『あはーオニーサン、いー感じに血の香りがぷんぷんしますねー私の好みですー』
『あーなんだよそりゃそれだと俺様が弱えーみてーじゃねーか。これ全部返り血で俺様の血じゃねーよ舐めんなコラブッ殺すぞこのヤロウ』
『きゃーカアイイーブッ殺されちゃいますー!!!』
何でカアイイーなんだよ意味わかんね…
思わず天を仰いだのは覚えてる。
雄英高校近くの繁華街。
夜も更けた頃の事だ。
チンピラに絡まれていた同年代の女の子を見かけた。
暗がりでも可愛いと見えたので、スケベ心込みでチンピラぶん殴って助けたらコレである。
このイカれた女はトガヒミコと名乗った。
それ以来1年程の付き合いとなる。
約束をする事は特にないのだが、夜に街を歩いていると何となしに顔を合わせることが多い。
お互い夜を生活圏にしているからだろうが。
俺様の名前はジュート。
重と人の字から取ってジュートという。
俺様だけの名前だ。
どんなヤツだって名前は大切だ。
兄貴とバカ兄貴と俺様を分ける名前。
それがジュートだ。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「あージュート君じゃないですかー!」
「チッ!うっせーなブッ殺すぞこのヤロウ」
「わー!またブッ殺されますー!」
夜、街を歩いている俺様を見かけて駆け寄ってくるこの女。
トガだ。
トガちゃんと呼んでくださいー、と言ってくる女。
そろそろ1年近い付き合いとなる。
「ジュート君ここにいるって事は今日は土方のバイトですか?ボクシングとかトレーニングじゃないですよね?」
「ああん?今日は何でも屋ジュート様のお仕事だよバカ野郎」
「えーあれマジでまだやってるんですかウケるカアイイー!」
萌え袖で口元を抑えながらバカ笑いするこのアホ。
うっせーよアホが。
バカ兄貴だけが真面目にバイトしてるのもダルいだろうが。
対抗するわけでもないが、俺様もバイトはしている。
トレーニングがてらの日雇いの土方バイト。
他、SNSで募集した何でも屋のバイトだ。
色々トラブルもあった。
正直冷やかしも色々あったが、1年も続けると固定客も出来てそこそこの小遣い稼ぎになっている。
だから断じてこのクソアマに笑われるような内容ではないのだ!
ブッ殺すぞこのヤロウ!
「で、ジュート君。今日は何の依頼なんですか?」
「…無くなったチャリを探す…」
「えーカアイイー!めっちゃカアイイー!」
うっせーよバカ。信頼第一の何でも屋だこのヤロウ。
報酬は内容次第で増減。交通費抜きで時給1000円の何でも屋だ。
内容によってボーナスで色はつけてもらっている。
この不安定な社会。
チンピラに最近絡まれている、という個人商店の用心棒の真似事もしたりする。要はヴィジランテみたいなもんかね?
あまり兄貴には迷惑かけたくないから派手に目立つ仕事は断るが。
バカ兄貴の方はどうでもいいんだけどな。
「ジュート君!私もチャリ探し手伝いますー!」
「ケッ!勝手にしろバーロー」
そう言って、アホを待たずに街を歩き出す。
「あー待ってくださいー」
追いかけて来るアホ。
こんな夜を幾度も過ごして気づけば1年が経っていたのは不思議な話である。