キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達- 作:寿垣遥生
さて、そんな中ですが僕の方のキミプリはまだまだ真っ盛り!今回から21話分に突入します。サブタイトルにもあるようにうたちゃんとメロロンの本音が明かされることに⋯蓮はそれを聞きますが、果たして?
それでは、また後書きで。
side蓮
あのピクニックからちょうど1週間が経った日曜日⋯俺、なな、こころ、ニカ姉はうたのお見舞いに部屋を訪れる。あれから検査入院をしていたが、風邪の状態が少し落ち着いたことで僅か1日で退院して自宅療養に切り替わり今日に至る。戻ってきてからは感染防止のために1人ずつしかお見舞いに行けなかったが、ほぼ治りかけになったことで今日やっと全員でお見舞いに行けることになった。ちなみに、ヨーヨイは田中さんと一緒に今回のプリルンの事案についてを話し合うため、希望さんも今日は神戸で行われる舞台(昨日は大阪で同じ作品の舞台に出演)に出演しなくてはならないため不在だ。そして、俺もお見舞いが終わったらひま姉から頼まれたおつかいに行かなければならない⋯忙しいかもだが、こうしてうたが元気になっていく姿を見てると俺も元気を貰えるのだ。
「うわぁ♪」
その中で病人のうたはななが買ってきたケーキを見て目を光らせる。彼女は自分でも見て他やうたのご家族からの報告も聞いて一昨日ぐらいまで食欲があまりなかったものの昨日から食欲が回復してきて、お粥だけでなく何でも食べれるようにはなったらしい。
「なな⋯もしかして、このケーキって私が紹介したあのデパ地下のやつ?」
「そうだよ!笑華ちゃんがオススメしてくれたあのケーキ屋さん。うたちゃんが喜ぶかなと思って買ってきたの♪」
「美味しそう、心キュンキュンしてます!」
「とりあえず、うたが元気そうで良かったよ。ケーキ食べれそうか?」
「うんうん!」
「今度から無理しちゃダメだよ?」
うたがケーキを食べようとすると、ななは一言無理をするなと注意する。ななは俺のことといいうたのことといい心配性ではあるが、それは俺達のことに常に気を配ることができるからだろうな⋯本当に彼女の心遣いにいつも俺達は救われているのだ。
「うん。でも、キラキライト見つかって良かった⋯まあ、プリルンは何も思い出さなかったんだけどね。」
「⋯うたちゃん。」
「うた⋯」
うたはキラキライトが見つかったことを安心するも悲しそうというか辛そうな表情を浮かべる。体調に関しては良くなっているものの心の状態はまだ重症のままだった⋯あの時のプリルンは本当にあと少しのところで記憶を取り戻そうとしていたのだが、メロロンが余計なことをしたせいで記憶は戻ることなくキラキライトを一時紛失してしまいうたが雨の中探しに行った末に風邪を引いたってわけだ。次にメロロンに会ったその時は鬼になって詰めねえとな⋯そうじゃないと俺の気が済まない。
「そんな落ち込まないで⋯とりあえず、ケーキ食べましょうよ!」
「こころ⋯そうね。全部素敵で食べるのがもったいないわぁ⋯ほら、うたと蓮も!」
「だな⋯今はクヨクヨ考えたってしょうがねえ!ケーキ食って元気出そうぜ?」
「うん、あっ、そうだ!食べる前に写真撮ろう⋯あっ。」
うたが食べる前にケーキの写真をカメラで撮ろうとしたその時、彼女は突然とフリーズしてしまう。何かと思って俺は様子を見ると⋯彼女は間違って保存済みの写真のデータを開いてしまい、それはうたとプリルンの2ショット写真だった。
「うた、どうしたの?」
「⋯」
「悪い、お前ら⋯ケーキを食べたら先に帰っててくれないか?俺はちょっとうたと2人きりで話したい。」
「蓮先輩、うた先輩に何があったんですか?」
「勿体ぶらずに教えなさいよ!」
「それはこころにもニカ姉にも教えられねえ⋯なな、悪いがこころを送って行ってくれないか?」
「本当に蓮くんだけで大丈夫?私もそばにいた方が⋯」
「心配すんな。うたは少し疲れただけだよ⋯風邪に関しても今日を乗り切れば明日は学校に行ける。ただ、心がな⋯」
「私、ですか?」
「お前じゃねえ⋯ハートだ。とりあえず、また明日。ニカ姉も明日は映画のメインヒロインのオーディションがあるんだから演技の練習とか面接の練習はしっかりしとけよな?」
「あなたに言われなくても分かってるわよ⋯蓮こそ、お姉ちゃんから頼まれたおつかいをサボらないことね。」
「ああ⋯」
そうして俺はみんなに自分のケーキを食べる時間を与えて完食した後になな、こころ、ニカ姉の3人を見送ってからうたと2人きりになる。別に変なことをするつもりは毛頭もない⋯ただ、うたの本心を解放するためのことだ。
「蓮、どうしてみんなを帰したの?」
「うたとゆっくり話をしたいからだよ。お前の辛い表情を見てるとほっとけねえからな⋯」
「そんな顔してたかな?私は平気だよ。プリルンのこともいつか記憶は戻ると思うし⋯」
「そうか、やっぱりプリルンのことが気がかりか。俺、横目で見てたけど写真を開いた時にプリルンとの2ショット写真を見てたよな⋯その時に暗い顔をしていた。俺のことを甘く見ない方が良いぜ?」
「やっぱり蓮には分かるんだ。うん⋯私、あの時に笑華ちゃんと約束したのにね。プリルンのことは最後まで諦めないって⋯でも、タコさんウインナーのこともキラキライトのことも思い出さなかった。」
「確かにそうだったな⋯でも、お前がキュアアイドルの正体だということを知ることはできた。それだけでも前進じゃないのか?」
「無理だよ!私がどんなことをしてもプリルンは思い出せなかった⋯正体を知ったとしても無理だと思う。私は、私は⋯こんなところ、他のみんなには見せれないよ。私は常に元気じゃなきゃいけないのに。」
「うた⋯」
うたは俺の前で誰にも見せたことないぐらいの弱音を吐く。いつもみんなの前では絶望するところを極力見せなかった彼女は俺の前でとうとう崩れた。
「プリルンはハートキラリロックで願いを叶えたんだよね?私やみんなとの思い出と引き換えに⋯どうすれば良いの?私、私⋯!」
その時、俺はもう黙って見ていることがいられずうたの身体を抱きしめた。このまま彼女が捌け口もなく苦しむところを見ているとかできるわけがあるか!もう我慢も限界だったのだ。そして、うたの身体は震えている⋯悲しみに、絶望に。
「もう辛い気持ちを溜め込むな。ヨーヨイも言っていたけど、確かにプリルンの記憶は理論上戻ることはねえ⋯それは辛いと思う。だけど、今のうちだけは泣いても良いぞ?無理に元気印を背負わなくたって良い⋯キツい時はキツいと言って休んでも問題ねえよ。だから、素直に教えてくれ⋯お前の本音を。」
「ううっ、私⋯プリルンの記憶を取り戻したいと頑張ってるのに。何をしてもダメで⋯そばにいていくれたプリルンと別れて、プリルンから忘れられて凄く辛かった。やっぱり、メロロンの言う通りなんだね⋯私、何もできなかった。」
「よしよし、辛かったな。そんなことを思ってたのか⋯お前の気持ちを教えてくれてありがとう。もう我慢しなくて良いからな?」
「うん、ぐすっ⋯ありがとう。ううっ、プリルン⋯」
そして、うたは俺の胸の中でダムが決壊して泣き崩れてしまう。これまで元気印として極力悲しい感情を押し殺してきた代償がここで出てしまった。プリルンと離れて、忘れられてからこの悲しみずっと抱いていたのか⋯それに気づけなかった俺は申し訳ない気持ちになった。俺の着ているTシャツが涙で濡れようと関係ない⋯彼女の気が晴れれば俺は満足だ。
(10分後⋯)
「落ち着いたか?」
「うん、少しだけど前を向けた気がするよ。蓮もTシャツを涙でぐしゃぐしゃにしてごめんね⋯」
泣くこと10分、うたの目にはまだ涙が零れるもののひとまず気は落ち着いて泣き止む。しかし、表情からは少し曇りが消えて前へ向けそうな手応えは確かに感じた⋯
「心配すんなって。このTシャツはそんな新品でもねえし今日は晴れてるからすぐ乾くだろうし⋯でも、お前が前向きになれて良かったよ。」
「うん。蓮、あのね⋯私、たとえプリルンの記憶が戻らなくてもプリルンと友達でいれるようにまた関係を築いていきたいなって思うの。だから、蓮も力を貸してくれる?」
「当たり前だろ?俺も何だかんだでプリルンのことは大事な友達だと思ってるからな⋯俺だけじゃねえ、ななやこころやニカ姉も同じことを考えているはずだぜ?田中さんやヨーヨイや希望さんも協力してくれるだろうし。一緒に頑張ろうな!」
「ありがとう、蓮⋯」
「おいおい、もう泣くなって。じゃあ、俺はおつかいに行くから⋯涙はタオルか何かで拭いとけよ?」
「もう行くの?ケーキは?」
「お前が食べてくれ。俺はまた今度にするよ⋯明日学校なんだろ?俺のことは気にせず2個食べて元気出せよな?朝、うたの家の前で待ってるから。」
「分かった。明日の朝、一緒に学校に行こうね!」
「ああ。じゃあ、またな!」
そうして俺はうたの笑顔を見届けてから部屋を後にする。その部屋を出るとそのすぐに話を聞いていたかどうかは分からないが、彼女の母親である音さんがいた。ひとまずうたに聞かれないように音漏れしない別の場所で話をすることに⋯
「蓮くん、うたは大丈夫?さっき外で聞いてて泣いていたけど⋯」
「心配しないでください。ちょっと辛いことがあったみたいですけど、今は落ち着きました⋯それにしても、音さんは俺が泣かしたとか疑わないんですね?」
「蓮くんはうたを不幸にするような人じゃないってことは私もお父さんもはもりも知ってるからね。いつもうたに優しくしてくれて本当にありがとう。」
「いえいえ、俺はただうたには幸せになってもらいたいだけですから。あの子は笑顔が似合うから辛い思いはしてほしくないんですよ⋯音さんもそうでしょう?」
「もちろんよ。でも、蓮くんのうたに対する振る舞いを見ているとまるで彼氏さんみたいね⋯もしかして、うたのこと好きなの?」
「ええっ⋯は、はい。一応⋯いえ、大好きです。」
音さんからうたのことが好きかとストレートに質問され、俺は素直に答える。しかし、まさかこんな感じでナチュラルに聞かれるとは思わなかったな⋯緊張して背筋が固くなり、少し声が上ずってしまった。
「そう。だけど、蓮くんは現に色んな女の子からモテモテで迷ってるでしょ?今は焦らないで良いから、相手が誰にしても最高のパートナーを見つけてその人を幸せにしてあげてね?」
「ありがとうございます。それじゃあ、俺はおつかいをひま姉から頼まれてるので行ってきますね!和さんとはもりちゃんにはよろしくお伝えください。」
「うん、分かったわ⋯おつかい気をつけてね。」
「はい、行ってきます!」
俺は音さんに後押しされてグリッターを後にし、おつかいへと向かった。音さんの応援は本当に頼もしいものだ⋯とりあえず、モヤモヤは残るものの俺も前に進まねえとな!プリルンとメロロンのことやうたとの恋も何もかも。
side out
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「うーん⋯」
「さあ、どれだい?この中の1つは鬼辛ソース入り⋯それを飲んだら即出動だよ?」
その頃、チョッキリ団のアジトではザックリーがいくつか並んでるグラスに入ったワインを睨む。彼はチョッキリーヌと賭けをしていて出動を賭けて彼女から仕掛けてきた勝負に挑んでいく。鬼辛ソース入りのワインを避ければザックリーの勝ち、それを飲んだらザックリーは今日も連勤である。
「いや、ザックリ無理ですって!俺1人で邪魔者のプリキュア7人、勝てるわけねえっすよ!?大体、スパット様はどこに行ったんすか?それならスパット様にチョッキリーヌ様が頭を下げて行かせれば良いでしょ!」
「私が何か?」
ザックリーがスパットに行かせるようにチョッキリーヌに提案したタイミングでその噂の張本人が後ろから声をかける。しばらくデータ収集でアジトを空けていたのだが、いつの間にか帰ってきていた。
「げえええ、スパット様!?」
「お帰りなさいませ、スパット様⋯データ収集はもう終わられたのですか?」
「ええ、あれからデータを集めて研究をしてましてね⋯全てが分かり対策も練りましたよ。しかし、ザックリーさん⋯今、何か私の話をしていたと思うんですけどどんなお話をしてたんでしょうか?」
「ああ、いや⋯何でもねえっすよ!?」
「聞いてください。このザックリーのやつ、私に頭を下げさせてスパット様を出動させろと生意気を抜かしておりました。どう思われますか?」
「チョッキリーヌ様!?」
「ほほう、ザックリーさんはあの時旅行に行ってから一皮剥けたようですね⋯それで、今は何をしているのでしょう?」
「実はこの中に鬼辛ソース入りのワインが1つあるんすよ。それを飲んだら今日も出動で⋯俺、もうここ何回か連勤っすよ?いい加減休みたいです。」
「なるほど、そういうことですか⋯だったら自分で権利を勝ち取るために自分の信念を貫いてみたらどうです?直感で選んでご覧なさい。外れは1本しかないのならそれを飲まなきゃ良い話ですよ?」
「わ、分かりました⋯じゃあ、これにします。」
そして、ザックリーはスパットからも催促され直感で選んだワインを手に取ってそれを飲む。外れの確率が低く当たりの確率が高い中で引き当てたワインとは⋯
「か、辛あああああああ!!水、水!!」
しかし、彼が飲んだワインはよりにもよって鬼辛ソース入りのものだった。ザックリーが悶絶する中でチョッキリーヌは悪い笑みをニヤリと浮かべる。
「あらら⋯ザックリーさん、ある意味強運ですね。」
「どうやら当たりを飲んだようね。さあ、とっとと行くんだよ!」
「ちょっと待つっすよ、この確率で外れを引くとかおかしい!スパット様、調べてくださいよ?」
「これは飲まなくても私の目で分かりますよ⋯ザックリーさん、残念ながらこれ全部外れです。そうですよね、チョッキリーヌさん?」
「はい、目で見ただけで分かるとは⋯流石、スパット様!」
「マジで!?チョッキリーヌ様、何でこんなズルをするんすか?俺を行かせたいだけでしょ!」
「つべこべ言うんじゃないよ。とっとと行ってきな!」
「分かりましたよ、行ってくるから怒らないでください⋯」
「ザックリーさん、ちょっと⋯」
「何すか⋯ワインはもう飲みませんよ?もうあんな辛いの懲り懲りっす。」
「今回の任務に当たる上でこれを使いなさい。」
ザックリーが任務に行こうとした時、スパットはクラヤミンダーの素を手渡す。一見すればいつものやつと変わらなさそうではあるが、纏っているオーラが違った。
「あの、これっていつものやつっすよね⋯何か特別なんすか?」
「これは私が昨日から徹夜で開発したキラキランドの妖精を取り込めるクラヤミンダーの素です。現場にここ最近行ってるあなたなら分かるでしょう?キュアズキューンとキュアキッスの正体は⋯」
「まあ、そうっすね⋯で、それとどんな関係があるんすか?」
「キュアズキューンとキュアキッス⋯プリルンとメロロンは2匹一緒じゃないと変身できないのです。それを私側にいる情報屋が教えてくれましてね⋯それで、片方を取り込むのです。そうすればズキューンキッスは戦力になりません。」
「おおっ、そりゃあザックリ言って面白そうじゃないっすか。俺に任せてくださいよ?ズキューンキッスさえ封じればもうプリキュアは怖くねえ!」
「ふふっ、期待してますよ?」
ザックリーはスパットから渡された強化アイテムを受け取り、手にしたデータを聞くと自信満々にザックリーは返事をした。実行は明日であるが、ザックリーはこれでプリキュアが倒せるとやる気を漲らせていく。この様子を見ていたスパットとチョッキリーヌはどこか上機嫌だ。
(これでザックリーがアイドルプリキュアを倒してくれたら、私はこの任務から解放される。その時はこの器をとっとと捨ててダークイーネ様に全てを任せ、悠々自適に過ごしたいですね⋯まあ、何とかしてくれるでしょう。)
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side蓮
夕方、俺はいつものスーパーでひま姉から頼まれたものをカゴの中に入れていく。今回頼まれたのはグラタンのソース、マカロニ、チーズ、海老、鶏もも肉⋯最初の時点で確定だが今日の夜飯はグラタンだ。他には刺身用のタコもあるからタコの刺身もある⋯とりあえず、刺身のタコとグラタンの具材の一部はカゴの中に入れたところだ。
(ん?あれは⋯)
そんな買い物を進めていく中、俺はお菓子売り場に黒髪ロングのお下げ美人がグミを売ってるところで売ってあるグミとにらめっこをしている。こいつ、まさか⋯そう思って俺はその女性の元に歩み寄った。
「メロロン、お前⋯何してるんだ?」
「えっ、蓮⋯」
その人物とはめろんこと人間態のメロロンだった。何をもってグミとにらめっこしていたのか⋯彼女は俺の方を見ると少し俯いてしまう。言いたいことは分かっているが、とりあえずここは店内⋯俺も冷静にしねえとな。
「安心しろ。ここでは何も言わない⋯で、何をお前は買いたいんだ?」
「このうらないグミってのを沢山買いたいの。お姉様の大好物だから⋯でも、流石に1人で独占するのはちょっとと思って。」
「そういうことか。すみません、店員さん!」
「はい、何でしょう?」
「この子がグミを沢山買いたいと言ってるんですけど、どれぐらいなら買って良いですか?」
「そうですね⋯お金があるなら全部買って頂いても極端な話可能ですよ?賞味期限の関係で新規品と在庫を入れ替えたいと思ってたので。どうしましょうか?」
「それなら俺が全部買い取りますよ。それだけのお金はあるので⋯」
「れ、蓮!?それは流石に悪いわよ⋯あなたもおつかいがあるんでしょ?私が出すから!」
「いや、俺に出させてくれ。お前、そこまで金に余裕がねえだろ?顔に出てるっての⋯」
「⋯」
俺はメロロンに有無を言わせず、グミを全部買い取った。俺には言うまでもなくVTuberとしての活動で稼いでるものだからお金に余裕はありまくりだ⋯メロロンはどうせ田中さんの金を当てにしていてたかが知れている。それからも俺とメロロンはそれぞれの買い物を済ませてから店を出るのであった。
「あの⋯蓮、私のためにお金を出してくれてありがとう。それと、あの時はごめんなさい⋯咲良うたを酷い目に遭わせて。」
店を出るとすぐ、いの一番にメロロンが俺に感謝と謝罪をする。流石にプリルンファーストのメロロンとてうたに風邪を引かせてしまったことは反省していたようだ⋯この姿勢を見て俺の中で怒りが鎮まり心のモヤモヤは消えた。
「安心しろ、うたは明日になれば学校に戻れる⋯キラキライトを紛失させたことは気にすんなよ。」
「そう⋯でも、どうして私を責めないの?あなたの好きな咲良うたに意地悪をしてきたし、今回のこともあるのに。」
「まあ、お前が悪びれもしなかったら俺はお前を一発殴っていただろうな⋯でも、素直に謝ってくれた。それを見て俺は怒るのがバカバカしいと思ったよ。とにかく、俺の中でもキラキライトが見つかって、うたも無事で本当に良かった⋯それに、プリルンを助けたい気持ちはお前も一緒なんだろ?」
「それは⋯」
「だったら同じ気持ちを持つ者同士で憎しみ合いはなしだ。これ以上は責めたりしねえよ⋯だから、お前ももう気にすんな。」
「本当にあなたって人は⋯バカよね。でも、ありがとう。」
俺が落ち込むメロロンを励ますと、彼女も素直になれないなりに感謝の気持ちを俺に伝える。顔を赤くしながらもデレるところが可愛い⋯が、ダメだ!もうブレるな、俺。うた一筋を貫かねえと!
「それにしても、あのグミ⋯うたもプリルンによく食べさせてたと聞いてたよ。もしかしたら、味は覚えていたかもしれねえな⋯恐らくメロロンが与えたことになってるとは思うが。」
「恐らくそうかもね。ところで、お兄様は?」
「ああ、ヨーヨイは田中さんと2人でプリルンの記憶をどうしたら取り戻せるかを話し合ってるよ。」
「タナカーンと?でも、何をしても無駄よ⋯お姉様の記憶は理論上では戻らない。それなら私が0から思い出を作って独り占めするまでなんだから。」
「その気持ちは分かるが、プリルンはメロロンだけのものじゃねえぞ?どうしてお前はそんなにプリルンとヨーヨイに拘るんだ?」
「決まってるでしょ⋯私、お姉様とお兄様がプリキュアを探しに行ってからずっと1人だったの。もちろん、寂しかった⋯なのに、お姉様とお兄様ははなみちタウンで沢山のお友達を作っていて、特にお姉様を独り占めしていた咲良うたが気に入らなかったわ。」
「だから、うたを目の敵にしてたのか。でも、俺もヨーヨイとずっと一緒だったけど憎まなかったよな?どうしてだ?」
「分からない。でも、確かなことは蓮が気を遣える人だったからかもしれないわね⋯咲良うたはそれができなくてお姉様を独り占めしてたから気に食わなかった。悔しくて悔しくて仕方なかったわ⋯」
メロロンは俺と足並みを揃えて歩く中、俺の横でようやくうたにもみんなにも明かせなかった本音を打ち明ける。俺やプリルンとヨーヨイ以外のみんなには悪態をつくメロロンも俺の前だと何だかんだで素直になる⋯不思議なことだ。
「そうそう⋯今、話したことはみんなには内緒にしてくれるかしら?これは蓮と私だけの秘密、良いわね?」
「そうだな⋯俺が立て替えたグミ代を返済してくれるなら内緒にしてやるよw」
「むぅ、蓮の意地悪。」
「冗談だって。そんな怒んなよ⋯」
「あなたが言うと冗談に聞こえないわ。それよりも⋯ねえ、人間の私って美人だと思う?」
「どうしたんだよ、薮からスティックに⋯」
「いや、ルー〇柴のようにふざけないで。私、この姿で街を歩いていると色んな人から褒められるし、この前は芸能事務所の人からモデルとしてスカウトされたの⋯それに、あなたからも褒められたことは忘れないわ。」
「そういえば、そんなことも⋯ってスカウト!?それでどこの事務所でそのオファーは受けたのか?」
「確か168プロダクションって事務所だったわ⋯もちろん、オファーは断ったけど。お姉様と一緒にプリキュアをやらなきゃいけないという使命が私にはあるし⋯」
「そうか⋯(マジかよ、ウチの事務所⋯メロロンをオファーしてたのか。同じ事務所になる前に断ってて良かったぁ⋯)」
俺はメロロンが事務所というか168プロダクションからのオファーを断ったと聞いてひと安心する。彼女が同じ事務所に入って仲良くしてたら熱愛報道が出間によって仕立てられてただろうし、何よりも妖精だからな?色んな意味で助かったよ。
「それで、私のことはどう思ってるの?」
「ああ、事務所にスカウトされるぐらいだからそりゃあな⋯初めて見た時も思わずドキッとしたし。お前は絶世の美女だよ。それは事実だ⋯」
「へぇ⋯でも、こんな風にクールぶってるわりには人間の私を見てたあなたの顔、凄く真っ赤だったわよ?いけない人ね⋯好きな人がいるのに。」
「からかうんじゃねえ⋯でも、同時にお前にはめちゃくちゃムカついてたんだよ。」
「何?もうどんな罵詈雑言を言ったところで手遅れだけど。とりあえず、言ってみなさい?」
「お前⋯何で俺と同じぐらいの身長なんだよ?プリルンなんか俺よりも高いじゃねえか!もうそれがムカついてムカついて⋯」
「そういうこと?でも、まだあなたの方が高いじゃないの⋯私はこの前身長を測った時は165cmだったわ。」
「3cm差⋯くっ、もっと牛乳飲んで身長伸ばしてやる!」
「変なの⋯」
俺がメロロンの同じ世代としては高い身長を受けて嫉妬してしまう。俺よりは低いけども俺が低いからなぁ⋯しかも、メロロンは身長が高いだけじゃなくてスタイルもモデル体型で出るところは出ててメリハリがついている。本当に何故神様はプリルンとメロロンにあんなお姉さんのビジュアルを与えたのか⋯そんな恨み節を心の中で唱えるのだった。
~~~~~~~~
「ここまでで良いわ⋯本当に私の分まで運んでくれてありがとう。」
あれから俺は自分の荷物だけでなく買い取ったグミも全部プリルンとメロロンの家でもある出張所まで運びメロロンにグミの袋を渡した。自分が買い取ったとはいえ、これらを持って山道を登るのはしんどすぎである。
「気にすんなって!お前が困った時はいつでも俺が助けるからな⋯あの時言ったろ?困ったことがあったらすぐ駆けつけるって。」
「あの約束、まだ有効だったのね?私がメロロンだと知ったとしても⋯」
「当たり前だ。俺は身の回りにいる人や妖精はみんな友達だと思ってる⋯もちろんお前もだよ、メロロン。メロロンの本音も聞けて本当に良かった⋯これからは1人で気負いすぎるなよ?」
「ありがとう。あなたって本当に優しいのね⋯羨ましいわ、蓮の誰にでも優しくできる心の広さ。」
「そんな大したことでもねえよ⋯じゃあ、またどこかで会おうな。俺、うたに恋をしてなかったらお前に恋をしてたぐらい大好きだったぜ?」
「⋯」
「(しまった⋯俺は何てことを!?)じ、じゃあな!」
俺は思わずとんでもないことを言ってしまい動揺し、メロロンの前から逃げ去る。何てことを言ったんだ、俺は⋯まあ、これはifの話だ。うたに恋をしてなかったら人間のメロロンに恋をしていたのは事実である⋯でも、本人の前でそれを言うか!?俺の頭の中は弾けるポップコーンのごとくパニック状態に陥るのであった。
いかがでしたか?うたちゃんの涙⋯本当に原作で観てても辛かったです。親友のプリルンを失って思い出し、絶望して泣き崩れるという⋯その中で担当声優だった松岡美里ちゃんの演技力はやっぱ凄いなと感じました。ザックリー役の佐藤せつじさんがXで明かしてましたけど、彼女の泣きの演技にもらい泣きをしたそうです⋯最近の若手は個性がないとかトーキングマシンとか言われてますけど、美里ちゃんは別なのだと思います。今の若手の中では歌唱力も演技力も抜けてるのではないでしょうか?
その中でその次となったザックリーはやはり辛いワインを引き当てるという⋯結局全部だったことがスパットによって明かされましたが、そんなこんなでスパットから研究結果を基に生み出したクラヤミンダーの素を託され自信あり気上手くいくかどうか?
蓮はうたちゃんとメロロンの本音に今回触れましたけど、2人ともに励ますことができて良かったなとは思ってます。原作よりは救われたのではないでしょうか?蓮も初期のやさぐれてた時から変わりましたね。冗談も言えるようになるぐらい心に余裕があります⋯次回は後編、どうなることか?次回もお楽しみに!
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