『ヒャッホー!!イケメンの若いツバメキタコレ!!!!しかも給料の半分は税金で出してくれる!!ヒーローばーんざー…あー!!!』
事務所にはいり、挨拶直後の事である。
興奮し、突如巨大化する女性ヒーロー。
巨大化の勢いそのままに、彼女は自分の肉体で事務所を破壊してしまったのだ!
つまり破片がこちらに飛んでくるのでとりあえずめっちゃ危険!
『ひょぇぇえええ!!!!!背伸びしたい年頃の女性の背伸びが暴走し過ぎキタコレー!!!』
退避ー!と叫びながらピエロらしくピューっとその場を離れる。
慌てて事務所の崩壊に巻き込まれないよう逃げる僕。
一瞬にして崩壊した事務所。
逃げる僕。
周囲を見渡し彼女は
「…テヘ♥ペロ♥ってしたらスパチャでも飛んできて弁償資金集まらないかしら?♥」
と舌を出して笑った。
でも残念全然笑えないですよんペロン。
…それが、もう1年程の付き合いになる彼女との出会いだった。
デビューしたばかりの期待の女性ヒーロー。
麗しき見た目と強力な個性。
ヒーロー名 Мt.レディ
本名 岳山 優
雄英高校経営科紹介のバイト。
ヒーロー事務所の事務作業というバイトを縁に、僕は彼女と知り合うことになった。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
それ以来約1年。
僕は週に2回程度このバイトを続けている。
雄英高校ではヒーロー科はインターンという形でヒーローの元に派遣され現場で研修が出来る。
似たように、経営科ではヒーロー事務所に派遣バイトという形で派遣され、実際の事務作業を学ぶというバイトがある。
当然望んだ者だけだが、実務が学生時代から経験出来、かつバイト代が入るということで人気のバイトである。
人気なのだが、ウチの兄さんこと翼人は2年経験科トップの成績を誇る優等生。人気で枠が少ないバイトにも優先で割り当ててくれたのだった。
持つべきものは優秀な兄様ですなーほんとほーんと。
「タスケーお茶!」
「はいさーレディよろこんでー!」
彼女好みの適温に淹れたお茶をぬるっと差し出す。
ずずすーっ!とレディがそれを飲む。
「やーしっかしイケメンお茶汲みを半分税金で雇えるんだからほんとヒーロー制度様々よねー」
満足気にМt.レディがそう言う。
経営科の生徒をバイトで雇う場合、後進の指導ということでヒーロー事務所が支払う給料の半額補助が出るそうな。
「ハッハッハーこのタスケ!このお茶淹れるだけのぬるいぬーるい時間すらもバイト代が出ているというぬるさ緩さに恐悦至極大満足でございますー」
「うむ。はからえよきにー」
適当そうな僕の言葉に適当なレディ。
なんせ、バイトを募集する際に雄英高校に指定した条件が
『イケメン』
のみだったのである。
剛毅!うーんあまりにも剛毅!
「別に彼氏選ぶわけでもなし。誰にでも出来るような事お願いするだけなら、どーせだったらイケメンにしてもらった方が良くない?」
「なるほどなるほどー…ではではー参考までに、彼氏に必要な条件とは何でしょーか?」
「金」
「ノータイムでの回答痺れる憧れるー!!この時間に追い立てられるばかりの時間の足りない現代社会人の鑑ー!!!」
じゃあここで額縁にいれて飾るような格言になる言葉をまとめてみましょー!!
「わりとどうでもいい自分の身近な男を選ぶ条件は?!」
「顔」
「彼氏結婚相手に選ぶなら!!」
「金」
「ご丁寧な回答ありがとやしたー!!!」
そんなこんなで1年が経った。
あ、タスケってなんだって?
あだ名かな?
あだ名というより僕の、僕だけの名前なんだけどね。
僕だけの名前。
多重はたしげ、と読める。
そこから来たあだ名がタスケとなる。
なんとなく「おまえはスケっぽい」とのこと。知らんけど。
それ以来、僕はタスケという名前を気に入り、このタスケという名前を自分が行動する時は使っているのだ。