「き、君たちには悪いと思うよ!確かに今考えるとすごい悪いと思う!でも仕方ないじゃないか!!神様に異世界転生してヒロアカ世界に行って良いって言われて、好きな個性もらえる事になったけど、1人の個性だけじゃ再現出来なかったんだ!!」
「な、何を…言って…」
「ぐうっ…」
「…クソが!」
俺達3兄弟を超重力の波で地面に抑えつつ、俺達じゃない誰かが喋っている。
「あのゲームのキャラと能力でヒロアカ行きたかったんだ!説明すると神様も問題ない、って言ってくれた!!でもこれは話が違うよ神様!!こんな事になるなんて聞いてない!!17歳の誕生日になったら自然に人格統合されるって言ってたじゃないですか!」
異世界転生?
神様?
「なんの…話を…している…」
体は超重力に抑えられ全く動かない。
上から抑えつけられる痛みも激しい。
「君たちには本当にすまないと思う。でも、僕にも僕の事情がある!すまないけど、このまま統合を始めさせてもらうよ!!」
そう言うと、彼が光り始める!
同時に。俺達3人も!
俺達3人から伸びた光が、彼に向かって伸びていく!!
これが!統合なのか!!!
「ふざ!ふざ!フッザケンじゃねえよ!クソガキ!動け!動け俺様の体!」
荒事に長けたジュートが動こうと個性も発動させ抗う!だが体が動かない!
「クソを!なんで僕の個性は戦いで役に立たないんだ!僕は消えてもいいと思ってた!でも、こんな形じゃない!絶対にこんなの違う!!!」
荒事に向いてないタスケも懸命に足掻いている。
…もちろん、俺もだ!
「動けえ!動けえ!俺の、体!」
這ってでも前に進む。
俺は、2人の為に消えてもいいと思ってた。
2人の為だからだ!
正直心残りはある!
拳藤の事もそうだ!
でも、2人の為だったら、俺は消えても構わないと覚悟していた。
「ふざけんな!ふざけるな!俺は、俺は、誰だかわからないお前なんかの為に消えてなんてやるもんか!」
だから、動け!動くんだ俺の、体!
何でもいい!何か無いのか!
無我夢中で個性を発動させる!
機械の様なバックパック。
小さな翼を生やすだけの個性。
「動け!動け!動け!」
俺には翼がない。
空を飛ぶ為の翼がない。
何処にも行くことは出来ない。
「でも、そんなの関係ない!動け!動け!俺の体!這ってでも前に進め!弟達を!2人を守るんだ!」
空を飛べるかどうかなんて関係ない!
空を飛べる翼がなくても、今は少しでも前に進まなければいけないんだ!
弟達を守るために!
俺は2人のヒーローなんだから!
「動け!動け!動くんだ俺!今動かないでどうするんだ!アイツらを!2人を守るために動けー!!!!!」
…ガチン!
何かが、つながった音がした。
自分の中の秘められた歯車。
それが噛み合ったような、音が。
俺の中でだけ、響いた、音。
「えっ!」
「兄貴!」
「うおおおおお!!!!!」
体が、動いていた!
「な、なんだよ急に!!来るな!こっち来るな!」
超重力の波の中。
その重力に逆らい、俺の体は弾かれるように前へと飛び出していた!
向かう先は、光の伸びる先。
ヤツの元へ!
「く、来るな来るな!来るなー!!!」
「おおおおお!!!」
間合いに入る!
俺の拳が、ヤツの顔面に入った!!
そのまま、ヤツの体にのしかかる。
マウントポジションを取ると、ヤツの顔を殴りまくる!!
「グエ!ぐは!…クソ!やられてばっかでたまるかよ!!」
男が、俺の両腕をつかむ!
「くらえ!!」
「うがああああ!!」
グシャッという肉が潰れる音とともに、俺の両腕が超重力で潰されていた!発狂しそうな程の痛みが俺を襲う!
「ど、どうだ!こ、これでもうパンチはってぐは!」
関係無い。
手が使えなければ他の物を使うだけだ。
頭突き。
ヤツの鼻面に何度も何度も頭突きを食らわせる。
ごっ!ごっ!ごっ!…
肉と、肉がぶつかる音が響く。
「兄貴!ストップ!もういい!」
「僕達の体から出る光も止まった。多分この人意識ないよもう」
しばらく夢中で頭突きしていたが、超重力の波が解けたのだろう。追いついて来た2人に肩をつかまれ止められた。
どれほどの時間、続けていたのだろう?
気がつけば、目の前には意識のない血だらけの男の顔があった。