俺の雄英高校2年の体育祭は何事もなく始まり、何事もなく終わった。
まあ、経営科にとって体育祭なんてそんなもんだ。
経営科の体育祭とは、第一種目で負けてからが本番なのだから。
経営科の体育祭とは、第二種目以降で活躍する生徒達をどうプロデュースするかなど経営を考えるのが本番なのだから。
そんな訳で順当に1回戦敗退をしといた訳である。
さて、とはいえこれからどうするか…
『先輩、もし時間あったら1年の体育祭、応援がてら見に来てくださいね。私頑張りますんで!』
なんて拳藤に誘われていたな。
今からなら第二種目の始まりには間に合いそうだ。
そう考え1年の会場に向かう。
どの会場にも生徒達用の競技場付近のいい席が用意されている。
立ち見にはなるが、まあいいさ。
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会場につくと、ちょうど何かしらの打ち合わせタイムの終了のタイミングだった。
電光掲示板を見ると、騎馬戦とある。
…なるほど、勝ち抜けで騎馬戦とは趣味が悪いな。
さて目当ての拳藤は勝ち残っているのか…いた。
第一種目を勝ち残った生徒達の一群に拳藤を発見する。
ヒーロー科だから多分大丈夫だろうとは思っていたが。
人を見に来いと呼んどいて自分が負けてたら世話ないもんな。
ちゃんと拳藤は勝ち残っていたらしい。
こちらが拳藤を見ていると、彼女もこちらに気づいたようだ。
『ひらひら…』
周囲の生徒に気付かれないよう、控えめに手をこちらに振ってくる。
ひらひら…
軽く手を振り返す。
それを見て、拳藤が微笑んだのがわかる。
…そして、背後のクラスメイト達の動きも。
…すーっ…『ピッ!』
…何故か懐から体育教師が使うようなホイッスルを鳴らした気の強そうな女子主導で、拳藤をスクラムの中に引き込んでいく。
どうもクラスメイトらしき少女達的には、今のは何かしらの事案らしい。
『おうこらこっち真剣なんだよわかっかコラ?え?』
『アッハイ…』
みたいな感じなのかね?知らんけど。
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残念ながら、2回戦の騎馬戦で拳藤は勝ち残れなかった。
個人的には策を上回るようなとんでもない傑物が相手にいたからだと思う。拳藤には非がない。
それくらいA組は高い壁だった。
元々前評判は高い1年A組だ。
だがしかし、実際に見てみるとあの氷使いと爆発使いを中心にとんでもないメンバーが揃っているのがわかる。
コレが同年代にいると確かに焦るのはわかるわ…
負けてしまった拳藤は
『せっかく応援に来てくれたのに負けちゃってごめんなさい』
と内心が伝わるようなペコリとしたお辞儀を観客席の俺に向けて来た。
流石にこれには、クラスメイトの女子達も何も言わなかった。
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昼休憩をはさみ、レクリエーションの時間となる。
せっかくだからこのまま1年を見ようと俺は会場に残っていた。
なんせ2年ヒーロー科の1クラスは去年相澤先生の所為で1クラス丸々退学となっている。
まあこのまま1年見てる方が2年見るよりいいかな?という判断。同様に考えてそうな2年経営科の生徒もチラホラ見える。
まあ皆考えることは似たりよったりになるようだ。
抜け目のない生徒が多い、この学園は。
なんらかの事故なのか1年A組女子のチアガール姿に目を楽しませてもらった後、競技が進み、障害物競走となる。
この辺りでも個性の使い方で優かどうかなどわかるので、意外に馬鹿にならない競技である。
…ぱーい、せんぱーい…
「…ん?」
呼ばれた気がして、グラウンドを見ると、拳藤がこちらを見て手を振っている。
「せんぱーい!借り物競争で手伝って欲しいんですけど、そこから飛び降りれますかー!?」
「…ま、なんとかなるだろこんくらい」
ジュートのおかげで身体は鍛えられている。
グラウンドと客席を遮る壁を飛び越え、グラウンドに降りる。
「ありがとうございます!さ、行きましょう!」
そして彼女に手を引かれ、借り物競争のゴールに向かう。
2人でゴールにつくと、ゴールの係に拳藤が借り物競争のお題が書いてある紙を見せる。係はその紙と俺を見比べて「あーおっけー」と頷く。
「…拳藤、ちなみにお題はなんだったんだ?」
「…あははー…はは…」
目を逸らす拳藤。
係が、こちらにお題の紙を見せてくる。
『イケメン』
…あーね。自覚はしてるから構わんよ別に。
出生絡むからいい気ばかりではないんだけど。
この所為で無駄なトラブルもあったりするけど。
…ま、たまにはこういうお祭りで実感するのもいいだろう。
『ピッ!』
アッハイ…
拳藤にはちゃんと、クラスメイトが対応してくれるらしいしな。