「なあ!さっきから食べようとしないけどどうしたんだ?」
「え?」
鹿狩りで夕食を食べようとしていると、突然後ろから呼びかけられた
声の聞こえた方に振り返ると、金髪のへそ出し少年と浮遊する白い…なんだろう、人型フライム…?がいた
そういえば僕が鹿狩りに入ったときに同じぐらいに入ってた人達だったか
彼らの方を見ると白い子が僕と一切手を付けられていない料理を交互に見ながら不思議そうな顔をしていた
「間違えて嫌いなものでも頼んじゃったのか?食べないならオイラが食べてもいいか?」
「パイモン、あまり迷惑かけちゃダメだよ。」
「でも相棒。あんなに美味しそうなのにずっと置きっぱなしなんだぞ?あれじゃあ冷めて勿体ないじゃないか。」
「まぁ…そうだけど」
少年は白い子を注意してはいるが、彼も気になっているのか此方に視線を向けてくる
僕は彼らに愛想笑いを浮かべる
「あはは…ええと君たちは…?」
「オイラはパイモン!そしてこっちが相棒の」
「空です。パイモンが突然すいません。」
「あぁ、いいよ気にしないで。よく聞かれるからさ。というか、その名前もしかして…」
パイモンと空…この子たちあれじゃないか?最近有名な旅人じゃないか?
この子たち最近はナタの方にいるんじゃなかったっけ?態々モンドまで戻ってくるなんて、なんか事件とかあったっけなぁ?
「紹介が遅れたね。僕はモトカズ。まさかこんなところで有名人に会えるとは思わなかったよ。
君たちってナタにいるんじゃなかったっけ?どうしてモンドに?」
「友達に誘われて、こっちに来てたんです。」
「へぇ。随分と遠かっただろうに、凄いなぁ」
「へへっ!オイラ達はいっぱい旅してるからな!このぐらい朝飯前だぜ!…ってオイラ達のことはいいんだよ!それよりオマエ!なんでそれ食べないんだよ!もう冷めちゃってるじゃないか!」
「俺達が入ってきたときからずっとそのままでしたけど、何か理由でもあるんですか?」
あー、まぁ横でずっと運ばれてきた料理放置してる奴いたら気になるよなぁ
これで誰かと喋ってるとかならまだわかるけど、ボッチ飯でそんなことやってたら不審に思われてもしょうがない
スマホ見てて気づかなかった、なんてこの世界じゃできないしね
「あー、ちょっと熱いのが苦手でね。冷ましてたんだよ」
「冷ますって、それならフーフーすればいいだろ?」
僕がそう言うと白い子…パイモンは手に持ったスプーンに息を吹きかけるような動作をした
そして、それを見て少年…空もうんうんと頷いた
「やっぱそう思うよねぇ…」
「?何かできない理由でもあるんですか?」
「もしかして…フーフーすると口から火が噴き出たりするのか?!」
「パイモン…それは流石にないって…」
「ほぼ正解…かな?」
「そうなんですか?!」
空とパイモンが目を見開いて僕を見る
そして口の方に目を向け、目を輝かせながら少し期待するかのような眼差しを向ける
「本当なのか?!人間でも火を吹くとかできるんだな!オイラ見てみたいぞ!」
「いやいや、火は吹けないよ?それに近しいことが起きてしまうってだけで」
「近しいこと…?」
彼らは火は吹けないと言うと見てわかるくらいに落胆していたが、すぐにその後に言った言葉に興味を持っていた
何故なのかを話すために僕は普段服の下に隠しているあるモノを取り出す
「ええと、僕は神の目を持っていてね?」
「おお!風元素の奴だな!」
この世界では元素というものがあらゆるモノに存在している
そしてその元素というものを操ることができるようになる神の目というのが存在するのだ
僕はこれを持っており、風元素というものを扱うことができるのだ
ただ…
「実は僕、これの使い方というか制御の仕方があまり上手くなくてね。意識的に息を吐いたりとか、手を振るったりすると勝手に風元素が発生しちゃうんだ」
最初は凄く驚いた
手を振るったら何故か手から青緑っぽい色の風が出てきたのだから
そして…あんな惨事が起こったのだから
「へー。…でもそれがフーフーできないのと関係があるのか?」
パイモンは分からなそうに腕を組みながら首をかしげる
空はそれを聞いて少し思案した後にこう答えた
「もしかして…料理が風元素で吹き飛んじゃうからやらなかった…とか?」
「少し違うかな。正解は元素反応が起きちゃうからなんだ」
「…?あぁ!食べ物の熱と風元素が反応して拡散しちゃうからなのか!」
「そゆこと。だから無闇にフーフーすると、勝手に拡散反応が起きまくって周囲に迷惑をかけちゃうんだ。」
「それは…なんとも…」
それを聞いた空は僕を同情するような目で見てくる
いやー本当に大変だった
これのせいで昔、何度も料理を吹き飛ばしたりして大変なことになった
レストランや屋台では態々冷めるまで待たなければならず、そのせいで出禁にされかけたこともあった
あれもあって稲妻ではラーメン屋に入るのは控えようってなったね
「鹿狩りの店員さんには以前話してるから何も言われないけど、初めて行ったお店とかだと結構大変だったりするね」
「ひぇ〜。オイラ出来立てのご飯を冷めるまで待つとか絶対に無理だぞ…」
「パイモンは食いしん坊だもんね」
「でもよう?拡散反応が起きるとはいってもそんなに周りに飛んでいくものなのか?口からなんてほんのちょっとだろ?」
「確かに…」
パイモンは疑問に思ったのか、率直に聞いてくる
これは…説明したほうがいいのかなぁ…でもこれに関してはあまり理解してもらえるか分からないし…
以前目に光のない青年に話した時もよくわからなそうな反応をしていたし
いやまぁあれは彼が別のことを気にしててあまり話を聞いていないからだったかもしれないが
あれ、待てよ?確か空って異世界から来たって話だったよな?
それなら僕の言う事を理解してくれるかもしれない…
「実は…僕の元素熟知は5000兆あるんだ。だから元素反応が他の人達よりも強く出てしまうんだ」
「「…。なにそれ?」」
僕がそう言い彼らに視線を向けるとポカンとした顔をしていた
…やっぱりわからないか…
「ええと、元素熟知っていうのはね…」
………
突然だが、僕は異世界から来た存在である
ある日寝ていたら突然夢の中に何かが現れ、「異世界に行くならどんな特典がいいと思う?」と聞かれたので、僕は「その世界特有の概念に最も適した力がいいんじゃない」と言った
目が覚めると目の前には自分の部屋ではなく大きな木と草原が広がっていた
そして手には青緑色の宝石が、目にはステータス画面のようなものが見えた
宝石も気にはなったがそれよりもステータス画面に書かれているある1つの欄が気になった
元素熟知:5,000,000,000,000,000
元素熟知は元素反応に影響するステータスです
高ければ高いほど元素反応のダメージも高くなります
と書かれていたのだ
他のステータスが軒並み100とかそこらだったので、これは流石におかしいと思ったが当時の僕には元素反応だのなんだのはよくわからなかったのでとりあえず何か凄いんだろうなとしか思わなかった
この後近くにいた水スライムに驚いて腕を振り上げたら、自分の腕から風元素が発生し、水スライムに直撃した
その瞬間拡散反応が起き、水スライムと周囲数メートルの大地が爆散した
突然の出来事に驚き呆然としていたが、その音が聞こえたのか周りから魔物が集まってきたので急いでその場から逃げ出した
その後も、腹が減りすぎて魔物が使っていた料理鍋の中に入っていたものを食べるために冷まそうとしたら拡散反応が起きて周囲の魔物の作った建物を爆散させたり、なんか変なシールドに守られてる浮いた変なのを爆散させたり、なんか動く氷の木みたいなのを爆散させたりした
まぁなんやかんやあって自分の力について多少理解し、その力を利用して冒険者になって色々な所を旅しながら暮らしてきた
………
「とまぁそういうわけなんだ」
「なるほどな。つまりその元素熟知ってのがオマエは強すぎるから下手なことができないってことなんだな。うーん、でも他の奴の元素熟知がどのぐらいなのかわからないから、聞いただけだとどれぐらいヤバいのか分からないぞ…」
「そのステータスを見るのって他の人のも見れるんですか?」
「うん、見れるよ。今までも色んな国の人達を見てきたからね。そうだな…一般人は基本0かな、神の目を持ってる人でも100とかそのぐらい?あ、でも法器で戦う人とかだともっと多いかなぁ」
「オイラはどのぐらいなんだ?」
「2」
「えぇ?!」
「今まで見てきた中で一番高かったのは誰だったんですか?」
パイモンがその結果を受けて項垂れていると、空がそう尋ねてきた
まぁ、こういう話になると必ず最強論争は出てくるよねぇ
なんて思いながらも、頭の中で今まで見てきた人達を思い返す
「あの子かな?スメールでナツメヤシキャンディをドカ食いしてた女の子。」
「ナヒーダか!まぁアイツなら高くても不思議じゃないな!」
「あれ?あの子と知り合いなんだ。じゃああの子も結構有名人だったりするのかな?」
「有名人っていうか…」
「神っていうか…?」
「なんて?」
その子の話をすると二人は複雑そうな顔をして、声も段々と小さくなっていった。
何かとても偉い人だったりするのだろうか…そういえばその時隣に傘を被った少年もいたな…彼なんか以前見たファデュイの執行官に似てたんだよなぁ気のせいかな?
「あ!そうだ!その元素熟知ってのはどうやって鍛えるんだ?」
話題を変えるかのようにパイモンが聞いてくる
「うーん、あんまりわからないんだよねぇ。法器使いの人に熟知が高い人が多いから多分元素力を普段から使っていれば上がるんじゃないかなぁ?」
「えー!じゃあオイラは神の目なんて持ってないし2よりも増えないのか?」
「鍛えることはできないかもしれないけど別の方法ならあるよ。」
「おお!どうやるんだ?」
「それって?」
元素反応に関することでもあり、戦闘でも役に立つと理解したのか空も興味深そうに此方を見ている
「1つは武器だね。武器によって異なるんだけど、元素熟知を高める効果のある武器もあるね。」
「そんなことまでわかるのか!?」
「俺の剣はどうかな?」
パイモンは驚いたり、落ち込んだりと慌ただしいなあなんて、ほっこりしつつも空が出した剣を見る
「これは元素熟知は上がらないね、でも物理ダメージの威力が上がるよ」
「そんな一目でわかるのか!」
「物理ダメージ…あんまり、意識してなかったけれどそんな効果があったんだ…」
空は自分の剣を見ながらそう呟く
この世界の武器は持つだけで何か力を得ることができる
これも元素の力とかなんだろうか
「僕が見たことあるのだと、璃月で見た語尾がござるのお侍さんの剣は確か元素熟知が上がるやつだったかな?」
「万葉か!確かにアイツの拡散反応は何か異様に強い気がしたぞ。」
「確かに。万葉の後に元素使って攻撃すると普段より通りが良くなるね。そっか、あれはあの剣に秘密があったのか…じゃあ、この剣は?」
他にもどのような効果があるのか気になったのか空はバッグの中からたくさんの武器を取り出した
武器は剣だけでなく長物や弓、法器などたくさん出てきた…って多くない?なんでこんなに入ってるの?明らかにバッグの容量超えてるよね?
「えーと、これは…」
「あのぉ…」
僕が1つ武器を取り効果を伝えようとしたら後ろから声が聞こえた
僕達は声の聞こえた方に振り向くとそこには店員さんが立っていた
「すいません。ここはご飯を食べるところなのであまり武器などを出すのはお控えください…」
「あっ…」
そういえば、今鹿狩りにいるんだった
「そうだ!今はご飯食べてる途中だったぞ!あぁ!もう少し冷めちゃってるぞ!早く食べないと!」
「そ、そうだね。こっちもいい感じに冷めてくれたし僕も食べよっと!」
そして、この後僕達は夕飯を食べ終わり、少し話した後に解散した
いやぁ、まさか有名人に会えるなんて思わなかったなぁ
また、どこかで会えたりしないかなぁなんて思いながら宿の方に向かって歩いていく
「あ!ちょうど良かった。モトカズさん、突然で申し訳ないのですが依頼を受けていただけないでしょうか?」
「あ、どうもキャサリン。依頼ですか?内容によりますけど…」
階段を降りていくと突然キャサリンさんから声をかけられる
依頼?こんな夜遅くに珍しいな…なんだろ
「実は清泉町付近でスライムが出現したとの知らせが入りました。しかも数がかなりの量存在するそうでこのまま放っておくと大きな被害が出てしまう可能性があります。現在の時間ですと直ぐに現場まで迎える人がおらず…」
「なるほど。いいですよ依頼お受けいたします。ちなみにですがスライム達は清泉町とどれぐらい近いんですかね?」
「今のところはまだ町には入ってはいないので、モトカズさんでしたら侵入されるより前に到着できると思います。」
「わかりました。それでは直ぐに向かいます」
「よろしくお願いします。『スライム狩りのモトカズ』の名に恥じない働きを期待しております。」
そのダサい二つ名やめてほしいんだけど?!
とまあそんなことを気にしている暇は今はない
首に下げた神の目を握りしめ、元素力を扱うように体に力を込める
すると体に風元素が纏わりついていく
風元素が全身にに纏われると途端に体が軽くなるような感覚に襲われる
「よし。準備完了。後は道中で何かに元素反応が起きなければヨシ!」
頬を叩き、気合を入れるとそのまま走り出す
さて、今日は何個クレーターができるかな?
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・モトカズ
異世界転移系オリ主
二つ名:スライム狩りのモトカズ,爆心地
目が覚めたら、風立ちの地にいた日本人
手に持っていた神の目とステータス確認と5000兆熟知を使って冒険者をやっている
熟知以外は対して強くない
神の目は風元素
武器は扇と元素瓶
5000兆熟知を使った拡散反応を利用した戦い方をするので、元素生物や元素シールド的なものを纏わせている相手に非常に強い
岩元素を使う魔物や、元素を扱わないヒルチャールなどには元素瓶(宝盗団が投げてくるやつ)を利用して戦う
拡散反応を起こす度に威力が強すぎて、魔物は基本的に何も残すことなく四散し周囲の地形は爆散する
一応七国全てを訪れたことがあり、知り合いはまぁまぁいる
転移特典は3つ
「人や武器などのステータスを確認できる」と「元素熟知5000兆」と「自身の起こした元素反応に自身は影響されない」である
・風情のわからない呑兵衛詩人
あれぇ?なんだか異世界の人間がこんなとこで倒れてる〜
面白いから風元素の神の目あげよ〜