「いい。アイツはアンタが職場に馴染みやすくなるように私が無茶に無茶に無茶を言いまくってわざとバカやらせてたの。アレはアイツの黒歴史で本来のキャラじゃないの!だからアレに関しては二度と口に出さないこと。本人も嫌な思い出なんだから」
「は、はい…」
タイミングを見て峰田に口止めする。
「…わかった?気を遣えるのもモテる男の秘訣よ」
「…そっかー…これでオイラもモテる男に…」
まあそれはしらんけど。
…な~んでこんなことしてんだろ。
ほんと、私のキャラじゃないのに。
ふとイケメンを見る。
タスケの兄でしょう?
背中にすがりついて『アイツに惹かれてたの…』みたいな事言うキャラであるべきじゃない私って?
「…ほーんと、何してんだか私」
言いたい事も聞きたい事もある。
でも、その機会がなかった。
なんなんだろう私って。
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インターンと職場体験はつつがなく終わると思っていた。
意外にも峰田も含め、皆優秀だった。
来た生徒皆に高評価だけを与えるような日々が過ぎていく。
だが、そうばかりも行かなかった。
「脳無が3体出現しました!!!」
平和な研修であるべき日々は急展開を告げた。
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「シャア!!!」
無謀にも見える突撃を、多重が行う。
ヒーロー名 グランダート
3体の脳無。その中心に向かって。
本日何度目かの突撃。
学生にそんな危険な事はさせるべきではない。
それはわかっていた。
だが、そんな普通の考えをヤツは嘲笑するかのように。
「おおおおおおおお!!!」
理不尽としか表現出来ない空中での高速機動性!
脳無3体の攻撃!それを理不尽な空中機動で躱していく!
オマケに打撃まで与えている!
決定打には難しいが、十分以上の、無視できないレベルの攻撃。
脳無3体の中で、グランダートは必要十分以上の囮役をこなす。
「はっ!!!」
「しゃあ!!!」
引き付けた脳無の脳をエッジショットが穿ち、シンリンカムイがその樹腕で拘束する。
「タイタンクリフ!!」
それを私が攻撃する!巨大化を最大限生かした強力な攻撃!
完璧な連携がここに生まれていた!!
脳無は強力な再生能力を誇るが、限度はあった。
やがて、一体の脳無が倒れていく…
「はあああ!!!」
グランダートがさらに残った脳無に打撃を加えていく!!
トップスピードにしろ何にしろ理不尽な行動範囲!
そして怯んだ脳無に攻撃を加える2人のプロヒーロー。
…チクッ
何かが刺さった気がした。
痛みから察する。対した攻撃ではない。
私は、目の前の脳無に意識を移した。
「おおおおお!!!!」
「やああああ!!!!」
タスケであってタスケでない兄。
彼と声が重なる。
2人の打撃が、脳無を打ち倒した!
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『お疲れ様でしたー!!!』
その声を最後に、雄英生徒が事務所から去っていく。
今日でインターンと職場体験が終わりだった。
短くも濃い時間だったと思う。
結局、タスケの兄とは落ち着いて話せなかった。
それは心残りである。
…でも、いつか…
いつか、落ち着いて話す時間は取れるだろう。
それを信じて、今回はこんなもんでいいだろう。
「Мt.レディ…いや、あまり余計な事を言い過ぎるのもよくないのかもしれないが…男子としては年上の彼女はいいと思うぞ」
「…は?」
事務所には、残った先輩。
片方の、エッジショット先輩が…
「いや…チームアップを提案した時に『若いツバメに逃げられたので、いいキッカケだしよろしくですー』と言ってたのを思い出してな…」
「ええ…」
シンリンカムイ先輩は、
「七歳差くらいか?いいと思うぞ。男は年上の女好きだし…」
えええ…
これってひょっとして…
「2人とも…もしかして、私が多重にフラレたって思ってます?」
「「うん」」
…この男ども!!!!!!!
今日1の怒りを、私は2人の先輩に叩きつけた!!!
…タスケの兄。
本当に恨みとか何も無い。
でもゴメン。君と仲良くなれる気がしないさ