Fate/北斗の拳 世紀末聖杯戦争―私は北斗神拳伝承者? 桜救出編 作:GMKゴジラ
障子の隙間から、やわらかな朝の光が差し込む。
布団の中で小さく身じろぎした桜、「胸に七つの傷を持つ女」は、
ゆっくりと目を開けた。
「……ここ……先輩の家……?」(桜・小声)
ふわりと上体を起こすと、きちんと畳まれた毛布にくるまれていた。
枕の位置までピシリと整っている。
(……すごい……枕の位置まで整ってます……)(桜・心の声)
(ここ、介護病棟でしたっけ……?)(桜・心の声)
桜は布団から抜け出し、ゆっくりと居間へ向かう。
──衛宮邸離れ・食卓
そこには、まるで献立の見本のように丁寧に盛りつけられた和食の食卓。
湯気を立てる胃に優しい煮物、骨をきれいに取り除かれた焼き魚、ふっくらと炊き上がった白米が湯気を立てている。
「おはよう、桜。ちょうど朝ごはんができたところだ」(士郎・優しく)
「体に優しいものばかりにしてあるから、少しでも口にしてね」(凛・微笑みながら)
「……ありがとうございます。いただきます……」(桜)
(魚の骨が全部取られてます!? 煮物も柔らかすぎて噛まなくていい!?)(桜・心の声)
(いやいやいやいや……!? 何ですかこの“完全看護体制”!?)(桜・心の声)
(これ……もはやお医者さんが出してくるやつなんですけど!!)(桜・心の声)
──スゥ……ッ(ケンシロウの優しい視線)
──その時、ふと背中に“あたたかい視線”がふわっと流れ込んできた。
(ひぃいい!! また来た!? 何!? この“優しい目つきの悪霊”!!)(桜・ガクガク)
(なんでこんな“目だけ優しい気配”が常駐してるんですかぁああ!!)(桜・ガクガク)
──ガタガタガタ(桜の震え)
桜の箸を持つ手がガクガク震える。
震えながら異常に美味しい朝食を取っていると…
――また、ふわりと背中をなでるような視線が流れた。
『……〝邪悪な気配〟は、まだ動かぬ。“日常”を続けろ!……わずかな揺らぎも見逃すな!』(脳内ケンシロウ・幻聴レベル)
「……わかってるわ、ケンシロウ」(凛)
「ああ、ケンシロウ。桜には、安心しててほしいからな」(士郎)
桜はぶるっと肩を震わせ、思わず口を開く。
「け、ケンシロウさん……!? ケンシロウさんって……誰なんですか?」(桜)
「ケンシロウは、私の頭に住んでる、ちょっと真面目な筋肉の妖精よ」(凛)
「最近はアドバイスも丁寧で助かるんだ。声は渋いけどな」(士郎)
「そ、そうですか……とても……参考になります……」(桜)
(参考になりません!! “筋肉の妖精”って何ですか!?)(桜・心の声)
(なんで普通に会話してるんですか!? 返事してるのも怖いです!!)(桜・心の声)
(優しいのに怖いぃいい!! 私の第六感がずっと警鐘鳴らしてますぅう!!)(桜・心の声)
桜は湯呑をそっと置き、震えながら言う。
「ちょ、ちょっと待ってください……みなさん普通に“ケンシロウさん”に返事してますよね……?」(桜)
「もちろんよ、困ったときはいつも支えてくれるわ」(凛)
「いつも一緒にいてくれて、安心できるんだ。」(士郎)
(……いるって言い切りました!……いるんですか!?)(桜・心の声)
(……この人たち、優しすぎるのに……なんで“脳内の住人との会話”を食卓で普通にやってるのぉおおお!?)(桜・ガクガク)
(うぅ……あったかい……あったかいのに……あったかいのにぃいい!!)(桜・ガクガク)
(そこの妖精さんが一番こわいんですけどおおおおおおおお!!)(桜・ガクガク)
「昨日のこと、ちょっと色々あったけど……今日はゆっくりしていいからね」(凛)
「……はい、ありがとうございます……」(桜)
「でも、その……昨日の、“兄さんぶっ飛ばし”は、本当に“大丈夫”なんですか……?」(桜)
「大丈夫だ。遠坂が全部きちんと処理したから」(士郎)
「処理……兄さんぶっ飛ばしを“処理”って言いましたよね!?」(桜)
「細かいことは気にしないの!!」(凛)
「細かくないです!!それに、遠坂先輩は地震も起こしましたよ!!」(桜)
「震度の単位より、愛情の深さを測りなさい」(凛)
「計測不能なんですけどおおおおお!!!」(桜)
「でも昨日、兄さんがしょんべん漏らして血だらけで逃げたの、今でも怖いんです…人生の一大事件ですよ…」(桜)
「そうか? 普通だろ?」(士郎)
「むしろしょんべんが止まらなかった分、勢いはあったじゃない?」(凛)
「おかしいのはしょんべんの勢いじゃなくて皆さんの感性ですからあああ!!」(桜)
「遠坂、〝桜のツッコミ〟……なかなか鋭いよな」(士郎)
「やっぱり〝血筋〟かしら。隠れてたけど、〝ツッコミの才能〟あると思う」(凛)
(ツッコミに〝血筋〟とか言い出しましたぁあああ!!)(桜・心の声)
(あったかいのに情報がホラー過ぎますううう!! 今の衛宮邸、恐怖ですぅぅぅ!!)(桜・ガクガク)
──スゥ……ッ(ケンシロウの優しい視線)
──その瞬間、再び“優しい目つきの気配”がふわり。
今度は、やわらかく背中に手を添えるようなぬくもり。
(いやああああああ!!また来てるぅぅ!!)(桜・ガクガク)
(この人……もとい、この存在……優しいのに怖い!!どっちかにしてぇぇえ!!)(桜・ガクガク)
──ガタガタガタ(桜の震え)
──次の瞬間、背後に誰かがいる。
そう錯覚するほど、“小さな声”がかすかに聞こえた。
『静かに寄り添え。それがこの娘を救う唯一の道だ』(脳内ケンシロウ・少し聞こえた)
「ええ、ケンシロウ。私たち、ちゃんと寄り添っていくから」(凛)
「ああ、ケンシロウ。桜には、安心しててほしいからな」(士郎)
今回の声は、〝桜にも聞こえた〟!
2人の会話している謎の声が脳内に響いた!
(……え……? 何か〝聞こえました〟……今……喋った……?)(桜・心の声)
(意味は聞き取れなかった……でも……耳の奥が、低い声でなぞられました……)(桜・心の声)
桜は“優しい目線”が「発する声」を“かすかに”聞いてしまった。
何を言われたのか分からない。だが、それが「言葉」だったことだけは、はっきりしていた。
「……ケンシロウさん……あなたの視線、優しいのに一番怖いんですけどぉぉ……」(桜)
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次回──
「ケンシロウは怖くなかった」
恐れ続けたその存在が、ほんとうは一番やさしかった。
静かに寄り添う“視線”が、桜を導く。
──“優しい視線”は、もう恐怖じゃない。
──To Be Continued──
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