色々と疲れた俺は異世界島に辿り着き、獣人ヒロインと出会う【怠けると強化!強力スキルで異世界競技チャレンジ!】   作:幸福野郎

18 / 125
地区最強選手

【はい!! STOP!! そこまでです!!】

 

【え?】

 

【混沌戦の勝者二名!! クライス&ミリアム両名!! 決戦競技に進出決定です!!】

 

【え?】

 

■ミリアムと戦う前に、マサルの混沌戦は終了した■

■それから勝者二名による儀攻戦が発表■

 

【チームメンバーは自由に決めていただいて結構です!】

 

【決戦日までにチームを結成し、戦いに備えてくださいね!!】

 

■そして現在……■

■カメ朗たちが所属するチームの助力を借り、マサルは最終決戦に挑む!■

 

●■▲

 

「うおおお!! 突撃だー!!」

 

「押しこめーッッ!!」

 

「抜かせるなー!! ブロックしろ!!」

 

「地力ならこちらが上だ!! 怯むな!!」

 

 

 

(あつくるしいなぁ……)

 

 クライスの目前で繰り広げられる、選手同士の熱い衝突。

 両チーム共に20人以上はいるので、その迫力はかなりのもの。魔導具を装備した選手たちが、互いの得物を遠慮なくぶつけ合う。

 鳴り響く金属音が止むことはなく、マサルは若干および腰になっていた。

 

「なんて迫力……はぁ」

 

 草原地帯で行われる、両チームのすさまじい小競り合い。

 マサル達のチームが目指しているのは、彼らの前方にあるゴールへの到達だ。

 ただし、ゴールと言っても終点ではない。

 

(【式の柱】……か)

 

 マサルの視線の先にあるのは、大きな黒い石板のようなもの。それが式の柱と呼ばれる、終点とは違うもう一つのゴールだ。

 自チームの領域に設置(その数はフィールド毎に違う)されたこれに近づくことで、ゴールしたことになり3点が加算される。

 

(……あの時とはちがうか)

 

 マサルが以前に体験した時にはなかった要素。

 また面倒なことになってしまったと、激しく肩落とす。

 

「よし」

 

■マサルは走り出し、敵集団へと突進■

 

「!! やらせねェよ!! ブローっク!!」

 

「!」

 

■盾を持った選手が走行ルートを塞ぐ■

 

「なら」

 

■マサルは数発の拳を、超速で盾にぶつけた■

 

「ぐおおッ!! 強烈!!」

 

「……」

 

 拳は盾に衝撃を与えるが、決して破壊することはできない。

 マサルは一旦後方に退避する。

 

「厄介」

 

 プロチームの中でもかなりの選手ぞろいの敵チーム。

 決してパワータイプでないマサルでは、力尽くで突破はなかなか難しい。

 ならばと、足元に転がっているボールを拾って、それを式の柱まで投げつける。

 

「だめか」

 

■1Mも飛ばずに落ちるボール■

■飛ばすには、単純な身体能力以外の素養も必要となる■

 

「ふーむ」

 

 なかなか進まない戦況。

 目前で奮闘している味方選手も、どちらかというと劣勢状態であった。

 カメ朗やフジ丸が所属しているチームもプロではあるが、敵の方が一枚上手なのかもしれない。

 

「くそおおっ、こんなはずではッ!?」

 

「……」

 

「この最強の……勇士!! 戦斧の勇士……ジンがッ!! 活躍できないなどッ!??」

 

 乱戦の中で、助っ人として(半ば強引に)参戦したジンも苦戦している。

 彼は最近スローラ村に住みはじめ、その関係で今回の試合に関わることになった。

 

「よわいなアイツ」

 

 他の味方と比べて、敵選手に押されっぱなしという印象が強いジン。

 最初からそんなに期待はしていなかったが、ここまで弱いとは思わなかった。

 これは勝利した際の報酬も考え直す必要ありかと思う。

 

「はぁ」

 

■ため息ひとつ■

 

●■▲

 

「うおおお!!」

 

「気合だ気合!! 押し込めー!!」

 

■マサル達のいる地帯から少し遠い場所■

■そこでもゴール前攻防が行われていた■

 

「すごい攻勢だ……ッ。とても防ぎきれるLEVELじゃない!」

 

「ははは! もうギブアップかよフジ丸! おれはまだまだいけるぜ!!」

 

 カメ朗とフジ丸が入った防衛チームは、ゴールしようとする敵選手をなんとかしのいでいた。

 二人の盾が侵攻する者たちの武器を防ぎ、そのまま弾き返していく。

 さらに、遠くからの火の球のような魔導攻撃がくる。

 

「おっと!」

 

■カメ朗の盾が火の球を苦もなく防ぐ■

 

「しかしこりゃあ……! やっぱりすごい圧だ……!!」

 

 迫りくる剣をなんとかしのぎ、フジ丸はつぶやいた。

 この場にいる敵チームと味方チームの数は同程度だが、ひとりひとりの練度は違う。

 正直、このままではジリ貧感がある。

 

「……いやっ。まだまだチャンスはある」

 

「そのとーりッ!! なんせこっちには、頼れるいつもの仲間は当然として……期待の新星クライス! やたらと自信満々なジンがいるんだからな!! 100%勝てるって!!」

 

 前向きに楽観的なことをいうカメ朗。

 そんな彼に呆れながらも、少しうらやましいともフジ丸は思えていた。

 

「……よし!! 踏ん張るぞ!!」

 

「そうこなくっちゃ!!」

 

■カメ朗たちは奮起する■

■チームの勝利を信じる気持ちの成果か、少しだけ拮抗が彼らに傾いた■

 

「――燃え尽きろ。有象無象」

 

■それをすべて灰に帰すような猛火が、襲いかかった■

 

「んなッッ!??」

 

「なんだっ。これはーッ!?」

 

 発生した炎が、次々とカメ朗たちのチームを飲み込んでいく。

 あまりに強烈な勢いのそれは、魔導攻撃によるものに間違いはなく。

 しかし。

 

「こ、この威力は!?」

 

 大した抵抗も出来ずに、防御に優れた仲間たちが消滅していく光景。

 それに、お調子者のカメ朗ですら開いた口が塞がらない。

 

「……!! 早くもお出ましかよ……!! ちくしょう!」

 

■灼熱の向こうに立つ影■

■その正体は、盤上の護衛団の二枚看板の一角■

 

「楽しんでいるヒマはない。さっさと終わらせる」

 

 灼熱に対する耐性スキルを持つ者すら、彼女の発する炎を受けてはまともに動けない。

 防御用の魔導具である鎧は数秒で破壊され、生身はそれ以下の時間で壊される。

 本来ならば防壁としてそれなりに活躍できたであろう選手すら、その少女の前では無力な兵になりさがった。

 

「ぐ、ああッ! なんだこの炎魔導……!! ふつうのとは何か違う……!!」

 

「ま、負けるかァ!! うおおお!!」

 

 体中にひび割れを起こしながら、なんとか消滅せずに耐えるブロッカーたち。

 だが、それも数秒間しか持たない。

 

「うあああ!?」

 

「ぐあああ!??」

 

■たった数分で崩壊する、カメ朗たちの防衛陣■

■それを行った少女は、息一つ乱さずに・しかしどこか危うげに、ぽつりと呟く■

 

「ここにはいないか。ハズレだ」

 

■灼熱の勇士・ミリアム■

■炎の中で映える、美しき銀髪・凛々しき面持ち■

■上半身を覆う灰色のスポーツウェアが、芸術とも思える肢体を強調■

■女神とも見間違える麗人が興味関心を向けるのは、クライスという男ただ一人■

 

●■▲

 

「もう少しだ……! 壁が開く!」

 

「いくぞおおお!!」

 

■一方、マサル達の戦況■

■ゴールを囲むように横に並んだ敵集団の壁、それが壊されようとしていた■

 

「はぁ……はぁ……。くそッ!! オレも……!! もっと活躍しないと!!」

 

 乱戦の中へ必死に入っていくジン。

 しかし、あまりの強力な圧に弾き飛ばされてしまった。

 

「うわあああ!??」

 

「おい、やめとけ」

 

「う、うるさいっ。オレの実力はこんなもんじゃ……!!」

 

 そんなジンを見てマサルは制止するが、まるで止まる気配がない。

 斧を強く握りしめながら、再び乱戦の中へと突進していく。

 そしてまた飛ばされた。

 

「はぁ」

 

 ため息を吐くマサル。

 

■壁にヒビが入った■

 

「いくか」

 

■壁が壊れた■

■その瞬間に、疾風がゴールへと突き抜けていった■

 

「な……!?」

 

「はや……!??」

 

 敵選手の何人かがマサルに反応、止めようとする。

 しかし、すでに彼はゴールの近く。防衛ラインが式の柱に近すぎるため、限定魔導(儀式場の力を利用して発動する魔導)による仕切り直しも不可――ゆえに誰にも止められない位置にいた。

 

「3、2、1」

 

■マサルはゴールに到達し■

■式の柱から、赤と青の光が発生した■

 

「……クライス選手ッッ!! 敵の防衛の穴を逃さず、見事にゴールッ!! 先取点は不屈チームです!!」

 

「いやー。見事な走りでござるなー! プロの中でもあれほどのは中々ない!」

 

 実況・解説の声が響き、ゴールしたことが全選手に伝わる。

 味方選手は歓喜に沸き、敵選手は悔しがりながら交戦を続ける。

 

「やった! これで……!!」

 

「――おおっ~っとッ!! これは!! なんとほぼ同時にミリアム選手もゴールッ!!」

 

「!?」

 

 実況からの声が告げたのは、ミリアムも同様に点を入れたという事実。

 互いのチームに動揺が走る。

 そしてマサルはうんざり顔になっていた。

 

「これで同点……めんどうくさいな。まったく」

 

「これで5対3!! 盤上が2点リードです!!」

 

「え?」

 

 現在優勢なのは敵チーム。

 それを知ったマサルは疑問符を浮かべた。

 どちらもゴールしたというのに、なんなのかこの差は?

 

「おいおい……なにを疑問に思っている? 儀攻戦のセオリーも知らんのか?」

 

「ジン」

 

「ボールで点を入れれば1点。直接ゴールすれば3点。つまり……」

 

「大丈夫か? お前」

 

 肩で息をしているジンはマサルと並走している。

 今にも倒れそうな雰囲気だが、そうとは感じさせないように頑張っていた。

 

「あ、あたりまえだ……! オレは最強の……勇士! なんだ……が」

 

「……」

 

「こんなはずじゃ……ないんだ……が」

 

 完全に意気消沈しているジンに、マサルはなんと言ったらいいか分からない。

 とりあえず話を逸らすことにした。

 

「式の柱の位置、分かるか?」

 

「……ああ。◆索敵◆」

 

■ジンは限定魔導を発動■

■それによって、ゴールの位置を把握できるようになった■

 

(たしか、守るべきゴールは全て自チームの陣地内にあるんだったか)

 

■この魔導は、試合状況を知るのに有用だ■

■他にも便利な効果があり、儀攻戦において必須となっている■

 

「近くにあるな。このままなら一分で着く」

 

「よし」

 

■それなりの速度で彼らは走る■

■さっきの乱戦の中を抜けて、次の場所へと■

■マサルは少し不安を感じながら……スパイクで地面を踏みしめ、さらなる戦いの中へと切り込む■

 

「――おっと。ちょっと待ってもらおうか?」

 

「!」

 

「!?」

 

 式の柱前の攻防。

 それが遠目に見えたところで、一人の敵選手が立ち塞がった。

 燃えるような赤髪をなびかせた、黒一色のスポーツウェアを着た青年だ。

 その人物に見覚えがあるジンは、緊張を一気に強めた。

 

「……!! スタークッ。イヤシノ地区最強の……ジルヴァラ……!!」

 

「はは。知ってもらえているみたいで嬉しいね~。まあ、だからって手加減なんてしないけど」

 

■敵チームの二枚看板の一人■

■イヤシノ地区最強選手と相対したマサルたち■

 

(だれだ……???)

 

 正直知らない人だが、少し恥ずかしくて言えないマサルであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。