Fate/北斗の拳 世紀末聖杯戦争―私は北斗神拳伝承者? 桜救出編   作:GMKゴジラ

56 / 95
6話・桜救出編 ─ 優しい視線の恐怖パニック

──その夜

 

凛と士郎に付き添われ、桜は衛宮邸の寝室へと案内されていた。

あまりにも自然で、あまりにも優しいその流れに、桜は何も言い出せなかった。

 

 

(……私、今日は帰る予定だったんですけど……)(桜・心の声)

 

(どうして誰も、確認しないんですか……!?)(桜・心の声)

 

まるで最初から“衛宮邸に泊まること”が決まっていたかのように、

ふたりは当然のように桜を寝室へ誘導する。

 

その自然さと笑顔の優しさに、拒否の言葉が浮かばないまま寝室に入り、ベッド横になった。

 

 

──布団の中に入ると、桜はぎゅっと毛布を握りしめた。

 

そっと見守っていた士郎が、やさしく微笑む。

 

「おやすみ、桜。何かあったら、すぐ呼んでな」(士郎)

 

「俺たち、そばにいるから」(士郎)

 

そう言って桜に声をかけると、士郎は凛に合図を送り部屋を出ていった。

今夜は“凛にすべてを任せる”と決めていたかのように。

 

 

──カチャリ……(ドア音)

 

士郎の足音が遠ざかり──

部屋には、凛と桜、だけが残された。

 

 

凛は桜の布団を整えながら、優しく微笑む。

 

──ふわり、と毛布がかけられる。

 

「……桜……甘えていいのよ。遠慮なんていらないわ」(凛)

 

「……ありがとうございます。遠坂先輩……」(桜)

 

 

(やさしい……すごくやさしい……それは伝わってくるんですけど……)(桜・心の声)

 

(なんで兄さんを半殺しにした張本人が、こんなに自然体で毛布かけてくるんですか!?)(桜・心の声)

 

 

凛は優しく微笑むと灯りを落とし、部屋を出ていく。

 

 

──パタン(扉が閉まる音)

 

 

桜がそっと目を閉じた──その瞬間。

 

 

──スゥ……ッ(ケンシロウの優しい視線)

 

 

ふわりと──“何か”の視線の気配が走る。

それはまるで、誰かに撫でられているような──心の奥に響く“視線”。

 

(ひいいいいいっ!!また来たぁああああああ!!)(桜・心の声)

 

(なんですかこの気配!?優しい!!でも怖い!!気配が優しいって何!?)(桜・心の声)

 

(これ“慈愛の念”っていう名前の“悪霊”じゃないですか!?)(桜・心の声)

 

目をギュッと閉じるも、気配は去らない。

ほんのり温かいのに、どうしても安らげない。

 

 

──1時間後

 

眠れないまま…

仰向けからうつ伏せになり、枕に顔を押し付けて震えていた。

 

──ガタガタガタ(桜の震え)

 

(ダメです……全然眠れません……!!やさしいのに眠れないって何なんですか!!)(桜・心の声)

 

 

──カチャリ…(ドア音)

 

そのとき、静かにドアが開き、凛がそっと入ってくる。

 

「まだ眠れなかったのね……ごめんね、こんな日に」(凛)

 

「す、すみません……なかなか、眠れなくて……」(桜)

 

 

凛は黙って隣に腰を下ろし、そっと桜の肩に手を添えて抱き寄せる。

 

「ひとりで抱えこまないで。今だけは、私たちに甘えていいのよ」(凛)

 

 

(え、ええ……やさしい……なんかもう、涙出てきそう……)(桜・心の声)

 

(でもこの腕……ついさっき、兄さんをぶっ飛ばした腕なんですけど!?)(桜・心の声)

 

 

──スゥ……ッ(再び、ケンシロウの視線)

 

──その時、再びやさしい“視線”が空間を撫でた。

 

 

再び、あの気配が部屋に満ちる。今度は確信がある。

これは──誰かに“見られている”。

 

(また来ました!!この謎の“やさしい視線の圧”!!)(桜・心の声)

 

(これ遠坂先輩じゃないです!見えない誰かがこっち見てます!!)(桜・心の声)

 

 

そして“優しい男”は凛に声をかける。

 

『……その娘にはお前が必要だ。寄り添ってやるのだ』(脳内ケンシロウ)

 

「わかってるわ、ケンシロウ」(凛)

 

凛は小さくうなずいて“優しい男”と当たり前のように会話している。

 

 

「け、ケンシロウ……さん……ですか……?」(桜・びくっ)

 

「私の脳内に住み着いてるケンシロウよ」(凛)

 

「そ、そうですか……参考になります……」(桜・震えながら笑顔)

 

 

(……言った!?言い切りました!?)(桜・心の声)

 

(全然“参考”になりません!?)(桜・心の声)

 

(いま完全に“知ってる前提”で返されました!!)(桜・心の声)

 

(しかも“脳内に住み着いてる”って言い切りましたよね!?)(桜・心の声)

 

 

──スウウ……ッ(ケンシロウの視線、再来)

 

また“視線”が這う。

柔らかいけど、否応なく存在を主張してくる。

 

(やだあああああああ!!また来たぁああ!!)(桜・心の声)

 

(何この“優しいのに恐怖”な視線!?)(桜・心の声)

 

(見えないけど優しいぃぃぃ!! けど怖いぃぃぃ!!)(桜・心の声)

 

 

『その娘の心の傷は深い。お前がそばにいてやるのだ』(脳内ケンシロウ)

 

「ね、ケンシロウも言ってるわ。桜を安心させてあげてって」(凛)

 

凛は微笑みながら、当たり前のように会話を続ける。

 

「……は、はい……そちらのケンシロウさんも……ありがとうございます……」(桜)

 

 

(やっぱりこの人、怖い!!やさしいけど、やさしいけど!!!)(桜・心の声)

 

(怖い怖い怖い!!でも優しい!!優しいけど怖い!!)(桜・心の声)

 

(怖いのに優しい……優しいのに怖い……感情がぐちゃぐちゃです!!)(桜・心の声)

 

 

──スタッ!!(凛が立ち上がる)

 

突如!凛は動きを変えた。

桜を秘孔で、“強制的に寝かせる”ために立ち上がる。

 

凛は立ったまま桜を見つめ──そっと桜の顔に指を当てる。

 

「じゃあ……少しだけ、私に任せてくれる?」(凛)

 

「……えっ……?」(桜)

 

 

桜は凛の言葉の意図が全く分からず驚く。

だが、凛は秘孔だけに集中している。

 

「“眠らせる”秘孔よ!!」(凛)

 

──トンッ(秘孔音)

 

 

秘孔を突かれた桜は、ふわっと、心地よい眠りへと落ちていった。

 

凛は毛布を整えながら、優しくつぶやく。

 

「……おやすみ、桜」(凛・決意を込めて)

 

「……ぐっすり眠りなさい」(凛)

 

「……あべし…っ……」(桜・入眠の断末魔)

 

──桜の、優しさと恐怖に包まれた一日が、“あべし”の断末魔と共に終わろうとしていた。




───────────────

次回──
「胸に七つの傷を持つ女」
桜の胸元に、誰もが目を奪われる“七つの傷”。
“恐怖”と“真実”を突きつける診察の時間。

──“あべし”の夜は、まだ終わらない。

──To Be Continued──
───────────────
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。