Fate/北斗の拳 世紀末聖杯戦争―私は北斗神拳伝承者? 桜救出編   作:GMKゴジラ

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5話・桜救出編 ─ 凛の優しさは、だいたい秘孔

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 凛の優しさ、だいたい秘孔

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桜はその前に立ち尽くし、ただ震えていた。

 

(…先輩!…『七つの傷』には…気づかないで…お願いです)(桜・心の声)

 

──慎二は、壁からずり落ち、顔を地面に伏せたまま、ピクリとも動かない。

 

 

「遠坂! “桜の傷”に“、秘孔”を!」(士郎)

 

士郎の声が響いた時──凛は既に動いていた!

凛は桜の“頭の一部”を指差す!

 

「“痛みを消す秘孔”を突くわ!」(凛)

 

──ピシィ(秘孔音)

 

 

(あれっ……?)(桜・心の声)

 

(……「ほほ」が……「痛くない」……?)(桜・心の声)

 

(兄さんにぶたれた場所……なんで痛くないんですか?……)(桜・心の声)

 

意味が分からない。

でも確かに──「痛み」は消えていた。

 

 

その時だった。

凛は桜をぎゅっと強く、やさしく抱きしめた。

 

「……大丈夫よ、大丈夫……もう怖くないわ。ね、大丈夫」(凛)

 

桜を抱きしめる凛の声は、優しく──あたたかく──

痛みも、疑問も、すべてが凛の包容で溶けていく。

 

 

「……桜……さくら……さくらぁ……」(凛)

 

抱かれながら優しく名前を呼ばれるたびに、

張り詰めていた心の糸が、ひとつずつ解けていく。

 

「……姉さ…(ん)……遠坂…せん…ぱ……」(桜・小声)

 

 

──ぽろっ

 

堪えていた涙が、音もなくこぼれ落ちる。

 

(あたたかい……優しい……涙が止まらない……)(桜・心の声)

 

士郎も、桜を抱きしめる凛に寄り添うようにうなずく。

 

「何があっても、俺たちは桜の味方だ」(士郎)

 

「ここにいていいのよ、桜。何も恐れることなんてないわ」(凛)

 

(…よかった!…『七つの傷』…誰も気づいてません…)(桜・心の声)

 

(……ね…えさん……遠い昔に、呼んだ気がします……)(桜・心の声)

 

桜の小さな震えが、凛の腕の中で少しずつおさまっていく。

 

 

(……ヒコウ?……なんだったんだろう……でも、今だけは……)(桜・心の声)

 

(……この優しさに甘えても……いいですか……?)(桜・心の声)

 

(……ねえさ……ねえさんっ……姉さん!…)(桜・感情の爆発)

 

 

──そのときだった。

 

 

「……う……ぅぐ……ぶぐっ……ぶふっ……」(慎二)

 

突然、床から異音が漏れた。

 

「──んぶぐあぁぁあああああああああああっ!!!」(慎二)

 

 

──ガバァァァッ!!!

 

慎二の体が大きく跳ね上がる。

背骨を折るかのように反り返り、白目を剥き、口から血の混じった真っ赤な泡を吹き出す。

 

 

「うわあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」(慎二)

 

 

──ガタガタガタガタガタガタ!!!

 

体中が震え始める。骨が音を立てる。

地面を掻きむしり、指の爪が剥がれる勢いで暴れる。

 

 

「ちがうちがうちがうちがうちがうちがうちがうッッッ!!!」(慎二)

 

「こわいこわいこわい!! と・お・さ・か!! 遠坂は人間じゃねえぇえ!!」(慎二)

 

 

──バシャァァァ……(しょんべん音)

 

 

しょんべんが再び漏れた。

それは恐怖という感情の、最も原始的な証明。

 

「遠坂がッ……遠坂がああああああああああッッ!!」(慎二)

 

 

四つん這い。顔面を擦り付けながら。

慎二は“何か”に怯えるように、全力で逃げ始めた。

 

「いィィィィィイヤアアアアアアアアアアアアアア!!」(慎二)

 

 

逃げる過程でガラス戸に顔をぶつける。

割れたガラスが顔に刺さり、地面を転がりまた起き上がる。

 

「死にたくないいいいいいいいいい!!!!!」(慎二・遠吠え)

 

突進した慎二は、本殿の瓦礫につまずきながら消えていった──

しょんべんと血を撒き散らしながら。

 

 

……だが──

 

凛は桜を抱きしめ続けていた。

士郎も静かに隣に立ち、まるで慎二の逃走などなかったかのように振る舞っている。

 

 

「兄さん今!!血だらけで逃げていきましたよ!!」(桜)

 

「あなたは、もう、守られてるわ、ずっと守られてるわ」(凛)

 

「大丈夫だ、何があっても絶対に守るから」(士郎)

 

 

(…会話が噛み合ってない……兄さんが血だらけで逃げてったのに……)(桜・心の声)

 

(…遠坂先輩の顔……全然崩れてない……“何もなかった顔”してる……)(桜・心の声)

 

(…“アレ”が今起きたことじゃなくて、“日常の延長”みたいな顔……)(桜・心の声)

 

(…誰も見てない。誰も反応してない。世界に私しか“あの現象”を認識してないの……!?)(桜・心の声)

 

 

凛はそのまま抱きしめ続け、士郎も静かに寄り添っている。

まるで慎二の存在がなかったかのように。

 

(見ましたよね!?聞こえましたよね!?)(桜・心の声)

 

(今すっごい音しましたよね!?血だらけで走ってましたよね!?)(桜・心の声)

 

 

凛は慎二を無視して桜を強く抱く。

「さくら…さくら…」とつぶやきながら…

 

 

桜は恐怖のあまり、

抱えていた疑問を口に出してしまう。

 

「“ヒコウ”って何なんですか!?今の治療、一体何されたんですか!?」(桜)

 

「あなたが“痛くない”って感じられたなら、それが“答え”よ」(凛)

 

 

(なんで“答え”って言葉で済まされるの!?怖い!!この人たち怖い!!)(桜・心の声)

 

(わかんない!わかんない!わかんない!!!)(桜)

 

 

(………なんでこの状況で、兄さんを無視するんですかあああ!!)(桜・心の声)

 

(ああ……もうダメ……私だけが“正常”ってだけで怖い……)(桜・心の声)

 

(私だけが気づいてるのが……怖い!!)(桜・心の声)

 

(ここだけ常識が……崩れてる……!)(桜・心の声)

 

(この人たちは“人間”のはずなのに……!)(桜・心の声)

 

(怖い怖い怖い怖い怖い!!!)(桜・心の声)

 

 

「なんで兄さんを“無視”するんですか? 見えてないんですか?」(桜)

 

「“今の衛宮邸”、日常に“恐怖”が混ざってるんですけどおおおおお!!」(桜)

 

「大丈夫よ。私たちが守るわ」(凛)

 

「みんな桜の味方だ。桜は大事な家族だ」(士郎)

 

 

“会話”が“繋がらない”。

二人はいたわりの言葉だけをかけ続ける。

日常が恐怖、狂気となって迫ってくる。

 

 

桜の心は、恐怖と愛情がぐちゃぐちゃに混ざり合う。

 

──みな優しいのに、感情が恐怖で埋め尽くされる理由を、桜自身、見つけられずにいた。




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次回──
「優しい視線の恐怖パニック」
あたたかなまなざしが、なぜか怖い。
“守られる優しさ”が、桜の精神を限界まで追い詰める。

──To Be Continued──
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