Fate/北斗の拳 世紀末聖杯戦争―私は北斗神拳伝承者? 桜救出編   作:GMKゴジラ

89 / 95
38話・桜救出編 震える夜──ナルシストに笑わされた日常

──────────

「深夜」・震える桜

──────────

 

──夜

──遠坂邸・桜の部屋

 

ベッドの中で、桜の体は震えていた。

 

その震えは、体の奥から来るもの──

“また何か起こるかもしれない”という根深い恐怖だった。

 

「……姉さん、明日……本当に、学校に行けるでしょうか……」(桜)

 

「添い寝してあげるわ。……だから、今日はちゃんと眠りましょ」(凛)

 

たしかに助かった。

 

でも、前回は、手術で完全に助かった“直後”に、地獄のような“蟲の海”が襲ってきた。

だから桜は「安心の直後に恐怖がくる」という錯覚から抜け出せずにいた。

 

凛は桜の布団に入り添い寝する。

桜は即座に凛に抱きつく、布団の中で震えながら抱きつく。

 

凛はそっと桜の額に手を置く。

 

「……こっち向いて。落ち着かせてあげるわ」(凛)

 

「“秘孔定心(ていしん)”」(凛)

 

──トンッ(精神安定秘孔)

 

「……少しだけ、落ち着いてきました……」(桜)

 

桜の瞳がゆっくりと落ち着いていく。

呼吸も、少しずつ深くなっていく。

 

「大丈夫よ。今夜は、一緒に寝てあげるわ」(凛)

 

「……はい、ありがとうございます……」(桜)

 

そうは言っても、桜の本能に染み付いた恐怖は消えない。

桜は凛に寄り添うように布団の奥へ顔を埋める。

 

「姉さん……怖いんです、私が悪いのは分かってます」(桜)

 

「あなたは何も悪くないわ、私だって怖いもの」(凛)

 

「姉さん、今日は一緒に寝てください。震えが止まらないんです」(桜)

 

「いいわよ、あと、これも追加よ。深眠秘孔よ」(凛)

 

──ツボッ(眠らせる秘孔)

 

──すぅ……

 

凛は桜を包み込むように深く抱きしめる。

桜の寝息が、次第に穏やかなリズムを刻みはじめると──

 

桜の瞳がゆっくりと閉じられ、安らかな寝息が聞こえはじめた。

 

 

桜の眠りを見届けると、凛はそっと布団を抜け出し、部屋を静かに出る。

 

──そこには、セイバー・士郎・イリヤの三人が待っていた。

 

「……準備は?」(凛)

 

「問題ありません。地下に、全ての準備が整ってます」(セイバー)

 

「“鏡”は、完璧な角度に設置した」(士郎)

 

「バラも、メイクセットも準備しておいたわ♪」(イリヤ)

 

「始めろ、桜への罪を断罪するのだ。

悪党への処断が必要だ!」(脳内ケンシロウ)

 

「よし、じゃあ“最終封印処理”……始めましょうか」(凛)

 

 

───────────

 慎二制裁・「最終」

───────────

 

──地下室・慎二監禁室

 

そこに慎二はいた。部屋の中央に寝かされた状態で。

 

薄暗い部屋の中には、ただ一枚の鏡だけが正面に置かれている。

 

「よし。闘気照準。ナメた態度を矯正する、最後の一撃──発射」(凛)

 

──ビシュッ!!(闘気発射)

 

遠隔の「目を覚まさせる秘孔」が慎二の眉間を貫いた。

 

「な、なんだよこの鏡は!? 頭の中が……熱いッ……!」(慎二)

 

──ビギーン(破孔発動音)

 

死環白(しかんはく)、見たものに「惚れさせる破孔」が発動した!

 

 

──光を反射する鏡に、ひとりの“美男子”が映っている。

 

「……この……神の造形を授かった…男!……」(慎二)

 

「……え? まさか──これ、僕……!?」(慎二)

 

 

──ズギュゥゥゥンッ!!(ナルシスト覚醒音)

 

 

「……気づいてしまった……! この僕が、美しすぎるという事実に!!」(慎二)

 

「この髪、この肌、この完璧な輪郭……!

そうか、そうだったんだ……! 僕は、僕を愛するために生まれてきたんだッ!!!」(慎二)

 

 

イリヤが耳元で小声で言う。

 

「……やったわ。制裁、完了ね」(イリヤ)

 

凛が鼻で笑う。

 

「もう、桜に危害は加えない。“自分だけが大好き”な男になったわけだから」(凛)

 

士郎が呆れ顔でつぶやく。

 

「……ある意味、最強の自爆処理だな……」(士郎)

 

セイバーが静かに頷く。

 

「“殺す”のではなく“無害化”。理に適った制裁です」(セイバー)

 

──脳内に声が響く。凛の制裁は、ケンシロウが倒してきた悪党とは違う形だった。

 

「奴は桜に償いながら生きていくことになる。

生きているからこその償いか……」(脳内ケンシロウ)

 

凛が扉を閉めながら、振り返ってこう言った。

 

「さあ、あとは“花を咲かせる”だけね」(凛)

 

 

─────────────

 翌朝・ナルシストと笑い

─────────────

 

──翌朝

──遠坂邸・玄関

 

士郎と凛は、制服姿で桜の両脇に立ち、桜を支えながら歩いている。

セイバーとイリヤは、後ろから温かく見守っていた。

 

「先輩……姉さん……やっぱり、私……外に出るの、まだ怖いです……」(桜)

 

「大丈夫だよ。俺たちがついてる」(士郎)

 

「何があっても守るわ。もう絶対、蟲なんかに触れさせない」(凛)

 

桜はまだ震えていた。

昨日、仲間たちに救われたばかりのその身体には、あの日の恐怖がまだ深く刻まれている。

 

「桜っ、手を繋いで歩きましょうか」(凛)

 

「は、はい……行きます……」(桜)

 

恐怖が抜けきらず、不安に押し潰されそうな桜が、ぎゅっと凛の手を握る。

 

 

──その時!

 

玄関のドアが開かれた。

 

──ギイ……ッ(玄関ドアが開く)

 

 

視界に飛び込んできたのは──

 

「──ふふっ……僕の舞台は、ここからだッ!!」(慎二)

 

完璧なメンズメイク

ツヤと立ち上がりを計算したワックスセットヘア

糸一本の乱れもないアイロン済みの制服

そして、口に咥えた一輪のバラ

何故か朝から汗ひとつなく、逆光を背負ってポーズを決める男。

 

「僕は美しい……この世に“慎二以上の美”があろうか? 否ッ!!」(慎二)

 

「見よ、この完璧なる造形美……ッ!!」(慎二)

 

「この眉の角度5.7度──完璧だ……!」(慎二)

 

──ポーズ:斜め45度のスカウター構え。

 

 

その瞬間、張り詰めていた桜の緊張が、一気に崩壊した。

 

「な……なんですかこれ……ふふっ……あはははっ!」(桜)

 

──爆笑

 

桜が、声を上げて笑った。

心から、腹の底から笑った。

 

士郎も凛も、目を細めて微笑む。

 

「な、なんですかその格好……! えっ……兄さん……!? なにが、あったんですか……!!?」(桜)

 

「僕はもう、過去の僕じゃない……

美しさの化身、“ローズ・オブ・シンジ”さ……!」(慎二)

 

 

「……桜、こういうことだ……」(士郎)

 

士郎が肩をすくめて言った。

 

「言ってなかったけど──慎二は殺さずに償わせるの。

“ナルシスト”という最高の制裁でね」(凛)

 

セイバーも控えめに補足する。

 

「世界で最も“無害な”変質者……それが今の慎二です」(セイバー)

 

「……もう桜をいじめない、バラと自己愛に生きる男だ」(士郎)

 

「このバラは……僕の魂さ……!!」(慎二)

 

「このまま僕の美しさを広めないのは罪だ、ああ、僕は美しい」(慎二)

 

「桜、僕は学校に先に言って“準備”しておく」(慎二)

 

「“準備”って何する気なのよ?」(イリヤ)

 

「僕の美を広める、“準備”なのさ!」(慎二)

 

────────────

 慎二の「準備」とは?

────────────

 

──そして慎二は、学園の方向へ風と共に走り去る。

──学校で自分の美を広めるためにバラを咥えながら優雅に登校する。

 

「遅れるなよ、僕が先に登校して校門前を“美で飾る準備”しておくからな!!」(慎二)

 

「兄さんの奇行?……ナルシスト?……“準備”ってなんの準備……?」(桜)

 

「いいのよ、桜。あれが──“償い”ってやつよ」(凛)

 

 

──ツッコミどころ満載の朝だったが、

桜は確かに笑った。

 

その笑顔が、何よりの回復の証だった。

 

「……姉さん、学校に行きましょう」(桜)

 

「さくら~。慎二が何を“準備”してるか、気になってるでしょ!」(凛)

 

「はい……兄さんが……なにを“準備”してるのか……気になります」(桜)

 

「よし!行こう!遠坂、桜、3人一緒に」(士郎)

 

そして、3人は──新しい日常へと、歩き出していった。




───────────────
次回──
「美の伝道者、慎二の暴走 ナルシスト①」

校内に貼られた無数のポスター。
咥えたバラと斜め45度のポーズ。

──慎二の奇行が、思わぬ癒しに。
──笑顔の花が、静かに咲き始める。

──To Be Continued──
───────────────
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。