このアカデミアでは俺だけに翼がない   作:のりしー

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ダークプリズン

「仲間割れするだとお!急に何言ってるんだ荼毘!!」

 

あの全面戦争から5日後。

超常解放戦線の幹部がヒーロー達の苛烈な追求を逃れ、一箇所に集まっていた。

集まった幹部の前で、荼毘君が話している。

 

「正確には仲間割れするフリだ。ここから逆転の手を打つにはそれしかねえ」

 

「どういう事だ、荼毘?詳しく聞かせてもらおう」

 

幹部全員を見回し、荼毘君が、

 

「わかってるんだろここに集まった全員。このままじゃジリ貧だってよ」

 

その言葉に、その場の全員が下を向いてしまう。

 

荼毘君の言う通りだった。

全面戦争の後、超常解放戦線のメンバーはバラバラになった。

しっかりと相互に連絡を取れるメンバーは5000前後。

それ以外は連絡を相互に取れず、おそらくはヒーロー達に逮捕されるのを待つだけの存在となっていた。

 

時間は稼げるかもしれない。

だけど、このままでは私たちはヒーローに最終的に負けてしまうだろう。

それを、皆がわかっていた。

 

「幸い、俺の動画のおかげでエンデヴァーは俺を狙うしかない状態だ。今の超常解放戦線のメンバーの一部と俺が反りが合わず、過激派を連れて離脱した、って言えば疑ってても俺を捕らえに来るしかない。慎重な判断は世論が許さないだろうぜ」

 

「荼毘…おまえ、囮になるつもりなのか?」

 

荼毘君…皆の為に囮になろうとしている?

その場にいた全員。同じ事を考え彼の顔を見る。

 

「…はっ!そんなんじゃねーよ。今も昔も、俺の目的はエンデヴァーへの復讐だけだ」

 

だけどよ…

 

「…だけど、俺の復讐が俺達全員の…全員の為になるなら最高じゃねえか」

「荼毘君…」

 

「だから…やろうぜ。まだ、俺達には出来る事がある!」

 

荼毘君を囮に。

ヒーローの主力を引きつけて、タルタロスの襲撃!!

 

狙いは、オールフォーワン!!

 

荼毘君が、私に手を伸ばした。

 

「トガ…オマエが作戦の鍵だ」

「私…?」

 

「ああ…そうだ。オマエが鍵だ」

 

個性を駆使し、オールフォーワンの元に行け!

 

「トガ!オールフォーワンの元に行ってくれ!」

 

そして…

 

荼毘君は、私にそう言った。

私は、その手を取った。

 

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

 

そうして荼毘君は超常解放戦線のメンバー300人を連れて出発した。 

目指したのは超常解放戦線の確保している地方都市のあるアジト。

 

そこでエンデヴァーを挑発し、荼毘君を討伐に来たエンデヴァー達ヒーローと対決するのだ。 

やはり世論の後押しもあり、エンデヴァー含む蛇腔病院攻略チームで動けるヒーローが荼毘君の討伐に向かった。

 

…ここまでは、荼毘君の想定通り。

 

『トガ…オマエには辛い役割を任せて悪いと思ってる』

 

ここは、すでにタルタロスの、施設の中、

 

『俺を憎むのはいいんだ。本当に悪いこと頼んでるとわかってる』

 

1年A組生徒の持つ個性。

 

麗日お茶子。

葉隠透

 

無重力と、透明化の個性

 

無重力で空高くに浮かび上がり、透明化

 

夜の闇に紛れる夜間塗装をした超小型パラシュート。

夜闇を照らすサーチライトを避けながらタルタロス内に降り立つのは大変だったが、私は何とか上手くやってのけた。

 

『でも、オマエはトゥワイスと仲良かったもんな…』

 

憎め

 

『悪い。分倍河原は良いヤツだもんな』

 

憎め

 

『憎めなんて頼んで悪い。恨むなら…憎むならその分俺を憎んでくれ』

 

…大丈夫だよ、荼毘君。

 

私は、憎む。

 

憎む憎む憎む憎む憎む憎む

 

憎い憎い憎い憎い憎い憎い

 

…ああ、そうだ…

ジュート君が、この世界から居なくなったと知った日から。

 

…私は

この世界が、

憎くて憎くて仕方ないんだから。

 

仁君…

 

私は、君も憎い。 

何で今、私と一緒にいてくれないの?

貴方が今ここにいれば、私はこんなに仁君を憎む必要なんて無かったのに…

 

…憎い

憎い

憎い

憎くて憎くて仕方ない。

世界の全て。

世界の全てが、憎くて憎くて仕方ない!!

 

 

仁君の、元気な時の血を、飲んだ。

 

『個性 二倍』

 

タルタロスの中で、憎しみが生まれる。

 

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

 

…タルタロスの警備がそれに気づいた時は遅かった。

突如内側から生まれた脅威。

誰もが、後手に回った。

 

タルタロスは内側から数の暴力に制圧されていく!!

 

一度増え切った個性 二倍を止める事は、タルタロス内の警備では不十分だった。

 

 

そして…

 

「…やあ、まさか君がここまで来るとはねトゥワイス…いや、トガヒミコなのかな?」

 

魔王オールフォーワン…

 

「死柄木弔がああ終わってしまって…次の仕掛けまでさてどうしようか、悩んでいたんだ。まさか君がここまで来てくれるとは思わなかったよ」

 

機械につながれていなければ、生きる事も出来ない魔王。

 

「さあ!この拘束を外してくれ!僕を解き放つんだ!そして、そして一緒に世界に復讐を………!!!!」

 

…グサ

グサグサ

グサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサ…

 

「な、何を…する…んだい…」

 

魔王には、いくつもの針が刺さっていた。

刺さった者の血を吸う、針が。

 

無数に。

 

「憎い…憎くて憎くて仕方ないんですよ私は…」

「トガ…ヒミコ…」

 

 

『トガ!オマエはオールフォーワンの元に行ってくれ!』

 

そして…

 

「オマエが…オマエが…」

 

「ま、待つんだ!トガヒミコ!」

 

憎い!憎くて憎くて仕方ない!

 

「「オマエが!オマエが5年前にオールマイトに負けさえしなければ!私達は!!こんな事になってないんだ!!!!!!」」

 

「ぎゃあああ!!!い、命が!僕の命が!!!こんな!こんな事で!!!!」

 

オールフォーワンの命をつなぐ機械を壊す!!

 

魔王が死ぬ。

魔王の力を受け継ぐ血だけを残して…

 

その血を、私は飲んだ…

 

 

…ピッ!

 

そして、外の仲間に電気信号の連絡を飛ばす。

すると、持っていたビー玉サイズの石が、人の姿になった。

 

「ゴメンよ…トガちゃん…俺たちはみんな君ばかりに負担をかけちゃって…」

「いいんですよ、仁君…」

 

仁君。

あの戦いで瀕死の重症を負ってしまい、本来は病院のベットで寝てなければいけない仁君。

 

「さあ…俺の個性を…奪ってくれよ…そして、一緒に戦おう…」

 

「はい…最後まで一緒に行きましょう仁君…」

「…ありがとう、トガちゃん」

 

そして、私はオールフォーワンの力で、仁君の個性を奪った。

 

新しい魔王が、誕生する。

かつて存在すらしなかったような、魔王が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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