Fate/北斗の拳 世紀末聖杯戦争―私は北斗神拳伝承者? 桜救出編 作:GMKゴジラ
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抜けきらぬ恐怖
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──朝
──遠坂邸・玄関前
慎二が風と共に去った後。
静けさが戻ってきた玄関で、桜は再びうつむいてしまった。
「……やっぱり、まだ怖さが……」(桜)
は
「大丈夫。私がずっとついてるわ」(凛)
「俺もいる。みんなで行こう」(士郎)
桜は小さく頷き、ぎゅっと凛の手を握る。
「ありがとうございます、姉さん……先輩……」(桜)
──登校開始。
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学園前・ポスター
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──穂群原学園・正門前
門の外、登校生たちがざわついていた。
「なにあれ……」
「マジで貼ったの!?」
「夢じゃないの!?」
そして、桜たちの視界に、それは現れた。
校門の左右にずらりと並ぶ、慎二のポスター群。
すべて、斜め45度・バラ咥え・逆光気味のポーズ。
壁にも、フェンスにも、花壇の柵にまで「美しすぎる僕」が貼られていた。
「ふ……ふふっ……あはははっ……なにこれぇええ……!」(桜)
桜は笑いが止まらなかった。
あれほど硬直していた体が、一気に力を抜かれていく。
「効いてる……慎二ポスター、想像以上の効果ね」(凛)
「むしろ強すぎるぐらいだな……」(士郎)
──慎二への制裁は、想像以上の効果だった。
「……兄さん……どうして、そんなことを……!」(桜)
「“自分を愛してやまない男”に改造されたのよ、あいつ」(凛)
「反応としては、100点だな。桜が笑えたなら」(士郎)
──穂群原学園・廊下
桜が通るたび、バラを咥えた慎二のポスターが次々と現れる。
「ふふ……“準備”ってこれのこと!?……こっちにも貼ってあります……!」(桜)
ロッカーの扉、掲示板、配電盤の蓋にまで。
どこを見ても、慎二。咥えバラ。咥えバラ。咥えバラ。
「姉さん……私、さっきまであんなに怖かったのに……」(桜)
「なんだか、もう……歩ける気がします」(桜)
「その調子よ、さすが。ツッコミーズセカンド」(凛)
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笑う桜・セカンドとして
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──桜の教室・前
「……着きました」(桜)
「姉さん、先輩……大丈夫です。私は授業を受けられます」(桜)
その目には、もう昨日までの怯えはなかった。
代わりに、笑いをこらえたような照れくささと、ちょっぴりの自信が宿っていた。
「無理してない、さくら?」(凛)
「私は、今日から……“普通の生活”を取り戻します」(桜)
「よく言った、桜。頑張ってこい」(士郎)
「後でね、ツッコミーズセカンド」(凛)
「はい、行ってきます、勇気をもらえました」(桜)
桜は笑って、小さく会釈し、教室に入っていった。
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凛・士郎の教室 ①
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──穂群原学園・教室(2年C組)
──凛と士郎の教室
「──ああ、なんて、僕は……美しいんだ……!」(慎二)
教壇の上に鏡が斜めに設置され、
そこに映るのは、ポーズを決めた慎二。
背後の黒板には『Shinji is Beautiful』の文字。
「見よ、この横顔!
この眉の角度、5.7度! そしてバラ──情熱の証!!!」(慎二)
生徒たちは、ざわめいていた。
「え、なにこれ……引く……」(女子A)
「痛い……これは痛すぎる……」(女子B)
「前はあんなにカッコよかったのに……」(女子C)
ポツ、ポツと去っていく元・取り巻きの女子たち。
──彼女たちは、そっと離れていった。
「ま、待って! どこへ行くの!? せめて“美しい”の一言だけでもぉおお……!!」(慎二)
涙がポロリとこぼれる。
その一滴が、ファンデーションを溶かし──
「──メ、メイクがッ!!」(慎二)
慌てて鏡前へ駆け戻る。
「落ち着け、落ち着け慎二……!」
「美しさは再生できる……美は死なない……!!」(慎二)
リキッドファンデとBBクリームを同時塗り、
ティッシュで汗を抑え、髪を整え、再びポーズ。
「復活……! それが、美の執念……!」(慎二)
──その時。
──ガラッ!!
教室のドアが豪快に開かれる。
「ホームルーム始め──うわあああッ!? なにこれ!?」(藤ねえ)
担任の藤村大河が、開口一番で教室全体にツッコんだ。
「何やってんのよ朝からぁああああ!!!」(藤ねえ)
「美を、広めていただけですッ!!!」(慎二)
「教卓はステージじゃないわよぉおお!!!」(藤ねえ)
──凛が小さくつぶやいた。
「……この学園の平和、保たれたわね」
士郎も苦笑して頷いた。
「慎二がいる限り、ある意味安心かもな……」
──そのころ、桜は。
教室の席に着きながら、心の中で静かに笑っていた。
──あれだけ恐ろしかった“外”の世界に、
ほんの少しだけ、“笑える居場所”ができた気がした。
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昼休みとナルシスト地獄
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──昼休み
──穂群原学園・2年C組(凛と士郎の教室)
昼休みのチャイムが鳴る。
桜は、凛たちと弁当を食べる約束を思い出す。
「姉さんと……先輩が、来てくれるって……」(桜)
しかし、その場に立ち上がろうとした瞬間。
──ズゥゥゥン……(“蟲の”フラッシュバック)
視界を埋め尽くす、数万の蟲の奔流。
「──っ……あ……足が……動かない……」(桜)
手が震え、膝が小さく崩れる。
まわりのクラスメイトは気づいていない。
──その時だった。
「──テスト、マイクテスト……」
「醜き穂群原学園の民たちよ──この慎二様が、至高の美を届けに参った!!!」(慎二・校内放送)
「この美声、美貌、美意識!!
“ローズ・オブ・シンジ”こと、間桐慎二による“美の福音”をお届けする!!」(慎二・校内放送)
教室中、失笑・混乱・ざわめき。
だが、桜だけはその声に微かに笑みをこぼす。
「……ふふっ……兄さん、まだやってる……」(桜)
──震えがほんの少しだけ止まる。
──その時、後ろから声が掛かる。
「さくら、遅いじゃない。ほら、行くわよ」(凛)
「って、その顔、笑えてよかったな」(士郎)
桜が振り返ると、凛と士郎が並んで立っていた。
「……だって……ふふっ……兄さんが、あんな放送……!」(桜)
「効果抜群だな……完全にツボってるじゃないか」(士郎)
「放送ジャックは予想外ね。でも、あいつの使い道は、あれしかないわ」(凛)
凛がそっと桜の肩に手を置く。
桜は微笑み、立ち上がる。
「……はい。行きます。私……歩けます」(桜)
「放送、聞きながらね。アイツまだまだやりそうだし」(凛)
「美しい僕が、醜い君たちの代わりに美の真理を映してやる……!」(慎二・放送)
「昼休みの間、鏡の前に集え! 鏡を持ってない奴は、反省せよ!」(慎二・放送)
──歩く桜は途中でくすくす笑い出す
「“鏡の前に集え”って……なんですか、それ……ふふっ……」(桜)
「いい調子。ツッコミーズセカンド、本格始動ね」(凛)
ほんの数時間前まで“恐怖の象徴”だった外の世界が、
少しだけ、温かく、可笑しく、息のしやすい場所に変わっていた。
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凛・士郎の教室 ②
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──穂群原学園・2年C組
──凛・士郎の教室
「ふふっ……この卵焼き、美味しいです」(桜)
「でしょ? 自信作よ」(凛)
「ほら、桜。こっちの焼き魚も食べてみろよ」(士郎)
3人で囲む穏やかな昼食。
校内放送の余韻が残る中、笑顔の桜は少しずつ、世界を取り戻しつつあった──
その時。
──ガラッ!!
勢いよく開かれた教室のドア。
そこに立っていたのは、教壇の主──否、「ナルシストの象徴」。
「──ふっ……昼の舞台は、ここか……」(慎二)
バラを咥え、制服は完璧にアイロン済み。
顔面はメンズメイク全開、髪は逆光に輝いている。
慎二、降臨。
「醜き穂群原学園の民たちよ……この僕の“美”に、ひれ伏すがいいッ!!」(慎二)
一瞬、静まり返る教室──
「なんでここに来たのよ……昼休み、終わってないけど?」(凛)
「そもそも、お前何してたんだよ……校内放送ジャックとか」(士郎)
慎二は真剣な眼差しで、凛たちを見つめ返す。
涙を浮かべながら──
「……だって……誰も、僕の美を理解してくれなかったんだ……」(慎二)
「“美しい”の一言が、誰からも聞こえなかった……!」(慎二)
その涙は、ほんとうに悲しみから溢れていた。
「僕は美しいのに……! なぜ、この世界は僕を受け入れない……!」(慎二)
──そこへ、
「しんじぃぃぃぃぃいいい!!!」(藤ねえ)
藤村大河、怒りの怒号が空を裂く!
「アンタねえ! 無断ポスターに加え、校内放送をジャックした上に、バラ咥えて教室に戻ってくるってどういうことよおおおおお!!!」(藤ねえ)
「先生、先生は嫉妬してるんだ。僕の美しさ、このバラに」(慎二)
「藤村先生が生まれながらにして、“僕より醜い”のは、僕のせいじゃないッ!!」(慎二)
──バシンッ!!
藤ねえの平手打ちが慎二の頬を打つ。
「間桐慎二! 校内放送の私物化と、繰り返される奇行により──停学処分1週間!!!」(藤ねえ)
「黙れぇぇぇええ!! 醜き民よ!! 僕の“美の伝道”を邪魔するなぁぁああ!!!」(慎二)
──涙がぼろぼろとこぼれる。
「僕を停学にするだって!? 逆だ!
“僕以外の全員を停学にして”僕一人でこの学園を完成させるべきなんだッ!!」(慎二)
「君たちの心が汚れているから、僕の輝きが見えないんだよぉぉおお!!」(慎二)
──藤ねえ、冷たく一言。
「反省の色なし。停学処分、1ヶ月に延長!」(藤ねえ)
「うわあああああ?!? それは僕の“美”への冒涜だあああああ!!!」(慎二)
──慎二、泣き崩れる。机に突っ伏して号泣する。
「僕は美しい……美しいはずなのに……」(慎二)
「醜い民たちが……僕の美に嫉妬してるんだ……うううっ……」(慎二)
──その姿を見て、桜はまた吹き出しそうになる。
「……だ、ダメです……笑いが、止まらな……」(桜)
「そのまま笑ってて。……それが“正解”なんだから」(凛)
「美しさって……こんな形で使えるんだな……」(士郎)
「……にやけます……私……生きててよかったです……」(桜・涙を流しながら笑う)
──かくして、慎二は“誰にも理解されないナルシスト”として孤高を貫き、
──桜は、そのおかげで少しずつ笑顔を取り戻していった。
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次回──
「ナルシスト最終──そして、春が来た」
誰もが呆れ、桜は笑った。
そして、それだけで充分だった。
──もう涙はいらない。
──笑いと共に、新しい自分へ。
──To Be Continued──
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