キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達-   作:寿垣遥生

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遥生です。名探偵プリキュアのリーク画像が世に出回ったわけですけども⋯とりあえず、傾向としては偶数年のプリキュアは最大4人なのでどうなることかと思います。とりあえず、年明けの予告PVで声優とかキャラとか色々答え合わせをしていきましょう。まだ確定要素とは言い切れませんしね⋯

さて、そんな今回はキミプリの投稿の番です。今回はオリジナル回となりますけど、笑華の誕生日回となりますね⋯プリルンが記憶を取り戻した当日のその続き、どんな風に彼女をお祝いするのか?そして、京都の方にオーディションに行っている笑華本人の動向は?そこら辺をお届けいたします。

それでは、また後書きにて…


#53 笑華の誕生日に向けて⋯

side蓮

 

 プリルンが記憶を取り戻した日にしてニカ姉の誕生日当日の昼休み、俺達はまた以前のように俺、うた、なな、こころの4人に加えてプリルンとメロロンとヨーヨイも一緒に中庭で昼の弁当を食べながら話をしていた。

 

「プリルン、タコさんウインナーだよ!」

 

「プリ!うたのタコさんウインナー大好きプリ、いただきますプリ♪」

 

「ダメメロ!咲良うた、タコさんウインナーでねえたまを釣るのは卑怯メロ!ねえたまはメロロンが作ったカニさんウインナーを食べるメロ♪」

 

「お前ら落ち着けヨイ。メロロンのは俺が食ってやる⋯うん、美味いヨイ!」

 

「にいたま⋯ズッキュン♪」

 

 うたとメロロンがプリルンにどっちのウインナーを食べさせるか争っていると、そこにヨーヨイが間に入ってメロロンのカニさんウインナーを美味しそうに食べる。それを見たメロロンは思わずズッキュンと堕ちた⋯まあ、騒ぎが大きくならなかったことは大きいと言える。

 

「ねえ、蓮くん。今日は笑華ちゃんのお誕生日だけどどうお祝いするのか決まってるの?」

 

「具体的なことは分かんねえ。でも、今日は映画の主演をかけてのオーディションで京都に行ってるからその間にプレゼントを買いたいなぁとは思ってる⋯あと、会場はひま姉と話し合ったけどグリッターでやろうと考えてて店を貸し切ってからニカ姉の仕事の関係者も集めようと考えてるよ。人数はまだ分からないけど、グリッターは全員受け入れられるか?」

 

「うん、大丈夫。今頃、陽葵さんが交渉してると思うけどお母さんもOKを出してくれるはずだよ。」

 

「そうか。ありがとな、うた!」

 

「笑華先輩の関係者ですか⋯有名人が沢山で心キュンキュンしてます!カイトさんとかは出るんでしょうか?」

 

「カイトさんか⋯ニカ姉とアイドルの同期で親友だしな、きっと来るだろうよ。」

 

「か、カイトさん!?」

 

「うたちゃん、どうしたの?」

 

「いや、ちょっとあの時からカイトさんの前になると緊張しちゃって⋯」

 

 カイトさんが恐らく出席することを知るとうたは思わず驚いて急に緊張してしまう。うたがカイトにどんな気持ちを抱いているのかは俺には全く読み取れない。複雑ではあるが、確かなことは彼への憧れがあることだ⋯でも、恋に落ちてたりとかしてたらどうしようか?カイトさんは俺とうたのことを応援しているのだが。

 

「プリルンも笑華の誕生日パーティー参加したいプリ〜!」

 

「お、おい⋯待てヨイ!俺達妖精がウヨウヨしてたら大問題になるヨイ。バレたらどうなることか⋯」

 

「だったら人間になれば良いじゃねえか。お前達にはできるだろ?」

 

「あっ、そっか。」

 

「そうだったプリ!メロロンも一緒にパーティーを楽しむプリ♪」

 

「でも、メロロン⋯男の人からナンパされるのが怖いメロ。人間になるとみんなメロロンに声をかけてきて気持ち悪いぐらい迫られるから⋯」

 

「だったら俺がメロロンのことを守るヨイ。お前には手も足も出させねえ!それでもダメなのかヨイ?」

 

「にいたま⋯そこまで言うならメロロンもパーティーに参加するメロ。」

 

「決まりだな。それじゃあ、放課後はニカ姉のプレゼントを買ってからグリッターに集合だ!沢山お祝いしようぜ?」

 

「「うん!」」

 

「はい!」

 

「プリ!」

 

「メロ!」

 

「了解だヨイ。」

 

 こうして俺達全員は色々あれどパーティーに参加することとなった。メロロンはナンパされる不安を吐いたが、そこはヨーヨイが守ってくれるとのこと⋯とりあえず、今日のニカ姉の誕生日パーティに向けて午後からの授業も頑張らねえとな!京都から帰ってきたら沢山喜ばせたいと思うばかりだ。

 

side out

 

 

 

 

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side笑華

 

 私は朝から新幹線で京都まで揺られ、タクシーで移動してから今は太秦映画村にある控え室でオーディションに向けて心の準備をしている。その中で田中さんからLINEでメッセージが来て私はLINEのアプリを開く。

 

『先ほどクラヤミンダーが出現しましたが、蓮さん達が無事に浄化しました。そして、プリルンの記憶も無事に戻りました。うたさんもかなり喜んでいらっしゃいましたよ。笑華さんの方はどうですか?緊張すると思いますけどオーディション頑張ってください!今日がお誕生日ということで帰ってきたら沢山お祝いしますので健闘を祈ってます。絶対に合格してくださいね!』

 

(クラヤミンダーが出てたんだ⋯でも、蓮やみんなが何とかしてくれてプリルンの記憶も戻って良かった。うたもきっと喜んでるわね⋯田中さんも応援してくれてるし頑張らないと!)

 

「皆さん、そろそろオーディションが始まりますので会場の方にお集まりください。」

 

『はい!』

 

 スタッフから呼ばれて私や同じ控え室にいる他の参加者はオーディション会場へと向かう。時刻は開始時間の30分前の朝の9時半⋯参加者は全員、エントリーナンバー付きの名札を渡されてそれを胸元に付けてから会場である会議室に入った。(ちなみに私の番号は51番)

 

(しかし、結構多いわね⋯主人公に選ばれるのは1人だけってのに60~70人はいるんじゃないかしら?この作品に賭けてる女優さんって多いのね。)

 

「隣、良い?」

 

「どうぞ⋯って夏森さん?」

 

 すると、声が低くてクールそうな顔立ちに黒のショートボブの髪をした女性が私に声をかけて隣に座る。番号も52番だし、まさに隣の人物で誰かと思って顔をちゃんと確認すると私と同じ高校に通うクラスメイトにして子役としては同期で今では女優として活躍する夏森結子(なつもりゆうこ)さんだった。

 

「誰かと思ったら朱藤⋯またあんたの隣とかマジ最悪。」

 

「それは私に言ったってしょうがないでしょ。番号を指定したのは今回の作品の制作会社のトーエーなんだから⋯で、夏森さんもオーディションを受けるの?」

 

「当たり前でしょ。今回の作品に私は命を賭けてるの⋯もう『バイプレーヤー』とは言わせない。ここで主人公の座を掴んで私はあんたの姉である朱藤陽葵のような名女優への階段を歩んでみせる!アイドル被れのあんたには絶対負けないから⋯」

 

 夏森さんは私に負けまいと思い堂々と宣戦布告する。今回、彼女と争う作品はトーエーのお膝元の太秦映画村スタジオで撮影する時代劇映画の『なでしこサムライ』という女性ながら武士として活躍する主人公の活躍を描いた物語だ⋯ライバルとなる夏森さんは隣町にあるミルフィーユエンターテインメント所属で主人公役は過去に無いものの子役時代から脇役の味を出すのが上手くて『若き名バイプレーヤー』と呼ばれている人気女優である。その中で彼女は主人公の座を掴んでお姉ちゃんのような名女優を目指すつもりでいるようだ⋯しかし、私はムカついた。トップアイドルとして活躍してるってのに『アイドル被れ』と言われたのが許せない!

 

「夏森さん、私はアイドルとしてはトップよ。確かに女優としてはお姉ちゃんやあなたに及ばないのは事実だけど、そういう言い方はないんじゃないかしら?私だってドラマの主演は2本ぐらいしているし、演技力も子役時代からアイドル活動をしながらも鍛えていた⋯それなのにアイドル被れと言われたら私も黙ってはいられないわ。訂正してくれる?」

 

「本当にあんたって昔からプライドが高いわね。そんなにトップアイドルグループの看板娘でいるだけが誇りなの?主演って言ってもあんたの看板を使いたいテレビ局の思惑にはまっただけでしょ。私はそんなの、実力と認めない⋯その自尊心を今回で破壊してみせるから。今のうちに降参しなさいよ?」

 

「嫌よ。私は絶対に諦めないから⋯友達は諦めなかったから夢をさっき叶えたの。こうなったら私も諦めるわけにはいかない⋯勝負よ、夏森さん!」

 

「望むところよ。正々堂々あんたを叩きのめしてみせる!」

 

 そして、私と夏森さんはお互いに睨み合った。いつもは誰のことも気にせずに自然体でオーディションに挑む私も今回ばかりはその売られた喧嘩を買うことに⋯アイドルとしての私をバカにされて黙っていられないのだ。そして、主人公役を賭けた夏森さんとの戦いは始まった。

 

(およそ30分後⋯)

 

「皆さん、おはようございます。今回のオーディションの進行を務める『なでしこサムライ』のプロデューサーの鷲尾隆(わしおたかし)です。まず初めに本作品の監督である西尾大祐(にしおだいすけ)よりご挨拶申し上げます。西尾さん、お願いします⋯」

 

「はい。ご紹介に預かりました、『なでしこサムライ』の監督を担当することになった西尾です。今回、私が作りたいと思う作品は『もしも女の子が武士だったらどうなるか』、それを皆さんに問う作品にしたいと思っております。その答えを出せるのに相応しい役者に私は主人公の雪城渚(ゆきしろなぎさ)をやってもらいたいです。今回、私は鷲尾くんと共に午後の集団面接の時に面接官をやらせて頂きますけど緊張しすぎない程度に気を引き締めて頑張ってください。皆さんの健闘を心から祈りまして私からの挨拶といたします。」

 

「西尾監督、ありがとうございました。それでは早速午前中のオーディションの第1試験を行います。問題用紙と解答用紙をお配りください。問題用紙はまだ表にしないでくださいね?」

 

 プロデューサーの鷲尾さんが指示を出すと、スタッフの人が裏返しの問題用紙と解答用紙を配っていく。とりあえず、私はバッグから筆記用具を出してから問題用紙を裏返すことなく待機する。まさか、第1試験は何かのテストなのだろうか?私、そんな勉強してないのに⋯もしかして、ここで落ちちゃった?

 

「配り終わりましたね?第1試験として皆さんには今から幕末に関するテストを行います。この作品は幕末の江戸が舞台になっており、その時代背景をいかに理解してるかを試します。なお、このテストは終了後即採点を行い成績下位20名は不合格としてこの会場から去るように。歴史認識のない人には時代劇映画の主役をやる資格がないと思ってください⋯制限時間は1時間、それでは始め!」

 

 鷲尾さんの合図によって早速試験が始まる。まさか日本史のテストをここでするなんて⋯まだ高校では幕末に関しては習ってないし、勉強していないがここは中学までの知識で記憶している範囲内で頑張ろう。

 

(でも、中身としては案外解けそうね⋯中学生レベルじゃない。これなら何とかなりそう!)

 

 出された問題が中学生レベルと確信した私はスラスラと問題を解いていく。他は少し苦戦する面々もシャーペンの音からして結構いたけど、私は元から歴史の分野は苦手ではなかったから結構解けたという自信はある。どうなるかは分からないけどね⋯

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 歴史のテストを終えて採点中の1コマ⋯自由時間というか休憩時間を私も周りも過ごしているのだが、他がテストの不安に駆られる中で私は気持ちの余裕もあってか私はスマホを触っていた。

 

「あの⋯すみません。」

 

「はい?」

 

 すると、私は突然隣の隣の53番の人から声をかけられてその人の方を向く。何やら心配というか不安な表情を浮かべていて、何があると言うのかしら⋯

 

「52番の人が席を外してからもう10分ぐらい経ってますけど、大丈夫ですか?体調不良とかだったりしないですよね?」

 

「多分、大丈夫と思いますけど⋯私が呼びに行きましょうか?」

 

「お願いします。それと⋯午後の最終試験の集団面接は一緒になるかもしれませんけど、その時はよろしくお願いしますね?」

 

「こちらこそ⋯では、探してきます。」

 

 私は53番の人に言われて、夏森さんを探すことにした。それにしてもいくら自由時間とて10分も席を外しているのはおかしい⋯何か変なことをしてなければ良いけど、あの人に限ってそんなことはしないだろうとは思っている。

 

(夏森さん、どこに行ったのかしら?)

 

「うん⋯うん⋯もう心配せんといて?ウチは大丈夫やから。もう16やで?自分で東京に帰れるって!」

 

 しばらく探し回っていると、階段の踊り場で夏森さんが誰かと通話をしている光景が目に入った。しかも彼女の口調はいつもとは違いコテコテの関西弁である⋯夏森さんが大阪出身なのは前から知ってたけど、関西弁で話すところは初めて見た。

 

(夏森さん、普段はクールで淡々としてるけど本当は典型的な関西女子なのね⋯意外な一面かも。)

 

「学校?そんなんオーディションのために休んだに決まってるやん⋯東京と京都がどれだけ離れてるか分かってるんか?⋯もう、じいちゃんはジョークが上手いなぁ。」

 

(へぇ⋯相手は夏森さんのおじいさんなのね。演技以外では仏頂面をしてる彼女がこんなにも楽しそうに話してるから面白い人なのかしら?)

 

「あっ、ウチはそろそろオーディションに戻るさかい電話切るわ。じいちゃん、今も京都の病院で入院してるんやろ?帰りにお見舞いに行くからお土産買ってから来るで。絶対、主人公役勝ち取るから⋯ほな、また。」

 

 そう言うと、夏森さんは通話を切ってさっきまでの笑顔からまた張り詰めた表情に戻る。これがプロの女優の気持ちの切り替えなのだろうか⋯私には無理だ。

 

「おじいさんと話してたのね?」

 

「⋯朱藤、盗み聞きしてたの?」

 

「まずこっちが訊いてるんだけど⋯私はただ夏森さんを探しに来ただけよ。そうしたら、踊り場で滅多に見せないぐらいの笑顔でおじいさんと話してて⋯あなたも仕事以外であんな表情ができるのね?」

 

「やかましいわ、アホ!⋯じゃなかった、もう!私のバカ、東京では標準語で話さなアカンってのに何してんねん!」

 

「もうガッツリ関西弁出てるわよ?」

 

「とにかく、私が関西弁を話してたことを漏らすんじゃないわよ?もしも漏らしたらあんたを殺す⋯良いわね?」

 

「別に関西弁で話してたことがバレても良いでしょ⋯大阪出身というのはあなたのプロフィールに出てるんだし。」

 

「それでもなの!私の女優としてのブランドに関わるんだから。とにかく、秘密は守りなさいよね?」

 

「分かったわよ。」

 

『オーディションに参加中の皆さん、採点の方が終わりましたので試験会場に集合の方をよろしくお願いします。繰り返します⋯』

 

「とりあえず、話の続きはまた後でね⋯歴史のテストで落ちるんじゃないわよ?」

 

「夏森さんこそ。」

 

 そんなこんなでスタッフから会場に戻るようにとアナウンスがあり、私と夏森さんも戻ることに⋯それから通過者が発表されたが、私も夏森さんも二次試験に駒を進めた。下位20人は不合格となり、残りは50人⋯私達はお昼を食べてから午後の二次試験へと向かうのだった。

 

「それでは、今から二次試験の体力テストを行います。」

 

 昼ごはんを食べ終えて運動着に着替え終えた私を含めた50人は映画村の寺田屋の前に集められる。二次試験は体力テストということだが、激しい運動じゃないかと少し不安だ⋯激しいのだったら昼の弁当を吐いてしまいそうね。

 

「今から皆さんには腕立て伏せをしてもらいます。ルールは簡単で太鼓の音に合わせて腕立て伏せをしますが、皆さんには残り25人になるまで続けてもらいます。音から遅れたり続行不可能になった者は即失格とさせて即帰宅するように⋯それでは腕立て伏せの準備をお願いします。」

 

 鷲尾さんの指示で私を含めて残った50人は腕立て伏せの構えをする。こうやって腕立て伏せをちゃんとするのはかなり久しぶりだが、とにかく私は次に進む残り25人に残らないといけない⋯そのためにはまず最低でも夏森さんに勝たないとだ。

 

「始めます、1!」

 

 そして、鷲尾さんのカウントの声と太鼓の音が鳴り地獄のサバイバルが幕を開けた。まず最初の1回は当然ながら全員クリアする⋯しかし、腕立て伏せは回数を重ねていく度に腕の筋肉に乳酸が溜まっていきキツくなっていく。何とかペース配分していかないと⋯

 

(10分後⋯)

 

「50、51⋯」

 

「もう無理⋯!」

 

「私も⋯」

 

「25番、31番失格。52⋯」

 

 回数が50を過ぎた頃からとうとう脱落者が出始める。成人女性の腕立ての連続回数の平均はゆうに越えているというのにここまで耐えただけでも凄いのに⋯とにかく、私は落ちるわけにはいかないのだ。何としても夏森さんに勝って主人公役を手中に入れるまでは倒れられない!

 

「60。」

 

「ああっ⋯!?」

 

「京香、大丈夫?」

 

「35番、38番、失格。」

 

「ちょっと待ってください、どうして私も失格なんですか?」

 

「38番の下村さんですかね?何故失格なのか⋯あなたが腕立て伏せをやめたからです。一緒に来ていたお友達を助けるためにやるべきことを放棄した⋯つまり続行不可能と私が見なしたわけです。これでも文句を言うおつもりで?」

 

「そ、それは…」

 

「これは仲良しごっこではない⋯役者生命を賭けた鉄火場です。今のあなたのような生半可な気持ちではこの先、競争社会の役者業はやって行けませんよ?理由を理解したのなら終わるまで大人しく座りなさい。」

 

「は、はい⋯申し訳ありません。」

 

 力尽きて倒れた35番の人を助けようとしたお友達であろう38番の人が失格になった理由を訊ねてごねたが、それを鷲崎さんは一蹴して黙らせて38番の下村さんは座ってから落ち込んだ。静かではあるが、彼の真剣さと怒りが伝わってくる⋯本当にこの人を敵に回してはいけないなと思ってしまった。

 

「それでは、続けます。61、62⋯」

 

 それからも腕立て伏せサバイバルは続いていき、次々と脱落者は増えるばかり…夏森さんも表情がキツくなるが必死に踏ん張っている。もちろん、私だって辛いし今すぐにでもギブアップしたい⋯だけど、私は誓った。誕生日を祝ってくれるみんなの前でオーディションに受かったことを報告するって!それまでは負けられないのだ…どんなに辛くても私は諦めない。

 

「100!」

 

「はあ、ダメ。腕が⋯」

 

「69番失格、そこまで!」

 

 鷲崎さんによる25人目の失格コールと共にようやく腕立て伏せサバイバルが終わりを告げる。私を含めて生き残った25人はもうヘトヘトで倒れ込む人も中にはいた⋯この生き残った中にはもちろんライバルの夏森さんも含まれている。

 

「皆さんお疲れ様でした。さぞ疲れたことなので寺田屋を休憩室として開放いたします。30分体力回復に努めてください⋯冷房は効かせてますし、スペシャルドリンクとタオルも人数分用意してますのでゆっくりするように。あと、不合格となった皆さんはすぐに荷物をまとめてお帰りください⋯では、一旦解散。」

 

 そして、私を含めた生き残った人達は寺田屋スタジオの中に入ってから冷房の効いた室内で汗をタオルで拭ってから用意されたスペシャルドリンクを飲みゆっくりする⋯本当に今回はこれまで受けてきたオーディションの中で1番文句なしで過酷だ。でも、不思議と私は耐えれている⋯と言うのも、私はPretty Fruitsデビュー前の合宿で当時は鬼だったリーダーである希望ちゃんから今回が比にならないメニューを与えられてそれをこなしてきたから全然メンタルは余裕だ。これで挫折してるみんなが弱く見えてしまったわね⋯

 

「あんた、まだ生き残ってたの?しぶといわね⋯」

 

「夏森さんこそ。どうして主人公役を勝ち取りたいと思ってるのかしら?」

 

「もうあんたは聞いてたと思うけど⋯私のじいちゃんはこのスタジオのの近くにある病院に入院してて病気で余命宣告をされてるの。もって2、3年⋯そんなじいちゃんは時代劇が物凄く大好きだから、私がその主人公になって活躍する姿を映画館で見せたい⋯その一心よ。」

 

 夏森さんは真剣な表情で主人公役に選ばれたい理由を語る。こんなにも深い理由を聞くと普段の私なら譲るかもしれない…でも、これはオーディションという真剣勝負だ。同じ芸能界で生きる者として情けはかけない。

 

「なるほど。あなたの気持ちはよく分かるわ⋯でも、私も地元で待ってくれる家族や友達やマネージャーのために頑張ると決めてるし、女優としても私はもう一度成長したいと思ってる。今はアイドルとして安泰かもしれないけど、私はいつまでアイドルとしていられるのかは分からない⋯だから絶対に譲る気はないわ。」

 

「本当に朱藤はいつまでも私にとっては邪魔者ね⋯子役の時からそうだった。私が受けた役のオーディションではいつもあんたに負けっぱなし⋯それから私はあんたを避けてオーディションを受けて合格してきたけど、また対峙することになるなんてね。」

 

「それって私が凄いということを認めてるつもり?お褒めに預かり光栄です。」

 

「あんた、メンタル強いのね。とにかく私はもう朱藤だけには負けるつもりはないから⋯せいぜい最終試験まで落ちるんじゃないわよ?」

 

「もちろん、そのつもりでいるわ。私も夏森さんだけには負けないから⋯」

 

 これからラスト2つの試験という中で私と夏森さんはまた睨み合う。残るはアクションと集団面接⋯どっちにしても私はこの日に向けて負けないように極める努力をしてきた。同じ事務所の 侍として出演の経験がある大先輩の俳優さんと殺陣の練習をしてきたし、面接も色んなシチュを想定してお姉ちゃんと練習してきた。もう私に怖いものはない⋯絶対に合格してみせる!

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「ただいま戻りました⋯」

 

 時を少し戻して、チョッキリ団のアジトにザックリーが帰還する。しかし、彼はかなり落ち込んでいた⋯スパットから与えられた力で勝てる見込みだったところで想定外なことが起きて逆転を食らったのだから。

 

「おかえりなさい、ザックリーさん。」

 

「まったく、あんたってやつは何をしてるんだい?スパット様から力を与えられたのに負けるなんて⋯情けないよ!」

 

「まあまあ、チョッキリーヌさん。それにしても⋯まさか記憶喪失のプリルンが記憶を取り戻しただけでなくキュアアイドルの歌の力で闇を脱するとは。本当にあの子達の起こす奇跡は私のデータの範疇外を行くものですね⋯」

 

「そうっすよ、ザックリ言ってせこくないっすか?あいつらに奇跡を起こされまくりで超ムカつくっす!あと少しでプリキュアを倒せたのによぉ⋯」

 

「でも、負けは負けじゃないか。負け惜しみなんて本当にみっともないよ!そうですよね、スパット様?」

 

「いえ、今回ばかりは負け惜しみも仕方ないかと思いますよ?現状だと私達3人だけでは戦力的に限界なのも否めません⋯そこで、ザックリーさんの要望を飲んで新しい仲間をスカウトしてきました。」

 

「マジっすか!?俺1人じゃ大変だったんすよ⋯チョッキリーヌ様はサボるし、スパット様はお忙しいし。これで俺もゆっくり休めますよ⋯」

 

「私がサボりって余計なことを言うんじゃないよ!随分生意気になったもんだねぇ⋯で、その仲間とはどのようなやつなんですか?」

 

「ええ、とんでもないぐらいの闇を抱えたはなみちタウンの人間を洗脳して雇いました⋯名前はジョギ、そのうちこっちにも顔を出すことになるのでその時はチョッキリーヌさんとザックリーさんに先輩として面倒を見て頂きたいと思ってます。できますね?」

 

「御意!」

 

「ザックリお任せっす!で、それまで俺はどうすりゃあ良いんすか?」

 

「とりあえず、ジョギさんが合流するまではザックリーさん⋯あなたに全ての任務を一任します。」

 

「ええっ!?嘘でしょ⋯俺、もうここ最近出動しまくりで疲れてるんすよ?それに、雑用もチョッキリーヌ様に押し付けられて休む暇がないのに⋯ザックリ無茶言わないでくださいよ?」

 

「うるさいやつだねぇ、あんたが1番下なんだから何でもするのが当たり前じゃないのかい?スパット様に逆らうんじゃないよ!」

 

「ひ、ひい!?(スパット様もチョッキリーヌ様も鬼だ⋯カッティー、頼むから戻ってきてくれ〜!)」

 

 こうして、チョッキリ団には朗報として新しい仲間が加わることになるもザックリーは合流するまでの繋ぎをスパットによって課せられしまった⋯彼の連勤は終わらない。いつまでも、どこまでも⋯




夏森結子(なつもりゆうこ)

(脳内)CV:夏吉ゆうこ

身長:160cm

体重:48kg

誕生日:5月1日

年齢:16歳

笑華のクラスメイトにして子役時代からのライバル、ミルフィーユエンターテインメント所属。演技力の上手さに定評があり、『若き名バイプレイヤー』と呼ばれる人気女優も主人公の座を賭けたオーディションでは負けることが多く脇役止まりなことに悩まされている。ただ、脇役のオーディションですら笑華相手だと負けていて全敗⋯今回の主人公を賭けたオーディションで初の主役と笑華への初勝利を狙う。ちなみに、大阪出身で親しい人以外には標準語も家族や友達といった親しい人達に対しては関西弁を使う。

鷲尾隆(わしおたかし)

(脳内)CV:森川智之

『なでしこサムライ』のプロデューサー、普段は冷静で温厚も作品作りにはとことん厳しい。

西尾大祐(にしおだいすけ)

(脳内)CV:井上和彦

『なでしこサムライ』の監督、特撮を数多く担当した監督でアクション演出に定評がある。プロデューサーの鷲尾は大学の2年後輩で映画サークルの時から行動を共にしてきた。


いかがでしたか?プリルンは無事に記憶が戻り平和な日常が戻りましたけど、蓮達は陽葵頼りにはなりながらも姉である笑華の誕生日パーティーをどうするか考えることに⋯その中でうたちゃんとメロロンは相変わらずピリピリしてますけど、ヨーヨイが仲介して何とかなってます。笑華もライバルの結子と共に切磋琢磨しながらオーディションに挑んでいて、みんなからの期待を背に頑張っていますが⋯結子にも受かりたい事情があり互いに譲れないバトルに。その行方は次回の後編に決着がつくかなと思います。

そして、チョッキリ団はザックリーの連勤が決まる中でついに仲間が加わることが確定的に⋯その加わるのはジョギですけども、この彼の存在は今思うと凄いキープレイヤーなんですよね。ザックリーの立場もどうなるのか…今回は演出の都合上時系列がバラバラで申し訳ありません。

次回は後編でいよいよパーティーです。笑華はオーディションに受かって堂々凱旋できるか?どうぞお楽しみに!

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