ですよ、うた先輩は⋯って、雨?」

 

 俺達がうたのことを心配していると、ポツリと雨が降り出してあっという間に本降りになった。俺達は急いで荷物の中に入れていたカッパを着たり傘をさしたりでうたが行った方向を追いかけることに。すぐ帰ってくるなら合流できるはず⋯そう思っていたのだが、しばらく経っても合流できないどころか行方不明になって捜索することとなった。

 

「おーい、うたちゃーん!」

 

「うた先輩!」

 

「うたさーん!」

 

「なあ、蓮⋯あいつ、雨具持ってきてんのか?こんな雨の中で探し回ってたら身体が濡れて風邪を引くぞ!?」

 

「分からねえ⋯でも、どっちにしてもうたは1つの物事に集中すると周りが見えなくなる人間だからな。もしかすると⋯」

 

「そんな⋯縁起でもないこと言わないでよ!大丈夫、うたのことだから風邪は引かないはず。バカは風邪引かないって言うもん⋯あの子バカなんだから!」

 

(ニカ姉、何度も何度もバカ言うなよ⋯確かにうたは学力低いバカだけどよ。)

 

「⋯」

 

「蓮くん、みんな⋯うたちゃんが戻ってきたよ!」

 

 希望さんが指差す方を俺達が向くと、そこにはうたの姿があった。しかし、傘もカッパも何も持ってきていなかった彼女はずぶ濡れである⋯どうやら彼女は雨が降らないと読んでいたようだ。

 

「うた、大丈夫か?足元フラフラだぞ⋯」

 

「プリルン、あったよ。これ⋯」

 

 俺がうたのもとに駆け寄って声をかけると、探していたキラキライトを見せてプリルンの方を見てから見つかったことを笑顔で伝える⋯その直後、彼女は意識を失いその場に倒れるのだった。

 

「うた⋯おい、うた!?田中さん⋯119番をお願いします!」

 

「は、はい!」

 

「「うたちゃん!」」

 

「うた先輩!」

 

「「うた!」」

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「ねえ、智和さん⋯マジで今日って厄日よね?急に雨が降るとか最悪。」

 

 その頃、出間は彼の恋人である女子大生の小塀悠亜(おべいゆあ)をマイカーであるGT-R(R35)の助手席に乗せてドライブデートを楽しんでいた。悠亜は金髪のロングヘアーをツーサイドアップに結っていて黄色のカラコンを入れ、ラフな格好をした所謂ギャルである。出間と付き合ってから2ヶ月が経っていて、そんな2人は合コンで知り合い、それから1週間で交際に発展して今ではキスも手を繋ぐのもおまけにドライブデートも経験した仲だ。

 

「本当だな。でも、俺の35GT-Rは雨も関係なくぶっ飛ばせるから関係ねえよ!そうだ⋯このまま首都高を走るか?何ならリアル首都高バトルも見せてやるぞ?」

 

「そういう暴走行為はゲームの中だけにしといてよね?一応、あたし法学部なんだから⋯」

 

「冗談だよ。本当に悠亜はピュアな可愛い子だな♪」

 

「もう、智和さんったら♪」

 

 赤信号の中で悠亜とイチャイチャしてると、出間のスマホが鳴り出す。その着信相手とは自分が勤める会社の雑誌担当の編集長だ。

 

(何だよ、こんな休日に編集長め⋯とりあえず路肩に止めるか。)

 

 出間は通話に出ようとするも、すぐに青信号になったので車を100mぐらい進めてから路肩に止める。彼は休日の良い場面を邪魔されて物凄く不機嫌だ。

 

「智和さん、出なくて大丈夫なの?」

 

「いや、相手が編集長だから出るよ⋯はい、出間です。」

 

『出間くん、いやぁ⋯日曜日という中で昼間からごめんね。折角君は数少ない休みを過ごしていたというのに⋯』

 

「良いですよ、お気になさらずに。それで、私に何のご用でしょうか?もしかして、この前提供したズキューンキッスの情報を記事にする気になりました?」

 

『ああ、そのことだがね⋯記事にするのは取り止めするよ。』

 

「えっ、ズキューンキッスの正体ですよ?これを出したら今のご時世最高のスクープじゃないですか!何故でしょう?」

 

『うーん⋯映像を見たんだけどね、ぬいぐるみのような生き物が人間になってズキューンキッスに変身するだなんてあまりにもファンタジーすぎて信憑性がないんだよ。こういうのを記事にするとまた我々が批判されて評判が下がることにもなりかねないからね⋯悪いけど、今回の話はなしにしてくれるかな?』

 

「ま、まあ⋯そうですよね。申し訳ありません⋯編集長も休日でパチンコを打ってる中なのに。」

 

『いや、パチンコはさっき打ち終えたばかりでね。今日も大勝ちさせてもらったよ⋯そうだ、明日の夜は空いてるかい?もしも空いてるのなら今日の勝ち分でザギン(銀座)でシースー(寿司)はどうかなって⋯』

 

「良いっすね!それじゃあ、明日⋯楽しみにしてますよ。失礼しま〜す♪」

 

 そして、出間は上司である編集長から寿司を奢ってもらえると聞いてか上機嫌になって通話を切る。自分が出した渾身の情報が記事にならなかったことは残念だろうが、それよりも銀座で寿司の方が嬉しいのだ。

 

「記事にならなかったんだね、ズキューンキッスに関する特ダネ。」

 

「残念だがな⋯でも、編集長から明日奢ってもらえるんだ!楽しみはできたよ。」

 

「銀座でお寿司でしょ?良いなぁ⋯あたしも食べたいぃ!」

 

「今度の休みな⋯とりあえず、今日はこれから近くのラブホで雨宿りがてらアレ済ませるか?俺がそういう気分ってのもあるけどな⋯どうだ?」

 

「アレって⋯もう、智和さんのエッチ。でも、あたしはいつでも歓迎だよ?その⋯初めてだから優しくしてね?」

 

「ああ。お前にはいくらでも優しくするさ、悠亜♪」

 

 そして、出間はアクセルを踏んでから悠亜と一緒に近くのラブホテルへと向かうのであった。出間の表情はもう空の雨模様とは裏腹に絶好の快晴である。そして、そのまま彼と悠亜は⋯ここから先はR-18の域に入るので割愛するが、2人は雨が止んだ夜まで楽しんだのは言うまでもない。




小塀悠亜(おべいゆあ)

(脳内)CV:石上静香

身長:168cm

体重:51kg

誕生日:2月20日

年齢:20歳

出間の恋人でとある大学の法学部に通う3年生。出間とはお見合いを切欠に交際がスタートして現在2ヶ月目。見た目はギャルだが実は彼女にはいくつもの顔が⋯!?

いかがでしたか?プリルンが記憶を取り戻しかけるもメロロンの妨害行為で阻止され、そして蓮達で勝てたはずのクラヤミンダーを浄化する役目まで横取り⋯おまけにその時にキラキライトを紛失していてそれをうたちゃんが探した末に倒れてしまう展開に。それ以前にはうたちゃんは蓮への気持ちでも悩みはあったものの笑華とのやり取りでこっちは前に進みそうですが⋯プリルンのことはね。ここから絶望がますます大きくなりそうです⋯

ちなみに、最後に出てきた出間の彼女の悠亜はモデルになったキャラがいるんですよね。脳内声優と名前の響きを見れば分かりますけど、彼女のモデルキャラはウマ娘シンデレラグレイのライバルウマ娘のオベイユアマスターです。それを人間にした感じをイメージして頂ければ⋯もちろん、胸もお尻も身長も大きいですよ?そのオベイが凄い魅力的なキャラだったんですけど、思わずモチーフにしていられなくなりました!今後も悠亜が出てくると思うのでご期待ください。プロフィールにもあるいくつもの顔はいつか出てくると思うので⋯

今回は後書きにキミプリ思い出話をしたかったところですが、ちょっと予約投稿の時間までに間に合いそうにないのでまた次回の後書きにやろうかなと思ってます。次回は21話分ですね⋯ここは前期の大きな山場ではないかと思うところですが、果たして?

感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをお忘れなく!それではまた次回お会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。