『ついに始まったぜ、雄英体育祭1年部門!実況はボイスヒーロー、プレゼント・マイク!解説は抹消ヒーロー、イレイザーヘッドの2人でお伝えしていくぜ!解説のミイラマン、アーユーレディ!?』
『無理矢理呼びやがって…』
そう言って始まった体育祭。イレイザーヘッドとプレゼント・マイクが解説席で話している中、甚爾は合図があったがその場から動かずに待っていた。なぜならば、
「ってスタートゲート狭すぎだろ!?」
「最初のふるいーーー!」
そう、こうなってしまうからだ。これだけの人数がいるのに対してゲートが明らかに狭い構造になっている。よって我先にと欲張ったものはこのように波に飲まれてしまう。
「ってぇーー!なんだ凍った!?動けん!!」
「寒みーー!」
「ンのヤロォオオオ!!」
『さぁ!スタートダッシュで先頭に立ったのはA組の轟だ!更に氷結攻撃で後続を妨害!』
そこに追い打ちをかけるかのように轟の冷気によって後続の足がとられていく。これにより後ろで足を引っ張りあっていた奴らはほとんど動けない状態になっていた。この状況に対して甚爾は、これを待っていたかのようにニヤリと笑いながら走り出した。
「爆豪が言った通り、跳ねの良い踏み台になってくれよな。」
そう言いながら甚爾は凍りついて動けなくなった人たちを
『さぁ、いきなり障害物だ!まずは手始め、第一関門!ロボ・インフェルノ!仮想ヴィランロボットがお相手だ!』
「ちょいと手間取ったか」
第一関門の内容はロボの妨害らしい。それを聞いた甚爾はその場に止まり、軽く準備運動をした後クラウチングスタートの構えになった。周りのは何をやっているんだと不思議に思っていたが、その意味をすぐさま知ることとなった。
『轟!ここでロボを凍りつけて妨害しながら突破!!』
「せっかくならもっとすげぇのを用意してもらいたかったな。クソ親父が見てr…「邪魔するぜ」…っは?」
一瞬の出来事であった。そのため会場にいたもの全員が理解するのに時間を有した。いきなり甚爾が目の前にいた轟を追い越して、前を走っているのである。
『なっなんと禪院!後ろにいた状況から今の一瞬で前に出てきたー!!何が起こったんだアレ!?』
『おそらくだが、全力で走ったのだろう。見ろ、禪院が通ったらしいところの氷が全て粉々になってる。』
そうこの禪院甚爾はオールマイトにも劣らない身体能力である。これくらいのことなら朝飯前なのであった。ではなぜ、特にA組の人も困惑してしまったのだろうか。それは今までの甚爾の行動にあった。
最初の屋内訓練でも緑谷や轟のように派手に戦った訳でもなければ問題と言えることも起こしていない。強いて言うならば体力テストの持久走で1位になったくらいである。そしてヴィランとの戦いは目撃者が極めて少ない状況になっていた。そう言った事柄から、甚爾に対する印象は無個性であるということ以外はあまりなかったのである。
「ちっ!待て禪院!」
『さぁ高速の走りと凍結で潜り抜けて来た2人だが次はどうだ!落ちたら終わりの綱渡り、第二関門!ザ・フォール!』
「関係ねぇな。」
第二関門はワイヤーによる綱渡りであった。がしかしこの男には全くの障害にもならなかった。
『なんと禪院!下がワイヤーなのが見えていないのか!普通の道かのように爆走しているー!!』
『あのワイヤーは俺の捕縛布の繊維と同じものが編み込まれている。あれくらいなら大丈夫だと判断したのだろう。』
あれ捕縛布と同じ繊維だったんだと思いながら走って行く。後ろでは何か轟が叫んでいるが、まあ後で聞けばいいだろう。そう判断して走っていると放送が入った。
『独走状態の禪院、さぁついに最終関門だ!最終関門は……地雷原!!怒りのアf…っってちょいちょい嘘だろあれ!?』
『…あいつ地雷踏んでも爆発する前に走って切り抜けているな。なんのためにサポートアイテム申請したんだよ。』
競技用であるため威力が少ないと予想しての行動であった。このことによって他の生徒とはかなりの差が開いていた。もはやここまで来ると後続の人が見えなくなっていた。
『雄英高校体育祭、第一種目!序盤の展開から誰が予想できた!今!一番にスタジアムへ帰ってきた男!ヒーロー科A組!禪院甚爾の存在を!!』』
歓声が鳴り止まない中、甚爾は余裕綽々と行った感じでスクリーンを眺めていた。