東方黙示録カイジ   作:さわやか

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悪魔の取引

今まで感じなかった苦痛…!

家を持って初めて気づく大黒柱の苦悩…!

 

 

「金がねぇ...!!」

 

 

「お金なんて、ほとんど使えないんじゃない?」

 

「ファック•ユー...!ぶち殺すぞゴミが…!」

 

「!?」

 

「金は命より重い...そこらへんの認識を誤魔化す輩は生涯地を這う...!」

 

「幻想郷でお金を使うなんて、嗜好品くらいだよ?」

 

「飯はどうする...飯は...!」

 

「...あっ」

 

「そう...俺は人間...つまり搾取される側...!!」

 

「うーん、じゃあ人里で働いてくるしか・・・」

 

「そうだな...家を空ける...留守番は頼んだぞ…!」

 

「はーい」

 

 

人里にて...

 

「お願いしますっ...!雇ってください…!」

カイジ必死の懇願...!

 

「そうは言ってもねえ・・・人は足りてるし・・・」

がっ...ダメっ...!

 

「ウチは間に合ってるよ」

又してもダメっ...!

 

「セールスお断りって書いてあんだろうが!」

何度やってもダメっ...!!

屈辱...!圧倒的屈辱...!!

 

(クソッ...何でだ...!!なぜ俺はいつもこう上手くいかない...!)

 

 

「ただいま...」

 

「おかえりー!カイジ!野菜を見つけたよ!よかったね!」

 

「本当かっ...!見せろよ...!」

 

が...種っ...!誰でも簡単お野菜の種...!自家栽培用...!

 

「お前...ふざけるのもいい加減に...「カイジさーーーん!」!?

 

「カイジさーん!いますかー!」

 

「はい...!今出ます...!」

 

 

「はじめましてー!私こういうものです!」

 

「新聞記者...射命丸文...!?」

 

「以後お見知り置きー」

 

「セールスなら結構です...!ウチ今お金無いんで...!」

最強のセールス撃退...!

 

「逆ですよ!逆!」

 

「え...?」

 

「カイジさん!新聞のネタになって頂けませんか!?勿論無料とは言いません!」

 

「えっ...!?ええっ...!?た、立ち話も何なので中へどうぞ...」

 

 

 

「カイジ...安易にセールスを連れ込んじゃダメだよ?」

 

「あややや。失礼ですね?私はスカウトしにきただけですよ?」

 

「まあいい...それでネタって...?」

 

「はい!我が文々。新聞は深刻なネタ不足に陥っていましてね...」

 

「はい」

 

「そこで!外からカイジさんが颯爽と現れ!何と家を持った!さらには同居の恋人も!」

 

「だだだだだ誰が恋人だ!」バンバン

 

「落ち着け...!」

 

「ですがこの件はいつもの様に勝手に記事にすると色々な所から怒られちゃうんで...こうして承認に来たんです」

 

「はい」

 

「森に家を持った外来人として号外で売り出せば商売繁盛!大勝利!って訳ですよ!」

 

「成程...」

 

「カイジ!チャンスだよ!これで有名になって…」

 

「いや待て...疑問がある」

 

そう...!確かにこれは美味しい話…

だが美味い話には何かがある…!美しいバラにトゲがあるかの様に...!

それ故こちらのメリットは最大限まで引き上げなければならない...!

 

「ギャラはいくらだ…?場合によっちゃその話...ハネるぞ...!!」

 

「!?」

 

「なかなか商売上手なんですねえ、で、何がご希望です?」

 

「もちろん食べ物...!霖之助からの食料もそろそろ底を突く...!」

 

「何これ・・・」

 

にとり唖然っ...!

カイジと新聞セールスの...血を血で洗う悪魔の取引...!

 

「そうですねえ...では山で取れる山菜...一ヵ月分でどうでしょう?」

 

「ええ!?一ヵ月分も!?きゅうりは!?」

 

「勿論ありますよ。極上なのがね...」

文、悪魔の微笑み...!

 

「か、カイジ!いくしかない!いくしかないよこれ!」

にとり大歓喜...!だがカイジは冷静...!

 

(確かにこれは多い...俺も一週間分程度だと思っていた…...)

(だがあの余裕の表情...なにか裏がある...!!)

(予想するに...山菜の在庫は随分余裕...更に外来人は珍しい故に大きな話題になる...)

 

その時カイジに電流走る...!

 

(いや...これは危険...!大変危険な賭け...下手すりゃ餓死...)

(だが分かる...長年のギャンブル歴がいけると言っている...)

(...引きずり出してやる、その『保険』...!!)

 

「一年分...」

 

「「え?」」

 

「一年分だっ...!それ以下は呑まんっ...!!」

 

山菜一年分...!どこぞの番組かと思うほどの量...!

当然呑まなければこの話はお流れ...!

 

「ちょっカイジ!?何それ!?考え直そう!流石に無理だ!」

当然阻止するにとり...だが文は...

 

「そう来ましたか」

 

「どうなんだ...答え...!」

 

「もう少し低くしてくれませんかね?」

 

「無理っ...!受け付けない...!」

 

「・・・本当に、譲りませんね?」

 

「絶対...!」

 

にとりは思っていた…!

これは無理…!絶対に無理…!きゅうりはサヨナラ…!

確信していた…だが答えは意外…!

 

「わかりました・・・負けましたよ。約束します」

 

「え・・・?」

 

「やったっ...やったぞっ...!大当たり...!神よ...!俺を祝福しろっ...!」

まさに理想っ...!理想的っ...!

実はこの勝負...カイジは勝つべくして勝った...

だがにとりはそれが所謂奇跡だと...天狗の気まぐれだと思っていた...!

 

「ではこの記事は大っぴらに書かせて頂きますね!さよーならー!!」

 

飛び去る文...!だがにとりは未だに唖然...!

 

「納得行かない表情じゃあないか...!」

 

「だって!そんなの変だ!一年分なんて狂ってるよ!」

 

「変でいいんだ...!変でなきゃ悪魔は殺せないっ...!狂ってこそ開かれる...!勝利の道が...!」

 

 

 

翌日...カイジ宅前には大量の段ボールと...一枚の新聞が置いてあった...




「紫さーん!いらっしゃいますかー」

「ブン屋じゃない。何の用?」

「何ですかそれ・・・食料の補給に来ました。」

「あら?貴方の所は最近来たばかりじゃ?宴会でもしたの?」

「いや・・・ちょっと色々あってですね」

「?まあ食料ならいくらでもあるからいいんだけど。」

「あ、明日号外を出すので!宜しくお願いしますね!」

そう...!どんなに足掻こうが結局...勝者は妖怪...!
もはや運命...!避けては通れぬ結果...!
恐るべしブン屋...!恐るべし八雲家...!

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