ベイラム・インダストリー所属パイロット『G7 レイヴン』 作:チームマッチUNRANKED
ここで一つ簡単なクイズだ。
"ごろつき程度の規模で恒星間入植船をどうにかできる大組織に喧嘩を売り、衛星軌道からインフラ丸ごとぶっこ抜ける人間が、銀河規模の治安維持組織の力を手に入れたらどうなる?"
答えは。
「赤いレーザーには触れるな!罠だ!」
「触れるなっつったって機構のデカブツの狙撃が…ぐあっ!」
「小型ドローンには近付くな!機雷を撒いているぞ!」
「カスタムMTに囲まれた!頼む…!援護をっ…!」
阿鼻叫喚。
俺も全武装を最効率で回しているが全く手が回らない。封鎖機構の技術がブルートゥの搦め手で振るわれるのがここまで恐ろしいとは…!
「やつは私が受け持とう。メタルキンドルのスピードで撹乱する。」
「あいつは艦橋を叩けば落ちる!任せた!」
「了解だ。」
メタルキンドルが赤い噴射炎を纏い、飛んでゆく。再度艦首の多重レーザーを放たれれば、MTに及ぶ被害は洒落にならないだろう。
最初の広域放送以来ブルートゥは姿を現していない。頭を炙り出して潰す意味でもアレを落とすのが良いだろう。
引き続きMTを殲滅していく。トイボックスを蹴り飛ばし、起動前のトラップMTを吹き飛ばし、ドローンを撃ち落とす。
「ヒャハ!あんちゃんなかなか良い機体乗ってんな!寄越せよ!…なんだこの機体?」
この機体の重量ならパンチャーを蹴り一発でスクラップに出来る。
「ぐわーーー!」
マヌケな声を上げて吹っ飛んでいく。コヨーテスの下っ端にはお似合いだな。
「地上からさらに敵の増援!目視圏内上空にも不明機体!」
「まだ来るのか…!」
急降下してくる見覚えのない機体が2機。体躯的にACだろうか。
2機は雪を巻き上げながら、滑るように着地。
「うちのボス直々のご所望だ…ここは頂いていくぜぇ…。」
「てめーもこの俺様のレーザーライフルの砂利に…砂利?詐欺?錆?…とにかくそんな感じにしてやるよ!」
RaDのフレームに中距離武装を積んだオーソドックスな逆関節…オールマインドの教習シミュレータで乗ったことあるなあれ。それとボロボロのWRECKERに新品のようなLRBを1本だけ積んだ珍妙な機体。
ランク外傭兵…いや、ドーザー臭いしコヨーテスの尖兵か。
「まとめて片付けてやるよ。来い!」
「舐めるなよ…だせぇ機体のビジターのワン公…。」
「扱いづらいパーツとかって話だが、アーキバスのハイエンドモデルが負けるわけねぇだろ!!!行くぞおおぁぁあ!!!!!」
さらっと機体をディスられつつ、戦闘開始。ダサかねぇわ。
まずブーストキックの勢いを利用して飛び上がり、ホバリングに移行。
これだけ距離があればFCSにもよるがまず弾速の遅いLRBは当たらない。
「丸焼きにしてやるよ、ビジター!」
当の本人は当たってないことに全く気付いていない。インビンシブルなやつだな。
逆関節はというと…地上を巡航しながら射撃してくるがこっちにはまともに当たらない。旧式のFCSでも積んでるのかもしれない。
これなら距離を詰めてさっさと終わらせるのが良さそうだ。
AB起動。一気に距離を詰める。
「…へっ…!」
逆関節が急にその身体を浮かせる!AQB!
「くっ!?」
CHICKENLEGの蹴りが左腕を掠める。
「…マニュアルでわざと射撃を外し、油断させての蹴りか。なかなか狡い戦法を使うな。」
「頭脳プレーと言ってくれよなぁ…!」
そう言いつつ、やつはバックQB。逃げ出した。ABでさらに追いすがる!
「どこ行きやがるビジター!」
ギリギリで急停止!目の前をLRBの予測射撃が通り過ぎる。ガン引きのあいつよりLRB野郎を先に潰すか。
LRBを装甲で受け、ブーストキック!
「いってぇ!コクピットに頭ぶつけた!!」
「そんなの誤差だろ?これから死ぬんだからよっ!」
イヤショを構える!WRECKERフルじゃこの射撃で倒し切ることはできないが、どうせリペアもないだろう。致命傷待ったナシだ。
「かかった…!」
「ぐあっ!」
「ここだ!」
逆関節の蹴りか!衝撃で構えが中断させられ、硬直してる隙にLRBまでぶち込まれた…!
ターゲットアシストを解いて逆関節の方にクイックターン!LRBが来ると踏んで横にQBで跳びつつ、リペアを切り、アサルトライフルとダケットを乱射。
ビンゴ。横をLRBの2本のレーザーが通り過ぎていく。
「ちっ、避けんなよビジター!」
「ハハハ!俺ぁまた引かせてもらうぜぇ…。」
逆関節がまたバックQBで引いていく。
「逃がすか!」
ABで追いすがる!不意打ち逆関節キックからのLRBコンボがあると分かった以上、逆関節を徹底的に追うのがいいだろう。
「チッ、しつけぇなてめえ…。ボス!頼む。」
上から橙色の攻撃インジケーター?
見上げる。
「…強襲艦か!」
俺めがけて大量のミサイルが撃ち下ろされる!
QBを連発!機体重量でQBリロードが…!どうにか数発受けた程度で済んだが…。
「クソッ、めんどくさいな…!」
また逃げられた。
エンバーは一体何をもたもたとしてるんだ?レーザーの薙ぎ払いがもう一発くればこっちのMTは最悪壊滅するというのに…!
「墜ちるまで…大人しくしとけ!」
マニュアルイヤーショット!射程ギリギリで強襲艦下部のミサイルランチャーをいくつか吹き飛ばせた。垂直カタパルトが近場にあれば俺でも落としに行けるのに…!
最悪連続ブーストキックで無理やり登るしか無いか?脚部とブースターの負担がバカにならないが、そんなことも言ってられない。
来るッ!バックQB!
「なっ…!」
蹴りが数m届かなかった逆関節野郎が驚きの声を上げる。
「吹っ飛べ!」
片方イヤーショットを構える!RaD探査フレームにSPRING CHICKENの姿勢安定は約1400、イヤーショットの衝撃力は1455!まだACSが冷え切ってない逆脚は…スタッガー!
「待ちやがれビジター!」
遠距離からLRBのドーザーが撃ってくるが、この距離なら射撃しつつの移動で回避できるだろう。無視。
止まった逆脚にハンドガンとアサルトライフルを連射!
「畜生…!一度体勢を…!」
「バックQBだろ?」
「ッ…!!!」
まっすぐバックQBで引く癖はもう覚えた。ブーストキック!
「クソ…が…!」
機体制御が復帰しても暫くACSはダウンしたままだ。機体の格闘攻撃の直撃補正は総じて高い。
何が言いたいかと言うとまあ、逆関節野郎は爆散したってことだ。
「よくも相棒を!」
LRB持ちが乱射してくるが、あいも変わらずLRBの低弾速と酷いFCS、更にボロボロのWRECKERの射撃適正の相乗効果で全く当たらない。
一応近づき過ぎないように注意はするが…スタッガーを取った。
「お前に構ってる暇はない!」
イヤーショットを贅沢に両肩同時射撃!
「…!」
無言で吹っ飛んでいって、爆散。元々ジャンクみたいな機体だったし機能停止しても分からないな。MTの加勢に行かなくてはならない。
相当倒したが、未だに終わりが見えない。だというのに動ける味方MTは時間が経つほどまばらになっていく。ジリ貧、非常に不味い。さらに未だに強襲艦も落ちない。エンバーは何をやっている?やられたのか?
想定以上に地上の戦況が悪く、俺が強襲艦を落としに行けばすぐにでも制圧されてしまいそうな勢いだ。何か打開の一手は…!
『お困りのようだね、企業様方。』
この広域通信は…!?
『正直なところ、虎の子のこいつをここで出すつもりはなかったが…まあ、クズを直接吹っ飛ばせるならよしとしようかね!』
カーラか!何故ここに!?
3つの光が遠くから飛んでくるのが見える。
後方部隊から通信が入った。
「不明飛翔体3、接近中!封鎖機構の強襲艦への衝突ルートです!」
『星になりな、ブルートゥ!!!』
辺り一面が眩しく照らされ、直後に轟音!
綺麗な花火…うおっと。ここから着弾地点まで重リニアでさえ跳弾する距離があるのにも関わらず、余波で装甲に少し傷が付く。恐ろしい威力だ…!
爆発から機影が一つ。
「カーラ…!私のためにここまで…!素晴らしい贈り物です!」
『チッ、機体反応残存。生きていたかい。流石うちのACだね…!』
さらに後方からミルクトゥースめがけて地上を高速走行する機体反応。
「RaDのチャティ・スティックだ。企業勢力に加勢させてもらう。」
「チャティ!」
「? 俺を知っているのか?ビジター。」
おっと。ここじゃ初対面だった。
『チャティ、企業さん、あとは頼むよ。悪いが、私もヒマじゃないんだ。』
「チャティ!このクズは俺が相手をする!うちらのMT部隊の援護に回ってもらえるか!?」
「…いいだろう。了解した、ビジター。」
チャティまで出すとは。よほどコヨーテスを潰したいのか、それとも他に理由があるのか。
「おや、そちらの機体はとても素敵だ…。名は何というのですか?ビジター…。」
ブルートゥの感性にマッチしている…だと…?
もしや俺はとんでもなくダサい機体に乗っていたのか…?
急に全身にめちゃくちゃにベイラムと大豊のエンブレムを貼りまくったのが惨めに思えて来た…というか惨めだなこの機体のビジュアル。
自分のセンスの無さが信じられない。
なんかストリートっぽくてかっこいいとか思ってた自分を
「なぜ踊らないのですか?ビジター…。あなたのステップを見せてください!」
おっと。つい固まっていた。ACS異常を起こす前に、
機体構成に変わりはないようだ。そりゃそうだ。今までだって封鎖機構と手を組んでもブルートゥがミルクトゥースに手を加えることはなかった。
「ミルクトゥースが啼いている…親元を離れ、カーラを恋しがっているのでしょう…。」
アラート。拡散バズーカを避け、同時にイヤーショットを構える。
距離が空いていたため至近距離での命中は避けられてしまったが、余波は命中した。
「レールキャノンは啼いていないのか?」
「ビジター、レールキャノンをご存知なのですか?彼もまた、私たちのグリッドで啼いています…。不憫だ…。」
ミサイルを避けようとして、火炎放射器の間合いに踏み込んでしまう。
連続バックQBで抜け出した。ACS異常はまだ起きないが、そろそろ危ないだろう。
「しかし彼らは皆様やカーラにサプライズを贈るために、欠かせないのです…。この旧宇宙港も…。私は!申し訳ない気持ちで…!胸が今にも張り裂けそうです…!」
なんなんだこいつ。
…レールキャノンと旧宇宙港が必要?まさか…!
「企業やRaDの拠点に向けてオーバードレールキャノンをぶっ放すつもりかお前!?」
「ビジター!?サプライズをさせてくれないのですか!?しかし明晰な頭脳…流石です…。惚れ惚れするようだ…!」
頭脳なんかじゃない。未来で見た。アイスワームにオーバードレールキャノンを使う時はバートラム旧宇宙港から待機電力を拝借してラスティがぶっ放したはずだ。
「スロー…スロー…クイッククイックスロー…。スロー…スロー…クイッククイックスロー…。」
「チッ!」
ACS異常だ。スタッガー中にチェーンソーをぶち込まれれば、相手がWRECKER腕でも十分危険だ。一度ABで逃げる。背中にミサイルが突き刺さるが、まあ許容範囲内だ。
「一人で去るのですか?ビジター…。もう少しだけ、お付き合いください!」
「ッ!」
上空からどデカい球体が投下されたのを、間一髪で回避。RaDの重MT、
機体の展開と同時に片方からプロテクションも展開される。カーラの言を借りれば、コイツの「火力はシャレにならない」。間一髪で腹部ショットガンを掠りで済ませ、再度ABで逃げる。
遮蔽を利用してミサイルの射線を切り続け、やっとACSが復旧した。が、攻めあぐねている。プロテクショントイボックスのプロテクション内部に別トイボックスとブルートゥが待ち構えている状況なのだが、エリミネートの機体重量とブースターじゃプロテクション内まで距離を詰めても攻撃をさばききれない。
ミルクトゥースはACS異常を起こしたあとの決定打に欠けるのと、乗り手がクズなところが欠点の機体だが、それをトイボックスでカバーするとは。
せめて味方に一機高機動機体がいれば…。
「待たせた、レイヴン。」
「エンバー!生きていたのか!?」
「強襲艦が見当たらないが?」
「突然こちら側に参戦したRaDの援護射撃で墜ちた。…何故強襲艦を墜としにいったお前が、なんでそれを把握してないんだ?」
「道中でBAWS四脚MTの妨害に遭った。すまない。」
声に切迫感がない。違和感。企業MTの損耗を何とも思っていない?それともボイスチェンジャーでも使っているのか?
こいつなら四脚MTぐらい一瞬でスクラップに出来そうなもんだが…。買いかぶりすぎたか?
「ここの現状は?」
「AC1機と高火力大型MTが2機、片方が展開してる恒常型パルスプロテクションで待ち構えている。」
「軽量機が必要だな。私が出る!」
「話が早いな、行くぞ!」
ホバリングでAB突撃するメタルキンドルに追従。
「プロテクション機まで300...200...」
彼のカウントに合わせ、イヤーショットを構える。
「突入する!」
メタルキンドルのパルスプロテクション突入によりPPが消失、あわせてイヤーショットを発射!密集していたトイボックス2体がスタッガー、ブルートゥは…避けたか!
「いい射撃だ!叩き斬る!」
「新しいビジター…!サプライズとは…本当に心が躍ります…!」
ブルートゥが拡散バズーカをメタルキンドルに向かって構えるのが見えた!
「させるかよ!」
もう片方のイヤーショットを構える。この機体の本領発揮だ。
アラートを聞いたらしきミルクトゥースがバックQBを吹かす。
「…なんちゃって。」
射撃をQBで強引に機体を動かし、キャンセル。アラートだけ鳴らして相手に圧をかける、NEST仕込みのテクニックだ。
再度ブルートゥは拡散バズーカを構えるが、エンバーとの距離が回避行動で離れ、有効な射程でない。わずかなダメージだけ与えてリロードに入った。
拡散バズーカは
レーザースライサーがPP装備トイボックスをダンゴムシの微塵切りに変えていく。…あんまりうまくない表現かもしれないな。
俺も中距離からACSがダウンしたトイボックスに弾丸を撃ち込みまくる!メタルキンドルが燃やされているが、KASUAR頭部のシステム復元とあの機動力があればどうにでもなるだろう。放置。
瀕死のトイボックスにダメ押しの蹴り。
「ああ…御二方…とても…とても素敵なステップです…!ああ…!ああ…!!!」
秘匿通信が入る。
『…彼はなんなんだ?』
『オールマインドのランキングとかで見たこと無いか?価値観がイカれてるんだ。それが与えるものなら弾丸でも損傷でも死でも善とする異常者だ。』
『なるほど。ドーザーとは実に多様だな…。』
まるで他によく知るドーザーがいるかのような口ぶりだな。
「ビジター!いえ…ご友人!貴方がたはもう私にとって友人同然です!」
「…。」
エンバーは華麗にスルーしつつ接近戦を敢行する。俺も中距離からダケットとスカダーを乱射。
ミルクトゥースがスタッガー!
「お別れだ、"ご友人"。」
「どこまでも素敵だ…!最後のサプライズを受け取ってください…!!!」
ミルクトゥースのコア背部が光を放つ!
「アサルトアーマーだ!」
メタルキンドルがパルスの翡翠色に飲み込まれる!まずい、チェーンソーが来る!
「まだだ…!」
メタルキンドルの背部も光を放つ。そうか!アサルトアーマーか!
「…………の……けを…………みせる…!」
パルスのぶつかり合う凄まじい音に混じり、呟くような声が通信に乗って微かに聞こえてくる。なんと言っているのだろうか。
ミルクトゥースはドローンと俺の集中砲火とレーザースライサーを受け、吹っ飛んだ。
「ご友人…贈り物をくれるのですね…素敵だ…。」
ミルクトゥースは爆発した。
RaDの電撃参戦と俺たちの活躍により、シュナイダーMT部隊とレッドガン部隊に極めて大きな損害を出しながらも、ベイラムはバートラム旧宇宙港の確保に成功した。
チャティが機動的に対応してくれたおかげで、多くの企業MTが助けられた。もし彼が来てくれていなければ…。ゾッとする。
クズも死んだし良かった良かった。ノーザークに斡旋されるであろうオーバードレールキャノンの確保ミッションも幾分か楽になるだろう。あいつが死ぬとみんなが得をするな。
気がかりなのはシクス・エンバー、あいつだ。
思い返せばやつはウェポンハンガーを使用していた。ACのウェポンハンガーを使用する戦法については、BAWSの強力な手武器を運用するルビコン解放戦線が得意としていたはず。
正体はその辺りの人間だろうか。
「どうだった?シクス・エンバー。いや、ラスティ。」
「あの暗号通信に加えてアーシルからの報告までもが上がり、気掛かりで見に行きはしたが…彼は勘が鋭いタイプではなかった。「壁」の時のようにコンタクトを取ってこなかったところを見るに、私の正体にも気付かなかった、と見るのが妥当だろう。」
「ではやはり、勘付かれたのではなくどこかから情報が漏れていると考えるべきか?」
「そういった裏とつながりのある人間でもないだろう。彼はハンドラー・ウォルターの子飼いだったと聞いている。ハウンズとアーキバスや裏社会との間にコネは無い。殺し屋に恨まれてはいるようだが…。」
「ふむ…。我々の味方と嘯く、企業のランク1…。引き入れられれば勝利に大きく近づくだろうが…一筋縄では行かなさそうだな…。」
Q.なんでブルートゥがこんなに鬼強化されてるんですか?
A.この作品では621のアリーナランクが実際のアリーナランクに反映されている、というヘッドカノンを採用しています。つまり全キャラのアリーナランクが原作と比べて一つ繰り下がってるんですね。ちなみになんですが、原作ブルートゥのランクは8です。はい。