ランス短編・中編集   作:OTZ

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戦国ランスでゼスへ二度目の援軍を頼んだ時にゼス側であったであろうやりとりのつもりで書きました


二度目の援軍

「ランスさんがまた援軍を頼んできたんですか?」

「そうなのよ。リズナさんを前に出してまだ間もないっていうのに……」

 

 LP4年に発生したカミーラダークとそれによる混乱が一息ついたころ。山田千鶴子は首都で行われた長官たちの会議の後にそうこぼした。

 ランスはしばらく前に東方へ去り、JAPANの織田家という大名で影番のような仕事をしている事は既に耳に入っていた。

 

「ふうん……。案外手こずってるのかもねあの男も」

「気にかけているのですか?」

 

 ウルザは特に他意はなく、同席していたマジックに尋ねる。

 

「べ、別にそう言うんじゃないけど。どうしてもランスが来てほしいって言うなら、行ってあげてもいいかなって考えてたりなかったり……」

「何を言ってるのですか。マジック様にはただでさえ王女として公務が山程あるのですよ? 近くに式典もありますし、今行かれては困ります」

 

 千鶴子はやや語気を強めて即座にマジックの言動を諌める。マジックは不承知な顔である。

 

「しかし、かといって出さないわけにもいかないでしょう? ランスさんにはゼスとして借りがありますしね」

「そ、そうよ。ランスのことだし下手なことすると何するか分かんないわよ?」

「手紙には可愛い子なら誰でもいいってあるし、四軍から寄せ集めて綺麗所の大隊長でもつければそれでもメンツはたつでしょう」

「ランスさんの性格忘れてませんか?」

 

 ウルザは千鶴子に問いかける。すると彼女は少しだけ顔を赤らめて

 

「そう……。そうだったわね」

 

 と、安易にはいかないことを悟った。千鶴子は頭を抱える。

 

「私が行きましょうか?」

 

 少し間を開けてウルザが提案する。

 

「ウルザが? でもあなたも四天王じゃない」

「私は軍事と警察が領分ですし、偵察も考えれば悪くない役かと」

「まだ国内も犯罪が横行してるし、それに頭の硬い反乱勢力だって消えたわけじゃないのよ?」

 

 マジックはあくまでも食い下がる。

 

「前に比べれば少しは落ち着いてますし、氷溶の方々の努力も功を奏しています。少し空けるくらいならば問題はないかと。どうでしょうか千鶴子様」

 

 ウルザはにこやかにそう返した。自分の部下や支持者を信頼している証である。

 千鶴子はしばし考えた後

 

「いいわ。ウルザがそう言うなら問題はないでしょう。後の仕事はなんとかしてみせます」

 

 と結論を出した。そして、少し間を開けて。

 

「でもその……いいの?」

 

 と尋ねる。その間から言外の意は明らかであった。マジックのほうは一応観念したのか黙って状況を見ている。

 

「大丈夫ですよ。ランスさんの扱い方、少しは分かってるつもりですから。それに……」

「それに?」

「いえ。なんでもありません。数日のうちに旅立ちますので、後のことはどうかよろしくお願い致します」

 

 頭を少し下げて、ウルザは会議室を辞していく。

 

―アイスフレーム―

 

 あれから数日後、身支度を整えたウルザはアダムの砦において付き添いの軍勢と合流することを伝え、かつてリーダーを務めていたアイスフレームに立ち寄っていた。

 ウルザは歓迎を受け、墓参りと、孤児院の子たちやアイスフレームのメンバーと旧交を温め、サーナキアに伝言を頼まれた後、キムチに誘われて二人きりでお茶を飲んでいた。

 

「そう……JAPANにいくの。いいなー、あそこは温泉とかたくさんあるんでしょ? ゆっくりもできそうじゃない」

「フフ。もう。遊びに行くんじゃないんだから。どこまでそんな暇があるやら」

 

 キムチのいつもと変わらない調子に、ウルザはいつもの緊張をほぐし、頬を緩ませていた。

 

「そうね。ランス君を助けに行くんだもの……。あんまり無茶はしないでね」

「今の私にはゼスも、みんなもいるもの。わかっているわ」

 

 そういってウルザはキムチに淹れられた緑茶をゆっくりと飲んだ。

 

「今日は泊まっていくの?」

「ううん。あくまで途中に寄っただけだから。兵も待たせているし」

「そう。残念……」

 

 と言いつつも、キムチは事情を察し、それ以上は引き止めないことにした。

 

「みんな元気そうでよかったわ。カーマちゃんもアルフラちゃんも前より大きくなってて」

「そうなの。カーマなんてランスに影響されて時折、棒切れで素振りの稽古なんてしてるのよ」

「ああ、だからさっき話した時も私にボウガンと剣の使い方教えて欲しいって……」

 

 ウルザは合点がいったようにうなずく。

 

「あんまり危ない真似はしてほしくないんだけど……。でも、カーマも真剣みたいだから、もう少し大きくなったら時間がある時でいいから、考えてあげてくれないかな」

「分かったわ。私にできる限りの事はする」

 

 ウルザは何年後になるかはわからないものの、きっと約束は果たしてみせようと頭に留め置いた。

 

「さて、そろそろ行くわね。お茶、ごちそうさま」

 

 ウルザはそう言って席をたとうとしたが、キムチが呼び止める。

 

「これ、道すがら食べてってよ。おなかもすくだろうし」

「ありがとう。……、でもこんなに食べきれるかしら」

 

 キムチから片手がやや落ちる程度の重量を持った、キムチまんじゅうなど数種の料理が入った袋を受け取り、ウルザは孤児院を後にする。

 

 その後更に数日後、アダムの砦にたどりつき、本格的に援軍として、JAPANへと旅立った。

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