Fate/北斗の拳 世紀末聖杯戦争―私は北斗神拳伝承者? 桜救出編   作:GMKゴジラ

92 / 95
★最終話・桜救出編 ツッコミーズ・ツインズ──桜救出編・完結★

──────────

 遠坂邸の大団円 ①

──────────

 

──夕方

──遠坂邸・リビングダイニング

 

「できたわよ! 私特製・超本気の中華フルコース!」(凛)

 

凛がエプロン姿で、ドヤ顔のまま大皿をテーブルに並べていく。

チャーハン、エビチリ、酢豚、餃子、八宝菜、そして……異常にツヤツヤした謎の点心。

 

「おお~っ……すごい!」(士郎)

 

「なんでしょう、この“凛師匠の本気”感……!」(セイバー)

 

「サクラ! あれが“姉の本気料理モード”よ! なにが起きても褒めるのよ!」(イリヤ)

 

「わ、わかりましたっ! でも、なんだか緊張します……!」(桜)

 

「我が拳は、空腹すら断つ。

だが、炒飯の香りには屈する」(脳内ケンシロウ)

 

「いきなり敗北してんじゃないのよケンシロウ!」(凛)

 

「姉さん……本当にすごいです。本格中華のお店に迷い込んだみたいな香りが……」(桜)

 

「迷い込むどころか、本日限定・“遠坂飯店”の開店だな!」(士郎)

 

「店の名前、ギリギリすぎるわね……!」(凛)

 

「さすがリン、北斗神拳もツッコミも中華もプロ級!」(イリヤ)

 

「なんで“ツッコミ”と“中華”が並ぶのよ!? 料理カテゴリじゃないわよ私のツッコミ!」(凛)

 

「それでは、いただきましょう」(セイバー)

 

「待ってセイバー! フライング禁止! 桜、あなたが“開戦の号令”をかけなさい!」(凛)

 

「え、わ、私が……!? ええと……」(桜)

 

「全員──突撃……いただきますっ!」(桜)

 

「“突撃”!? 食卓が戦場扱い!?」(凛)

 

「我が名はチャーハンを司る者、ケンシロウ。

その一粒が命を照らす。先代北斗神拳伝承者!」(脳内ケンシロウ)

 

「名乗るな! 米の神にならないで!!」(凛)

 

箸が一斉に動き、歓声が上がる。

食卓はまるで戦場──だが、平和と笑いに包まれた、幸せの乱戦だ。

 

「……外カリ中ジュワです! これは……ツボです、完全にツボに入ってます!」(桜)

 

「“ツボ”って何の!? 北斗のツボじゃないわよね!?」(凛)

 

「師匠、特製チャーハン、完食しました!」(セイバー)

 

「早っ!? 秒で消えたわよ!?」(凛)

 

「まるで“百裂拳”を腹にくらったあとのような満腹感ね……!」(イリヤ)

 

「それ満腹じゃなくて、打撃で満たされてるだけよ!」(凛)

 

「桜……このチャーハンには、お前の救済が刻まれている。

食べるたびに、仲間たちの傷は癒えていくのだ」(脳内ケンシロウ)

 

「米にそんな浄化作用ないから!!!」(凛)

 

その夜。

誰もが“笑って”“食べて”“ツッコんで”、桜の心に残っていた影は、確かに少しだけ薄らいだ。

 

 

──────────

 遠坂邸の大団円 ②

──────────

 

──夜も更け始めた頃

──遠坂邸・リビングダイニング

 

皿の山ができあがり、空のグラスが並ぶ頃。

食卓には、満腹と笑いの余韻がゆったりと残っていた。

 

「ふぅ……幸せすぎて、なんかもう、魂が昇天しそうです……」(桜)

 

「昇天するにはまだ早いわよ。あとデザートが残ってるから」(凛)

 

「えっ、まだあるんですか!? この上が……?」(桜)

 

「真の本命はここからよ。お楽しみは、最後にとっておく主義なの」(凛)

 

「本命と書いて“ラストボス”って読むレベルなのよ……!」(凛)

 

「我が胃袋は限界を超える。

今宵、俺は、食の北斗羅漢撃を受ける」(脳内ケンシロウ)

 

「それはただの暴食宣言よ、ってあんたは食べてないじゃない!!」(凛)

 

「俺は、実体を持たないが、

皆の食事風景だけで腹は満たされるのだ」(脳内ケンシロウ)

 

「ケンシロウさん、言葉があったかいです」(桜)

 

 

そのとき、セイバーが静かに手を合わせる。

 

「この空間……本当に、温かいですね。まるで、家族のようです」(セイバー)

 

「そうか……そうだよな。家族、か……」(士郎)

 

「じゃあ、今のうちに言っておこうかな……」(凛)

 

皆が凛に注目する。

 

「衛宮邸が直ってからも、こっちでみんなで住みましょ。桜も、士郎も、セイバーも、もちろんイリヤも」(凛)

 

「本当はもっと早く言おうと思ってたのよ」(凛)

 

「えっ……姉さん……」(桜)

 

「ここなら結界もあるし、食糧庫も爆裂寸前。いいこと尽くめよ」(凛)

 

「私、ここに住んでもいいんですか……?」(桜)

 

「当然でしょ。遠坂邸は“家族”のものなんだから」(凛)

 

「──はい……。ありがとうございます……姉さん……!」(桜)

 

「……っ、も、もぉ~……サクラぁ~! よかったねぇえ~っ!!」(イリヤ)

 

イリヤが感極まって桜に抱きつく。

セイバーも優しく微笑みながらうなずいた。

 

「私も、共に暮らせることを心から嬉しく思います。これからずっと、お願いします」(セイバー)

 

「俺もだ。なんか……こんな日が来るなんてな……」(士郎)

 

「我が魂は、この宿命に報いた。

平穏こそ、拳の真髄なり」(脳内ケンシロウ)

 

「……やっと、そのセリフに納得できる気がするわ」(凛)

 

桜はこらえきれず、再び目に涙をにじませる。

けれどそれは、悲しみではなく、確かな喜びのしずくだった。

 

「姉さん、セイバーさん、イリヤさん……そして、先輩。

本当に、ありがとうございます……私は、今日……“生まれ変われた気がします”」(桜)

 

「生まれ変わる必要なんてないわよ。

私たちは、最初から桜の味方だったんだから」(凛)

 

 

桜は、みんなのその言葉を静かに聞きながら──胸の内で、そっと何かをかみしめていた。

 

そして、お茶を一口すすってから、柔らかな声で言った。

 

「……私、今日一日を、ずっと夢みたいに感じていました」(桜)

 

全員が、静かに桜の言葉に耳を傾ける。

 

「この食卓に並んで……姉さんの料理を食べて……皆さんと笑って……」(桜)

 

「それだけのことなのに……本当に、それだけのことが……奇跡のようで……」(桜)

 

イリヤがゆっくりと手を伸ばし、桜の手を包むように握った。

 

「サクラ。夢じゃないよ。これは全部、本当だよ」(イリヤ)

 

「……ありがとう、イリヤさん」(桜)

 

セイバーも静かに言葉を添える。

 

「桜。あなたの微笑みが、この場に“安らぎ”を与えてくれています」(セイバー)

 

「本当だな。お前の“ありがとう”の一言だけで、なんか……心があったかくなるんだ」(士郎)

 

「桜、あなたはもう一人じゃないのよ。ここには、私たちがいるわ」(凛)

 

「……はいっ」(桜)

 

ほんの短い返事だった。

けれどその声音は、かつての桜のそれとは違っていた。

 

──まっすぐで、澄んでいて。

──そして、確かに今を“生きている”声だった。

 

「私……この時間が、こんなにも幸せだなんて……知りませんでした」(桜)

 

「知っていけばいいのよ。これから何年でも、何十年でもね」(凛)

 

桜は頷いた。

 

一瞬、涙が浮かびかけた。

でも──泣かなかった。

 

それはきっと、もう泣かなくても大丈夫だと、どこかで分かっていたから。

 

「……姉さん」(桜)

 

「なあに? なんでも言ってね」(凛)

 

「私……これからは、守られてばかりじゃなくて……ちゃんと、“ここにいていい”って思えるように、頑張ります」(桜)

 

凛は少し目を見開いたあと、ふっと笑った。

 

「欲張って……もっと幸せになっても、いいわよ」(凛)

 

「はい……なります。絶対に」(桜)

 

「うんうん! それでこそ、サクラだよーっ♪」(イリヤ)

 

「私も応援しています、桜」(セイバー)

 

「俺も……絶対、お前を悲しませたりしない」(士郎)

 

「……皆さん……」(桜)

 

そのとき、脳内にまたあの声が響いた。

 

「桜、お前は七つの傷を乗り越えた女。

これからは“七つの幸福”で、未来を塗り替えろ」(脳内ケンシロウ)

 

桜はそっと目を閉じて、心の中で微笑んだ。

 

(はい。ケンシロウさん……私は、ちゃんと幸せになります)(桜・心の声)

 

──そして。

 

静かに、暖かく、静謐な夜が、遠坂邸を包み込んでいく。

 

桜の心に根を張っていた恐怖は、少しずつ溶けていった。

 

それは──

 

“救出”の終わりであり、

“はじまり”の夜でもあった。

 

 

─────────────

 姉妹の散歩と〝月下の誓い〟

─────────────

 

──夕食後

 

──遠坂邸・中庭

 

空には雲ひとつなく、凛と桜の背に月光がやさしく降り注いでいた。

縁側には二人分の湯呑が置かれ、温かい香りが微かに漂っている。

 

凛と桜は手を繋いで歩いていた。

 

桜は、静かに呟いた。

 

「……姉さん、私──ようやく、自分の中の“恐怖”と向き合えました」(桜)

 

「大丈夫? 今もまだ怖い?」(凛)

 

「正直、怖さは残っています……皆さんに助けられて、守られて、やっと“恐怖”と戦えるようになったんです」(桜)

 

凛は隣で湯呑を置くと、ふっと笑って言った。

 

「私は最強なんだから。“ツッコミーズワン”の名にかけて、桜は簡単に守っちゃうんだから」(凛)

 

すると、桜はまっすぐ凛の目を見て、しっかりと答えた。

 

「守ってくれて……ありがとうございました。でも、これからは、守られなくても幸せになれます。“ツッコミーズセカンド”として……」(桜)

 

虚数ツッコミの名を知らない桜は呟く。

凛の目が、少し潤んだ。

 

けれど、泣きそうな顔ではなく──

誇らしげな姉の顔で、にこりと笑う。

 

「さすが、私の妹ね。“ツッコミーズセカンド”の名に恥じない幸せ、これから絶対に手に入れてね」(凛)

 

桜も、そっと微笑み返す。

 

「……はい、もちろんです」(桜)

 

ふたりの間に、静かで、確かな絆が流れていた。

血よりも深い、心の繋がり。

 

 

そのとき──

 

ふと、風が吹き抜け、凛の髪が揺れた。

 

 

月明かりの下、凛は桜から少し離れ、縁側の端に立つ。

 

「……桜。実はね、私は、月に誓いを立てたのよ」(凛)

 

「えっ?」(桜)

 

「私は“根源の渦”にたどり着く。

北斗神拳を極めて、魔術師として根源の渦の前に立つ。

それが、私の“月下の誓い”よ」(凛)

 

「……姉さん……」(桜)

 

 

桜は、そっとその隣に立つ。

そして、静かに笑った。

 

「じゃあ……私も、ひとつ立てますね。

“ツッコミーズセカンド”として──

“最高の幸せ”を手に入れます。

これが、私の“月下の誓い”です」(桜)

 

「ふふっ……桜らしいわね」(凛)

 

 

─────────────

 ツッコミーズ・ツインズ

─────────────

 

「誓いは風に刻まれ、星に昇り、魂を導く。

今夜は、戦いの終わりでない。

“ツッコミーズ・ツインズ”、幸せな誓いの始まりだ!」(脳内ケンシロウ)

 

「ツインズってアンタ? ポエム挟むなってば!!」(凛)

 

──そして、笑いがまた夜空に舞う。

 

遠坂邸に集った仲間たちは、ようやく手にした静かな日常の中で、

それぞれの“これから”を胸に、そっと手を重ねる。

 

月の光が、そのすべてを優しく照らしていた。

 

 

「これからは、この幸せが“当たり前”になるわ」(凛)

 

「“当たり前”ってすごく大事です」(桜)

 

けれどその“当たり前”が──

桜にとって、何よりも愛おしい言葉だった。

 

「守られるだけじゃない、私もこの毎日を“守る側”になります」(桜)

 

月明かりが、桜の横顔をやさしく照らしていた。

それは、幸せを照らすような、どこまでも静かで、まっすぐな光だった。

 

──桜救出編、完結。

 




───────────────

幸せに還る場所──桜救出編・完結

もう、泣かなくていい。
この手が、誰かとつながっているなら。

静かな風が、二人の誓いを包んだ。
月の光で交わした言葉は、優しい未来の証。

──“姉妹”の意味が、ようやく結ばれた夜。
──すべてが、そこにあった。

───────────────


ここまで読んでくださった皆さまへ。
物語は、ついに終着点にたどり着きました。
悲しみも、涙も、笑いも──
すべてはこの一瞬のためにありました。

“救う”でも“戦う”でもなく、
“生きてゆく”ことの尊さを描きたかった。
それを最後まで見届けてくださったことに、
心から、ありがとうを贈ります。


間桐桜
真命:遠坂桜

保有スキル

虚数ツッコミ (EX)
ツッコミが起こってもおかしくない時、
全てのツッコミを吸収してツッコミ不在の空気を作り出す。
桜本人は恐怖からツッコミをできなくなっても、
周囲の人間は誰も異常に気づかない。
会話が成立しない、と桜が感じることも起こり得る。

ツッコミーズワンである、凛のツッコミだけは吸収しきれないことも稀にある。

「ツッコミーズセカンド」は、真名を知らずにカレンが付けた通称である。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。