キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達-   作:寿垣遥生

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遥生です。昨日でミラノ・コルティナオリンピックが終わりましたけど、皆さんはご覧になりましたか?僕の中で印象深いのはスキージャンプそれぞれで『ニカ』と『蓮』がメダルを取ったことですね。男子のノーマルヒルでスロベニアの『ニカ』・プレヴツ選手が銀メダルで日本の二階堂『蓮』選手が男子ラージヒルで銀等3つのメダルを獲得して⋯僕の作品のオリキャラの名前の選手がメダルを獲得したことが凄い奇跡だなと思いました。まあ、二階堂選手に関しては『ニカ』イドウもありますし、『蓮』は同じ漢字ですし。ゴリ押しですかね?ともあれ、オリンピックを一緒に観た皆さんもお疲れ様でした!

さて、今回の投稿からオリンピックが終わり執筆ペースもまた早くなると思うのでどうぞよろしくお願いいたします。そんな今回は原作に戻り23話分ですね⋯サインやらテレビ出演やら、アイドルプリキュア達は次のステップへと今回のサブタイトルのように歩んでいきます。どうなることか⋯本編もお楽しみに!


#59 アイドルプリキュア、次のステップへ!

 ある日のとある墓地、昼間の時間帯に出間の彼女である悠亜が訪れては線香をあげてから合掌する。この墓石には『小塀家之墓』と刻まれており、彼女の家族の遺骨がこの墓石の下に眠っているようだ。

 

「お母さん⋯私、何とか大学生活やってるよ。今はまだ幸せになれないけど、いつかお母さんの無念を晴らすからね⋯」

 

 悠亜は合掌しながらこの墓に眠っている自分の母親に決意を伝える。彼女は母親を10年前に突然亡くしていて、その日から無念を晴らそうと日々を過ごしてきたのだ⋯そんな悠亜はいつもよりも声が低く雰囲気も違うのだが、実はこれが素で本当の顔はギャルとは正反対なまっすぐな良い子である。

 

「あっ、電話だ⋯お父さんからか。もしもし?」

 

『悠亜、いつまでスパイをしているつもりなのか?』

 

 墓参りを終えた悠亜にいきなり彼女の父親から着信が来てそれに応じる。悠亜の父親は衆議院議員をしているが、元々は人気の俳優だった人物だ。

 

「ごめんなさい、お父さん⋯私もいつかやらなきゃいけないことは分かってるよ。でも、案外あの人⋯良い人っぽいからちょっと信頼してしまって。」

 

『何を信頼すればそうなるんだ?あの出間智和はお前の母さんに薬物疑惑をかけて自殺に追い込んだ張本人だぞ⋯悠亜、お前のやることはあいつの記者人生を終わらせることだ。それを忘れるな⋯』

 

「もちろんそのつもりだよ⋯私からお母さんを奪った出間は絶対に許さない。お父さんもでしょ?」

 

『ああ、とりあえず出間と付き合ってるからといってあいつのハニートラップには騙されるな。俺は政治家の身だから表立ってあいつを止めることはできない⋯だが、彼女として懐に入っているお前ならできる。期待してるぞ?』

 

「うん、ありがとう⋯お父さん。それじゃあね⋯」

 

 そう言って悠亜は父親との通話を切った。実は悠亜というか小塀家の因縁の相手というのは出間のことで遡ること10年前⋯彼女の母親だった小塀姫子(おべいひめこ)は国民的な人気女優だったが⋯ある時、出間の書いた薬物使用疑惑のデマ記事が世に出回りこれを世間や仕事関係の人間が信じ込んでしまい警察の調べも入ったりで仕事はあっという間になくなり干されてしまったのだ。やがて彼女は世間からの冷ややかな目に耐えられず自殺⋯その恨みを悠亜と父親の小塀進次郎(おべいしんじろう)は抱えてきた。進次郎の方は姫子の死後は芸能界を引退して二度と姫子のような不幸な目に遭う人達が現れないように芸能人の権利の保護のために政治家を志し、衆議院選挙に政権与党の自由正義党から挑み当選し今は2期目である。

 

(とにかく、お母さんを実質殺したにも関わらずのうのうと記者を続けている出間が許せない!いつかはあいつの記者人生を私が終わらせてみせる⋯お父さんの手は汚させない!)

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

side蓮

 

「どうして家に集まるメロ⋯」

 

 7月真っ只中のある日、今日は田中さんと何故か居候しているプリルンとメロロンの家でも出張所に仕事がある希望さんを除いて全員集められる。その中でメロロンはかなり不満そうな様子であるが、お前だけは家でもないんだよな。

 

「あーん、もぐもぐ⋯」

 

(こんなピリピリしてる中でプリルンはうたからイチゴを食べさせてもらってやがる⋯マイペースなコンビだな。)

 

「正確には私の家ですが⋯それはともかく、皆さんにお願いがありまして。」

 

「「「「「「「⋯?」」」」」」」

 

 田中さんはそう言って2階から降りてくると机の上に1枚のポスターを広げる。そこには俺達が描かれていて何かの景品な特典だろうか⋯

 

「田中さん、これは何でしょうか?」

 

「ファンの方に抽選でプレゼントするとのことでこちらのポスターにサインを頂きたいのです。」

 

「サイン?」

 

 俺が何のポスターなのかを訊ねると、やはり景品というか特典だったらしい⋯恐らくは案件先のPretty Holicのやつだろう。しかし、アイドルプリキュアもこういう風な立ち位置になったんだな⋯そんな仕事が回ってきてうたが食いついてきた。

 

「Pretty Holicの『アイドルプリキュア対ズキューンキッス、あなたはどっち派?』のキャンペーンで当たるやつですよね!?キュアアイドルとキュアウインクとキュアブレイキンのサインなんて貴重すぎです。サイン書くところ見たいです!」

 

「待って待って、私⋯サインなんてないよ?」

 

「私も⋯」

 

 こころはサインが欲しいとファンというかオタク視点で興奮するもうたとななはサインがないと困惑する。それもそうか⋯2人は一般人なもんだからサインとは縁のない生活をしてきたもんな。

 

「『サイン』って何プリ?」

 

「サインってのはタレントがファンに対して書くメッセージみたいなやつと言えば良いのかな⋯ざっとこんな感じだ。」

 

 プリルンがサインについてを質問してきたので、俺はサインペンを手に取ってからポスターにサインを書いてみる。キュアブレイキンだからそのサインを即席で書いてみた⋯これでプリルンには説明が上手くいくんだろうか?

 

「凄いです、蓮先輩!これ、即席で考えたんですか?」

 

「まあな⋯キュアブレイキンのサインはこれで行こうかなと思うけど、どうだ?」

 

「かっこいいですね、心キュンキュンしてます!」

 

「キラッキランラン〜♪」

 

「蓮くんは芸能人だからサインに慣れてるね。」

 

「まあ、俺もサインを書くのは久々だったけどな⋯それを言うなら現役アイドルのニカ姉の方がもっと慣れてて上手いぞ?」

 

「そう言われたら黙っちゃいられないわね⋯私も書かせてもらおうかしら?」

 

「私も実はこの時のために考えてたサインがあるので書いても良いですか?」

 

「私も書きたい!」

 

「プリルンも書くプリ♪」

 

「ねえたまのサイン欲しいメロ!」

 

「お前は書く側だろうヨイ⋯」

 

「でも、サインってどうやって作れば良いんだろう?」

 

 周りがサインを書くことに乗り気の中、ななはサインの書き方が分からず疑問を投げる。どうサインを書くかと訊かれても⋯俺やニカ姉やここにはいないけど希望さんやひま姉の芸能人からしたら流れ作業のようなものだから特に意識してる点で強いて言うなら気持ちを込めて書くことぐらいだろうか?

 

「そうだな⋯俺のキュアブレイキンのサインは他のアイドルをアイドルのを参考にして即席で書いてみたんだ。その中にはカイトさんもその参考の一角には入ってるよ。」

 

「えっ、カイトさん?」

 

「ああ、彼は老若男女誰にでも愛されるレジェンドアイドル⋯若くしてここまで愛されたアイドルは恐らく過去にはいないだろうな。今は活動休止だけどどんなサインかは調べれば⋯ん?」

 

 俺がスマホでカイトのあれこれについてを調べようとした時、ある衝撃的な記事が目に入った。これは本当なのだろうか?夢じゃねえよな⋯

 

「どうしたのよ、蓮⋯カイトくんがどうしたの?」

 

「みんな聞いてくれ、カイトさんが⋯活動再開するらしい。」

 

「「「「えっ?」」」」

 

「「プリ(メロ)?」」

 

「カイトくんが!?」

 

 俺がカイトさんの活動再開の記事を見てそれを伝えると、周りは鉄砲で突然背後から撃たれたかのような感じで驚く。まさに鳩が豆鉄砲を食らったという表現が相応しいだろう。まさか、あの響カイトが芸能界に戻ってくるだなんて⋯かなりの衝撃だ。

 

「どれどれ…『響カイト、海外留学を終え今後は日本とニューヨークを拠点に活動する』ってあるわね。カイトくん、芸能活動復帰するんだ⋯また一緒にお仕事ができて嬉しいわ♪」

 

「流石、響カイト⋯ネットもこの話題でいっぱいです!」

 

「カイト、かっこいいプリ!」

 

「ああ、あいつが芸能界に戻ってくると日本の芸能産業もより活性化するはずだヨイ!」

 

「ねえたま、にいたま、知ってるメロ?」

 

「前にうたをプリプリ助けてくれたプリ!」

 

「グリッターに来たことあるの!?」

 

「そうか⋯まだこころがアイドルプリキュアになる前だったよな。実はカイトさんは結構グリッターにも訪れる常連客なんだぜ?」

 

「そうなんですね⋯」

 

「しーっ、蓮⋯フライ弁当だよ!」

 

「それを言うならプライベートだよ、うたちゃん⋯」

 

 俺がこころにカイトさんがグリッターの常連客であることを教えるとうたが内緒にしろと言わんばかりに迫ってくる。しかし、ここでプライベートを『フライ弁当』と言い間違えてななに訂正されてしまうのだった。

 

「まあ良いじゃねえか。仲間内なんだから⋯それに、カイトさんがグリッターの常連であることはよほどの常連客じゃないと知らないし。芸能人のプライベートの保護なら芸能人である俺に任せとけっての!」

 

「ちょっと、私もいることを忘れないでよね?」

 

「ニカ姉はセキュリティがたまにガバガバなんだよ。どんなに変装してもオーラでバレるし、バレても満更でないようにファンサしてさ⋯少しは芸能人の自覚を持った方が良いと思うぞ?」

 

「うっさいわね?私はアイドルなの!アイドルたる者、ファンサを忘れるべからず。それを守ってるだけですけど?」

 

「笑華ちゃん、凄い!流石はトップアイドルだよ〜♪」

 

「そう?えへへw」

 

 うたから調子良く褒められたニカ姉は鼻が伸びるぐらい高々になり調子に乗る。トップアイドル故にだろうか⋯ファンが盛り上がると自分もテンションが上がってくるという。こんな時にブレーキ役の希望さんがいないのが痛いのだが、よくあの人はこんなモンスターをリーダーとして制御したよな⋯そんなことを思っているとうたの携帯に着信が入る。

 

「あっ、はもりからだ⋯もしもーし?」

 

『お姉ちゃん、大変!』

 

 うたが通話に出ると、通話相手であるはもりちゃんが開口一番にパニックを起こす。一体、グリッターで何が起きたと言うのだろうか?俺達は急いで現場へと向かった。

 

(移動中⋯)

 

「うええっ、何この行列!?」

 

「私達、サインを作ってる場合じゃ⋯」

 

「そうですね。私は手伝ってきます!」

 

「お願いします⋯しかし、どうしてこうなったんだ?」

 

「お姉ちゃんと蓮くんも手伝って〜!」

 

「はもり!?」

 

 田中さんも手伝いに行くと、はもりちゃんがうたと俺に助けを求める。そりゃあこんなにも長蛇の列をうたのご両親だけで捌けるはずがない⋯少し失礼ながらも大きくて店員が沢山いる喫茶店じゃないのだから。今頃、音さんも和さんもパンク状態だろうな⋯

 

「あっ、お店の人!?」

 

「カイトくん、どの席に座ってました?」

 

「お気に入りのハーブティーって!?」

 

「えっ?」

 

「「「私達、カイ友です!」」」

 

 すると、俺達のもとにカイトさんのファンであろう女性3人組がうたはともかくとして俺達を店員か何かと思って押しかけてきた。ちなみに、『カイ友』というのはカイトさんのファン達の総称である⋯しかし、どうしてカイトさんがここに来ることを知ってるんだ?

 

「カイ友って?」

 

「響カイトのファンの総称です。」

 

「へえ⋯」

 

「すみません。一体、カイトさんとこの喫茶店に何の関係があるんですか?」

 

「実は配信でカイトくんが言ってたんですよ。『活動休止中は喫茶店に行ってた』って!そのお店は桜並木の川沿いにあって犬がいるらしいんですけど⋯このお店ですよね?」

 

「えっと⋯確かに、桜並木の川沿いにあるお店できゅーちゃんいますけど。」

 

「でも、はもり⋯カイトくんをお店で見たことないよ?」

 

「「「えっ?」」」

 

「お父さんもお母さんも見てないって⋯」

 

「「「なーんだ⋯」」」

 

「なーんだ、じゃないわよ!あんた達、散々お店の前で騒いで店を特定したような気分になって⋯充分迷惑よ、恥を知りなさい!」

 

「「「あ、あなたは⋯失礼しました〜!」」」

 

 すると、ニカ姉は思わず怒りのあまりにサングラスをずらしてから外で騒ぐ彼女達を一喝。カイ友3人組はそそくさと逃げるように退散して行った⋯特定からの迷惑行為から守ろうとヘイト役を買って出た姿にこればかりはあっぱれである。ただ、アイドルの先輩としての姿やこういう場面でしか頼りにならない姉貴である事実は変わらないがなw

 

「うたちゃんと蓮くん⋯それと、笑華ちゃんにみんなも。随分長い行列だね?」

 

 ちょうどその時、帽子と眼鏡で変装したカイトさんがお店の前にやって来る。すると、並んでいる客達は声のしたこっちの方を向いてどよめく⋯これはまずいな。

 

「カイトくん、ちょっとこっちに!」

 

「えっ、笑華ちゃん!?」

 

 そんなタイミングでニカ姉はカイトさんを引っ張って物陰へと隠れ、それに俺とうたも続く形に⋯本当にさっきまで騒ぎがあった中で間が悪すぎる。

 

「ここまで来れば大丈夫ね⋯もう、グリッターに来るのは良いかもしれないけど気をつけてって注意してるのに。活動休止中かもだけど芸能人としての自覚を持ってよ?」

 

「あんたが言うな!」

 

「えへへ⋯」

 

「ごめんね。まさかあそこまでお店が混んでるとは俺も思わなかったよ⋯俺のせいかな?配信では店名を言わなかったけど、うたちゃんのご家族のお店に迷惑をかけちゃったね。」

 

「いえ、気にしないでください。ウチはお客さんが沢山来てくれて嬉しいですから⋯」

 

 カイトさんはうたに迷惑をかけてしまったことを謝る。しかし、当のうたは気にしないでとフォローした。別にこれはカイトさんが悪いわけじゃないしな⋯

 

「そんなことより、ここにいて良いんですか?活動再開してからお忙しいと俺達は聞いてますよ?」

 

「だからこそだよ⋯美味しいハーブティー飲んでゆっくりしたい時だってある。ここならそういう時間を持てるから⋯それに、君達もいるし。」

 

「「「⋯」」」

 

 カイトさんがグリッターでの時間についてを語ると、俺達は思わず聞き入ってしまう。その中で隣のうたは顔を赤くしているのだが⋯彼を目の前にするとどこかこいつはおかしくなるんだよな。

 

「それはそうと、蓮くんは最近になってまた芸能界というかウチの事務所に戻ってきたと聞いてるよ。VTuberの西片エレンとして⋯登録者も100万人突破おめでとう!」

 

「ありがとうございます⋯って、カイトさん、168プロダクション所属だったんですか?」

 

「そうだけど。あっ、そういえばまだ話してなかったね⋯流川さんから聞いたけど、まさか蓮くんが同じ事務所だったとは。つまり、芸歴的には俺の先輩ってことだね?」

 

「やめてくださいよ。デビュー的には先輩ですけどこっちはブランクがあるんで⋯それはそうと俺、近いうちに3Dライブをやるんですけど、もし良かったらコラボしてくれますか?」

 

「俺は君のためならいつでもスケジュールは空けておくよ。また日にちとか教えてくれるかな?」

 

「分かりました。これ、俺の連絡先です⋯学校がある時以外はここに連絡してもらえればいつでも出れますので。」

 

「ありがとう⋯じゃあ、また来るよ。うたちゃんも笑華ちゃんもまたね!」

 

 カイトさんは俺が渡した連絡先のメモを受け取ってからグリッターを後にする。しかし、その中でうたの顔は相変わらず茹でダコのように真っ赤⋯完全にカイトさんの輝きに負けてしまっているようだ。

 

「うた、どうしたの?そんなボーッとして⋯」

 

「ごめん⋯笑華ちゃん、今さっきのカイトさんの言葉ってどういう意味?」

 

「私達が目当てで来てるってことよ。それにしても、うたったら顔真っ赤⋯カイトくんにメロメロになっちゃったのかしら?ヒューヒュー♪」

 

「そ、そんなこと、あるかな⋯ってもう、からかわないで!」

 

 うたはニカ姉からからかわれて思わず動揺してしまい怒るというかパニックに陥る。しかし、俺のことが好きだとしたら俺に対しても同じ反応をするはずなのに⋯どうしてカイトさんの時だけなんだろうか?かなり複雑な心境だ。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「ありがとうございました!」

 

 それから、俺やうたや田中さんはグリッターの手伝いをこなした。カイトさん効果で売上はとんでもないものになり、長蛇の列は夕方になりやっと解消されて一安心である⋯

 

「ようやく落ち着いたね。」

 

「お疲れ様、蓮、うた⋯あと、田中さんも。」

 

「ありがとう。ただ、田中さん⋯燃え尽きちまったな。」

 

「はい⋯おかげさまで真っ白です。」

 

 俺とうたは何とか元気なもののその中で田中さんは某ボクシング作品の主人公のように真っ白に燃え尽きていた。しかし、携帯の着信音が鳴るとまた色を取り戻す⋯

 

「もしもし、田中です⋯」

 

「そういえば、笑華ちゃん達はカイトさんとどんな話をしてたの?」

 

「ええっ、響カイト⋯来てたんですか!?」

 

「来てたわよ、しかも堂々と。とりあえずまた来るっては言ってたわね⋯ねっ、うた?」

 

「う、うん⋯」

 

 ニカ姉からカイトさんに関する話題を振られると彼女はかなり動揺する。もしかしてだけど、異性として意識してるのはカイトさんだけなのだろうか⋯なら、俺はアウトオブ眼中だったり?自分の無力感に苛まれそうな気がした。

 

「うたさん、蓮さん、笑華さん⋯」

 

「は、はい!」

 

「どうしたんですか、田中さん⋯」

 

「もしかして、サイン作り?そういえば⋯キュアホープフルとしてどんなサインにするか考えてなかったわね。」

 

「それもあるのですが⋯Pretty Holicから追加の依頼がありまして。キュアブレイキンとキュアアイドルとキュアホープフルにテレビ出演してほしいと⋯」

 

「「ええっ?」」

 

「テレビ〜!?」

 

 Pretty Holicから田中さんづてにテレビ出演の依頼があったという話を聞くと、ななとこころは驚いてそれ以上にうたは混乱してしまう。それもそうだ⋯いきなり正体がテレビに出たことのない一般人なのに急にテレビの案件が回ってきたのだから。しかし、俺とニカ姉に動揺はない⋯こちとらは本職は芸能人だからな!

 

「はい。テレビです。ただ、うたさんはテレビ慣れしてないので断ることもできますが⋯どうされますか?」

 

「もちろん、これはお受けします。俺とニカ姉でこいつに芸能人としてテレビのいろはを指導するので⋯なっ、ニカ姉?」

 

「ええ。ここは私と蓮にお任せください!」

 

「ありがとう⋯蓮、笑華ちゃん!」

 

「決まりですね。それでは、また後日⋯番組の詳細と出演日をお伝えしますのでよろしくお願いいたします。」

 

 そんなこんなで俺、うた、ニカ姉の3人のテレビ出演が正式に決まるのであった。ひとまずは俺とニカ姉で素人のうたをリードしなくてはならない⋯それからはテレビ出演を想定した練習を学校終わりにうたに課して前日まで積み重ねるのだった。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 それからやって来た収録当日⋯俺達は変身してから田中さんに連れられてテレビ局の情報番組のスタジオへと向かう。その中でアイドルはかなり緊張している様子だ⋯

 

「ううっ、緊張する⋯大丈夫かな?」

 

「大丈夫よ、アイドル。今日までテレビ出演の練習をしてきたじゃない⋯その通りにやれば問題ないわ。あなたならきっと上手くやれると信じてるから!」

 

「ありがとう、ホープフル。」

 

「それにしても田中さん⋯どうしてこはるさんはこのお仕事を俺達3人に頼んだんですか?」

 

「情報番組の短いコーナーなので全員を呼ぶと尺の都合で話せない人も出てきますし、何よりもこはるさんがあなた達3人をアイドルプリキュアの中でも中心的存在だと見込んでの起用だと聞いています。」

 

「そうなんですか。俺達がアイドルプリキュアの代表ね⋯やるしかねえよな!」

 

 田中さんはこはるさんが俺達3人を推薦した理由を明かす。彼女が俺達をアイドルプリキュアの中でもより強い広告塔として指名してくださったのならその期待に応えるしかねえな!気合がますます入ってくる。

 

「大丈夫プリ、みんな頑張るプリ!」

 

「俺もプリルンも一緒だし気負うんじゃねえヨイ!」

 

「ねえたまとにいたまだけじゃないメロ。」

 

「心強いよぉ⋯ありがとう!」

 

「プリ〜♪」

 

「何か照れくせえけど嬉しいヨイ⋯」

 

「メロロンはねえたまとにいたまについて来ただけメロ〜!」

 

 俺達に続いてプリルンとヨーヨイも緊張するアイドルを含めて俺達を応援してアイドルは妖精達の頭を撫でる。しかし、メロロンはどうも素直に応援できない様子だ⋯依然として俺達と分かち合えるのは時間がかかりそうである。しかし、きっとメロロンから仲良くなってくれる日は来るはずだ。

 

「CM明け5秒前!4、3、2⋯」

 

 ADのカウントでやがてCMが明け、ついに俺達の地上波番組デビューが始まる。妖精達は田中さんに預けて見張ってもらってるからプリルンとて変な真似はしそうにない⋯あとは緊張との戦いだ。

 

「続いてはドドンとはなみち、本日は素敵なゲストにお越しいただいております!」

 

「おはようございます、キュアブレイキンです!」

 

「やっほ〜、キュアアイドルだよ〜!」

 

「キュアホープフルよ、よろしく。」

 

「「「私達、アイドルプリキュアです!」」」

 

 まずはそれぞれ俺達はそれぞれカメラに向かってリーダーの俺から名乗っていく。俺はリーダーらしく正統派、アイドルはとにかく元気な感じで、ホープフルは高貴な女神のようなキャラで名乗りを決めた。ホープフルは本来だったら変身前のニカ姉としてはアイドルのようなキャラであるが、こういうキャラを演じられるのはやはり女優もやってるからこその演技力というか表現力の塊とも言える。

 

「アイドルプリキュアの皆さん、ようこそいらっしゃいました!今回はご紹介したい商品があるそうですが⋯リーダーのキュアブレイキン、お願いします。」

 

「はい、今回私達が紹介したいのはPretty Holicのプリティーアップリップです。」

 

「Pretty Holicでは今、素敵なキャンペーン中!プリティーアップでキラッキランランな私!使ってみてください。」

 

「はぁ⋯可愛い!」

 

「そうでしょ?みんなも私達のように綺麗な自分に♪」

 

「OKでーす、CM入りまーす!」

 

 アイドルが自分の仕様のリップを開けて宣伝し、女性アナウンサーに使ってみてと呼びかけると、アナウンサーの人は目を光らせてから喜び、さらにホープフルがひと押ししたところでCMに入って俺達の出番が終わる。アイドルも初めてのテレビ出演にしてはまずまずだ⋯初めてにしては合格点どころか満点をつけても良いレベルである。

 

「はぁ⋯ありがとうございました。」

 

「お疲れ様、アイドル。」

 

「こはるさん⋯私達、上手く宣伝できてましたか?」

 

「とても良かったですよ!初めてのテレビ出演だというのに慣れてるような感じでした。」

 

(まあ、俺とホープフルはテレビ慣れしてる立場なんでね⋯ここで俺達がダメだったらアイドルも共倒れだろうな。)

 

 こはるさんは俺達の宣伝をかなり褒める。しかし、より頑張っていたアイドルは緊張のあまりにヘトヘトだ⋯今日までよく頑張ったよお前は。もう付き合ってカップルが成立していたら今すぐにでも頭を撫でて彼女にキスをしたいものだった。

 

「私はこはるさんと話がありますので、先に楽屋に戻ってもらえますか?」

 

「はーい!」

 

「「お疲れ様でした!」」

 

 田中さんはプリルンとメロロンとヨーヨイをアイドルに託してからこはるさんと話をするために別の場所へと向かう⋯これで今日のお仕事はひと段落というところか。2人を見送った後に俺達も楽屋へと戻ることにした。

 

「今日は歌わないプリ?」

 

「さっきのでお仕事終わりだよ。」

 

「キュアアイドルのステージ見たいプリ⋯」

 

「わがまま言うなヨイ、アイドルというのは歌うだけが仕事じゃねえんだヨイ。」

 

「プリィ⋯」

 

「アイドル、歌ってやれよ。」

 

「アイドルというのはこういうファンのお願いにも応えるのも仕事よ?よほど変なお願いじゃなかったら応えるべきじゃないかしら?」

 

「そうだね。じゃあ、歌うよ⋯キミのハートにとびっきり、元気をあげるね、ゼッタイ⋯「うわっ!?」」

 

「「「プリ(メロ)(ヨイ)〜!?」」」

 

「危ねっ!?」

 

 アイドルがプリルンのリクエストに応えて『笑顔のユニゾン』を歌っていると、1人の男性とぶつかって妖精達が飛んでいく。しかし、これは俺が難なくジャンピングキャッチで防いだ。

 

「ごめんね、大丈夫?」

 

「すみません⋯」

 

「ごめんなさい。ウチのキュアアイドルがって⋯」

 

「「カイトさん(くん)!?」」

 

 そのぶつかってアイドルに手を差し伸べた男性とはなんとこの前芸能活動を再開したばかりのカイトさんだった⋯まさかこんな場面で会うことになるとは思いもしなかった。どうなる、俺達⋯!?




小塀進次郎(おべいしんじろう)

(脳内)CV:子安武人

身長:184cm

体重:68kg

年齢:49歳

悠亜の父親で元俳優、出間が書いたデマ記事により国民的女優である妻の姫子を自殺で失いその日から悠亜と共に憎しみを抱き日々を過ごす。現在は芸能界を引退し、衆議院議員(2期目)として芸能人の人権の保護を訴えている。


いかがでしたか?最初から重い感じで始まりましたが、悠亜の本当の顔が明らかになりましたね。どうやら出間の記事によって母親の姫子は自殺に追い込まれ、その恨みから彼の懐に入って記者生命を終わらせようとスパイとして彼女を表で演じることに⋯本当に辛いことでしょう。ただ、父親である進次郎の手を汚さまいと奮闘しています⋯実際はギャルではなくまっすぐで良い子。それ故に正義感から父親の指示する行為をしてるわけです⋯自分のためでもあり父親のために。壮絶な人生ですね⋯

そして、蓮達もアイドルとしてサインを教えたりテレビ出演の仕事が舞い込んだら素人上がりのうたちゃんにアレコレを教えて⋯テレビデビューはその甲斐もあって上手くいきました。しかし、ここで帰る途中にてカイトと遭遇⋯どうなる、アイドルプリキュア!そして、アイドルプリキュアに試練が訪れることになるのです。次回の後編もお楽しみに!

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