このアカデミアでは俺だけに翼がない   作:のりしー

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ジュート1

『あはーオニーサン、いー感じに血の香りがぷんぷんしますねー私の好みですー』

『あーなんだよそりゃそれだと俺様が弱えーみてーじゃねーか。これ全部返り血で俺様の血じゃねーよ舐めんなコラブッ殺すぞこのヤロウ』

『きゃーカアイイーブッ殺されちゃいますー!!!』

 

何でカアイイーなんだよ意味わかんね…

 

思わず天を仰いだのは覚えてる。

 

 

雄英高校近くの繁華街。

夜も更けた頃の事だ。

 

チンピラに絡まれていた同年代の女の子を見かけた。

暗がりでも可愛いと見えたので、スケベ心込みでチンピラぶん殴って助けたらコレである。  

 

 

このイカれた女はトガヒミコと名乗った。

 

それ以来1年程の付き合いとなる。

約束をする事は特にないのだが、夜に街を歩いていると何となしに顔を合わせることが多い。

お互い夜を生活圏にしているからだろうが。

 

俺様の名前はジュート。

 

重と人の字から取ってジュートという。

俺様だけの名前だ。

 

どんなヤツだって名前は大切だ。

 

兄貴とバカ兄貴と俺様を分ける名前。

 

それがジュートだ。

 

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

 

「あージュート君じゃないですかー!」

「チッ!うっせーなブッ殺すぞこのヤロウ」

「わー!またブッ殺されますー!」

 

夜、街を歩いている俺様を見かけて駆け寄ってくるこの女。

トガだ。 

トガちゃんと呼んでくださいー、と言ってくる女。

 

そろそろ1年近い付き合いとなる。

 

「ジュート君ここにいるって事は今日は土方のバイトですか?ボクシングとかトレーニングじゃないですよね?」

「ああん?今日は何でも屋ジュート様のお仕事だよバカ野郎」

「えーあれマジでまだやってるんですかウケるカアイイー!」

 

萌え袖で口元を抑えながらバカ笑いするこのアホ。

 

うっせーよアホが。  

 

バカ兄貴だけが真面目にバイトしてるのもダルいだろうが。

対抗するわけでもないが、俺様もバイトはしている。

トレーニングがてらの日雇いの土方バイト。 

他、SNSで募集した何でも屋のバイトだ。 

 

色々トラブルもあった。

正直冷やかしも色々あったが、1年も続けると固定客も出来てそこそこの小遣い稼ぎになっている。

 

だから断じてこのクソアマに笑われるような内容ではないのだ!

ブッ殺すぞこのヤロウ!

 

 

「で、ジュート君。今日は何の依頼なんですか?」

「…無くなったチャリを探す…」

「えーカアイイー!めっちゃカアイイー!」

 

うっせーよバカ。信頼第一の何でも屋だこのヤロウ。

 

報酬は内容次第で増減。交通費抜きで時給1000円の何でも屋だ。

内容によってボーナスで色はつけてもらっている。

 

この不安定な社会。

チンピラに最近絡まれている、という個人商店の用心棒の真似事もしたりする。要はヴィジランテみたいなもんかね?

 

あまり兄貴には迷惑かけたくないから派手に目立つ仕事は断るが。

 

バカ兄貴の方はどうでもいいんだけどな。

 

「ジュート君!私もチャリ探し手伝いますー!」

「ケッ!勝手にしろバーロー」

 

そう言って、アホを待たずに街を歩き出す。

 

「あー待ってくださいー」

追いかけて来るアホ。

 

こんな夜を幾度も過ごして気づけば1年が経っていたのは不思議な話である。

 

 

 

 

 

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