「ミルコありがとー!!!」
「助かったよヒーロー!ありがとー!!」
悪さをしていた超常解放戦線の残党を退治し、警察に引き渡す。
そんな俺とミルコに周囲の人達は歓声をあげる。
その人達に手を振り、ミルコは跳躍し、俺は飛翔しその場を立ち去った。
「…全く…調子いいよなホント。この前までこっちを目の敵にしてたってのによ」
「ははは…」
ここは広島の地方都市。
3年に進級し、ヒーロー仮免を取った俺はミルコの元でインターンをさせてもらっていた。
タルタロスでの決戦から、3ヶ月ほどが経っていた。
あれからの事を1つ1つ話していこう。
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荼毘を倒しに向かったエンデヴァー達は、苦戦しながらも何とか荼毘の逮捕に成功していた。
轟一家総出での、大変な戦闘の結果、大怪我を負った荼毘を捕らえる事が出来たそうだ。
それでも、まだ日本は平和にはならなかった。
まだ各地に超常解放戦線のメンバーが残っていたからだ。
傷ついた身体に鞭を打ち奮戦するヒーロー達。
だが、どうしても街や人々に被害は出てしまう。
テレビや新聞はそう言った事を大きく報じ、ヒーロー達を舌禍で問い詰める。
今も、まだ荼毘との戦いの負傷が癒え切らないエンデヴァーに向かって、女性レポーターが厳しい言葉を投げかけていた。
それに追従する多くのマスコミ関係者。
暴かれた家庭の事情もあり、エンデヴァーには何をしても許される。マスコミは本当にそう考えているようだった。
ヒーロー達は、誰もが苦々しくそれを見ていた。
心ある一部の人たちも、冷静になりそうなりつつあった。
…キッカケは、純粋な子供達だった。
今も厳しい言葉の刃をエンデヴァーに投げつけるキツイ顔をした女性レポーター。
そのレポーターに、小さな子供がおもちゃを投げつけた。
自分が大切にしているだろう、おもちゃを。
「え…」
呆然と、その子を見る、女性レポーター。
何事かと、カメラを向けるマスコミ達。
「ヒーローをいじめるな!ヒーローは、僕たちを守るためにあんなにケガしてるのに頑張って戦ってくれてるんだぞ!!!」
その場にいた、その子の友達たちも、マスコミ関係者に
「ヒーローをいじめるなー!!!」
と言って手に持っていたものを投げつけだした。
生中継でこの動画が、全国に流れた。
状況は、完全に一変した。
SNSを中心に、マスコミへの非難の炎が上がった。
その炎は一瞬で凄まじい熱量になる。
この、クソマスゴミどもいい加減にしろ!という訳だ。
マスコミ各社への非難。そしてそのマスコミに広告費を出す民間企業。一気に全てが大炎上した。
『言葉は人を殺します。過激な言葉は慎みましょう』
マスコミのその発表はさらに火に油を注ぐ。
はー!!!テメエらエンデヴァーに今まで何言ってきたよ!!
エンデヴァーが自殺してたら責任取れんのかよ!!
マスコミは何かしら炎上を止めようと試行錯誤するが、全てが逆効果だった。
一般人と乖離しすぎた彼らの意識は、炎上を全く防ぐ事が出来なかった。
この件をキッカケに、失われつつあったヒーローへの信頼は回復。逆にマスコミへの嫌悪感が世に浸透した。
そうして、街のトラブルや超常解放戦線への対応するヒーロー達は再び歓声を浴びれるようになっていた。
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「…ま、結果的によかったんじゃねえの?」
昼食休憩。ビルの屋上で惣菜パンを食べながらミルコと話す。
「結果的に色々あったけど、大きな人命的な被害は民間人にもヒーロー側にも無し。街にも被害はそんな無かったから経済的な被害も無しみたいなもんだ」
もしかしたら、何か1つ歯車が噛み合っていなかったらこうはならなかったかもしれねえけどな、
ミルコは続ける。
「調子にのりまくってたマスコミとヒーローも今回の件で反省しただろうし、今後の事を考えるだろーよ。一般人の意識もいい方に変わってるしな」
「こうして世界は平和になった、でいいんですかね?」
「さて、どーだろな?」
「えええ…」
彼女は唇の端についたパンくずをチロッと舌で舐め取り、
「今ちょっと良くなっても、また10年20年も経てば、きっとおんなじような事を繰り返すんだろうよ」
「確かに…」
「人類の歴史で、全ての人が恒久的に平和に暮らせた時代なんてないんだから、またどーせそのうち世の中は乱れるし、そうしたらそん時のヒーロー達が頑張ってなんとかするだろ」
…ミルコの言葉は、こういう時本当に核心をつく。
「だから、皆1人1人精一杯今を生きてくしかねえって訳だな!」
「そうですね」
「さて、行くぞグランダート!頑張ってヒーローのお仕事しなきゃな!!」
「はい!」
そう言って2人で空を駆ける!
刑務所に入った彼女。
次の面会の時に、何を話そうかと考えながら。