Fate/北斗の拳 世紀末聖杯戦争―私は北斗神拳伝承者? 桜救出編 作:GMKゴジラ
──その夜
凛と士郎に付き添われ、桜は衛宮邸の寝室へと案内されていた。
あまりにも自然で、あまりにも優しいその流れに、桜は何も言い出せなかった。
(……私、今日は帰る予定だったんですけど……)(桜・心の声)
(どうして誰も、確認しないんですか……!?)(桜・心の声)
まるで最初から“衛宮邸に泊まること”が決まっていたかのように、
ふたりは当然のように桜を寝室へ誘導する。
その自然さと笑顔の優しさに、拒否の言葉が浮かばないまま寝室に入り、ベッド横になった。
──布団の中に入ると、桜はぎゅっと毛布を握りしめた。
そっと見守っていた士郎が、やさしく微笑む。
「おやすみ、桜。何かあったら、すぐ呼んでな」(士郎)
「俺たち、そばにいるから」(士郎)
そう言って桜に声をかけると、士郎は凛に合図を送り部屋を出ていった。
今夜は“凛にすべてを任せる”と決めていたかのように。
──カチャリ……(ドア音)
士郎の足音が遠ざかり──
部屋には、凛と桜、だけが残された。
凛は桜の布団を整えながら、優しく微笑む。
──ふわり、と毛布がかけられる。
「……桜……甘えていいのよ。遠慮なんていらないわ」(凛)
「……ありがとうございます。遠坂先輩……」(桜)
(やさしい……すごくやさしい……それは伝わってくるんですけど……)(桜・心の声)
(なんで兄さんを半殺しにした張本人が、こんなに自然体で毛布かけてくるんですか!?)(桜・心の声)
凛は優しく微笑むと灯りを落とし、部屋を出ていく。
──パタン(扉が閉まる音)
桜がそっと目を閉じた──その瞬間。
──スゥ……ッ(ケンシロウの優しい視線)
ふわりと──“何か”の視線の気配が走る。
それはまるで、誰かに撫でられているような──心の奥に響く“視線”。
(ひいいいいいっ!!また来たぁああああああ!!)(桜・心の声)
(なんですかこの気配!?優しい!!でも怖い!!気配が優しいって何!?)(桜・心の声)
(これ“慈愛の念”っていう名前の“悪霊”じゃないですか!?)(桜・心の声)
目をギュッと閉じるも、気配は去らない。
ほんのり温かいのに、どうしても安らげない。
──1時間後
眠れないまま…
仰向けからうつ伏せになり、枕に顔を押し付けて震えていた。
──ガタガタガタ(桜の震え)
(ダメです……全然眠れません……!!やさしいのに眠れないって何なんですか!!)(桜・心の声)
──カチャリ…(ドア音)
そのとき、静かにドアが開き、凛がそっと入ってくる。
「まだ眠れなかったのね……ごめんね、こんな日に」(凛)
「す、すみません……なかなか、眠れなくて……」(桜)
凛は黙って隣に腰を下ろし、そっと桜の肩に手を添えて抱き寄せる。
「ひとりで抱えこまないで。今だけは、私たちに甘えていいのよ」(凛)
(え、ええ……やさしい……なんかもう、涙出てきそう……)(桜・心の声)
(でもこの腕……ついさっき、兄さんをぶっ飛ばした腕なんですけど!?)(桜・心の声)
──スゥ……ッ(再び、ケンシロウの視線)
──その時、再びやさしい“視線”が空間を撫でた。
再び、あの気配が部屋に満ちる。今度は確信がある。
これは──誰かに“見られている”。
(また来ました!!この謎の“やさしい視線の圧”!!)(桜・心の声)
(これ遠坂先輩じゃないです!見えない誰かがこっち見てます!!)(桜・心の声)
そして“優しい男”は凛に声をかける。
『……その娘にはお前が必要だ。寄り添ってやるのだ』(脳内ケンシロウ)
「わかってるわ、ケンシロウ」(凛)
凛は小さくうなずいて“優しい男”と当たり前のように会話している。
「け、ケンシロウ……さん……ですか……?」(桜・びくっ)
「私の脳内に住み着いてるケンシロウよ」(凛)
「そ、そうですか……参考になります……」(桜・震えながら笑顔)
(……言った!?言い切りました!?)(桜・心の声)
(全然“参考”になりません!?)(桜・心の声)
(いま完全に“知ってる前提”で返されました!!)(桜・心の声)
(しかも“脳内に住み着いてる”って言い切りましたよね!?)(桜・心の声)
──スウウ……ッ(ケンシロウの視線、再来)
また“視線”が這う。
柔らかいけど、否応なく存在を主張してくる。
(やだあああああああ!!また来たぁああ!!)(桜・心の声)
(何この“優しいのに恐怖”な視線!?)(桜・心の声)
(見えないけど優しいぃぃぃ!! けど怖いぃぃぃ!!)(桜・心の声)
『その娘の心の傷は深い。お前がそばにいてやるのだ』(脳内ケンシロウ)
「ね、ケンシロウも言ってるわ。桜を安心させてあげてって」(凛)
凛は微笑みながら、当たり前のように会話を続ける。
「……は、はい……そちらのケンシロウさんも……ありがとうございます……」(桜)
(やっぱりこの人、怖い!!やさしいけど、やさしいけど!!!)(桜・心の声)
(怖い怖い怖い!!でも優しい!!優しいけど怖い!!)(桜・心の声)
(怖いのに優しい……優しいのに怖い……感情がぐちゃぐちゃです!!)(桜・心の声)
──スタッ!!(凛が立ち上がる)
突如!凛は動きを変えた。
桜を秘孔で、“強制的に寝かせる”ために立ち上がる。
凛は立ったまま桜を見つめ──そっと桜の顔に指を当てる。
「じゃあ……少しだけ、私に任せてくれる?」(凛)
「……えっ……?」(桜)
桜は凛の言葉の意図が全く分からず驚く。
だが、凛は秘孔だけに集中している。
「“眠らせる”秘孔よ!!」(凛)
──トンッ(秘孔音)
秘孔を突かれた桜は、ふわっと、心地よい眠りへと落ちていった。
凛は毛布を整えながら、優しくつぶやく。
「……おやすみ、桜」(凛・決意を込めて)
「……ぐっすり眠りなさい」(凛)
「……あべし…っ……」(桜・入眠の断末魔)
──桜の、優しさと恐怖に包まれた一日が、“あべし”の断末魔と共に終わろうとしていた。
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次回──
「胸に七つの傷を持つ女」
桜の胸元に、誰もが目を奪われる“七つの傷”。
“恐怖”と“真実”を突きつける診察の時間。
──“あべし”の夜は、まだ終わらない。
──To Be Continued──
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