その陰気臭い男は死柄木弔と名乗った。
「テメーがジュートとか言うヴィジランテまがいのガキかよ」
「あ、だから何だってんだブッ殺すぞこのヤロウ」
4月も中旬に入る頃。
ヤツは俺様とトガの前に現れてこう言った。
時と場所は夜。雄英高校近くの繁華街。
人目を避けた場所にあるとある路地裏でのことである。
「オールマイトに一泡吹かせ吹かせる計画がある。どうだ?テメーらも一口のらねえか?」
と
ドヤり顔で決め台詞言いましたみたいなその顔。
…俺様の一番嫌いなタイプの顔だ。
「うっせーな、のるわけねーだろアホか」
即座に言い返す。
トガはえーちょい興味ありますーとか言ってるが黙ってろクソアマ。
俺様の返答を聞き死柄木は
「はっ!ビビッてんのか?噂ほど大したことねーな!」
「噂がなんだか知らねーが、興味ねーんだよクソが。そもそもオールマイトだろ?一泡吹かせてなんか意味あんのかよそれ?バカじゃねえのかテメ。バカみてえで陰気臭いのはツラだけにしとけよこのヤロウブッ殺すぞ」
「ああん!!!」
俺様の言葉に死柄木とかいう男がキレる。
短気かよクソが!
ヤツは殺気を隠さなくなった。
「…目上の者に対する礼儀がなってねーなあ…少し痛い目みて反省しとけや…」
そうして、ヤツはこちらに両の手を向けてくる
何も無い両手のハズだが、俺は目を逸らせなくなった。
見えないが、とてつもなく嫌な気配!!!
確信する。
…コイツ、キレて個性を人に向けやがった!!!
正気か?
個性は気軽に使えるが、
使うとそれなりにリスクがある!
「…スカウトしとけば役にたつ、って言われたが辞めだ。コイツはここで痛い目合わせて潰す。死んだらそれまでだろどーせ」
両の手をこちらに向けて歩いて来る死柄木。
危険な力を秘めているだろうその手をみて、俺様は決意する。
…力を、使うことを!
「ジュート君!!!」
長年の鍛錬で仕込まれた戦闘態勢に瞬時に移行する。
心も、体も、そして個性も!!!
ボクサースタイル、
構えた掌に力が、集まる!!!!
掌に、拳ごとガードするガントレットが出現する!
個性
自分の周囲の重力を吸収し、吸収した重力を打撃力に変換しガントレットに保存する!!
身の回りの重力を吸収した分体は軽くなるのでスピードアップ!
ガントレットを使った攻撃力もアップする強力な個性だ!
「は!お手並み拝見といこーかあああっ!!!!」
こちらの個性発動を確認しながら、死柄木は無警戒でこちらに突っ込んでくる。
よほど自分の個性に自信があるんだろうなあ!
…だが
「…なんぼ個性が強力でもノロマなんだよマヌケがあ!!!」
かつて、個性が一般化する前の時代。
格闘技というものは強い者の象徴だった。
その格闘技の中でも、特に最高の攻撃スピードを誇る技術!
「シッ!」
「ギャッ!」
左ジャブが、死柄木の顔を捉える!!
からの!
「シャア!!!!」
右ストレート!!!!!!
「ガアっっっっはあ!!!!」
ジャブで仰け反った鼻面に強烈なストレートが決まり、盛大に吹っ飛ぶ死柄木。
当て感からして多分当分起きれねーだろなこれは。
勝利を確信する。
路地裏に倒れ起き上がらない死柄木を見て、その確信を深めた。
「カアイイーですジュート君ブラボー!!!」
喜ぶトガ。
勝利の女神とするには不穏すぎるのに目を瞑れば、これでマジで美少女なんだが…
「…どうかしましたジュート君?」
「…なんでもね。メンマのとこでラーメン食って帰るか今日は」
「メンマさんのラーメン食べたいです!!煮卵だけ奢ってください!」
「うっせばーかブッ殺すぞ」
「はいはいお腹すきましたねージュート君行きましょー」
…だんだんこのアホ、俺様の扱いに慣れてきてる気がする…
まあ、知らんけど。
路地裏に倒れた死柄木を放置し、ラーメン食べにその場を去る俺達。
世界が平和でありますように。