キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達- 作:寿垣遥生
そんなこんなで今回は笑華の誕生日回の後編です。オーディションも佳境で終わればパーティー⋯最後にはヒロイン戦争の方向性が定まりそうな場面もありますので10000文字オーバーの長丁場ですがお付き合いください!
それでは、また後書きにて。
sideなな
「なな、おかえり。」
学校が終わって一旦家に帰ると、既にパパが家に帰ってきていてキッチンで夜ごはんの準備をしていた。今日のお仕事が早く終わったのだろうか?
「ただいま、パパ。お仕事早く終わったの?」
「うん、今日は外回り営業が終わって直帰して良いよって部長から言われたからね。そういえば、家に帰る道中でなな達の知り合いの田中さんと会って話を聞いたよ⋯今日はお友達の笑華ちゃんのお誕生日パーティーをグリッターでやるって。」
「そうなんだ。それで、今日は⋯」
「分かってる。沢山笑華ちゃんのことをお祝いしてくるんだよ?僕はななの帰りを待ってるから⋯」
「ありがとう、パパ!それじゃあ、笑華ちゃんへのプレゼントを買ってくるね。」
「あっ、待ちなさい。その前に今日、僕の部屋でこんな写真が見つかったんだけどななはこの時のことを覚えてるかな?」
「写真?これは⋯!」
パパがズボンのポケットから1枚の写真を取り出してから私に見せると、私は今まで覚えてなかったことを思い出した⋯忘れかけていたけど、写真を見ると映像としてその時のことが浮かび上がる。そっか、私はあの人と小さい時に既に会っていたんだ⋯私はそれからパパにお願いしてその写真のデータをスマホに転送してもらってから笑華ちゃんへのプレゼントを買った後にみんなが先に来ていたグリッターに合流するのだった。
side out
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side笑華
「それでは三次試験の『アクション』をやりたいと思います。」
休憩が終わった後に先ほどの地獄を勝ち抜いた私や夏森さんを含めた25人は鷲尾さんに今度は日本橋の前に集められて鞘に収められた刀をそれぞれ与えられてから次の試験の説明を受ける。ここは私が1番力をつけてきた要素⋯絶対に落とすわけにはいかない!
「今回、皆さんには殺陣をしてもらいます。時代劇では重要なアクションシーンですね。それを今回はあちらで待機している斬られ役のスペシャリストの皆さんとやってもらいますが、その前に今回の審査をしてくださる方を連れて来ました。どうぞこちらに⋯」
鷲尾さんがある人を手招きをすると、時代劇作品で数多くの侍役を担当した大ベテランの藤岡まことさんが私達の前にやって来た。この人はあらゆる時代劇に正義の侍役として出演した凄いお方で時代劇のみならず沢山のドラマの主演も担当したお方だ⋯私達のオーディションのためにそんな大御所が来てくださるとは聞いてなかったが、審査員として不足がなさすぎる。
「藤岡まことです。よろしく⋯」
「今回は数多くの侍役を担当された藤岡さんに皆さんの殺陣を審査していただきます。それで今回の試験の合格ラインですが、5人でよろしいですね?」
「ああ⋯沢山いてもこの後の集団面接が大変だろう?それに、君達も分かっているだろうが今回のオーディションで大事なのは武士の気持ちを理解しているかどうかだ。私は生半可な子は容赦なく不合格にするから真剣にやるように⋯」
『はい!』
そんな藤岡さんの重い言葉を聞いた私達が返事をして、それから殺陣のアクション試験が始まる。この言葉を聞いたみんなはこれまでにもなく表情が引き締まっていてどの試験よりも真剣だった⋯そんなこんなで残った人の番号が若い人に次々と殺陣をこなしていく。どの人も真剣で、私と夏森さんはラスト2人だからより緊張が高まるばかり。みんなどれも甲乙つけがたいから誰が生き残ってもおかしくない⋯私はこの人達を超えないといけないのね。
「次、51番。」
「はい、よろしくお願いします!」
そして、私の番が巡ってきて目の前の斬られ役の役者さんに一礼してからアクションが始まる。殺陣の練習の成果を見せてやろうじゃないの⋯見てなさい、夏森さん!
「「「やあああああ!!」」」
「はああ!やあっ、てやあっ!」
「隙ありいいい!」
「はああっ!」
私は襲いかかってくる敵役の2人のうち最初の1人の動きを止めてから斬り、立て続けにもう1人も斬り、隙ができてしまったところを襲いかかる敵も斬り片付けた。これはもう大先輩から学んだ技量である⋯我ながら決まった。
「凄いな⋯君、誰からその技術を学んだんだ?」
「事務所に所属している吹雪六郎(ふぶきろくろう)さんですが⋯確か藤岡さんの1番弟子でしたよね?」
「吹雪くんか、なるほど。彼の美しい太刀筋を継いでいるとはな⋯ふむ。この場ではどうとも言えないが、とても良かったとだけ言っておくよ。」
「ありがとうございます、藤岡さんからお褒め頂き光栄です。」
私は剣さばきを褒めてくださった藤岡さんに頭を下げてからお礼を言う。彼の表情は吹雪さんの名前を出した時に笑顔だったからきっと合格は間違いないはずだ!
「最後、52番。」
「よろしくお願いします⋯」
「「「はああああ!!」」」
夏森さんが冷静に挨拶して一礼してから刀を抜くと、斬られ役の3人が襲いかかってくる。さて、彼女はどんな殺陣で藤岡さんを魅せるのか⋯
「⋯」
「うわあ!?」
「ぐおっ!?」
「があっ!?」
しかし、夏森さんは私や周囲の予想とは反して無言でクールに美しい太刀筋で斬られ役を斬っていく⋯これには藤岡さんと鷲尾さんは目を見開いて感心した。
「なるほど、君もなかなかやるな。クールに敵を倒す、これも正義の武士としての振る舞いでもある⋯素晴らしかった。」
「ありがとうございます。」
藤岡さんは彼女の刀捌きを褒めるも夏森さんは過度に喜ぶことなく至って冷静に返した。こんなにも平常心を貫けるところも流石はトップクラスの女優と言うべきか⋯
「以上でアクションの試験は終了です。一旦着替えてからまた試験会場に戻ってください。最後の集団面接に進出する5人はこの後発表するので待機の方をよろしくお願いいたします。では、解散。」
そして、鷲尾さんの指示で私達は一旦解散となり着替えた後にまた試験会場で待機することに。とりあえず、私は残れたと思うし夏森さんも最終試験に残っていることだろう⋯私はとにかく合否発表を待つばかりだ。
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「皆さん、大変長らくお待たせしました。それでは今から最終試験に残る5人を発表いたします⋯」
着替えて待つこと20分、鷲尾さんが通過者の番号が書いてあるであろう紙を持ってやって来てはいよいよアクションの試験の結果が発表される⋯私は生き残れたか否か、とにかく夏森さんとの決着をつけたいという気持ちが強く出た。
「3番長嶋茂美(ながしましげみ)さん、17番大谷翔子(おおたにしょうこ)さん、47番工藤公香(くどうきみか)さん、51番朱藤笑華さん、52番夏森結子さん⋯以上です。この5人には30分後、面談室の方に来て頂き集団面接を行いますので⋯お待ちしております。」
鷲尾さんが通過者リストを読み上げると私は安心感と緊張感が同時に押し寄せてきた。隣の夏森さんも表情には出ないだろうが同じ気持ちだろう⋯そして、30分ぐらいの休息の後に集団面接へと気持ちを切り替えるのだった。
(30分後⋯)
『はい、どうぞ。』
「失礼いたします。」
3番の長嶋さんが先頭に立ってドアをノックし、それを長嶋さんが開けると私達は一礼してから面接官の鷲尾さんと西尾監督と向き合う。いよいよ最後の審判が幕を開けた⋯
「どうぞ、おかけください。」
『失礼いたします。』
鷲尾さんの指示に返事をして私達5人は指示通りに椅子に腰かける。面接の練習はしっかりお姉ちゃんとしてきたから大丈夫なはず⋯ただ、集団面接だから周りの答えによって流れは左右されるからそこだけは気を付けないとね。
「それでは、座ったままで結構なのでまずは所属事務所と名前をお願いします。長嶋さんからどうぞ⋯」
「はい、ジャイアンエンタープライズ所属の長嶋茂美です。よろしくお願いいたします!」
「LAD所属、大谷翔子です。よろしくお願いいたします!」
「劇団ライオン所属、工藤公香です。よろしくお願いいたします!」
「168プロダクション所属、朱藤笑華です。よろしくお願いいたします!」
「ミルフィーユエンターテインメント所属、夏森結子です。よろしくお願いいたします。」
まず私達は椅子に座りつつも所属事務所と名前を名乗ってから軽く一礼をする。こういう礼儀作法は面接の中でも初歩も初歩⋯この時点で失敗していたら合格も何もない。私はこういうところに力を入れてきたんだ⋯あとは質問次第である。
「ありがとうございます。それではまず私、鷲尾から質問に移らせて頂きます⋯皆さんは何故この作品のオーディションを受けようと思ったのでしょうか?志望動機をお願いします。まずは長嶋さんから⋯」
「はい、私は⋯」
まずはプロデューサーの鷲尾さんが志望動機についてを質問して長嶋さんから順番に答える。挨拶とか礼儀とかの次に大事なのはやはり志望動機⋯前の長嶋さん、大谷さん、工藤さんもなかなか素晴らしい志望動機を答える中で私の番に回る。
「次は朱藤さん。」
「はい、私は近い将来に女優として売ることも目指しているのでそのための挑戦として受けようと思いましたが、その中には幕末の歴史が大好きだというのもこの作品を受けるきっかけになったのも理由の1つです。」
「なるほど、幕末の歴史がお好きと。午前中のテストでは良い点数だったのも納得ですね⋯次、夏森さん。」
「私は時代劇が大好きな祖父のために自分の頑張りを見せるためです。祖父は今、京都の太秦映画村の近くの病院で入院していて余命2、3年を宣告されました。なので、祖父が生きている間に好きな時代劇に出てる私の姿を見せたいと思い志望いたしました。」
「素晴らしい心がけですね。気合いが伝わるわけですよ⋯では、次の質問は西尾さん、お願いします。」
「はい。それで次の質問ですが、今回のオーディションに向けて取り組んだ努力を教えてください。」
次は西尾監督が私達に質問を投げかけてくる。これは頑張ってきたことでこの作品への認識とか色々試しているのだろう⋯これも長嶋さんから順番に答えが出て、私の番に回ってきた。
「朱藤さんはどうですか?」
「私はこのオーディションに向けて歴史の認識の勉強を極めたり、武士を演じる上で殺陣や心の境地を事務所の先輩の役者さんから教わりました。このオーディションのために全て賭けてきたと自負しています!」
「分かりました。最後は夏森さん⋯」
「私はどんな役にでもなれるように常日頃からキャラをインストールして日常を過ごしたりしていますが、今回に関しては朱藤が同じオーディションを受けることを知ってからは朱藤には絶対負けないという気持ちで心を持っていきました。今までは負け続きでしたけど、今回ばかりは負けない⋯その一心です。」
(夏森さん⋯面接でそれ言うの!?何考えてるのかしら?)
「なるほど。競争能力が高くまさに野武士のような野心さがありますね⋯こういう武士らしい気持ちを持つのは素晴らしいことだと思います。」
「ありがとうございます。」
「それでは次の質問ですが⋯」
それからも集団面接は続き、私と夏森さんは丁々発止の駆け引きを繰り広げる。もう他の3人は相手ではない⋯とにかく、私は夏森さんに勝って主役の座を勝ち取るんだ。それだけしか考えていない。
side out
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side蓮
ニカ姉の誕生日プレゼントを買ってグリッターに集まった俺達は談笑しつつ本人を待つ。もちろん、プリルンとメロロンとヨーヨイに関しては人間の姿になってもらって参加することになったものの⋯
「私、もうお腹空いた⋯タコさんウインナー食べたい〜!」
「お前、もう少しで笑華が来るんだから我慢してろよ?」
「そうですよ、お姉様⋯笑華が来たら沢山食べて良いんですから。じっとしててくださいね?」
「分かったよ⋯」
その中でプリルンは空腹に耐えきれずバイキングとして置いてあるタコさんウインナーを食べようとしていたが、そんな彼女をヨーヨイとメロロンが2人がかりで諭す。本当にこんなのがメロロンが慕う『お姉様』の姿なのだろうか⋯姉妹逆に思えてくるものだ。ちなみに、3人はそれぞれみんなの前ではぷりん(プリルン)、めろん(メロロン)、洋平(ヨーヨイ)で通している。
「ぷりんちゃん、大人のような見た目をしてて可愛いんだね⋯蓮ちゃんのお友達って本当に愉快な子ばかりで楽しそう♪」
「あはは⋯ごめんな、こんな常識知らずのダチを連れてきて。」
「ううん、気にしないで。蓮ちゃんや笑華ちゃんのお友達だもの⋯悪い子じゃなさそうだし私としては大歓迎だよ。」
「そ、そうか?ひま姉やみんなの優しさに俺も助かるよ。」
ひま姉はプリルンの落ち着きのない行動を見て微笑む。俺はちょっと見てられなくて申し訳ない気持ちでいっぱいになるが、気にせずにいてくれて何よりだ⋯
「皆さん、大変長らくお待たせいたしました!主役の笑華の到着です。盛大にお祝いしてください!ほら、入って?」
「ちょっ、希望ちゃん⋯引っ張らないで!?」
ニカ姉を東京駅まで迎えに行ってた希望さん(昼頃に神戸から帰ってきてたらしい)は主役のニカ姉の腕を引っ張りグリッターの店内へと招き入れる。そのタイミングで俺を含めたみんなクラッカーを鳴らしてニカ姉を歓迎した。
『お誕生日おめでとう〜!』
「みんな⋯まさかお姉ちゃんや田中さんの言ってた通りにグリッターで本当にお祝いしてくれるなんて。ありがとう!」
「ニカ姉、おかえり。オーディションの方はどうだったんだ?」
「あー、えっと⋯ごめん!面接まで行ったんだけどね⋯夏森さんに負けちゃって落ちちゃった。」
「そっか。でも、頑張ったと思うよ?結子ちゃんは笑華ちゃんと同じ世代の中でも凄い女優さんだもん⋯お疲れ様。」
「お姉ちゃん⋯ありがとう。」
ニカ姉はオーディションに落ちて少し落ち込んでいたが、ひま姉から励まされてまた元気を取り戻す。何よりも今日は生誕パーティーなんだ⋯ニカ姉には笑顔でいてもらわねえとな!
「笑華ちゃん、笑華ちゃん!私達、プレゼントを買ってきたの。受け取ってくれる?」
「うたちゃん、ちょっと待って?その前にまず乾杯の音頭をしないと⋯お腹空いてる人もいるしね。蓮くん、よろしく!」
「了解です。」
うたがニカ姉にプレゼントを渡す気満々になっていた中で、希望さんは彼女を落ち着かせてから俺に乾杯の音頭を取るように進言し、その通りに俺はジュースの入ったグラスを片手にみんなの前に立つ。
「えー、皆さん⋯この度は私の姉、朱藤笑華の生誕パーティーにお集まりいただきありがとうございます。事務所関係者並びにご友人の皆様⋯是非とも最後までお楽しみ頂くと共に姉の今後の人生に幸あることを祈り乾杯いたします。乾杯!」
『かんぱーい!』
俺が乾杯コールをすると、ジュース入りのグラスを持った未成年の参加者とビール入りのグラスを持った参加者達がグラスを掲げる。とりあえず、俺にとっては人生初の乾杯の音頭取りだったが何とか上手くいって安心した。
「タコさんウインナーいっぱい!沢山食べよ〜♪」
「お姉様、タコさんウインナーばかりだと栄養に悪いですよ?それに、他の人の分のことも考えないといけませんからね?」
「えーっ、タコさんウインナー食べたいぃ⋯」
「大丈夫よ、足りなくなったらまた私が作るから!」
「まさかここまでタコさんウインナーを好きでいる子は初めてだよ⋯むしろ嬉しいな。遠慮せず沢山食べてね?」
プリルンがタコさんウインナーを沢山皿に盛ってるところを見たメロロンはプリルンを叱ったもののうたのご両親である音さんと和さんは優しい言葉をプリルンにかける。
「本当?それじゃあ、遠慮なく⋯!」
「調子に乗るな。すみませんね、こいつは俺とめろんで何とかするんで⋯行くぞ。」
「ええ〜、ヨーヨイの意地悪ぅ!」
これに調子に乗ったプリルンはもっとタコさんウインナーを取ろうとしたが、ヨーヨイが彼女を引っ張ってタコさんウインナーから隔離する。人間になってどれだけお姉さんになってもプリルンはプリルンなんだな⋯
「あっ、そこのお姉さん達⋯このパーティーが終わったらギロッポンで二次会をしないかい?」
「あっ、そういうの間に合ってるんで。すんませんね⋯」
「あっ、そうかい⋯連れねえ女達だなぁ。」
そんな中でウチの事務所の女好きの先輩俳優がプリルンとメロロンをナンパするもヨーヨイが宣言通りに2人を脅威から守る。ヨーヨイは普段はチャラくてちゃらんぽらんではあるが、こういう時は真剣だ。
「笑華ちゃん、私達からプレゼントだよ!みんなで何が良いのか考えて買ってきたんだ♪」
「笑華ちゃんならきっと気に入ってくれるはずだよ?」
「まあ、お金を出してくれたのは蓮先輩ですけど⋯気持ちは一緒なので受け取ってください!」
「お誕生日おめでとう、ニカ姉。」
俺はみんなを代表してニカ姉にプレゼントの入った包みを渡す。それが何なのか、ニカ姉が包みを開くと出てきたのは彼女が最近欲しがっていた令和版の人生ゲームだ⋯何かとCMを観てて『メンバーのみんなとか学校の友達とかとこれで遊びたいなぁ⋯』と呟いてたからな。それを伝えた上でみんなと話し合った結果、俺がお金を出して購入したのだ。
「凄い⋯これ、私が欲しかったやつ!ありがとう、みんな♪」
「へへっ、俺もニカ姉が喜んでくれて嬉しいよ。」
「お姉ちゃんからはこれをあげる!Pretty Holicで買ってきたキュアホープフルモデル一式だよ。大切に使ってね♪」
「あ、ありがとう⋯お姉ちゃん。」
ひま姉はニカ姉にPretty Holicで買ったキュアホープフル関連のグッズを渡す。しかし、渡されたニカ姉は顔がひきつっていた⋯それもそのはず、グッズに関しては既に持ってる上にそのキュアホープフルの本人だからな?ひま姉は知らねえだろうが⋯
「笑華のプレゼント、キュアホープフルのグッズだ!貰って良かったの?キュアホープフルなのに⋯」
「なっ!?」
「えっ?」
そんな時、通りかかったプリルンがいきなりとんでもないことを公然で言ってしまう。プリキュアの正体は秘密にしろとピカリーネさんから言われてたのにこのバカ⋯記憶を一度失った時にこのことまで忘れちまったのか!?
「ぷりんちゃん、キュアホープフルが笑華ちゃんってどういうこと?」
「いえ、違います!お姉様が言ったことはジョークですよ?」
「そうです!今のはこいつの悪ふざけでありまして。だよな、蓮?」
「ああ⋯」
ひま姉は思わずプリルンの暴露について踏み込んでくるも、これをメロロンとヨーヨイがリカバーする。本当にこういう場面でブレーキ役がいるのは助かるものだ⋯
「まあ、めろんちゃんと洋平くんが言うのなら⋯」
「笑華、私からもプレゼント。本を買ったよ?」
「ありがとう、希望ちゃん⋯って、初心者向けの料理本!?どういう意味なのかしら?」
「どういう意味ってこういう意味だよw」
「要は料理を上手くなれってことだ。良かったな、ニカ姉⋯親切なリーダーがグループにいてw」
「蓮も笑ってるんじゃないわよ!お姉ちゃんからも何か言って?」
「希望さん、お気遣いありがとうございます。私が忙しくてお料理を教える暇がないことを思って買ってくれたんですよね?良かったじゃない、笑華ちゃん。」
「お姉ちゃんも純粋に受け止めないで!」
ひま姉は希望さんからのプレゼントを純粋な意味で感謝する。どんな皮肉を込めたものでも素直に受け止めてしまうバカ真面目なところもひま姉の優しいところかもしれない。
「そういえば、うたと笑華が大好きなカイト⋯まだ来てないね。」
「「なっ!?」」
すると、プリルンはカイトさんが来てないと呟く。しかし、その中で彼女はとんでもない爆弾を投下してしまった⋯これにはうたとニカ姉は思わず絶句した。本当にこいつは空気が読めないというか⋯何を言い出すのか読めない。
「わああ、プリルン!カイトさんとはそんな関係じゃないよ?」
「プリルン?」
「いえ、私達にとってのぷりんちゃんのあだ名なんです⋯そうだよね、ななちゃん、こころ?」
「う、うん。」
「そうですね!」
「えっ、プリルン?あの人が⋯嘘でしょ?」
「いや、本当だ⋯あれはプリルンが人間になった姿でそれと一緒にいる黒髪の女の子はメロロンが人間になった姿だよ。変身シーンをよく見とけば分かるだろ?」
「いや、変身シーンを見ろは変態すぎるでしょ⋯それにしても、事務所の関係者が沢山いるのにカイトくんがいないのは少し残念ね。」
「俺を呼んだかな?」
俺達がプリルンの発言からカイトさんがいないことで混乱していると、噂の張本人が背後から声をかけてその方を向くとやっぱりいたのだ⋯しかもプレゼントの入った袋を片手に持っている。
「カイトくん!」
「か、か、カイトさん!?」
ニカ姉はカイトさんを見て喜ぶも、うたの方は緊張のあまりななの後ろに隠れてしまった。あの時からうたはカイトさんの名前を聞いたり顔を見ると緊張してしまうようになっており、よほど彼の素敵さに引き込まれたのだろう⋯ただ、それを見てると俺は複雑な心境だ。
「うたちゃん、どうしたの?」
「いえ、気にしないでください。うたちゃん⋯大丈夫?」
「ごめんね、ななちゃん⋯平気だよ、ちょっとびっくりしただけ。」
うたはななから心配されるも大丈夫だとうたは返す。本当にびっくりしただけなのだろうか⋯顔は赤くなってたし、何よりも恋の感情が見えていた気もした。
「そういえば、紫の子とはまだゆっくり話せてなかったね?あと後ろの子達も初めてだけど⋯」
「あっ、はじめまして⋯私、紫雨こころと申します。蓮先輩達の後輩をやらせて頂いていて先輩方がお世話になってます!それと、後ろにいるのはぷりんさんとめろんさんと洋平さんです。」
「カイト、やっほ〜♪」
「お姉様!この姿で会うのは初めてなんですからカイトにいきなり馴れ馴れしくするのは控えてください。」
「あっ、そうだった⋯」
「この姿⋯どういう意味?」
「いや、何でもねえっす!」
プリルンはうたと一緒にいる時はカイトさんといつも会ってるからか馴れ馴れしく手を振るもそれをメロロンが厳しく注意して、ヨーヨイが誤魔化す。本当にこの2人がいなかったらプリルンはどうなっていたことやら⋯相棒のうたですら制御できないだろうな、このフリーダムモンスターは。
「それよりも随分と遅かったね⋯でも、私の約束通りに来てくれてありがとう。」
「すみません。ちょっと事務所の社長と今後のことについてを相談してまして⋯陽葵さんからわざわざ誘ってくれたのに申し訳ないです。」
「事務所に相談って?」
「それは陽葵さんにも希望さんにも今は内緒です。でも、悪いことじゃないので楽しみにしてくれたらと思いますよ?俺にとっては前向きな決断ですから。」
「そうなんだ⋯楽しみにしてるよ。」
カイトさんはひま姉と希望さんに遅刻した理由とかを迫られると、彼は社長に対して決断したことをぼかしながらもありのままに理由を答えた。カイトさんが決めた新たなる決意⋯それは一体何だろうか?その発表が出るまで待つことにしよう。
「カイトくん、左手に持ってる袋って私へのプレゼント?」
「そうだよ。笑華ちゃんが欲しいと思ってるものを買ってきたんだ⋯これ、開けてみて?」
ニカ姉はカイトさんが袋から取り出したプレゼントの箱を渡され、その箱の中身を開ける。そこには耳に穴を開けないタイプのピアス⋯ノンホールピアスが入っていた。
「カイトくん⋯これって?」
「笑華ちゃんが憧れてたピアスを買ってきたんだ。でも、まだ高校生で校則では禁じられてるし、ノンホールピアスを探したんだよ。ピンクのハートもついてるし気に入ってくれたかな?」
「嬉しい⋯ありがとう、カイトくん!私の好みもついてて最高、次の休みの日とかにつけてみるね♪」
カイトさんからのプレゼントを貰ったニカ姉はノンホールピアスを気に入り喜ぶ。デザインもピンクのハートがついてるものだからピンク&ハート好きの彼女としてはもう最高だろうな⋯相手込みで。
「お取り込み中のところ失礼いたします。私の方からもプレゼントを⋯来年のスケジュール帳です。まだ発売されていませんが、キュアホープフルモデルのスケジュール帳を提携している文房具屋から頂いたので⋯是非お使いください。」
「田中さん、ありがとうございます!」
そして、田中さんからは現在コラボ商品を作るために提携している文房具屋が出したキュアホープフル仕様のスケジュール帳を渡された。虹色なのにナチュラルで綺麗な表紙デザインである⋯しかし、田中さんもこれを公に渡して大丈夫なのだろうか?
「ねえ、笑華ちゃん⋯キュアホープフルちゃんと何か関係があるの?」
「い、いや⋯ただファンなだけよ?お姉ちゃんは気にしすぎだって!」
「そ、そう?笑華ちゃんが言うなら信じようかな?」
「ほっ⋯」
「あなた、確かアイドルプリキュアのマネージャーの田中さんですよね?」
「カイトさん⋯ご無沙汰しております。笑華さんのお見舞い以来ですね。」
「はい。笑華ちゃんがこうして元気にお誕生日を迎えられて何よりですよ⋯そうだ、休みの日が合ったらプライベートでアイドルプリキュアについて語り合いませんか?俺、アイドルプリキュアのことが凄く気になってるので。」
「わ、私で良ければ是非。」
そんなこんなでカイトさんと田中さんはアイドルプリキュアの縁もあり仲を深めてプライベートでも男2人きりで会う約束までもを交わす⋯それからも俺達も主役のニカ姉もパーティーを心の底から楽しむのだった。
side out
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sideうた
パーティーもいよいよクライマックスになろうとしていた時、私はななちゃんに呼ばれて店の外に出る。その時に2人きりで話がしたいと言っていたのだが、何をするのだろうか?
「あっ、うたちゃん。誰も連れて来てないみたいだね?」
「約束通り私とななちゃんだけだよ⋯それで、話したいことって?」
「この前、蓮くんのことが好きだってことを教えたのを覚えてるかな?」
「う、うん。」
「実はこの画像を見てほしいの。お買い物に行く前にパパに頼んで写真のデータをスマホに移してもらったんだけど⋯」
そう言ってななちゃんはスマホのアルバムを開いてからある画像を見せる。そこには小さい時のななちゃんとそのご両親に加えてななちゃんよりも少し小さな男の子とそのお姉ちゃんと思われる女の子2人にご両親が写っていた。しかし、この2人は⋯私が小さい時にテレビで観ていたアイドルの増田聖子さんと朱藤紀之さんだ。そうなると、ななちゃんの隣の男の子は蓮でその横にいる女の子2人は陽葵さんと笑華ちゃんとなる⋯一体どういうことなんだろうか?ななちゃんは蓮と面識はなかったはずなのにどうして?
「ねえ、ななちゃん⋯この男の子って蓮だよね?」
「そうだよ。私、パパにこの写真を見せられてやっと思い出したの⋯この時、蓮くんは迷子で私が迷子センターまで連れて行ってそこで遊んでたんだ。あの時の蓮くんは今とは違って凄く可愛くてね⋯転校してきた時は印象が変わってたから気づかなかったけど、蓮くんも私が見ない間に大人になってたんだって思うと感慨深いよ。」
「そうなんだ。私、応援するよ⋯ななちゃんの恋。頑張ってね!」
「ありがとう、うたちゃん♪」
私はななちゃんの強い気持ちを知り、思わず表では応援すると言ってしまった。本当は私も蓮のことが好きなのに⋯でも、あの写真を出されたら私は手も足も出せない。このまま私の恋って終わるのだろうか?頭の中には『諦め』の2文字が浮かぶのだった。心の中でフラれてしまえと思ってしまうなんて私、本当に悪い子だよね?心が凄く折れそうだ。でも、ななちゃんの幸せそうな顔を見てると⋯私はこの時点で覚悟を決めるのだった。
藤岡まこと
(脳内)CV:内藤剛志
時代劇のスペシャリストで俳優歴40年以上の大ベテラン。モデルは必殺仕事人シリーズの中村主水役でお馴染みの『藤田まこと』さん。
いかがでしたか?笑華はオーディションに惜しくも結子に負け、最初にななちゃんが彼女の父親から見せられた写真で小さい時の記憶を思い出し、それをうたちゃんに見せるという⋯ある意味鬼畜ですよね?でも、彼女はそれだけ蓮が大好きなのです。親友のうたちゃんに絶望を与えることになるにしても手にしたい幸せ⋯これがななちゃんの気持ちの強さでしょうか?
一方で笑華も色んな人達からプレゼントを貰いましたが、プリルンも大立ち回り⋯結局はメロロンとヨーヨイが止める事態になりましてね。プリルンの面倒を見るって大変ですよ⋯笑華はもう周りが優しい人だらけで幸せでしょうね。前年までの家族だけのお祝いよりも楽しいのは確定かと⋯笑華はプリキュアになって良かったなと心の底から書いてて思いました。まあ、プリルンから正体バラされるところでしたがねw
こんな感じで今回は最後に鬱エンドが待ってましたけど、うたちゃんの決断はどうなるのか?ななちゃんと蓮の動きも込みで次回以降もお楽しみに!
そんな次回からはまた原作にしばらく戻ります。あと、これがキミプリとしては今年最後の投稿ですね⋯今年も1年ありがとうございました。オリジナル回で迂回したりスランプもあったりで予定より進めませんでしたが、来年には全部完結できるように頑張るので⋯また応援よろしくお願いいたします!
感想、お気に入り登録、高評価をしてまた次回もお楽しみに。プリキュアのみ読んでる方は良いお年を、ばっどがーるの方も読んでる方はばっどがーるの方も書きますのでしばしお待ちを!