Fate/北斗の拳 世紀末聖杯戦争―私は北斗神拳伝承者? 桜救出編 作:GMKゴジラ
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─秘孔・“喘破(ぜんは)”
呼吸ができない制裁─
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──昼下がりの衛宮邸。
「震度7」の“中華地震”から数時間が経った。
ようやく、桜の中で感情が落ち着き始めていた。
凛と士郎の穏やかな声、あたたかい食事、やさしい気遣い。
何もかもが“優しすぎる”がゆえに、日常の恐怖は消えずに残っている。
(……逃げ出したいです……家に帰りたいです……出たいです……でも……)(桜・心の声)
そんなとき──玄関で、凛がさらりと告げる。
「……ちょっと、冬木教会に行ってくるわ」(凛)
「……なんでさ? 何しに行くんだ?」(士郎)
「新しい監督役、来たって連絡があったの。カレンっていうのよ」(凛)
「そうか……気を付けてな……桜のことは任せとけ」(士郎)
──スンッ……(何かが消える音)
(……え……ケンシロウさんの気配……消えました……?)(桜・心の声)
(……姉さ…んが……いなくなった瞬間……一緒に、いなくなりました……)(桜・心の声)
(……今なら……今だけは、“外”に出られるかもしれません……!?)(桜・心の声)
そして
その“奇跡のタイミング”は、さらに続く。
──ガチャ(玄関の開く音)
振り返ると、そこに――間桐慎二。
あの慎二が、平然と立っていた。
「……よぉ、桜。いるんだろ?」(慎二)
(………兄さん……!!?)(桜・心の声)
慎二は、恐怖が微塵もない状態で立っている。
表情には妙な自信がある。軽く手を広げる。
「ずっと衛宮邸の入口を見張ってだんだぜ!」(慎二)
「遠坂の外出見てから来たんだよ!」(慎二)
「桜、なあ、『七つ傷の女』は、“間桐邸”に戻るべきだろ?」(慎二)
(……戻る……?兄さんが私を……連れて帰ろうとしてる……)(桜・心の声)
(……逃げられるのは……今しかないです……っ!!)(桜・安堵)
桜はそう確信していた。
──遠坂先輩はいない。
──ケンシロウさんもいない。
──今だけは、出口が開かれている──!!
桜の胸に、一瞬だけ“救い”が灯った。
その“救い”は、慎二の登場で、一気に現実になった。
(……先輩も……遠坂先輩も……親切すぎて、怖くて……)(桜・心の声)
(……兄さんは、私を、怒鳴って、殴るけど、……それでもいいです……)(桜・心の声)
(……“優しい幽閉”より、兄さんの怒鳴り声の方が、まだ現実に近いです……)(桜・心の声)
(……兄さんと……この家から……“逃げ出せ”ます………今なら…っ!)(桜・心の声)
──だが、その一歩が、踏み出せなかった。
桜はピクリとも動けない。
(……あれ…なんで……?)(桜・心の声)
(……体が……動きません……?)(桜・心の声)
腕が震え、足が動かない。
桜の体は、“衛宮邸の恐怖”により硬直していた。
──ガシィッ!!(桜の腕を掴む)
慎二が桜の腕を掴み、無理やり引っ張る。
腕を引っ張られても、凍りついたように動かなかった。。
(……体が動かないです……声も……出ません……!?)(桜・心の声)
(……逃げる機会なのに……なんでですか……!?)(桜・心の声)
(…衛宮邸で“刻まれた”恐怖が……身体を縛ってます……!?)(桜・心の声)
(…まさか……私……衛宮邸の恐怖のせいで……一歩も“動けない”……!?)(桜・心の声)
“衛宮邸の恐怖”が、桜を完全に支配していた。
──動かない桜に、慎二が苛立ちを見せた。
慎二は再び勝手に、“まだ帰らない”と思い込む。
「気持ち悪い『七つの傷の女』は、ジメジメした間桐邸がお似合いなんだよ!!」(慎二)
「なんで来ないんだ? てめえの血は何色だ!?」(慎二・レイの声)
──パシィィィン!!(平手打ち)
慎二の手が、桜の頬を打った。
桜は、崩れるように玄関で倒れた。
──バタンッ!!(桜が倒れる)
「桜っ!慎二ぃぃぃっ!」(士郎)
──ドンッ!!(走り込む音)
士郎が走り込んでくる。
目の色が違った。怒りが、目に浮かび上がっていた。
「また桜を殴ったのか……!? 妹を殴るなんて……!!ふざけんな!!」(士郎)
士郎は迷わず慎二の胸倉を掴む。
拳を握り、今にも殴りかかりそうな勢い。
「離せよ衛宮!妹をどう扱おうが勝手だろ!!」(慎二)
「妹だから殴っていいってのか!?」(士郎)
「これは“しつけ”だよ!!」(慎二)
「それで桜を叩く理由になるか!?」(士郎)
(……兄さん……私を……連れて帰ろうとしてくれてたのに……)(桜・心の声)
(……先輩が……止めに入ってます……私を想って……)(桜・心の声)
(……でも……この家こそが、現実じゃないんです……!!)(桜・心の声)
──二人の争いの隙に、桜はよろよろと立ち上がる。
そして、玄関へと歩き出す。
足元がふらつく。
だが、彼女の目には――“玄関”がはっきり映っている。
(……兄さんと一緒に……すぐ……急いで……逃げなきゃ……!)(桜・心の声)
(やっぱり……この家は……私には地獄だったんです……!)(桜・心の声)
(この“異様な空気”に……もう……耐えられません……!!)(桜・心の声)
(……抜け出せます……! 自由になれます……! 今なら……!)(桜・心の声)
桜は、玄関に向かって歩く。 慎二と士郎が揉み合う背後で。
その足取りは重く、だが確かな“希望”を感じさせるものだった。
(……そうです……兄さんが迎えに来てくれました……! 私は……この恐怖から、解放されます……!)(桜・心の声)
(……遠坂先輩はいません……ケンシロウさんも……恐怖から脱出できます……)(桜・心の声)
桜は手を伸ばす。
希望を見つけて手を伸ばす。
桜が玄関という“希望”を掴んだ!
その瞬間! 一気に希望は絶望に変わる!!
“希望の取っ手”は、触れる前に死神に奪われた
──ガチャ(玄関が開く)
「──ただいま」(凛)
凛の声は、まるで死神の訪れ、絶望の再来だった。
玄関に立っていたのは、慈母のような穏やかな表情の──
──遠坂凛だった。
「うわああああああああああああああああっっっ!!??」(慎二)
「……と、とお…とおさか……なんで……なんで戻って……っ!!」(慎二・声が震える)
(……姉さ…ん……なんで……今、戻ってくるんですか……!?)(桜・心の声)
(……“今だけ”が、逃げられるチャンスだったんです……!)(桜・心の声)
凛は、桜の頬に残った“真っ赤な手形”を見つめる。
そして、重く低い声を出した。
「……慎二。あなたは、また、桜を殴ったの?」(凛・微笑)
「遠坂!? ちょ、ちょっと待って……いや、これは誤解で……あのな……っ」(慎二)
「誤解ね?……桜に手を上げたっていう“誤解”かしら?」(凛)
慎二の顔から血の気が引き、後ずさる。
その姿は、まるで死刑台に上がる直前の囚人。
「いや、ちがっ、これは……その、悪気はなかった、“ちょっと”した力加減で」(慎二)
「“ちょっと”ね。じゃあ、これは“ちょっと静かにさせる”だけよ」(凛)
「秘孔!“喘破(ぜんは)”! 息は吐けても、吸えないわ」(凛)
──ツボッ!(秘孔音)
「“喘破(ぜんは)”……息は吐けても吸うことはできぬ!!
呼吸という当たり前が、命の鎖に変わる!」(脳内ケンシロウ)
「っ……が……グッ……ゲボッ……!!う、うぐ……っっっ!!!」(慎二)
慎二の喉から異音が漏れ、身体がガクガクと痙攣する。
吸えない。苦しい。パニックが瞳に走る。
「グ……ッ!! 空気がっ……吸え…ない…ッ!!」(慎二)
「ぐっ……が……っ、は、吐けるのにっ……吸え……なっ……ッ!!」(慎二)
「吐けるだけマシでしょ? 吸えないだけで。私は優しいから」(凛・無表情)
慎二が地面に崩れ落ち、転げ回る。
手足をバタつかせ、喉を押さえ、目を見開き――
「…ぶごぼっ……っ!! ごっ……ゴボォ……!!」(慎二)
「ごぼぉ……!だ、だめっ……死ぬ……死ぬううう……っ!!」(慎二)
(…………ヒコウ……? ヒコウって……前に私の傷を治した……)(桜・心の声)
(ヒコウ……って何ですか!? 秘孔って、そんなに怖いんですか……!?)(桜・心の声)
(息を……止める!? そんなことできるんですか……!?)(桜・心の声・限界)
慎二は床に這いつくばり、仰向けのまま身体をのけぞらせた。
喉を押さえ、目を見開き、白目を剥きながら、酸素を求めてのたうち回る――
──ビチャァァァァァァァァァッ!!(嘔吐音)
次の瞬間、慎二の口から── 胃液が、滝のように噴き出した!!
「……慎二!桜に手を出したの、今世紀最大の失敗だって理解した?」(凛・低音)
(えええええええええええええええ!?!?!?)(桜・心の声・絶叫)
(なにこれ!? 嘔吐!?胃液!? 量が異常なんですけどぉぉぉ!?)(桜・心の声)
──慎二、泡と胃液をダブルで吹きながら、顔面蒼白でのたうちまわる。
「ぶごっ……ひゅ、ひゅうっ!! 死ぬ……し…ぬ……っ!!」(慎二)
「吐けるならまだマシでしょ?」(凛・淡々と)
「死なないように突いてるだけ、私は優しいのよ?」(凛)
(……言ってることとやってることが一致してませんからああああ!!)(桜・心の声)
(むりむりむりむりむりっ!!……この優しさの暴力、どっちに転んでも“詰み”なんですけどぉぉぉ!!)(桜・絶望)
──ガクガク(桜の全身震えMAX)
「ぜえ……ぜええっ……があああっ……!!」(慎二)
慎二は地面をのたうち回り、目を白黒させて泡を吹いている。
──しかし。
「桜、大丈夫だった?」(凛)
「桜、顔が赤くなってる……痛むか? すぐ手当てするからな」(士郎)
凛と士郎はまるで、慎二の存在などそこにないかのように、静かに桜に声をかける。
(な……何ですかこの空気……!?)(桜・心の声)
(兄さんが……目の前で……死にかけてるのに……誰も気にしていません……!?)(桜・心の声)
(これ……これが日常!?遠坂先輩たちにとっての“普通”……!?)(桜・限界)
──地面を転げ回る慎二は、声にならない声で、泡とともに何かを訴えていた。
「う……ぐぅぅ……あが……ぼっ……ぼふっ……っ!!」(慎二)
その様子を、誰も見ていなかった。
凛は桜の手をそっと握る。
「痛かったでしょう……桜、大丈夫? 私、もっと早く戻るべきだった」(凛・真剣)
「お前の頬、真っ赤じゃないか……! 気づけなくて……ごめん……」(士郎・悔しそうに)
(あ……あの……今、兄さん……死にかけて……)(桜・心の声)
(いや、これ完全に“窒息死”じゃ……っ!?)(桜・心の声)
(……なに…、なにこの光景!? 兄さんの姿、みんな見えてないんですか!?)(桜・極限状態)
──そのとき、慎二が震える息を吐き、喉から絞り出すような言葉を吐いた。
「ご……ごめんっ……なさい……!!僕が……ま、間違って……た……っ!!」(慎二)
「助け…て……僕が…悪かった……もう二度と来ないから……!!」(慎二・かすれ声)
慎二は汚れた顔を上げ、涙と泡でぐしゃぐしゃな表情を浮かべた。
その目に、理性はなかった。ただ“呼吸できない苦しさ”だけで限界だった。
「さっきも言ったでしょ。『今世紀最大の失敗』って」(凛)
「……ごめ…ん…なさ…い……僕が…全部…悪いから……っ!」(慎二)
凛は、慎二が窒息死する寸前で秘孔を解く。
「……次の“秘孔解除”はないと思いなさい、次は死ぬまで“秘孔”を突き続けるわ」(凛)
──ツボッ(解除音)
秘孔が解除される。
慎二の全身から一気に空気が入る。
「ガボォオオオオッッ!!!!」(慎二・一気吸い)
──ドサァッ!!(転倒)
力尽きて、完全に地面に崩れ落ちる慎二。
服は泥まみれ、体液まみれ、身体も精神もボロボロ。
「はぁっ!!……ハァッ!!……ハァッ!!……ゼエゼエ……!!」(慎二・泡混じり)
凛と士郎は、その苦しむ姿を、まるで何もなかったようにスルー。
慎二の肩が跳ね、顔が引きつる。
壁まで後退し、ガクガク震えながら靴も履かず――
──ダッ!!!(逃げ出す)
「ひいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっ!!」(慎二)
慎二が、玄関の扉を破るように飛び出して行った。
靴も履かずに、裸足で、転げるように、泣きながら。
──バターン!!!(裸足で全力逃走)
「遠坂。今の秘孔……“吸えないだけ”ってやつか?」(士郎)
「ええ、“喘破(ぜんは)”は、吐けるけど吸えない。シンプルな秘孔よ」(凛)
(……ヒコウ……秘孔……? 息が……吸えないって……)(桜・心の声)
(“吸えない”の見たんですけど!?“秘孔”って何ですか!?)(桜・混乱)
(それって突き間違えたら“死ぬ”ってことですよね……?)(桜・心の声)
――桜は、玄関に立ち尽くしていた。
慎二の背中は、すでに遥か彼方。
「ゲボオオオッ!!」という絶叫と共に、命からがら逃走していった。
「桜、大丈夫だったか?」(士郎)
「痛いところはない? 無理はしないでね」(凛)
凛も士郎も、慎二の逃走には一切触れなかった。
関心も感情も無く、桜だけを心配してくる。
(……兄さん……行っちゃいました……)(桜・ぼんやり)
(……私を助けに来てくれた兄さんが……あんな姿で……)(桜)
(……兄さんだけは、この家から“脱出”できました……)(桜・心の声)
(……でも、私は……“閉じ込められた”ままです……!!)(桜・震え)
──その時、静かに声が響いた。
「桜。安心していい!
どんなことがあっても、お前はもう“守られている”!」(脳内ケンシロウ)
「安心して。私たちが桜の“居場所”になるから」(凛)
「この家では、何が起きてもみんな味方だ」(士郎)
(な、なんで……!? 兄さん、今“胃液を噴水のように吐いて”逃げましたよね!?)(桜・動揺)
(誰も……見てなかったんですか!? “呼吸困難”も“滝のような嘔吐”も“死にそうな悲鳴”も……!!)(桜・心の声)
(私が見たもの、全部……なかったことにされてるぅぅぅっ!?)(桜・限界)
凛が桜の手を取る。士郎が背中に手を添える。
「ここにいれば、みんながあなたを“支える”わ」(凛・微笑)
「桜のことは、俺たちが“支える”から」(士郎)
(や、やだ……その“支える”って……ゲボゲボの兄さんを見なかったことにしてる空気で言われても!!)(桜・震え)
(あんなドロドロの胃液、噴水のように出して逃げた人間をスルーして、“支える”ってなんですか!?)(桜・混乱)
(なぜ、なぜ、気づかないんですか?……今この瞬間も、胃酸の川が玄関から廊下まで残ってますからぁぁぁっ!?)(桜・叫び)
(なんで……なんでです?……“支える”って気遣いが、世界一恐ろしいぃぃぃぃっ!!)(桜・ガタガタ)
──スッ……と、脳裏に静かな声が響いた。
「桜、安心しろ。ここには“悪”を許さぬ“力”がある
仲間を信じろ!“仲間の力”は何より強い」(脳内ケンシロウ)
(いやいや、秘孔の“力”がまさに悪の化身でしたよ!?)(桜・混乱)
(“仲間の力”が一番怖いんです!? 本当に気づかないんですか!?)(桜・絶叫)
(“悪を許さぬ力”?……もし、私に向けられたら、私は死ぬんですよ!!)(桜・恐怖)
桜は全身を震わせながら、言葉を漏らした。
それは悲鳴に近いつぶやきだった。
「……もし、私が……秘孔を突かれたら……私は……どうなるんですか……?」(桜・怯えながら)
「喘破だったら、呼吸できなくなるだけ、他には爆裂する秘孔もあるわ」(凛)
「いい秘孔もたくさんあるぞ。疲労回復とか、傷を治すとか」(士郎)
「知りたいなら教えるわ、回復秘孔は使うと便利なのよ」(凛)
──その時。
ふと、凛が桜の“ひたい”を柔らかく撫でる。
──トンッ(凛のふれあい)
(今の“トン”……まさか、私に“秘孔”を……!?)(桜・ビクッ)
(何の“秘孔”なんですか? 私はどうなっちゃうんですかぁ!!)(桜・絶叫)
(お昼にも私を“トンッ”ってしました。私は“何の秘孔”を突かれたんですか)(桜・狂乱)
──衛宮邸に、静けさが戻る。
ただ、その静けさは、桜の中では──悲鳴よりも、ずっと恐ろしい沈黙だった。
(ここ……自然な顔で……秘孔を突いてくる場所だったですかぁぁぁあ!!)(桜・崩壊)
──ガクガクガクガク(桜の震え)
桜の心の奥底で、何かが崩れ落ちたような音が響いた。
(……兄さんが来てくれて……助けてくれると思いました……この異常な日々から……)(桜・不安)
(……兄さんは“逃走”できました……吐きながら転がってでも……)(桜・心の声)
(……私は……“取り残され”ました……“秘孔の恐怖”という牢獄に……)(桜・絶望)
士郎と凛は、桜を慈しみ続けている。
桜は声も出せないくらい固まっていた。
その心は“秘孔”の恐ろしさで氷漬りついてた。
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次回──
「遺書─朝の挨拶が“遺書”ってなに?」
遺書を書き、覚悟を固める桜。
そして訪れるのは、笑えない誤解だった。
──遺書と共に迎える朝の挨拶。
──桜の心は、まだ救われない。
──To Be Continued──
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