Fate/北斗の拳 世紀末聖杯戦争―私は北斗神拳伝承者? 桜救出編   作:GMKゴジラ

76 / 95
25話・桜救出編 刻印虫暴走・叫んだ声は届きますか?

──────────────

  慎二の封印・桜の誤解

──────────────

 

──慎二の封印を終えた凛たちは、桜をそっと起こし、事情は語らぬまま、笑顔で食卓へ誘った。

 

何も語らない仲間たちの中で、桜はようやく安堵の表情を浮かべ、穏やかな夜の支度を整えていった──。

 

桜は、“慎二は謝罪のあと家に帰った”と信じ込んでしまったまま……

 

 

────────────

  夜の静寂・就寝?

────────────

 

──夜

──衛宮邸・離れ

 

あたたかな団らんを終え、それぞれの部屋へ戻っていく時間。

 

「……それじゃ、私、そろそろ休みますね」(桜)

 

「おやすみ、サクラ。いい夢をねっ」(イリヤ)

 

「おやすみなさい、桜」(セイバー)

 

「おやすみ、桜。また明日な」(士郎)

 

「姉さん、よかったらまた“眼精疲労回復”の“いい秘孔”お願いできませんか?」

 

「いいわよ、ドーンと任せなさい」(凛)

 

桜はみんなに軽く頭を下げ、小さく笑った。

 

(……今日は、夢のような日で……)(桜・心の声)

 

(……兄さんも、謝罪してくれて、許されて……)(桜・心の声)

 

(……本当に楽しかったです……)(桜・心の声)

 

 

───────────

  刻印虫暴走!!

───────────

 

──だが、そのときだった。

 

──その瞬間、腹部に走る異様な疼き。

 

──桜の体が、ひときわ強く痙攣する。

意識の底から、あの──“邪悪な気配”が、這い上がってきた。

 

「……っ、あ……!」(桜)

 

──凶悪な“気配”が、内側から膨れあがる。

 

──それは、明確に“目覚めた”。

 

──“邪悪な気配”が、七つの傷から溢れ出すようにして広がった。

 

「や……だ、いやぁ……っ!!!」(桜)

 

──桜は錯乱し、腹部を押さえてその場に崩れ落ちる。

 

──激しく、胸元と腹部をかきむしる。

 

その指が、服のボタンにひっかかる──

 

── 「──パチン!!」「パチパチパチ!!」

 

前開きの服のボタンが、糸ごと全て弾け飛んだ。

 

『胸の七つの傷』が、白い肌に、くっきりと露わになった。

 

「さくらっ!?」(凛・駆け寄る)

 

「あの気配が、邪悪な気配が!」(士郎)

 

「この気配……完全に覚醒している……!

凛、士郎! 見極めるときだ!

桜を救え!!今すぐに!」(脳内ケンシロウ)

 

──凛、士郎、セイバー、イリヤ──全員が、同時に飛び出す。

 

──傷の正体は、すでに全員が知っている。

 

──しかしその異様な気配の復活に、誰もが息を呑んだ。

 

「だめ……見ないで……!これ以上、見ないで……っ!!」(桜)

 

──桜はうずくまり、両手で傷を隠そうとするが──もう、遅い。

 

──七つの傷は、全員の目に、はっきりと焼きつけられていた。

 

(……なんで、今なんです……っ?)(桜・心の声)

 

──ゾクッグジュグジュ!(邪悪な気配)

 

腹の奥で、何かが暴れた。

突き上げるような痛み。圧迫。灼熱。

 

「ひ……あ……ああっ……!」(桜)

 

「“あべしっ”!“いってれぼ”!」(桜)

 

「“ひでぶっ”!“なにをぱら”!“あ~あごがごが”!」(桜)

 

「桜!?」(士郎)

 

(な、なに……なんで……今、また……!?)(桜・心の声)

 

「うああああっ……!ううっ、やだ……ああああああっ!!」(桜)

 

──桜は錯乱し、苦しみながら、自分の腹部を抱き締める。

 

そして──

 

「や、やめて……“もぽえ〜ぺいっ”……!」(桜)

 

桜の両手は、意識もなく腹部をかきむしる。

激しい動きで、上着の前が完全にはだけ──

 

──その下に隠されていた“七つの傷”が、白いインナー越しに──

いや、腹部には何もなく、くっきりと──露わになった。

 

──北斗七星と同じ並びの、“七つの傷”。

 

それを、全員が──確かに、見た。

 

「……あれが……」(セイバー)

 

「……そんな……はっきりと、こんなに……」(イリヤ)

 

「……私、だめです……見られたら、もう……」(桜)

 

桜は崩れ落ちた。

声も出せず、ただ肩で息をしながら──その場に膝をついた。

 

「桜っ!!」(士郎)

 

「大丈夫か!? 桜っ!!」(凛)

 

──誰よりも早く、凛が駆け寄り、膝をついて支える。

 

「ねえさん……わ、私……見られてしまいました……」(桜)

 

「いいの、いいのよ桜。そんなことで、何も変わらないわ」(凛)

 

「いいや……変わるんです……変わってしまうんです……っ!!」(桜)

 

──涙がこぼれる。

凛の腕の中で、桜は微かに首を振る。

 

「私の体は……もう“普通”じゃないんです……」(桜)

 

「わかってます……私にあるのは、汚れた傷……“呪い”……」(桜)

 

「でも……それでも私は、生きたくて……」(桜)

 

「生きたくて、ここに来たんです……!」(桜)

 

「だから……だから……お願いです……」(桜)

 

「……捨てないでください……見捨てないでください……!」(桜)

 

「さくらっ……!」(凛)

 

──だが

 

──脳内にもいつもの優しい声が響く。

 

「捨てるものはここにはいない!

“七つの傷”が、お前の価値を下げることはない」(脳内ケンシロウ)

 

「お前が何を背負ってたって関係ない。俺たちは、お前を──“守りたい”だけだ」(士郎)

 

「そうだよっ!サクラはサクラでしょっ!」(イリヤ)

 

「七つの傷があっても、私たちの大切な仲間であることに、変わりありません」(セイバー)

 

「桜、さくら、さくらぁ……」(凛)

 

──凛は、そっと桜の頭を抱き寄せる。

 

「もう、怖いものなんてないのよ。私たちが守ってあげるから」(凛)

 

桜の瞳が、大きく見開かれ──そして、涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。




───────────────
次回──
「“とめった”を止められなくても泊まる場所」

“断末魔”を受け入れる仲間たち
ツッコミ不在の夜は、静かに包まれていく

──泊まる。止めない。とめった、どっちなんだよ
──そんな、ツッコミは──入らなかった

──To Be Continued──
───────────────
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。