このアカデミアでは俺だけに翼がない   作:のりしー

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タスケ7

「ふーん…まあ…何かアンタにはあるんだろうなーとは思ってたけど、思ってたよりヘビーな話だったわねー」

 

「はははは…」

 

 

「年上の女として一個だけアドバイスしとくけど」

 

「はい」

 

「兄弟に迷惑かけないように、女関係はちゃんと整理しときなさいよ」

 

「はいー!!!!」

 

Мt.レディは、大人だった。

 

 

これが、彼女に僕たちの事を話した日の事だ。

 

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

 

 

「タスケーそれ終わったら最後にいつもので肩もんでくんない」

 

「はいーかしこまりですー!」

 

すでに10月に入っていた。

そして、今日は僕がこのМt.レディ事務所で最後のバイトとなるかもしれない日。

 

 

その、最後になるかもしれないバイト。

 

その、終わりかけの時間である。

 

Мt.レディの背後に回る。

 

彼女のお気に入りの椅子。

 

彼女は、時にその個性を不注意で発動させ事務所を壊してしまう。

 

でも、何度か事務所を壊してしまっても、この椅子は常に新しい事務所に運んで使っていた。

 

 

思い入れのあるものには、強い思い入れを持つ女性なのだ。

 

その利己的だったり打算的な面が目立つが、情の深い女性だった。彼女は。  

 

 

「…ん、あー…やっぱりアンタの肩もみはサイコーねー…」

 

「あざですあざです。何なら他の所もおもみしまっしょいか?」

 

「あーじゃー実家のぬか床とかお願い」

 

「何か言ったこっちがすみませんでした!!!」

 

カラカラ…っと彼女は笑う。

 

「…うん。ありがと。もう大丈夫よ」

 

そう言うと彼女は肩越しにこちらに振り向き。

 

「タスケ、ありがとね。バイトに来てくれたのがアンタでホント良かったわ」

 

「…こちらこそ。貴方の事務所でバイト出来て良かったです」

 

最後のバイト。

 

もしかしたら最後になるかもしれない時間。

 

彼女も、それを知っている。

 

でも、いつも通りの会話だった。

 

いつものバイトのような時間。

 

「…ま、もしなんやかんやあってアンタが残ったら、またウチの事務所でバイトさせたげるから」

 

「はい…あざですあざです」

 

彼女は大人だ。

 

僕の伝えた話から、僕たちの事を色々察してくれているのだろう。

 

 

彼女は、肩に置いた俺の手を、握った。

 

「…え?」

 

そして、そのまま僕を引き寄せると、

 

「?!」

「♫」

 

 

そのまま、僕とキスをした

ガッツリとした、大人のキスを

 

 

「…昔見たアニメで憧れのシーンがあるのよね」

 

「…Мt.レディ?」

 

彼女はいたずらっぽく、でも少し…でも少しだけ寂しそうな笑顔を浮かべ、

 

 

「大人のキスよ。もしも次に会えたら、次はこの続きをしましょ」

 

「…はい」

 

 

2人。見つめあう。

 

僕と彼女。

 

コレがもしかしたら最後になるかもしれない。

 

そんな瞬間だった。

 

「…でもダメねアンタ。ちょっとキスに慣れ過ぎてて生意気」

 

「雰囲気!!!!!!!!!!!!!」

 

カラカラ笑う彼女。

 

僕もつられて思わず笑う。

 

ありがとうМt.レディ。

 

貴女に会えて、本当に良かった。

 

もしもまた貴女に会えるなら…思わずそう思ってしまった。

 

運命の時間が、迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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