3月も終わりに近づき、桜が咲く頃。
蛇腔病院をエンデヴァー班が。
群訝山荘をエッジショット班が。
タイミングを合わせ、奇襲攻撃を開始した。
「ミルコは霊安室へ」
「おう!行くぜグランダート!」
「はい!」
「グランダート!貴様は無理はするなよ!」
「はい!」
数多のヒーローが参加する、全面戦争が始まった。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「エンデヴァー!動いてるぞお!!」
暗く細い通路、そこを俺とミルコの2人で進む!
細い通路の両脇の扉!
そこから次々と脳無が飛び出してくる!
「おもしれえ!」
ミルコがさらに加速!
遅れず俺も加速!
「時間かけてる暇はねえぞ!!進むついでに一発でぶちのめして駆け抜ける!」
「はい!」
ミルコが蹴りで、俺は拳で。
脳無を蹴散らしながら進む!
一番奥の脳無を蹴り飛ばし、その勢いのまま通路の先のドア上の壁を破壊!
さらにミルコが加速する!
どうやら、奥は広間になっているようだ。
「テメエは!本物かあ!?」
ミルコに続いて広間に入る。
「みんな、強そうな脳無とジジイいた」
その場にはターゲットの殻木と思しき老人がいた。
ミルコが、状況を報告する。
『殻木は本物か?複製か?』
「知らね。蹴りゃわかる」
『殻木を捕らえろ』
「その前に蹴る」
広間には怪しく光るガラスか何かで出来た円柱が数限りなく並んでいた。
これが全て脳無なのか!
「まずは本物か調べる!」
「本物じゃ!ワシ本物じゃ!」
「蹴りゃわかる!」
ミルコが殻木に飛びかかる!
「!ミルコ!」
そのミルコに飛びかかる小さな脳無!
「シッ!」
その小さな脳無を俺が殴り飛ばす!!
「オラァ!」
「げは!!!」
ミルコの蹴りが殻木を直撃!
吹き飛ぶ老人。うつ伏せに倒れる。
「手加減はしたぜ。余計な事考えんじゃねえぞ」
「ぐ…ぐぐ」
「ジジイ?何を」
殻木は蹴りの痛みに悶絶している…している、フリ?!
胸元でゴソゴソ、何を…
いくつかの周囲の円柱。
それに紫の高圧の電気が走った!
「い、忌々しいヒーロー共を蹂躙しろ…」
ガラスの円柱、そのうちの5つが内側から破裂する!
「ミルコ!」
「チッ!」
「…愛しき、ハイエンド達…ぐふ…」
飛び出して来た脳無!
普通の脳無と違う!
エンデヴァーを襲ったのと同じタイプか!
俺とミルコにそれぞれ襲いかかってくる!
ミルコが殴られ背後に吹っ飛ぶ!
「ぐ!」
俺に殴りかかってきた脳無の攻撃をパリィの要領で弾く!
「シャア!!!」
反撃のワンツー!!
脳無を後方に叩き飛ばす!
重力拳で思い切り殴ったので頭部の一部を吹っ飛ばせたが、すぐに再生が始まる!
やはり九州でエンデヴァーを襲ったものと同類!
同じ能力を持っていると考えた方がいい!
それが5体も!
「ジジイ…まだ奥に進もうとしてんなあ!」
先ほど強烈な打撃を受けたミルコの声が響く。
無事だったか!かなりの勢いで吹き飛ばされたから心配していたが!
「ジジイ…痛みに苦しみながらも逃げずにまだ奥に進もうともがいてんなあ!」
見ると、殻木はふらふらしながらも奥に行こうとしていた。
「奥でカタカタカタカタなんかやるつもりなんだなあ!」
奥に何かあるのだろう、ヤツが向かわなければいけない理由が!
「な、何故動ける…」
「動きを止めろ、俺がやる」
「足で相殺したんだよ!衝撃を!」
ミルコが跳躍し、俺と脳無達の間に立つ!
「行けえ!グランダート!」
振り返らず彼女が俺に向けて叫ぶ!
「ここは私が食い止める!!行け!行ってジジイの目的を潰してこい!!!」
「ですが!1対5ですよ!」
流石のミルコでも無茶だ!!!
「ヌルいこと言ってんじゃねえよ!」
彼女は、ドン!と足を一歩前に踏み出す!
その圧に、5体の脳無が怯み、一歩後退りする。
「ここだ!ここが分水嶺だ!ここが今からとこれからの未来を決める分水嶺だ!ここで無茶しねえでいつするんだ!」
彼女は、俺を守るように、大きく両手を左右に広げ、更に叫ぶ!
「行け!!行けグランダート!ここは私に任せてジジイの企みを潰してきやがれ!!!」
「…はい!!」
彼女は、本気だ!
ここで5体の脳無を彼女1人で阻止する事!
それが、この決戦の行方を左右するのだと!
そう、確信していた!
だから、俺はその判断に従う!!
俺の役割は、彼女のフォローだ!!
ミルコの判断に従う!
俺は背後を彼女に任せ、全速力で奥に向かった!
重力軽減全開!全力飛行!
「ひっ!」
「ラビットパンチ!」
行きがけの駄賃に、殻木にボクシング禁じ手の一発をお見舞いする!これで新たな脳無の起動は封じれるだろう!
「ここは任せましたミルコ!」
「こちとら、いつ死んでも後悔ないよう、毎日死ぬ気で息してる。ゾンビに殺されるようなヒーロー・ミルコじゃねえよ!」
その言葉を背に、更に奥へと全速力で進む!
背後から、苛烈な戦闘音が響く!!
任せるしかない!!
まだか!!まだか!!まだかまだかまだか!!
まだ奥にはつかないのか!!
「…あっ!」
いた
いた
存在、していた…
一際大きなガラスのようなものの円柱。
一際奥に、まるで宝物のように、大切に大切に秘められていた存在。
「死柄木弔!!!!」
不味い!
不味い!!
不味い不味い不味い!!
誰でも見れば一発でわかる!!
アレは!起こしてはいけない!
絶対に起こしてはいけないものだ!!!!
生物としての本能。
その全てが警鐘を鳴らす。
鳴らし続ける!
円柱の中で、まるで宝物のように鎮座する死柄木弔!!
コイツを!コイツを起こす訳にはいかない!!
先ほどの光景を思い出す!!
先ほどの脳無の目覚めた瞬間!
円柱の中の脳無に、強烈な電気の刺激を与える事で、脳無が起動していた!
つまり!
「はああああああああ!!!!!」
トップスピードからの、身体ごと叩きつけるような、最大出力での重力拳!!!!!
この円柱を破壊し!ヤツを!外に叩き出せ!
絶対に復活させるな!
円柱の中の液体から、ヤツを叩き出せ!
そして、ガラスか何かの容器を、破砕音とともに俺の拳が破壊した!!!
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こうして蛇腔病院での闘いは、終わった。
ヒーロー側の負傷者多数。
一番の重症はミルコだが、何とか一命は取り留めた。
死柄木弔は死亡。
あの容器が延命をしていたのか?その辺りは殻木からの事情聴取で明らかになることだろう。
エンデヴァー主体のチームは大勝利と言っていい成果を納める事が出来た。
対して群訝山荘側。
エッジショット主体のチーム。
…残念ながら、こちらは良く言っても痛み分けの結果に終わった。
Мt.レディの個性、巨大化。
その個性と姿を奪ったトガヒミコの所為で、十分な被害を相手に与える事が出来なかった。
そして、ギガントマキアの突然の暴走。
それに巻き込まれ、両陣営共に多大な被害を受けた。
その混乱に紛れ、多くの超常解放戦線の主力が逃亡。
事態は、新たな局面を迎えようとしていた。