「受かったか甚爾。」
そう言ってジジイが部屋に入ってきた。正直あまり実感は湧かなかった。それもそのはず、筆記試験は危なげなくクリア、実技試験も難しいというわけでもなかった。まあ実技に関してはジジイがくれた刀のおかげの部分もあるが。
「まあ、正直簡単だったな。天下のユウエイさんがこんな無個性を受からせていいのかよ。」
「まあそこはなんかあるんだろ。あーそうそう、ほれ。合格祝いだ。」
転がってきたのは禪院家で見たあの時の武器たちである。だが持ってこられたものは、三節棍や黒い縄など比較的殺傷能力が少ない(ないとは言ってない)ものが多かった。
「なんでまた。別にまだ刀は壊れてねーぞ。」
「ヒーロー科に入ったら対人訓練が幾度もなくやらされるだろ。それを釈魂刀だけでやろうとするのには限度があるし尚且つ危険すぎるからな。こういうものだったら他人を傷つけずに上手くやれるはずだ。」
「まあ、ありがたく受け取っとくか。」
そして中学校を卒業して晴れて雄英に入学できた。ちなみに卒業式の時、代表の言葉に選ばれた甚爾はいじめのことを大々的に保護者の前で言って中学校が大炎上したのはまた別の話...
4月。雄英入学当日、甚爾は電車に揺られながら学校へ登校して行く。駅を降りて数分歩いたら、そこにはデカデカと『H』の形をした学校が見えてきた。校門をくぐり見えてきたのは色々な生徒達だった。その生徒達は次々に甚爾のことを二度見したり、振り返ったりしていた。それもそのはず甚爾は齢15にして身長が180以上あったのだ。別に異形型ならあり得る身長じゃねと思いながら校舎に入って行く。
階段を登ってゆき廊下を堂々と歩いて行く。その時なんだか聞いたことがあるような声が聞こえてきた。
「あ、あー!あの時の!」
そう言ってきたのは髪が緑色でボサボサしている人だった。
「誰?」
「あっそか。知らないんだった…ぼ、僕は緑谷出久。よ、よろしく。」
「どっかで見たことあるんだよなー...あー俺禪院甚爾。」
「禪院くんね。よろしく…」
彼はそそくさと教室へと歩いて行った。彼に会った時俺は何かしたのだろうかと思いながら教室のドアに行き着いた。最近のバリアフリーの傾向があるのだろうか、扉は二倍ほどの大きさがあった。そしてドアを勢いよく開けて中に入って行く。俺の席はどこなのかと思いながら黒板を見に行こうとすると
『『『先生!おはようございます!!』』』
「は?」
前に行った瞬間そんなことを言われた。思考が一気に停止して何が起こっているのかを真っ白になった頭の中で考えていると、
「うるさいな。ここはヒーロー科だぞ。友達ごっこがしたいなら他所へ行け。」
寝袋の中から顔を出してエネルギー補給している人がいつの間にか教室のドアの前にいた。
「はい静かになるまで12秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性にかk…っておい禪院。お前舐めてるのか。」
「何が?」
「入学当日に
「あっ。やべ言い忘れてた。」
そうこの男、禪院甚爾は入学初日にも関わらず、制服を着ずに登校してきたのだ。そして今まで皆が甚爾のことを見ていたのは袴を代わりに着て登校してきていたので一部の上級生からはヤンキーが入学してきたと思われていた。
「お前制服どうした。」
「すんません先生。中学のやつらに燃やされてしまったので仕方なくきてきています。」
それを聞いたクラスの人たちも戦慄した。こんなやつが雄英に入ってきたなんて、ましてやこのヒーロー科にいるなんて誰も思ってもいなかったことなのである。
「中学のやつに雄英落ちたやつがいて、そいつらが腹いせに俺の制服を燃やしてきたんです。また後日買えるので今はこれで。」
「なるほどな。事情はわかった。だが学校の中でもそれなのは許すことはできないな。予備の制服があるから買えるまではそれ使え。他の奴らは体操服に着替えてグラウンドに向かっといてくれ。禪院、お前はこい。」
そう言って担任は俺を案内をしていった。
「ほら、これがお前の制服だ。」
「あざます。」
その手には雄英の制服があった。結構いいデザインしてるじゃんと思いながら体操服に着替えに行こうとすると
「ちょっと待て。ここからが本題だ。」
「まだなんかあるんですか?」
そう言いながら先生は後ろのドアを閉めて近くの席に座った。俺も促され近くにあった席を近づけて座った。
「単刀直入に聞く。お前は【無個性】なのか?」
「ん〜なんだそんなことかよw。ああそうだ俺は無個性の学生だよ。」
「その言葉に嘘はないな?」
「ああもちろん。」
この担任、相澤って人は何が言いたいんだと思いながら質問に答えていくと
「無個性であるにも関わらずこのヒーロー科に入学してきたことを校長はよしとしたが俺は今すぐにでも除籍にしたい。」
「なんであんたが除籍権限持ってるんだよ。てか入試に受かったんだから別にいいだろ。」
「今の時代、自然災害、大事故、身勝手な敵、いつどこからくるか分からない厄災、日本は理不尽にまみれている。そんな中、個性がないというのはヒーローにとってとても致命的なことだ。」
言い返そうとしたが担任の真面目な視線によって口は閉じてしまった。
「…だからと言ってお前が実技試験でやったあのロボを真っ二つにしたという今まで誰も出来なかったことも成し遂げている。それを蔑ろにするというのも合理的ではないからな。」
「じゃあ、どうすんだよ。」
「だからお前が個性がなくても個性がある奴らよりも優れていればいい。今から個性把握テストをクラスの奴らとおこなっていく。そこでお前は一つでもいいから一位を取れ。そうすれば他より優れていることがわかりやすいからな。」
「なるほどな。受けて立つぜ。」
そうして禪院甚爾の最初の試練がはじまった
すみません私ごとですがインフルエンザAにかかってしまいました…
少し更新が遅れて行くかもしれませんが気長に待っていてくれるとありがたいです。