その男は荼毘と名乗った。
「テメエが死柄木弔が言ってたヴィジランテまがいのジュートってガキかよ」
「あー。だったらなんだってんだよブッ殺すぞこのヤロウ」
雄英高校近くの夜の繁華街。
近道と思いあまり人の通らない路地裏を歩いているとコイツが待ち伏せしていた。
…この道、知ってるヤツ少ないんだが…
思い当たるのは…
「ああ、この辺で張ってりゃ会えるってイカれ女に教えてもらってな」
「やっぱトガかよクソが!」
股は緩くない割に口の軽いヤツだ全く!!
「んで、一体何の用?死柄木絡みの用件は受けるつもりねーけど」
「何となくさ!悪いか?ヴィランが暴れるのに理由なんざいらねーだろが!!!」
荼毘の身体から、青い炎が噴き上がる!!
コイツ炎系の個性か!!!
「楽しませろやヴィジランテ…テメエとの勝負の結末で、どっちがトップ張るか決まるんだからよ!」
「勝手に俺様巻き込んでんじゃねーよクソが!!」
反論したものの不味い!!!この狭い路地裏では場所的に対炎で不利過ぎる!!!
「さあどうするヴィジランテ…死柄木をぶちのめしたその剛腕見せてくれや!!!」
そう言うと、こちらに青い炎を放ってくる!!!
「チィッ!」
個性 重力拳
自分の周りの重力を軽くする!
そして青い炎を避けるため、周囲の壁を三角蹴りの連続で駆け上がる!!
「はっはー!やるじゃねえか!!」
宙を舞う俺を追撃の炎で迎える荼毘!!
「チィッ!」
重力無視の超機動!!
前に飛ぶと見せて、近くの、壁を叩き横にはねる。
慣性の法則が少なくなっている俺の動きは、普通の人よりも高速で鋭角な機動を可能としていた。
「む!!!」
そして、フェイントを入れながら荼毘の背後に回る!!
荼毘は焦り、広範囲をカバーするような横薙ぎの炎を放って来た!!
ここだ!!!
俺は、前方に身体を投げ出した。
鼻が地面に付くくらいの身体の投げ出し。
そこから、後ろ足で地面を蹴り加速する!!!
重力の影響が少ない俺は、こういった普通ではありえない機動が可能!!!
「何だと!!!」
荼毘の放った横薙ぎの青い炎。その下を低空ダッシュで潜り抜ける。
潜った先には、ヤツの足。
つまり荼毘の至近距離!!!!
俺様的統計だが、強力な遠距離攻撃の個性持ってるやつほど近距離はザコだ!!
「シャアらあ!!!!」
低空ダッシュで荼毘の足元に滑り込み、その勢いそのままヤツの身体を這い上がる!!!
溜めた重力の力を込めた右アッパーとともに!!!
そのアッパーが荼毘の顎を直撃する!!!
「ガアっっっ!!!」
強力過ぎる衝撃がヤツの身体を1メートルほど打ち上げる!
ここだ!ココこそが勝機!!!
「っオラァ!!」
宙に浮き剥き出しの腹に左のリバーブローを叩き込む!!
「げほああ!!!」
そして垂れた顔に
「死ねえ!!!」
渾身の右フック!!!
「ゲブ…」
最早声も発する余裕すらなく荼毘が吹っ飛び地に沈む…
「っち…やれやれだぜ…」
腕試しに一々俺様利用してんじゃねーよ、全く…
しかし、トガから話聞いたって事は、トガはコイツラの仲間になったのか?
…確かに、アイツのキャラ的にはそっちの方が生きやすいのは間違いないのだが…
次、いつ会えるかわからない。
だが、会ったら話を聞いてみよう。
そう、思った。