キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達-   作:寿垣遥生

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遥生です。キミプリが終わってもう1ヶ月ぐらい経ちましたけど、まだロスを感じておられる方も多いですね。でも、それぐらい人気だったわりにキミプリの二次創作が少なかったのはまあ残念で⋯名探偵プリキュア、たんプリは開始1ヶ月で6作品、キミプリの13作品の半分はあります。ここから伸びるかどうかですよ⋯そこはもう東映がヘイトを買うような演出をしなければね。キミプリはちょっとそういう場面がいくつかありましたから⋯そこの反省を活かしてほしいとは思います。

そんなこんなでWBCの開幕も近いですけど、今回のWBCはNetflix独占配信なので例年WBC中継を担当している朝日系列は特に影響を受けずです。例年通りだったら大会の場合によっては準々決勝のアメリカラウンドが朝日系列担当になってた可能性もあったので⋯そうなるとプリキュア中止は免れなかったのでNetflix独占配信になったのは不幸中の幸いではないでしょうか?

そんな今回は23話分の後半戦。仕事終わりにカイトと接触したアイドルプリキュア達⋯そこで何を言われるのか?どうぞお楽しみに。

あと、後書きにて重要なお知らせがありますので最後までお見逃しなく!それでは、また後書きにて。


#60 試練と俺達のサイン

side蓮

 

「「カイトさん(くん)!?」」

 

「えっ?どうして俺のことを⋯」

 

 アイドルとホープフルが思わずカイトさんの名前を口にすると、呼ばれた彼は突如として驚く。それもそうだ⋯うたとニカ姉としては何度も会っているが、プリキュアとしては初めて対話するのだから。

 

「すみません。ウチのメンバーがよそ見していて⋯怪我はないですか?」

 

「うん。大丈夫だよ⋯それにしても、君達って何者なの?」

 

「何者⋯と言いますと?」

 

「突如現れた謎のアイドル⋯ネットにアップされた動画は歌い踊る姿だけでその正体は誰も知らない。君達、戦ってたよね?」

 

「「あっ⋯」」

 

 カイトさんはプリキュアとして俺達と会って早々疑問を投げかける。そういえば、あの時⋯まだキュンキュンとかホープフルが加入するかなり前に俺、アイドル、ウインクの3人で敵と戦っていたところを見られていたのだ。どうやら壊れた現場を修復はできるものの記憶に関してはどうにもならないらしい⋯

 

「ブレイキン、どういうこと?戦ってた現場をカイトくんに見られてたの!?(小声)」

 

「ああ、一度だけだがな⋯まさか今も覚えていたとは。(小声)」

 

「あれからずっと気になってた、君達、アイドルプリキュアのことを。特にキュアアイドル⋯」

 

「あれは⋯撮影撮影、ドラマの!」

 

「ふぅん。」

 

 アイドルは懸命に誤魔化そうとするも、カイトさんは疑いの目で俺達を見つめる。ただ、あれがドラマの撮影と誤魔化すには少々無理があるだろうな⋯カメラどころかスタッフいないどころかここまで街を本気で破壊するなんて演出にしてはやりすぎだ。

 

「あれ、カイトくん⋯久しぶり!」

 

「丸さん、お疲れ様です。」

 

「ま、丸山さん⋯ご無沙汰しております!」

 

「えっ?」

 

「キュアブレイキン、丸さんのこと知ってるの?」

 

「あっ、しまっ⋯!?」

 

 俺は思わず今はカイトさんのプロデューサーをしている丸山さんと久しぶりに会って反射的に挨拶をしてしまった。ちなみに、この人は俺達子役三姉弟のプロデューサーもやっていた人でお世話になってたけど⋯アイドルに人のことを言えないぞ、これは。

 

「どうも、初めまして⋯僕は響カイトのプロデューサーをしている丸山です。あなた達が噂のアイドルプリキュアですね?話の方は色んなところから聞いてますよ。」

 

「これはどうも。キュアブレイキンです⋯さっきは初対面なのに失礼いたしました。」

 

「キュアアイドルです!」

 

「キュアホープフルです。」

 

「よろしくお願いします。実はウチのスタッフがファンでね⋯申し訳ないけど、サインを書いて頂けませんか?」

 

「お願いします!」

 

 丸山さんの部下であるスタッフの女性が3人分の色紙を俺達に差し出す。そうか⋯俺達はスタッフ界隈からも名を知られた存在になったんだな。こうしてファンがいてくれるのは嬉しい話である。

 

「もちろんです!あっ、サイン⋯サインはまだなくて。」

 

「アイドルなのに?」

 

「そ、そんなことないよね⋯アイドル?すみません、どうも彼女は自分のサインをたまたま忘れてしまったようで。私とホープフルはしっかり覚えていますよ?ね、ホープフル?」

 

「そうね。アイドル、大丈夫よ⋯思い出して?」

 

「う、うん。それじゃあ、書きますね?」

 

 そんなこんなで俺達は色紙を1枚、サインペンを1本ずつ受け取ってからサインを書いていく。俺とホープフルに関してはやっぱりプロの芸能人だしプリキュアとしてのサインもかなり考えてきたから余裕だけど、アイドルに関してはあれからサインをろくに考えてないのか険しい表情でサインらしきものを即席で書いている。

 

「はい、どうぞ⋯これが私達のサインです。受け取ってください!」

 

「わぁ⋯ありがとうございます♪」

 

「こちらこそ、ありがとうございます!」

 

 サインを受け取った女性スタッフは晴れ晴れとした表情でお礼を言ってからまた仕事へと向かう。それを俺達は頭を下げて見送るも去ってからカイトさんは何やら険しい表情を浮かべている⋯何か問題があったのだろうか?

 

「何かあるんでしょうか?もしかして、私達のサインに問題が?」

 

「いや、キュアブレイキンとキュアホープフルのサインに関してはデザインといいサインを書く時の表情といい気持ちがこもってて良かったよ。でも、キュアアイドルはまだまだだなって思ったね⋯」

 

「えっ?」

 

「サイン書く時、黙って下ばかり見てたでしょ?目の前にファンがいるのにただサインを書いていた。」

 

「⋯」

 

「ファンは君のことが好きだからそれでも喜んでくれると思うけど⋯考えた方が良いかもね、それでもアイドルって言えるのか。」

 

「カイトくん、ちょっと待ってよ!アイドルはまだサインに慣れてないから仕方ないでしょ?そこまで厳しく言わなくても⋯」

 

「ホープフル!」

 

 カイトさんはアイドルにサインを書く時の態度に関してを指摘して厳しい言葉を放ち、それにホープフルは腹が立ったのか彼に反論しようとした。ニカ姉がまさか自分の親友のカイトさんにここまで怒るとは⋯初めて見た気がするが、今の俺達は姿が違う立場。ここは俺がホープフルを宥めることにした。

 

「カイトさん、ウチのメンバーに不手際があったことは謝ります。でも、ホープフルも言った通り彼女はまだ新人だし実を言うとサインにも描き慣れていません⋯それは言い過ぎではないでしょうか?」

 

「キュアブレイキン、君はグループのリーダーなんでしょ?君がサインを書く時の態度とかを教えなかったからこういうことになったのに、落ち度のある彼女のフォローすることしか考えてないなんて⋯本当にリーダーの資格があるの?」

 

「それは⋯」

 

「正直、残念だよ⋯それじゃあ。」

 

 そう言ってカイトさんはこの場から去っていく。確かに⋯サインを書くにあたってのことは一切指導してなかったのは事実だ。ここは俺に落ち度がある⋯でも、まさかカイトさんがここまで鬼のような人だったとは。アイドルの厳しさを俺達は改めて痛感するのだった⋯

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

sideうた

 

「希望さん、笑華ちゃん⋯私を弟子にしてください!」

 

 あの収録の次の日、私は蓮が買い物に行ってていない中だけど朱藤家にお邪魔してから希望さんと笑華ちゃんに弟子入りをお願いする。何の弟子なのか⋯それはもちろんアイドルとしてだ。

 

「えっと⋯うたちゃん、急にどうしたの?」

 

「ああ、なるほどね。実は⋯あの収録の終了後にファンの人からサインを求められてその時の態度に関してカイトくんから厳しい事を言われたのよ。それで、プロのアイドルである私と希望ちゃんに弟子入りを懇願した⋯そうでしょ?」

 

「うん。私、サインを書くのが初めてだったしサインも決めてなかったからずっと険しい表情をしてて⋯それがダメでカイトさんから言われました。」

 

「そうなんだ。私も実は昔、ここに来たばかりで歌手としてデビューしたばかりの時も同じ失敗を私はしたことがあってね⋯その時はマネージャーから怒られたんだ。『サインを書く時は笑顔で下を向くな!』って⋯だから、うたちゃんの気持ちはよく分かるよ。」

 

「それで希望ちゃんはPretty Fruitsのリーダーとしてデビュー前の合宿の時はサインを書く練習も私とかの後輩組にさせてきて同じことを言われたわ。ただ、いつもは優しいカイトくんがまさかここまで厳しいことを言うなんて⋯正直あれは酷すぎよ。」

 

「私もびっくりかも⋯そんなカイトさんに笑華ちゃんも怒ってたけど、笑華ちゃんはカイトさんに怒ったことってあるの?」

 

「そうね、いつもはお互い怒ったりしないけどアイドルとしてのあり方で衝突することがたまにあるって感じかしら⋯カイトくん、結構アイドルとしてストイックだからたまに怒られるし、私もついムキになってキレることもあるし。お互いもっと大人にならないとダメね⋯」

 

 笑華ちゃんは私にカイトさんがどれだけアイドルとして厳しいのかを話す。それだけ自分にも人にも厳しかったからこそ、あの人はレジェンドアイドルとしての地位を手に入れたんだろうなと思ってしまう。ましてやお友達の笑華ちゃんにも厳しいから、私にも⋯だよね?

 

「でも、ななちゃんやみんなと一緒じゃなくて良いの?あの子達も今、サインを作って見せ合ってると思うけど⋯」

 

「私もみんなと一緒にサインを考えたりしたいです。でも⋯私がみんなの足を引っ張るのは嫌だし、何よりもプロのアイドルである2人が1番頼りになると思ってますから。」

 

「分かった。じゃあ、うたちゃんが上手くサインを書けるようになるまで練習しよっか!笑華もお願いね?」

 

「もちろんよ。ウチのムードメーカーのしょぼくれた顔なんて見てられないし⋯カイトくんを見返してやりましょ!」

 

「うん⋯ありがとう、笑華ちゃん。希望さんも⋯よろしくお願いします!」

 

 それから私は希望さんと笑華ちゃんと一緒にまずは自分のサインを決めることから始めて、書く時の態度とか色々と教えてもらうことに。ななちゃんやこころとかに内緒でこういうことをするのはあまり良くないかもしれないけど、私が落ち込んでたらみんなも落ち込んでしまう⋯だから、私は努力する!みんなをキラッキランランにするために。

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「チョッキリーヌ様、マジでもう1人すぐにでも増やしてくださいよぉ⋯俺、ザックリ言って責任取らされるのマジで辛いっす!スパット様に進言してください。」

 

 その頃、チョッキリ団のアジトではザックリーが直属の上司のチョッキリーヌに対して必死に仲間を増やしてほしいとお願いする。スパットが言うには1人加わることは確実なのだが、その人物が合流する気配はまだなくザックリー1人が責任を負わされてる状態である。

 

「あたしに言われても困るよ⋯こういうことはスパット様に直接頼みな?確かに、大きなチャンスを逸して負けたぐらいであんた1人に責任を押し付けるという意味ではあたしも納得いってないけどね。」

 

「そうでしょう?なら、俺の気持ちを汲み取って一緒にスパット様と戦いましょうよ!あんな残酷な上司の言うことを聞いてたら俺達が作ってきたチョッキリ団がめちゃくちゃじゃないっすか⋯ザックリ言って納得いかねえ!」

 

「何が納得いかないんですか、ザックリーさん?」

 

「「す、スパット様!?」」

 

 ザックリーとチョッキリーヌがスパットのことを愚痴っていると、噂の張本人がいつの間にか背後についていた。これには2人もびっくりである⋯

 

「スパット様、これは違いますよ?私は話を聞いていただけで言ったのはザックリーでございます!」

 

「なっ⋯チョッキリーヌ様、抜け駆けはずるいっすよ!大体、あなたも同意してたじゃないっすか。」

 

「お黙りなさい!ザックリーさん⋯そんなに働き手がすぐにでも欲しいのならあなたが2倍でも3倍でも頑張れば良いじゃないですか?」

 

「いや、2倍じゃ足りないっす⋯プリキュアは7人ですよ?俺1人じゃザックリ言って敵わねえです⋯」

 

「そんな弱音を吐いてる暇があるならとっとと行きなさい!今のあなたにはプリキュアを倒す以外、許される手段はありませんよ?責任から逃げられると思わないことです。」

 

「ひ、ひぃ⋯行ってきます!」

 

 スパットの怒りに負けたザックリーは逃げるようにして任務へと向かう。勝利しか許されないという鬼畜な任務⋯それから逃れることはできないのだ⋯チョッキリーヌにも反論の余地を与えさせない圧。ダークイーネの側近という立場がかなり厄介だ⋯今のチョッキリ団はもはやスパットによる独裁国家のような感じである。

 

「さて、私もちょっと会いたい人と会ってくるので⋯留守番頼みましたよ、チョッキリーヌさん?」

 

「御意⋯お気をつけて。」

 

 それに続いてスパットも外出してチョッキリーヌはそれを見送る。果たして、スパットが会いに行く人物の正体とは⋯闇の足音はさらに濃く、そして大きくなろうとしていた。

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

side蓮

 

『本当にリーダーの資格があるの?』

 

 あの収録が終わった後、あれから俺は悩みに悩み抜いた。カイトさんから責められた俺のリーダーとしての姿勢⋯俺ってやっぱりリーダー失格なのだろうか?俺は芸能人ではあるが、アイドル業界を知る程度の人間⋯やっぱり、リーダーはプロのアイドルであるニカ姉に譲るべきかと思ってしまう。自分の無力感を買い物をしてる中でも感じるのだった。

 

(確かに、アレはうたにサインの書き方とか教えなかった俺が悪かったかもしれない⋯でも、みんなのモチベーションを落とさないように何とかするのはリーダーの仕事だと思ってた。俺はうたが落ち込まないようにフォローして責任を軽くすることを考えてたけど、それってダメなのか?)

 

「こんにちは、蓮くん。」

 

「あっ、こんにちは⋯」

 

 ちょうど考え事をしながら歩いていると、悩みの種の張本人であるカイトさんと会って声をかけられる。この前のことを気にしてるのだろうか?とにかく、気になって仕方がない。

 

「あの⋯昨日はすみませんでした。」

 

「昨日?」

 

「いえ、何でも⋯(そうか、今の俺ってプリキュアじゃないんだよな⋯とりあえず、どう思ってるのかを聞き出してみるか。)」

 

「そう。実は俺、ちょっと蓮くんに相談事があって⋯立ち話もアレだしベンチに座って話そっか。」

 

「俺に相談事?はい、何でもおっしゃってください。」

 

 そんなこんなでカイトさんは俺に相談事があると話を切り出して立ち話をさせるのも失礼ということで近くのベンチに腰かけて話を聞くことに⋯

 

「昨日、仕事でテレビ局に行ってたんだけどその中でアイドルプリキュアの3人に会ったんだよ。キュアブレイキンとキュアアイドルとキュアホープフルの3人にね⋯」

 

「どうでしたか?」

 

 カイトさんは俺に昨日あったことを話す。まさかアイドルプリキュア、俺達の話を自ら切り出すことになるとは⋯正直半分驚いた。

 

「3人は俺がお世話になってるプロデューサーの下で働いてるスタッフの女性にサインを書いてたんだけど⋯キュアアイドルがちょっとサインを書く上でのタブーをしていて、それに厳しいことを言ってしまい彼女を落ち込ませちゃったんだ。それと、キュアブレイキンにもリーダーとしてのあり方を厳しく言っちゃって⋯俺、あの子達に謝った方が良いかな?」

 

「⋯そうですね。でも、あいつらにはレジェンドアイドルの喝は刺激になったと思うので気にしなくて良いですよ。でも、カイトさんってアイドルのことに関しては厳しいんですね⋯どうしてそこまで厳しくするんですか?」

 

「実は昔、ある番組のプロデューサーから言われたこととその人の言うことを聞かなかったことから生まれた後悔があってね⋯『ヤングアイドル倶楽部』って番組を覚えてるかな?」

 

「覚えてますよ。まだデビューして2年目ぐらいのカイトさんが出ていて半年間ぐらいあってた深夜番組ですよね⋯あの番組はニカ姉が毎週観てましたけど、もしかしてその打ち切りとなるきっかけになったあの事件に関わってたりとか?」

 

「蓮くんは鋭いね。俺はその番組で共演していた小さな事務所からデビューしたばかりだった後輩の2人組と席が隣だったこともあり仲良くしてたんだ⋯でも、彼らは2人とも素行が悪くてアイドルとしての態度にも問題がある所謂問題児で、ある回の収録後にプロデューサーから『彼らをこれ以上甘やかすな。収録中だとしてもダメなことをしたら放送事故覚悟でも怒ってほしい。』と言われたんだ。」

 

「彼らのことは叱ったんですか?」

 

「いや、当時の俺は仲良くしていたその2人に怒ると縁を切られるのが怖いと思って指示に従わなかったんだ。その結果、彼らは取り返しのつかないことをしてしまい、1人は無免許の上に未成年の身で飲酒運転をして轢き逃げ事故を起こして逮捕、もう1人は小学生の女の子に性的暴行をして逮捕。その結果、テレビ局はこの件を謝罪すると共に番組は打ち切りに⋯それから俺は後悔したよ。やっぱり、ダメなものはダメなものだと言うべきなんだ⋯それで、俺はあの日から人としてアイドルとしてダメなことをしている人がいたら厳しく言うようになったんだよ。」

 

「そうなんですね⋯」

 

 カイトさんは俺の質問に対してあの時厳しく接した理由とそのきっかけの出来事を話した。確かにあの時、番組の出演者が事件を起こしたことで打ち切りになったのは知ってたのだが⋯その裏でこんなことがあったのは初耳だ。そりゃあ、彼が後悔するのも無理はないだろう⋯しかし、カイトさんの表情からしてこれとは別に悔やんでいることがありそうな気もした。それが何なのかはまだ分からないがな⋯

 

「ごめんね、蓮くんにこんな重い話をして。大丈夫?」

 

「いえ、カイトさんにも後悔することってあったんですね⋯俺なんかそういうことは沢山でしたよ。全部話すと時間ないですけど⋯とりあえず、カイトさんは引き続きその正義感を大事にしていてください。あなたのように違うものを違うと言える存在って周りからはありがたい存在だと思われてますよ?俺も姉ちゃん達に叱られてきたからこそ今がありますから。」

 

「そう言ってくれると助かるよ。ありがとう、蓮くんのおかげで少し心が軽くなったかも⋯ただ、言い方に関しては少し気をつけるね。」

 

「それで良いと思います。応援してますよ!」

 

「蓮、大変だ⋯クラヤミンダーが出たヨイ!(小声)」

 

「何だって!?(小声)」

 

「蓮くん、どうしたの?」

 

「すみません。ちょっと俺、買い物の途中なので失礼しますね!アイドルプリキュアのみんなにはよろしく伝えておくので⋯それじゃあ!」

 

 ヨーヨイがクラヤミンダーの気配を検知し、カイトさんの悩みがひと段落したところで俺は挨拶してから現場へと大急ぎで向かう。もっとカイトさんと話したかったのに空気の読めないチョッキリ団め⋯絶対徹底的に叩きのめしてやる!

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「クラヤミンダー!」

 

 現場に着くとそこには色紙を媒体にしてサインペンを武器にしているクラヤミンダーが街中で暴れていて、既に他のみんなはプリキュアに変身して戦っていた。カイトさんと話してる間にこんなことになってたとは⋯しかも街中には落書きというかサインのようなものが刻まれている。

 

「お兄様、蓮!」

 

「良かった⋯2人とも無事だったんだね!」

 

「蓮くん、やっと来た⋯」

 

「遅いわよ、買い物に時間かけすぎじゃないの?」

 

「このクラヤミンダーなかなか手強いです⋯!」

 

「蓮、お願い!」

 

「ごめん、みんな⋯ヨーヨイ、行くぞ!」

 

「了解だヨイ!」

 

「プリキュア、ライトアップ!⋯キラキラドレスチェンジ、YEAH♪」

 

 俺は悪戦苦闘する6人に続いて変身する。遅刻をかましてしまった分、ここは取り返さないとな⋯ヨーヨイも例のごとくフェニックス人間に変身していく。

 

「キミとブレイクダンス、ハートの熱気!元気アツアツ、キュアブレイキン!」

 

「⋯と、不死鳥ヨーヨイ見参!」

 

 俺が名乗りを決めるとヨーヨイも即席なのか考えたものなのか続いて名乗りを上げる。不死鳥という響きは良いのだが、どこかダサいような気がしてしまう⋯ヨーヨイのセンスが悪いんだろうか?

 

「けっ⋯役者が揃いやがったか。まあいい!キュアブレイキンもヨーヨイもザックリやっちまえ!!」

 

「クラヤミンダー!」

 

「お兄様、ブレイキン⋯クラヤミンダーの攻撃に気をつけて!」

 

「分かってる。俺は今、虫の居所が悪いんだ⋯ザックリ仕留めてやるよ!」

 

 キッスは前置いて注意をするも俺とヨーヨイは大丈夫だというアピールをしてクラヤミンダーに特攻を仕掛ける。俺はカイトさんの気持ちを知れて、そしてリーダーとしての姿勢を学び⋯前を向けるようになった。今の俺は誰にも負ける気がしない!

 

「クラヤミンダー!」

 

「不死鳥の雄叫び(フェニックス・インパクト)!⋯ブレイキン!」

 

「おうっ、ブレイキンタイフーン・BURNING!」

 

 ヨーヨイがビームでサイン攻撃を食い止め、その隙を突いて俺は炎を纏わせ回し蹴りを浴びせる。クラヤミンダーは吹き飛び、ペンは地面に突き刺さり勝負ありか⋯

 

「サインってのはみんなを喜ばせるために書くものだ⋯こういうことに使うんじゃねえ!」

 

「ブレイキンと同意見だ!」

 

(ヨーヨイ、言うことないからって便乗すんなよ⋯)

 

「流石です、お兄様!」

 

「ブレイキンもナイス!」

 

「お前ら⋯こんな大人数でやってるのに苦戦しやがって。もう少し気合を入れていけよな?」

 

「ちょっ⋯遅刻したあなたがそれを言えるの?リーダーだからといって調子に乗らないでよね!」

 

「ホープフル、落ち着いて⋯」

 

 それが6人に喝を入れると、ホープフルが突如逆ギレしてきてアイドルがそれを落ち着かせる。優しくしてばかりではダメだ⋯こうして気を引き締める言葉もかけないといけない。

 

「でも、お前らのおかげでこうして絶好機を仕留めることができた⋯アシストしてくれてありがとな!」

 

「いえ、こちらこそ⋯苦戦してた中で助けてくれてありがとうございました。」

 

「ブレイキンは本当に頼もしいリーダーだよ?これからもよろしくね。」

 

 それで、キュンキュンとウインクは(キュンキュンが)俺にお礼を言いつつ(ウインクは)俺のことを褒めて信頼を寄せる。本当にこれが本来のアイドルチームのあるべき姿なんだ⋯カイトさん、それを教えてくれてありがとうございます!

 

「ま、まあ⋯そうね。とりあえず、とっとと決めちゃいましょうか⋯ここは私とブレイキンで!」

 

「いいえ、ここは私とお姉様で決めるわ!お姉様⋯」

 

「私、キュアアイドルのステージ見たい!」

 

「お姉様!?」

 

 ホープフルとキッスが決め技をどっちが決めるかを揉めていると、ズキューンは第三の意見としてアイドルのステージが見たいと言い出す。これには俺もキッスも困惑⋯俺って結局、ここまでやっといて引き立て役にしかならないのか。リーダーとして決めたかったがな⋯

 

「うん⋯行くよ!」

 

♪:Trio Dreams

 

「「「うーっ、Let's go!Try Try Trio Dreams!Let’s Sing, Let’s Swing, Let’s Dance,Let’s Swing, Let’s Dance⋯ハート上げてくよ!…Sing! 音符に夢乗せてキミ、あなたのもとへFor You!もっともっと輝き合えるねみんな、キラッキラン、瞳水晶(スクリーン)にいつだって笑顔映し合おうPromise、キミがいるからパワー生まれるよ、今日も〜♪…プリキュア・ハイエモーション!」」」

 

「「キラッキラッタ〜♪」」

 

 そして、アイドル、ウインク、キュンキュンの3人の決め技が決まりクラヤミンダーは浄化されていく。キラルンリボンの回収にも成功して万事解決だ。

 

「ザックリ7倍にしろ8倍にしろ働けねえよ⋯ 」

 

 そうしてザックリーは撤退して街は元に戻るも、そのリボンと同時に何かが落ちてきてそれを俺は拾う。それは何とカイトさんのサインだった⋯恐らくクラヤミンダーの魂として取り込まれた人のものだろう。名前は『メイ』って人か⋯

 

「で、あなたが遅刻した理由って何なのかしら?私達が大変な思いをしてる中でどこで道草を食ってたの?」

 

「ホープフル、そこまでブレイキンを責めないでくださいよ?もう浄化できたからそれで良いじゃないですか⋯」

 

「そうだよ、ホープフル⋯笑って!」

 

「あんたらは黙ってなさい!で、どうなのよ?」

 

「悪い⋯ちょっと俺、やることができたから。先に帰っててくれ!」

 

「ブレイキン、私も手伝うよ!」

 

「ブレイキン、アイドル!」

 

 俺はカイトさんのサインの持ち主を探しに行くことになり、アイドルもそれに続く。ウインクは呼び止めようとしたもののアイドルは恐らくカイトさんのサインをきっかけに彼に会えると信じていることだろう。俺ももちろんそう思ってたから思惑は一致だ⋯

 

「あれ?カイトくんのサイン⋯どこ?」

 

 ちょうど現場近くを探しているとカイトさんのサインをなくしたであろう女性を見かける。この人がメイさんなのだろうか⋯とりあえず、声をかけてみよう。

 

「すみません⋯あなたがメイさんですよね?これを届けに来ました。」

 

「は、はい⋯ありがとうございます、ってキュアブレイキンちゃん!?しかもキュアアイドルちゃんもいる!」

 

「こんにちは。メイさんってカイトさんのファンなんですか?」

 

「そ、そうたけど⋯っていうか、本物!?2人とも可愛い〜♪」

 

「ありがとうございます⋯(可愛いって言われるのってひま姉を除けば何年ぶりだ?子役以来だから照れるな⋯)」

 

「⋯っていうか、名前で呼んだよね?嬉しい!そうだ⋯もし良かったらサインしてほしいけど、私の背中に!」

 

「ええっ、背中に⋯良いんですか?」

 

「お願いします!」

 

「ブレイキン、メイさんがOKを出してくれたんだから書いてあげようよ。」

 

「そうだね⋯じゃあ、失礼します。」

 

 俺は一瞬、メイさんからの背中にサインを書いてほしいというお願いに戸惑ったがアイドルから言われて本人がOKならということで割り切ってサインを書くことに⋯俺が上に書き、アイドルは下の方に書くという感じだが、背中にサインを書くってのは初めての経験だ。

 

「ぷっ、ふふっ⋯♪」

 

「すみません、くすぐったいですよね?もう少し我慢してください。」

 

「は、はい⋯ぷふっ♪」

 

「メイさん、キラッキランラン〜♪」

 

 そんな感じで俺達はメイさんとは会話も挟みながら彼女の背中にサインを書いていき、ものの数分で完成。メイさんはかなり喜んでた様子だ⋯

 

「ありがとうございます。この服、一生大事にしますね!それでは⋯」

 

「お気をつけて!」

 

「またね〜♪」

 

「あの人、嬉しそうだったね。」

 

「「カイトさん⋯」」

 

 メイさんを見送ったタイミングで背後からカイトさんが声をかける。昨日の今日だから少し気まずい感じもあるが、今の彼はとても機嫌が良さそうだ⋯さっきまでの落ち込んでた様子もない。

 

「そうなんです!キラッキランランになってくれて私までキラッキランランになっちゃいました。」

 

「私もです。アイドルとメイさんの笑顔を見てて、嬉しいというかこんなにもアイドルとして成長したんだなって感心しました⋯」

 

「うん、良かったじゃん。それと、昨日は君達に酷いことを言ってごめんね⋯俺、アイドルとしてダメなものはダメだと言ってしまう性格だからつい。でも、嫌いってわけじゃないからそれは分かってほしいんだ⋯」

 

「大丈夫ですよ。私もあれからリーダーとしてどうあるべきかを考え、その中でカイトさんから教わりましたから⋯アイドルも今回のことをきっかけにサインの書き方とか学んだみたいですし。」

 

「えっ、俺⋯キュアブレイキンに何か教えたかな?それはそうと⋯2人とも、ここで何かあった?」

 

「いえ、何も⋯じゃあ、行こうかアイドル。みんなが待ってることだし⋯」

 

「うん。カイトさん⋯」

 

「「ありがとうございました♪」」

 

 俺とアイドルは去り際にカイトさんにファンサしてこの場を後にした。しかし、あの人⋯何か俺達のことを探ってるような気もするが、俺の気にしすぎだろうか?それはそうと、アイドルにサインの書き方とかを教えたのって誰なんだ?妙に慣れてるような感じだったんだが⋯まあ、それは考えるだけ野暮か。とにかく、みんなのもとに帰るとしよう!

 

side out

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

「あれがキュアアイドルとキュアブレイキン、ですか⋯」

 

「ええ、あの2人はアイドルプリキュアの中でも2トップです。この2人のムードメーカーが元気な限り私達が勝つのは難しいでしょう。」

 

「でも、僕が本気を出せばアイドルプリキュアに勝てる自信はありますよ⋯スパット様。」

 

「凄い自信ですね⋯あなたにはすぐにでも合流していただきたいのですが、まだ遊ぶおつもりで?」

 

「僕はまだやりたいことがありますから。もう少し人間だった時の思い出に触れていたいので⋯」

 

「そうですか。なら、いつでもお待ちしておりますよ⋯ジョギさん。」

 

 スパットはそれだけを言い残して『ジョギ』と呼ばれるフードを被った男を残して消え去る。このジョギという男は果たして何者なのだろうか?そして、あらゆる意味の破滅へのカウントダウンを示す時計の針は進んでいくのだった⋯




いかがでしたか?カイトから言われた厳しい言葉⋯その背景には過去の後悔があったわけですが、蓮もうたちゃんもその言葉を受けて前を向けたのは何よりです。それで、蓮とヨーヨイはカイトと話をしていて遅刻するも決める時は決めましたね。ただ、ズキューンの意向によりステージ技はアイドル達に奪われましたが⋯しかし、サインやらリーダーの試練を乗り越えた2人はきっと輝かしい未来が待ってることでしょう。

しかし、迫る闇は徐々に大きくなっていくことに⋯ザックリーに残された時間も少なく、ジョギも顔を出すという。どうなっていくことか⋯今後の展開もご期待ください。

それと、前書きにも書いた重要なお知らせですが⋯この作品はあと9話ぐらいで完結とさせていただきます。ただ、この作品のシリーズは終わりません⋯続編を出して続けていきます。一旦完結した際には章整理をしますので、これで少しはどのエピソードがどの章になるのかが分かりやすくなるかと。

とりあえず、この作品のあと9話も楽しみにしていてください!また、今回でこの作品の原作ベースの回は最後で次回からはオリジナル回になります。どうぞお楽しみに!

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 魔獣と戦ったりオークから人間にまで陵辱されたり箱化したりしそうな世界観で戦う少女達と、それとは全然関係ない所で勝手に改造手術されて戦う羽目になったニチアサ野郎がドッタンバッタンするお話▼「なんだあの露出度……痴女か!?」▼「なんであの重い鎧装備して動けるんだろう……ゴリラ?」


総合評価:7947/評価:8.2/連載:16話/更新日時:2026年05月15日(金) 16:41 小説情報


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