Fate/北斗の拳 世紀末聖杯戦争―私は北斗神拳伝承者? 桜救出編 作:GMKゴジラ
「慎二ぶっとばし」で会話が繋がらなかった理由。
全てが明らかになります。
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十数年前・間桐桜・誕生秘話
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それは、誰にも知られることのない──遠坂家の、最後の祈りだった
──遠坂邸、深夜
──桜が産まれた直後
遠坂邸の寝室。静まり返った書斎の中に、ランプの灯りがぼんやりと揺れていた。
時臣は、ひとつ深く息を吐くと、両手を机に置いたまま、黙って立ち尽くしていた。
その隣では、葵が、ベッドに横たわったまま、目を伏せている。
ふたりは、言葉を選ぶように、長い間沈黙していた。
「──ポテンシャル葵よ」(時臣)
「……ええ、うっかり時臣さん」(葵)
時臣は、振り返らないまま呟いた。
「……やはり、桜にも“ツッコミの才能”がある」(時臣)
「……はい。凛のときと、方向性は違いますが、確かにあります……」(葵)
「“ツッコミ”を入れようとした瞬間に、言葉が押し留められた。まるで、こちらのツッコミをかき消されるように」(時臣)
「わかります。“ツッコミ”がおかし過ぎるんです。まるでツッコミのエネルギーを奪い取られるような」(葵)
「凛のときは“ツッコミの圧”で全てが圧倒され、私はツッコミの嵐に飲み込まれた。しかし、桜は逆にツッコミを吸収している」(時臣)
「ツッコミを吸収するなんて 極めて異例です」(葵)
「……桜は、“凛とは別方向のツッコミの才能”を……生まれながらにして、持っている」(時臣)
「うっかり時臣さん……やっぱりそうなんですね」(葵)
葵は体を震わせる。
「……なのに……なのに、どうして……っ」(葵)
彼は、机上にあった“魔術ツッコミ計測針”、の針をそっと示す。
その針は──桜の測定時、計測不能で裏返った声を出したという。
「これほどとは……」(時臣)
「凛のときとは“ツッコミの質”が違います。凛は計測針が破壊されるほどの、最大最強のツッコミだった。名付けるなら〝ツッコミーズワン〟、世界最強のツッコミの証だ」(時臣)
「はい、でも桜は全く違いました。魔術針から裏返った声のツッコミが帰ってきたんです」(葵)
「それに、計測不能だったのがおかしい、裏返った声はありえない。桜のツッコミはナンバーワンでこそ無いが、オンリーワン、よって名付けるなら〝虚数ツッコミ〟」(時臣)
「〝虚数ツッコミ〟とは?」(葵)
「ツッコミが起こってもおかしくない雰囲気の時、全員のツッコミを押し留め、吸収して魔力に変換する才能だと私は推測している」(時臣)
「それは、どういうことでしょうか?」(葵)
「つまり、日常が恐怖なのに誰もツッコミを入れない、誰も異常だと気づかない、ツッコミを全て吸収し、魔力に変換する」(時臣)
「じゃぁ、桜は、ツッコミ不在の環境で生活するってことですね」(葵)
「そうだ、“虚数ツッコミ”とは、桜自身はツッコミが止まらないのに、誰もツッコミを入れない。という、ツッコミ吸収能力だろう、この世に存在しないはずの才能だ」(時臣)
「そんな才能、聞いたことありません。うっかり時臣さん」(葵)
「このツッコミは世界で初めてのものだろう、凛のように最強のツッコミではないかもしれないが、封印指定になりうる……それに」(時臣)
「……それだけでは……ありません……桜の魔術回路」(葵)
彼女は震える手で、書斎の机に置かれた診断用紙をそっと持ち上げる。
その中央には、精密な魔術測定図が描かれていた。
「それに、……胸の位置に……北斗七星の形に、魔術回路の出入口が……七つあるのだ……」(時臣)
時臣はその紙を見て、眉を寄せる。
「この配列は偶然ではない。明らかに“形”として、整っている」(時臣)
「意味があるんですか? ツッコミと……この、北斗七星の形に……」(葵)
「わからない……だが“北斗神拳”の宿星、“北斗七星”に関連している」(時臣)
灯りの下、書斎は静まり返っている。
そして、その静けさの中で──時臣が、ぽつりと呟いた。
「もし、魔術師の家以外で育った場合、魔術協会に“発見”される」(時臣)
「……そんな、うっかり時臣さん」(葵)
「“虚数ツッコミ”の構造を持った存在。再現性のないツッコミの才能。特異体質と呼べる北斗七星型の魔術回路。魔術協会が喜ぶ条件が、すべて揃っている」(時臣)
葵の声がわずかに震える。
「うっかり時臣さん、どうなるんですか?」(葵)
「……嬉々として、“ツッコミ保護”の名の下に……」(時臣)
「ホルマリン漬けの“ツッコミ標本”にされるだろう」(時臣)
「そんなっ、桜が、嫌です……」(葵)
しばらく、沈黙。
「この家で……守れませんか? 魔術とツッコミを知らない普通の女の子として……」(葵)
「ツッコミ的、魔術的保護は、凛にすべて注いでいる。一子相伝は、原則だ」(時臣)
「破ることは……できないのですか?……」(葵)
「……ああ……魔術的、ツッコミ的な保護がなければ……ツッコミの才能は逆流し、本人の精神を“ツッコミ不在のおかしな雰囲気“で破壊する。桜にはこの未来が起きる」(時臣)
「……守れない……生かすことも、ツッコミを入れることも、できない……? 残酷です!?……」(葵)
時臣は、小さく首を振った。
それが「違う」という否定ではなく、「認めたくない」という、抵抗の動きだと、葵はすぐにわかった。
「ポテンシャル葵よ。私は絶対に桜を殺したくない」(時臣)
「当たり前です、うっかり時臣さん」(葵)
「桜を生かすため……なら」(時臣)
時臣は机に手を置き、ひと呼吸おいて、言った。
「どこか……魔術とツッコミを必要とする家に、養子に出すしかない」(時臣)
葵は目を伏せたまま、強く頷いた。
養子に出してでも、“桜を生かす”。それが、ふたりの出した、唯一の答えだった。
──それが、彼女たちの愛のかたちだった。
「虚数ツッコミ」それは、桜が今まで感じてきたツッコミが止まらない空気、それなのに誰もツッコミを入れない、その現象はこれが原因だった。
かつて桜が感じていた、"誰もツッコまない衛宮邸の恐怖"は──
桜自身が生まれ持った、「虚数ツッコミ」の証だったのだ。
間桐桜
真命:遠坂桜
保有スキル
虚数ツッコミ (EX)
ツッコミが起こってもおかしくない時、
全てのツッコミを吸収してツッコミ不在の空気を作り出す。
桜本人は恐怖からツッコミをできなくなっても、
周囲の人間は誰も異常に気づかない。
会話が成立しない、と桜が感じることも起こり得る。
ツッコミーズワンである、凛のツッコミだけは吸収しきれないことも稀にある。
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次回──
「刻印虫暴走──叫んだ声は届きますか」
七つの傷が熱を持ち、過去が焼き返される。
桜が初めて、すべてを吐き出す夜。
──怖い。でも、話さなきゃいけない。
──見てほしい、この胸の“しるし”を。
──To Be Continued──
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