「おーい拳藤ー!」
「んーどうしたの芦戸?」
「ちょいちょいこっち来てこっち来て!」
クラス対抗戦の後、A組B組で交流深めようということでA組の寮にお邪魔していた。
何となく自分としては八百万と仲良くなってみたかったので、彼女と多く話していた。
そんなところをソファーの方でABの女生徒達と話していた芦戸から声がかかった。
「…どーも、今日の対抗戦について色々話しましょーって顔には見えないねとても」
「えっへっへーわかるー?わかっちゃいますかー?」
「誰でもわかりますわそんなの」
2人八百万とため息をつきながらソファーの方に向かう。
席には楽しそうな芦戸と、姿は見えないが楽しそうな葉隠。他ウチの希乃子や麗日などが集まっていた。
『で?どうなの?』
「どうって何がさ」
「とぼけるなー!ネタは上がってるぞー!」
「上がってるぞー!」
「希乃子…全く…」
困ったもんだ…
どうやら、今日は皆のおもちゃにされる事が確定したらしい。
…ま、でもたまにはこういう普通の女子高生みたいな話題で盛り上がるのもいいのかもしれないとふと思った。
昼間に対抗戦でバチバチやりあった相手と夜に恋バナなんて、全く雄英らしい。
「…で、もうチューしたの?」
「…ノーコメント」
「あ、これはしてる人の反応だわ」
蛙吹…油断ならんヤツ!!
キラキラした目を向けてくる芦戸ほかその場の皆を見渡し、ため息をさらに深くついた。
練習、たくさんしてます
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「以上で心操の審査を終わります。2年に進級時、ヒーロー科へ正式に編入で全員賛同という結論になります」
各学年のクラス対抗戦が終わり、ヒーロー科担任と校長、オールマイトを含めたヒーロー科関係者の会議。
そこでヒーロー科編入を希望する2人の生徒の審査が行われていた。
「2年からは多重か…経営科の2年トップだったな。元々隠れて練習していた個性が大きく成長したので、それを機にヒーロー科に編入を希望したとの事ですが」
「少し怪しいと思うけれど、もしも内通者だとしたらこんな目立つことはしないだろうから、その心配はいらないと思うのさ」
「…確かに、そうですね」
イレイザーヘッドと校長がそんな事を話す。
会議室に流れるのは、2年のクラス対抗戦での多重の活躍。
活躍というより、最早蹂躙と言っていいそれ。
確かに、2年は3年のビッグ3や1年の轟、爆豪、緑谷といった傑出した能力の持ち主はいない。口さがない連中は狭間の世代なんて呼んだりもする。
だが、それでも雄英高校で2年をヒーロー科として過ごして来たのだ。
その中に急に混ざり、ここまで飛び抜けた力を見せるとは…
「スナイプ先生。先生は模擬戦を多重と行ったとの事ですが」
俺に話を振ってくるイレイザーヘッド。
「君の目から見て、彼はどうだったね?」
校長の問いと、その場の全ての視線が俺に集中する。
「強力な個性を自在に操り、使いこなしていたと思う。救助など、当然ヒーローとして学ぶ必要のある事はたくさんあるでしょう。ですが…」
「ですが?」
「単純な戦闘能力という点においては、間違いなく傑出した存在だ。正直、ビッグ3と並べても遜色ないレベルで」
「オイオイオイオイスナイプ先生よう!あの3人と同格っていったら、それは!」
「プロヒーローを含めても、おそらくトップクラスの実力の持ち主、ってことになるわよね」
プレゼントマイクとミッドナイトの言葉を、俺は否定しなかった。
自分に向けて飛んでくる銃弾を弾き返す程のボクシングの技術と身体能力。
それを極悪に強化するあの重力飛行と重力拳。
遠距離攻撃の手段なども持っているようだった。
経営科のトップだけあって頭もズバ抜けて良い。
「俺は、多重の3学期からのヒーロー科編入に一票入れる。次の仮免試験で仮免を取得する方向で皆で指導するべきだ」
その言葉には、会議室を一瞬沈黙させる力があった。
そして、多重翼人の2年3学期からのヒーロー科編入が正式に決定された。