キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達-   作:寿垣遥生

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遥生です。2月ももう今日で終わりですが、いかがお過ごしでしょうか?僕は今月からこの作品に専念して今月だけで7話目となります。ここまで頑張れたのは皆さんの反応のおかけですよ…感想もお気に入り登録も高評価も身に染みしています。そして、アクセス数も2000に到達…本当に心から感謝申し上げます!

さて、今回はアニメだと4話に相当するお話です。予告した通りにレジェンドアイドルの響カイトが出てきますけども…蓮とどんな絡みをするのか?それは本編のお楽しみということでよろしくお願いします。

それでは、また後書きにて…


#7 伝説のアイドル、響カイト

side蓮

 

 歓迎会を乗り切った週末の休日…俺とななは喫茶グリッターを訪れていて、その中で今はなながピアノを演奏しているところだ。本当に彼女のピアノの音色は美しい…まさに、目には見えない芸術品と言えようか。

 

「やっぱ、ななちゃんかっこいい!」

 

「凄く凄く上手♪」

 

「ワン!」

 

 うたとはもりちゃんは演奏終えてすぐに目を光らせてななのことをべた褒めする。当然ながら来店されてるお客さんもみんな拍手…そして、うたの飼い犬のきゅーたろうもワンの一言。

 

「やっぱりななのピアノは最高だよ…相変わらず絶好調だな!」

 

「ありがとう!」

 

「素敵な演奏…あっ、そういえばキュアアイドルって知ってる?」

 

「知ってる!最近ライブ映像が出てたけど、同時に新しい子のライブ映像も出てたよ!キュアウインクって子…可愛いよね。」

 

「キュアウインクちゃんも好きだけど、俺はキュアアイドルちゃん派だなぁ…こっちも対抗して流そうぜ!」

 

「店内だからほどほどにな…」

 

 すると、すぐ近くの女性客2人は何とどこで流通したのか不明ながらキュアウインクのライブ映像をYouTubeで再生して、それに対抗心を燃やした奥の大学生ぐらいの男性2名はキュアアイドルのライブ映像を再生するという歌合戦みたいな空間ができあがる。プリルンはあれで懲りたはずなのにどうして映像が出回ってるんだ!?

 

「キュアウインクの話、してるね…」

 

「キュアアイドルの話も…」

 

「どうしてだ?プリルンのあの件でライブ映像が流出することはなくなったのに…って、嘘だろ!?おいっ…うた、なな…ちょっと来い!」

 

「「えっ?」」

 

 それから俺達ははもりちゃんを残してから上の階でその答えを見せた。何と、YouTubeに上がってたことは上がってたのだが…そのアカウントははなみちタウンの公式YouTubeチャンネルだった。

 

「どうして、はなみちタウンの公式に私達のライブ映像が…」

 

「またプリルンじゃないよね?」

 

「違うプリ!これ、プリルンのアカウントじゃないプリ!」

 

「当たり前だろうヨイ!お前はアホか!?」

 

(一体誰なんだ…この映像を撮影したのは?概要欄を見ても撮影者は記載されてない。こういうのは普通名前を出すだろ…)

 

 俺はこの動画のあらゆる情報から手がかりを探そうとするも見つからず…ただ、もしもこの動画を撮影したやつは恐らくピカリーネさんが言っていたモッサモサの刑を受けてることだろう。はなみちタウンの誰かは知らねえけど、そいつには心から反省してほしい。

 

「でも、私的にはアイドルと言えばやっぱり響カイト様かなぁ…」

 

「レジェンドアイドルだもんね!」

 

「ありがとうございました!」

 

 そうこうしていると、キュアウインクの話をしていた女性客2人は店を出る。響カイト、か…ぽっと出の俺達とは違って何年も前からアイドル界を席巻して革命を起こしたレジェンドには流石に勝てねえよな。

 

「響、カイト…」

 

「ああ、言わずと知れた伝説のアイドルだ…歌もダンスも何もかもがずば抜けていて老若男女に人気があり、18歳にして彼はレジェンドになった。すげぇよな…」

 

 俺は自分のスマホで響カイトに関するページを開いて2人にも見せる。彼はニカ姉とは同じ年にデビューした同期でニカ姉との共演も多かったけど、現役の女子アイドルの中でも1番のオーラを誇るニカ姉以上にオーラを出していて番組を回すのが上手いなと思っていた…今は留学中で活動休止ではあるが、世間からは復帰してほしいとの声が大きいのだ。

 

「うんうん!私、この人の曲好きなんだ。」

 

「私もだよ。蓮くんは?」

 

「あっ、悪い…俺、こういうのに疎くて。ただ、音楽番組で歌ってるところは見たことがあるな。もうマジで上手かったのは覚えてる…めちゃくちゃ煌めいていたよ。」

 

「いらっしゃいませ!」

 

 そんな風に話をしていると1人の男性客が店の中に入ってくる。その人物が眼鏡と帽子を外すと、見覚えのあるどころかさっきまで話をしていたあの人物であることを知る。そう、その名は…

 

「「「響カイト!?」」」

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

 それから俺達は響カイトと思われる客の様子を店の陰から偵察する。まさか伝説のアイドルがこのはなみちタウンの喫茶グリッターにやって来るなんて…しかも留学中でお忍びというのは熱すぎる。マジかよ…信じられねえ。

 

「あの人、絶対!」

 

「静かに!あんまり騒ぐな…」

 

「そうだよ、カイトさんはプライベートで来てるんだから。」

 

「ごめんなさい…」

 

「しかし、今はニューヨークに留学に行ってるってのに…どうして日本に?」

 

「留学?」

 

「ああ、カイトさんは歌の勉強としてここ1、2年ぐらい前から活動休止してるんだ。」

 

「でも、凄いよね…そんなに頑張れるなんて。」

 

「まあ、俺も同じ芸能人だったから彼の頑張る気持ちは分かるよ…この記事にも書いてあるけど、『いつもアイドルとして大切な想いを胸に抱いています』ってコメントしててさ、俺はアイドルじゃなかったけど俺も俺で役者として周りやファンのために常に全力で頑張ってきたからな…」

 

「えっ、蓮くんって芸能人だったの?」

 

「ま、まあ…もう辞めたけど。」

 

「それも蓮は売れっ子の子役で『子役三姉弟』っていたでしょ?その末っ子が蓮でその上のお姉さんは今やトップ女優の陽葵さんと『Pretty Fruits』のセンターを務める笑華さんで蓮も天才だったの!」

 

「うそ…蓮くんがあの天才子役の朱藤蓮くんだったなんて。本当に?」

 

「まあ、天才かよく分かんねえが…そうだな。」

 

「そうなんだ…夢みたい、あの蓮くんが私の横にいるなんて!」

 

 ななは俺のファンでもあるうたによる丁寧な解説により俺が芸能界にいたことを知って、驚いてから噛みしめるようにして喜ぶ。俺のことでこんなにも喜んでくれるやつはうたに続いて2人目…嬉しいことだが、少し恥ずかしいし心がぐちゃぐちゃになりそうだ。

 

「でも、レジェンドアイドルのカイトさんも素敵だなぁ…私、声かけてみるね!お母さん、私やるやる〜!!」

 

 うたはそんな中でレジェンドアイドルのカイトさんに声をかけようと彼女のお母さんと役割を交代して接客に向かう。ただ、俺はさっきから気になっていた…うたはカイトさんの話をしてる時に凄く楽しそうにしていたことを。俺がファンなのは確かだしカイトさんのファンだとしても俺はどうとは言わない…でも、どうしてだろう?あいつがカイトさんに目を光らせてるところを見てると少しモヤモヤする。この気持ちは一体何だろうか?

 

「蓮くん、どうしたの?何か苦しそうだけど…」

 

「えっ、いや…何でもねえって。あいつが少し緊張してるのが気になっているだけだよ…大丈夫かな?」

 

 それから俺達は場所を移動して、カウンターに陣取りうたの仕事っぷりを見る。ハーブティーを運ぶ手がめちゃくちゃプルプルしていて落とさないか心配だ…

 

「お待たせしました、ハーブティーです。」

 

「ありがとう。」

 

 うたがハーブティーを運ぶとカイトさんはそれを1口味わう…飲み方もこんなに上品だなんて。流石はレジェンドアイドル、振る舞いまでもが素晴らしい…

 

「おっ…」

 

「はい、どうされました?」

 

「これ、とっても美味しいね。」

 

 ハーブティーを味わってからカイトさんがうたを呼び止めると、彼は究極のアイドルスマイルを見せて味を褒める…何ていう煌めきだ近くのうたは然ることながら離れの俺達のところまでその輝きは届いた。何て眩しいんだ…

 

「大変だ、パスタが切れた!ウチの名物ナポリタンが作れないなんて…一大事だ、すぐに買ってくるよ〜!」

 

 すると、咲良和さんはパスタが切れたことを受けて買い物へと走って行った。本当に元気で騒がしい家族だよ…うたの元気はこのお父さん譲りではなかろうか?

 

「ちょっとお父さんったら財布忘れてる!うた、すぐ戻るから。」

 

「はもりも行く♪」

 

「少しの間、お店をお願いね?」

 

 それに続いて咲良音さんとはもりちゃんもお父さんを追いかけて店を出てしまった…今はカイトさんしかお客さんがいないとてこれはやばいんじゃないのか?しかも、まだ中学生のうたに店を回せって無茶すぎるだろ…

 

「うた、1人で店を回せるのか?」

 

「大丈夫!この時間はお客さん…あんまり来ないから。」

 

 うたは時間帯も時間帯だから大丈夫と言い張る。しかし、彼女の思惑と違って客が1人、2人、3人…徐々に増えていき、気がついたら満員になってしまった。

 

「うたちゃん、流石にこれは…」

 

「えっと…」

 

「いつもの!」

 

「注文お願いしまーす!」

 

 そして、みんながこぞって注文しようと沢山の客が手を挙げる。おいおい…これは流石にうた1人ではキャパがオーバーじゃねえのか?これを1人で回すのは鬼畜の所業だ。

 

「大変そうだね…俺も手伝うよ。」

 

 すると、お忍びで先に来ていたカイトさんが自ら手伝いを名乗り出る。目立ってはいけない立場なのに自らピンチを助けに行くところってあんたはスーパーマンか…そう言いたかったけど、年上だし芸能界は俺が先輩とて引退してるし今の地位はカイトさんが上だから言えなかった。

 

「ええっ!?そんなの悪いです!」

 

「良いから任せて…俺、元ウェイターだから。」

 

 そう言うと、カイトさんはどこから用意したのかエプロンを着てメモ用紙とペンを取ってから接客へすぐに向かう。何なんだ…この人、接客させても最高じゃねえか!

 

「お待たせしました。」

 

「アイスコーヒーとクリームソーダを1つ!」

 

「かしこまりました…アイスコーヒーにミルクとガムシロップはつけますか?」

 

「お願いします!」

 

「ちゃんとできてる…」

 

「こっちも負けてらんねえな…なな、俺達も働くぞ!」

 

「私も!?」

 

「ああ、こうやってスーパーアイドルの働くところを見れば何かアイドルプリキュアをやる上で勉強になることもあるはずだ!一緒に頑張ろうぜ?(それに、カイトさんばかり良い真似されたら俺がうたに示す顔がねえしな…)」

 

「そうだね、私も頑張る!」

 

 こうして、俺とななも加わってカイトさんも含めて4人でこの店を回すことに…どのような接客をすれば良いのかは流れを見れば分かる。こっちも伊達に子役はやってねえからな…完コピぐらい容易いことだ。

 

「私、咲良うたです!お父さんとお母さんが帰ってくるまでよろしくお願いします!」

 

「蒼風ななです。」

 

「朱藤蓮です。」

 

「俺は…」

 

「俺達には分かってますよ、響カイトさん。」

 

「バレてたか。しかし、最後の蓮くんだっけ?朱藤ってことは笑華ちゃんと陽葵さんの弟であの子役三姉弟の末っ子だったりとか…」

 

「そうですね。あのがどのなのかは分かりかねますけど、カイトさんのことは姉から聞いてますよ。ウチの笑華がお世話になってます。」

 

「いやいや、とんでもない。笑華ちゃんと共演してたのはもう本当に楽しくてね…俺と彼女はアイドルとして同期で共演する番組は多いけど、本当にあの子は天才だよね。メンバー最年少なのに先輩達に屈せずモノを言えてセンターを張れる強心臓と愛嬌…笑華ちゃんはアイドルをするために産まれたんじゃないかって思ってて、いつもニューヨークからも応援してるんだ!」

 

 カイトさんはニカ姉のことを最大級で褒める。本人がいたらあの姉貴はカイトさんのことが大好きだから照れてパニくるだろうな…ここら辺は本人不在の方がむしろ助かったかもしれない。

 

「そうなんですね、姉にはよろしく伝えときますよ。とりあえず、4人で頑張りましょう!!」

 

「プーリー!」

 

「「「…!?」」」

 

「何か聞こえたような?」

 

「いや、気のせいっすよ…空耳です!」

 

 俺達が意気込もうとしたその時、プリルンが飛び出してきて危うくカイトさんにバレそうになる…俺達ならまだしも関係者じゃない彼に色々バレたら大変な事態になっちまうから気をつけねえとな。

 

「とりあえず、分からないことがあったら何でも聞いてくださいね?こう見えて店の手伝い歴13年、何かあってもフォローするんで!」

 

「OK♪」

 

「はぐぅ!?」

 

 うたはお手伝いの先輩面して頼りになるように振る舞うもカイトさんの笑顔に撃ち抜かれる。俺の笑顔でもこんな反応しねえのに…カイトさんが凄いのか、俺がしょぼいのか?まあ、今も芸能界のトップにいる彼に勝てるわけもないけど少しショックだ。

 

「ママ、お腹空いた!」

 

「ちょっと待ってようね?」

 

「よーし、じゃあナポリタンを私が作っちゃう!」

 

「パスタないんだよね?」

 

「そうだった…!」

 

 それからももう待てない親子の客にナポリタンを振る舞おうとしたのだが、パスタ麺がないことを思い出させられて撃沈…先輩として良い面を見せようとするもことごとく色々と負けてる。お手伝いを13年やってるのは立派だけど、悔しいけどもカイトさんのセンスは半端ねえよ…元ウェイターの経歴は伊達ではなかった。

 

「これ、付けてあげても良いかな?」

 

「えっ、はい…良いですけど。」

 

 カイトさんが犬のクッキーを手に取ると、それをクリームソーダに飾りつけてからその上アイスにチョコチップも盛り付ける。この独創的な工夫…もうここまでされたらうたは先輩面できなくなってしまった。もうオーバーキルレベルのセンスである。

 

「凄い、抜群の美的センス!」

 

「ああ。やっぱりカイトさんはレジェンドアイドルだな…」

 

「…」

 

「お待たせしました。クッキーのワンちゃんは君とお友達になりたいって…」

 

「うわぁ…!」

 

「まあ、可愛い。」

 

「ありがとう、お兄ちゃん♪」

 

 そして、そのクリームソーダを受け取った男の子は嬉しそうにお礼を言う。本当に彼はもうボランティアと言わずに一生ここで働いてほしいものだ…俺もうたもななも勝てねえって!それからもうたは必死に先輩アピールをしようとするも、空回りしてカイトさんにフォローされたり負ける有り様…俺とななはもう彼の元ウェイターのセンスに惚れ込むばかり。同じ男として惚れちまったよ…本当に響カイトという男には隙なんかなくもう魅力しかなかった。

 

(30分後…)

 

「少しひと段落したかな?」

 

「お疲れ様です…やっぱカイトさんは手馴れてますね。元ウェイターだからだけじゃないでしょ、何をすればこんなに捌けるんですか?」

 

「実は昔、ドラマでウェイター役をやったことあるんだ。」

 

「知ってます!『ウェイターはみた』、ですよね?」

 

「当たり!」

 

 俺がどうして手馴れてるかをカイトさんに質問すると、彼はドラマのウェイター役で経験があると答えて、なながその作品を言い当てる。そのドラマはニカ姉が好きなドラマで俺やひま姉も一緒に観ていた作品で、本当に話してて懐かしい…三姉弟一緒に毎回リアルタイムで観た最後のドラマ作品である。(ちなみにひま姉もニカ姉もメインキャラの役として出演していた)

 

「ただいま!凄いお客さん…」

 

「うた1人で頑張ってくれたのか?」

 

「ううん…ななちゃんと蓮と、カイトさんも。むしろ、私がカイトさんの手伝いっていうか…」

 

「俺は大したことしてないです。」

 

「4人ともありがとう、もう休んでてくださいね?」

 

 こうしてうたのご両親やはもりちゃんが帰ってきて俺達は店の手伝いを終える。しかし、うたはカイトさんの仕事の出来に圧倒されて手伝い歴13年の積み上げてきたものを崩され落ち込んでるというか拗ねている様子。まあ、色々あったけどカイトさんとこうして話せる機会ができたのは大きいことだろう…お忍びでこの店を選んでくれたことに感謝だ。

 

「「今日はありがとうございました!」」

 

「私ももっとできたはずなのにな…」

 

 俺とななは今日一緒に働いてくれたカイトさんにお礼を言う。しかし、相変わらずうたの方は後ろで拗ねたままだ…嫉妬というか自分の情けなさというか。しかし、こういう態度はあんまり良くないなと内心思う…

 

「楽しかったよ、それじゃあ。」

 

「待ってください!」

 

「ん?」

 

「俺、今日のカイトさんを見て流石レジェンドアイドルだと思いました。でも、まだ分からないことがあるんです…カイトさんがアイドルとして大切にしてることは何ですか?俺もあなたと同じ芸能人だった身として知りたいです。」

 

 俺は去り行くカイトさんを呼び止めて、どうしてもしたかった質問を彼にぶつける。こうやって話せる機会を得たし、アイドルプリキュアとしてアイドルもやっていく立場としても彼の考えは知っておきたいところだ。

 

「えっ、そうだな…俺はまた会いたくなる人でいたいと思ってる。次会うことを楽しみに思ってもらえるような人に。凄い真面目な質問だね…」

 

「すみません。どうしても気になってしまって…」

 

「そっか、じゃあね。」

 

 俺の質問に答えると、今度こそカイトさんは『じゃあね』と言ってからこの場を去るのであった。また会いたくなる人でいたい…俺達もそうなっているのだろうか?どうにしても、アイドルとしてのあり方とかは今日のカイトさんを見て色々学ばされたと思う。

 

「かっこいいプリ〜!」

 

「本当だな…やっぱレジェンドアイドルはすげぇヨイ!」

 

「確かに凄いしかっこいいけどさ…」

 

「うたちゃん、どうしたの?」

 

「ドラマの役でやったからって…本物のウェイターさんみたいに何でもできて、何か凄すぎるっていうか。それに比べて私は…」

 

「それで拗ねてたのか…」

 

「えっ。ちが…くないけど。」

 

「カイトはうたよりプリプリ凄かったプリ!」

 

「グサッ!!」

 

「プリルン、そんなこと言っちゃうたちゃんが可哀想だよ?」

 

「もっとグサァ!!」

 

 うたにとどめを刺すプリルンに対してななはうたをフォローしようとしたつもりで『可哀想』だと注意するもうたにはむしろ逆効果だった…本当にプライドがズタボロになってたんだな。

 

「まあ、とにかく俺達もカイトさんに負けないように…「おぎゃあ、おぎゃあ!」…ん? 」

 

「よしよし、ごめんなさいね…急に泣き出しちゃって。」

 

 すると、お店から女の子の赤ちゃんを連れたお母さんが出てきたのだが…どうやら泣き出してしまい、少しお母さんも困ってる様子だ。まあ、赤ちゃんは泣くのが仕事だからな…

 

「それなら任せてください。ウチにはこの手のプロがいますから…とりあえず、場所を移動しましょう。」

 

「は、はい…」

 

 それから俺達は近くにある空き地に移動する。まあ、近くで泣かれたら迷惑に思う人も中にはいるだろうし…まあ空き地だったら大丈夫だろうな。

 

「うっ、ううっ…」

 

「あっぷっぷ可愛い赤ちゃん、お顔を見せてね、あっぷ、ぷっぷ、いい子、いい子〜♪」

 

「キャハハハ♪」

 

 うたがいつもの通りの即興ソングをアカペラで歌うと、赤ちゃんが泣き止んで笑顔を取り戻す。うたの歌声って赤ちゃんにも効果があるのか…本当に凄いよな。彼女がもしもガチでアイドルデビューしたらきっとニカ姉どころかカイトさん以上のアイドルになるだろう。

 

「本当にありがとうございます。元気をもらえる歌声ですね…」

 

「いえいえ、赤ちゃんが泣き止んで良かったです。」

 

「やっぱり、うたちゃんは凄いね…」

 

「ああ。」

 

 俺達も赤ちゃんを泣き止ませたうたを見て感心する。そんな時、どこからか拍手を音が聞こえてそこに目をやると…俺にとっては見覚えのあるどころか思い出したくない人物が歩み寄って来た。

 

「素晴らしい歌声です…あなたの歌声はまるで私がバズらせたキュアアイドルのようですね。いや、まさにそのもののような気もしました…」

 

「あんたは…」

 

「蓮、知り合いなの?」

 

「ああ。思い出したくないやつだがな…」

 

「おやおや、まさか消えた天才子役と言われた朱藤蓮くんまでいるじゃないですか。お久しぶりですね…」

 

「久しぶりというかもうあんたに会いたくなかったけどな、出間さん…」

 

 そう、俺にとっては因縁の相手である出間智和(でまともかず)が俺達の目の前に現れた。彼は週刊文秋の記者で俺達のことを取材して『朱藤紀之と増田聖子の隠し子』と報道し、俺達の人生をめちゃくちゃにした張本人だ…まさか今も懲りずに記者をやってるとはな。

 

「あの、すみません…あなたと蓮くんに何の関係があるんですか?」

 

「これはこれはいきなりで申し訳ない…私はこういう者です。以後お見知り置きを…」

 

「週刊文秋の出間智和さん。」

 

 すると、出間はななの質問に名刺を渡す形で答える。もちろん、その名刺はうたにも渡した…本当はこの野郎をうたとななに会わせたくないと思っていたのだが、この男から来てしまったものだからどうしようもない。

 

「それじゃあ、私は失礼しますね…」

 

 出間や俺の存在を知り、怖くなったお母さんは赤ちゃんを抱いてこの場から逃げ去った。週刊文秋は人のスキャンダルが好きなやつら以外の世間からは嫌われ者だからな…関わりたくないと思ったのだろう。

 

「週刊文秋って芸能人やスポーツ選手のスキャンダルとかを取り上げる本…だよね?」

 

「咲良うたさん…その通りですよ。私達はあらゆる人の告発を受けて時事ネタを取材して発信し、悪を成敗する正義の味方なんです。どうですか?」

 

「どうしてあんたがうたの名前を!?それはそうとして、どうしてこの街にいるんだ?さっきキュアアイドルをバズらせたとか言ってたな…まさか、あんたが撮影したのか?」

 

「ええ、私が撮影させていただいてそれをはなみちタウンの人に売ったんですよ。それで、ほら…こんなにもお金を稼ぎました。今はアイドルのプリキュアがブームしていて色々嗅ぎ付けていたらキュアアイドルとかキュアウインクがそれぞれライブをしていてね…両方とも撮影しました。」

 

 出間はジャケットの懐から封筒に入った大金を俺たちに見せつける。本当にこいつは昔からお金が好きで取材のやり方も汚かったのだが、本当に今も変わってなかったらしい。

 

「相変わらず情報収集が好きなやつだヨイ…なあ、デマーン。」

 

「「「デマーン?」」」

 

 ヨーヨイが出間のことを『デマーン』と呼ぶと彼はいきなり人間から妖精の姿へと変身する。赤い身体でまさに『真っ赤な嘘』って感じだ…まあ、あの時の記事も一部に嘘をぶっ込まれていたな。

 

「ふふっ、これはこれはヨーヨイさんじゃないですか…しかもプリルンさんまでいるとは。あなた達はこの子達をプリキュアとして選んだようですね?」

 

「ヨーヨイ、お前も知り合いだったのか…」

 

「ああ、こいつはキラキランドにいた時からデマを流して国中を混乱させてたんだヨイ…まさか人間になってこの世界でも迷惑をかけてたとはな。」

 

「まあ、蓮くん達子役三姉弟が朱藤紀之と増田聖子の隠し子だったのは事実ですけどね。そこにちょいっとデマを盛ったらウチの本はバカ売れで大バズり…週刊誌はそんなもんなんですよ。私のやり方に向いてるんです!」

 

「あんた、どこまでも外道だな…流石は週刊誌の人だ。」

 

「まあ、褒め言葉として受け取りましょう。とにかく、今回はプリキュアがはなみちタウンにいると聞きつけて本社から住み込みで取材してましたら…私はキュアアイドルの咲良うたさん、キュアウインクの蒼風ななさん、キュアブレイキンの朱藤蓮くんと遭遇してですね。それで見てたらライブまでお目にかかるとは…とりあえず、頭モッサモサの刑はアップした広報の人に受けてもらいましたよ。私は手を汚すことなく情報を入手して売ってお金を手に入れることができましたから…運が良いです。」

 

「「「…!」」」

 

「デマーン、酷いプリ!プリルンのせいにされて大変だったプリよ!!」

 

「それは私の知ったこっちゃないですよ…君達のところで起きたトラブルなんですから。とりあえず、私は儲けたお金でこれから豪遊するのでね…またどこかでお会いしましょう、プリキュアの皆さん♪」

 

 そう言って出間は人間の姿に戻ってこの場を後にする。まさか、よりにもよって二度と会いたくないやつとまた出会ってしまうとは…プリキュアの正体を知られたことで何をされるかは分からないが、プリキュアの取材以上のことをされなければ今のところは問題ない。とにかく、何も起こらないことを祈るのであった…




出間智和(でまともかず)/デマーン

(脳内)CV:杉田智和

身長:176cm(人間態)

体重:63kg(人間態)

誕生日:10月11日

年齢:満38歳(人間年齢)

週刊文秋の記者でかつては蓮達の記事を投稿して彼達の人生をめちゃくちゃにした張本人。現在はプリキュアの取材に没頭しており、現段階ではプリキュアの正体までもを特定した模様。そんな彼の正体はキラキランドの新聞記者であるデマーン、デマばかり書いてキラキランドに迷惑をかけ、批判から逃れるために亡命した上に人間になる力を得て今や週刊誌のエース記者にまで成り上がった。それに貢献したのはやはり蓮達の一件で、一方の蓮は出間のことを恨んでいる。


いかがでしたか?カイトは流石、レジェンドアイドルと呼ばれるだけあって何もかもが華やかでした…おまけに声優がガチの人気アイドルのさっくん(佐久間大介)ですからますます最高ですよね。ガチの人気アイドルが人気アイドルを演じたら…という実験を見事に成功させてます!さっくんが声優経験あるにしてもここまでかっこいいキャラにはなりません。そんな彼は原作でもこの先出番はあるでしょう…オープニングにも出てますから。ただ、カイトの存在は僕としては少し厄介です…それは4話と次投稿する話から分かることでしょう。

そして、今作の事件において最大の敵が現れました…出間智和。蓮達を苦しめた張本人です…彼は良くも悪くも週刊誌の記者でとにかく外道。しかも、正体は妖精でヨーヨイとも因縁があります。彼の動向も今後注目ですので…胸糞悪いでしょうけど、今後も読んでくださる嬉しいです。

感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをして次回もお楽しみに!
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