ベイラム・インダストリー所属パイロット『G7 レイヴン』   作:チームマッチUNRANKED

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RANK MATCH: SINGLE

エアが残してくれたコードを使い、NESTにアクセス。

ノーザークが星を焼く選択をしたときやレッドガン部隊迎撃に乗り出したときとかに俺単騎で勝てない可能性が出てきた以上、操縦技術を磨いておくに越したことはない。エアの耳鳴り対策として、最悪再手術や調整を受けるのもありかもしれない。

 

最大の障害を排除するため。出来ることは全てやる。

 

 

 

久々のNEST。人類生存圏の各地から、オールマインドの秘匿プログラムにアクセスできる一握りのAC乗りたちが集まる。彼らが闘争し、進化し続ける場であるここは、対ACの操縦技術を磨く場所としてこれ以上無いだろう。

 

大きな更新はないようだ。

むしろ何故秘匿プログラムであるここに更新が入ることがあるのかが謎だが。オールマインドに認定された正当な利用者もいるのだろうか?オキーフとか。

 

今日はベイラムで使用が認められているパーツを組み合わせた機体データや、ちょっと敵対勢力製パーツも組み込んだ機体データを大量に持ち込んでいる。

おそらくノーザークと決戦するならベイラム機に乗ってになるだろう。とはいえテスターACには12345が積まれていたし、BAWSのMTを制式採用してるし、許可さえ通ればアーキバスとその先進開発局とシュナイダー、あとエルカノもダメか?それ以外のパーツはほぼ無条件で使えそうではあるが。

 

まずはオーソドックスな中量二脚、"パワープレイ"のデータをロードして、ランクマッチ:シングルを起動。「壁」防衛の時も使った機体だ。

 

ランクマッチシステム。自動でランクに合わせてマッチングを行ってくれる。オールマインドサーバーにこっそり部屋作ってビクビクしながら同志と対戦するよりよっぽど早いな。いいシステムだ。それだけオールマインドのセキュリティがガバガバになっているということでもあるが。

 

機体構成は前から引き続き、重ショ2本にパイルバンカー、4連ミサイルにMELANDERとそのC3の混成フレームだ。

中量の速度があるとは言え、引き機体に有効な武装が4連ミサイル1つ。パイルの当て難易度もあるしあんまり引き軽四とかとは当たりたくないな…。

 

 

 

『対戦を開始します』

 

相手は…中四か。太陽守にスタンニードルランチャー、あとミサイルとライフル。

ミシガン総長のライガーテイルに少し似ているか?

開始と同時にABをふかし、遮蔽に滑り込む。AB開始のGまで再現しなくてもよくないか?オールマインド。

ミサイルが遮蔽に吸われたのを確認し、飛び出す!

 

ライフルをAQBで躱しつつ空中の相手に距離を詰めていく。

80mほどの距離まで近付き、両方のショットガンをぶっ放す!ACS負荷は…約半分。流石四脚だなクソ。

アラート!

太陽守はABの衝撃軽減で受ける。

再度アラート!

スタンニードルランチャーは流石にAQBで避ける。あれに当たると衝撃値レースに勝ててもダメージレースが辛くなる。

重ショを中距離からばら撒きながら考える。…なぜアイスワーム撃破作戦が確定する前のこの世界に、俺以外のスタンニードルランチャー所持者が?ホバータンクのようにリークでも…

あっ。ENが。太陽守を喰らう。スタッガー…!

 

スタンニードルランチャーはリロード中らしく、幸運にも重リニアの弾を数発受けただけで済んだが…考え事はよくないな。

中距離から再度ABを起動!AQBを連発し、周回軌道に入る!

スタンニードルランチャーのぶっ放しを軽く回避し、重ショットガン同時射撃!スタッガー!

さらに蹴りを入れ、パイルバンカーを肩から引き抜き、距離的にノンチャージパイルを…避けられたか!

 

反撃の太陽守はぎりぎりこちらに届かなかった。牽制のミサイルは巡航で回避され、再度敵はホバリングに入った。厄介な…。

スタンニードルランチャーを遮蔽で防ぎ、ABで接近!重ショを…ぶち込む!

フルヒット!

 

ENが保たず距離が離されていくが、中距離からの重ショの射撃でACSの回復は阻害できている。

一休みし、再度突撃!

まず左の重ショを入れ、パイルを抜刀。さらに右も射撃!

ABの勢いのままに撃鉄を起こしつつ突っ込み…チャージパイルバンカー!

 

綺麗に決まった!

 

『ENEMY DESTROYED』

『PHASE 1: YOU WIN』

 

 

 

フェーズ2では重ショにQBでしっかり対応され、ダメージレース、スタッガーレース共に苦戦。起死回生の生当て狙いパイルバンカーもきっちり外すどころかその隙にスタンニードルランチャーをぶち込まれ、あえなく爆散。

勝負は第3フェーズに持ち越された…。

 

 

 

「おい、G7がシミュレーターでなんか面白そうなことしてるぜ。」

「なんだこれ?リアルタイムで遠隔のACの戦闘シミュ対戦をやってるのか?オールマインドのシミュにそんな機能あったか?」

声が聞こえる。近接射撃訓練上がりのMT部隊員たちが、シミュレーターの全周画面の外からモニターを見ているらしい。

 

『PHASE 3:

 STAND BY』

『ENGAGE』

 

初動は第1フェーズと同じく、遮蔽を使って睨み合い…飛び出す!

スキャンで位置を確認し、程よい距離で突撃!撃ち合いつつAQB旋回に入る!

…この軌道、"入る"な。

AQBと同時に機体の脚を突き出し、射程を無理やり伸ばしてキック!AQBキックはリアルでやるには駆動系の負荷が怖い。シミュレーターだからこそのテクだな。

 

ブーストキックが命中!硬直しているところに両の手の重ショとついでにミサイルもプレゼントだ。

相手が太陽守を縦に投射すべく振りかぶるのを見て連続バックQBで引く。ここまでは完璧だ。

 

交差を狙っているらしき相手にQBで喰らいつく。

「逃さねーぞ…」

誰にともなく呟いてみる。

 

アラート!

視覚システムはスタンニードルランチャーの射撃準備を示している。この距離じゃ避けられない、誘い込まれた!?

スタンニードルは肩の装甲を抉り取り、明後日の方向に飛んでいった。放電を受けなかったのは助かったが、AP値にして1000前後持っていかれた。衝撃もバカにならないが…この距離なら。

 

ABを吹かすと同時に再度蹴りを入れる!そしてもちろんセットでショットガンも!…スタッガー!

QBを前に吹かしつつパイルを構え…!貫く!!!

 

直撃!まだAPが僅かに残っているが、これならば!

「喰らえ!!!」

アサルトアーマー!!!

2桁しかAPが残っていなかった相手は、アサルトアーマーの主要部分に巻き込まれる前に、僅かに先に発生するパルス余波で崩れ落ちた。

「まさかコンボ機でもないのにAA積んでるとは思わなかったろ?」

自慢げに画面に向かってつぶやく。

 

『YOU WIN』

 

「出だしは上々、だな。」

 

 

 

そこから何戦かこなし、対AC戦闘の感覚を養っていく。機体もガチガチの対AC用機体から見る人が見れば正気を疑われるような機体まで幅広く使っていく。決戦はいつ何時起きるか分からない。対応力を高めるにはこうするのがいい。

おかげでランクポイントはガッツリ減ったが。ちくしょー。

 

「熟練のAC同士の戦闘ってこんな感じなのか…!」

「さっきの動き、2脚MTの対FCS射撃回避にも活かせるんじゃないか?」

…まあ隊員たちへのいい刺激にもなったようだし、よしとするか。

 

 

 

勘もかなり取り戻せたし、次で切り上げよう。

さて、お相手は…。

…は?

 

 

 

…フルフェイスヘルメットを被った人物が腕を平行に構え、武器のようなものを持っている図画。それが白黒にされ、デジタルノイズがかかった状態になっている。そんなエンブレム。

 

機体名「LOADER 5」。

ユーザー名「C4-635」。

 

パイロット名…

 

「Nosaac」。

 

 

 

『PHASE :1

 STAND BY』

『ENGAGE』

 

混乱する俺を他所に、Nestのシステムは淡々と開始処理を行う。

何故ここに…!…いや、エアがいるなら向こうもここにアクセスできて当然だ。

開始前のカットインの記憶を元に、機体構成を思い出す。

フレームはMELANDER(ベイラム基本フレーム)頭部にVP-40S(アーキバス量産コア)、残りはORBITER(RaD探査フレーム)

武装はRANSETSU-RF(強い方のランセツ)HI-32: BU-TT/A(パルスブレード)、小型3連双対ミサイル。左肩は見えなかった。

ブースターの炎が赤い。内燃型ジェネレーターを使っているようだ。

ザイレムの件(無人洋上都市制圧)を手伝ったときから変わっているな。

 

 

 

今回の俺の機体はシミュレーター用に新たに組んだAC「BEDFELLOW」。

VERRILL(ベイラム換装パーツ)頭部にTIAN-QIANG(大豊基本パーツ)コア、MELANDER(ベイラム基本パーツ)四肢で構成されたフレームにDUCKETT(長ハンドガン)VE-66LRB(双身式レーザーライフル"LRB")P31DUO-02(小型2連双対ミサイル)SU-Q5(タキガワ標準パルスシールド"1.0盾")を載せた、盾持ちダケットLRB中2(ダケRB)だ。

 

敵対企業のパーツをなるべく減らすためNESTで主流のものからパーツをかなり換装しており、装甲が僅かに厚くなる代わりに足回りがかなり微妙に。対AC機でEN補充遅延1.70ってなんだよクソーっ。

盾もタキガワのものに変えている。

出どころを聞かれると困るのでFCSもまたオセルスからアボットに変更。

総じてオリジナルからは劣化していると言えるだろう。

 

特筆すべきはアーキバスのLRBと20B(150ジェネ)を装備しているところだ。

実戦に出る時に使用の認可さえ降りれば圧倒的な火力を提供してくれる。

今の俺が出せる中で最も対ACに向いている機体だ。

 

ロックオンし次第ミサイルを放ちつつ、また遮蔽に滑り込む。こちらの双対ミサイルは見事命中。向こうのミサイルは遮蔽で処理した。

僅かとは言えAPリードを取ったため引きに入れる。…が、考え直す。今回は実戦の勘を養う練習だ。ABを起動!

 

ランセツの弾をABで受けつつ高速接近。300...200...130!射撃を開始!

ドン、タン、タン、タン、ドン。よし。ダケットとLRBの射撃タイミングは身体が覚えている。

 

 

間一髪で凄まじい近接推力のパルスブレードを盾で受ける。KIKAKUか!?ランセツだけじゃこの距離のスタッガーレースに勝てない。妥当な判断だ。

続く二撃目も盾を連続展開(盾パカ)し…来ない?LOADER 5はバックQBを吹かしている。確かに二撃目を構えてたように見えたが…。

 

対処にQBではなく盾を使ったおかげでこの足回りでもENに余裕ができた。

引いていくLOADER 5に喰らいつき、LRBを撃つ!

…が、あいつの前面が青白く光り、レーザーは掻き消える。

FCSのスポット機能は"SHIELD"の表示。パルスシールドだ!

「今レーザーをIGで弾かなかったか...?」

「たまたまだろ。ACの機能でもレーザーはアラートが鳴らないはずだし。」

長方形状のパルスからして、俺と同じタキガワの標準シールド(「1.0盾」)アーキバスの標準シールド(「0.6盾」)だな。流石にスクトゥムということはないだろう。

この短時間でLRBの射撃予備動作を見切ってくるようになるか...!

 

思考のリソースが割かれるのが嫌だが...あれをやるか。

ダケットを三射...げ。残弾が二発しかなかった。まあいい。そのままLRBのチャージを開始。そして途中でトリガーをリリース!

命中!スタッガー!

半チャージ射撃。狙いをつける予備動作をごまかすちょっとしたテクニックだ。

 

ダケットはリロード中、LRBは連射速度の問題でまだ撃てない。

ギリギリまで待って...蹴る!硬直している隙にLRB!命中!直撃だ!

ダケットリロードもACS完全復帰までに間に合ったが...シールドで踏み倒される。分かってやがるなあいつ。

 

蹴りで開いた距離があるにも関わらず、果敢にブレードを振りに来るが...通らんよ、それは!まっすぐ突っ込んでくるノーザークに、射撃リズムを無視したLRBをぶっ放す!

『ドゥン!』

ブレードキャンセルQBによる回避...!?半チャージし損ねたとはいえあそこで反応を...!

シールドが間に合わなかった!考えろ...最大リターンを取るには...!

キックだ!

初撃を受けるが...二撃目を構えたな!?ABの対ショック姿勢で衝撃を軽減しつつ蹴り返す!

「喰らえ!」

しかし蹴りは空を切った。視界には横っ飛びするLOADER 5...回避された!?

間違いない、パルスブレード二段目の姿勢制御を利用した、強引な機体制御回復(二段目キャンセル)

 

NEST向けとは思えないアセンブルで...こいつ...ここまで...!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果的に対戦は俺のストレート勝ちになった。

「すげー戦いだったな、俺もAC乗りに転向してえなー。」

「お前の腕じゃLCに一瞬で吹っ飛ばされて終わりだろ。」

「いやいや、その気になればヴェスパー全員まとめて俺一人で倒せるから。」

それは多分俺でも無理だぞ。

...いくら技術が優れていようと、あのアセンブルじゃ対AC想定(対人)機には勝てない。あいつがより洗練された機体に乗ってきたときのことを考えると恐ろしい...。

だが、不安ばかりではない。あれだけの実力があれば、もう俺がウォルターの仕事を手伝う必要はなくなる。アーキバスの封鎖兵器鹵獲阻止に全力を注げるのだ。

 

対AC想定機でMT部隊を相手するのにも限界はある。上手くうちの戦力とぶつければば完封も視野に入るしな。残る問題はエアだけだ。今後のこともちょっと考えつつ、シミュレーターから出る。

「なんだもう終わりか。」

「時間はあるしもうちょい見て見たかったな。」

MT隊員たちが口々に名残惜しむような言葉を漏らす。

「なんだ、大好評だな。」

「娯楽が少ないんだよな俺らは。番号付きサンともなれば違うんだろうがよ。」

「そうでもないぞ、俺今金欠だし。」

ノーザークめ。

 

「あぁ?ずいぶん騒がしいな、祭りでもやってんのか?」

この声は!

「G5だ!」

「いいところに来たG5!」

「かくかくしかじかだG5!」

「ハァ?野良犬とシミュレーターで戦えだと?やってられっかよ。俺は遠巻きに見物させてもらうぜ。」

「そういうなG5!」

「いいところ見せろよG5!」

「やってみせろよG5!」

「どうとでもなるはずだ!」

「訓練でG7に前ボコボコにされたんだろ!負けっぱなしでいいの」

「やってやろうじゃねえかこの野郎!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

げ、食い気味で乗り気になりやがった。

 

「俺はもう今日はやらないぞ。散った散った。」

「そういうなG7!」

「いいところ見せろよG7!」

「やってみせろよG7!」

「どうとでもなるはずだ!」

「お前らはそれしか語彙がないのか!?あっ!おい!押すな!シミュレーターに押し込むな!おい!離せ!」

 

 

 

押し切られてしまった。物理的に。しゃーない、とっとと終わらせるか。

 

終わらせた。

ストレート勝ち。被ダメージは四桁にも届かないパーフェクトゲーム。

「これで文句ないだろ。」

「なんか思ってたのと違う...。」

「うっせー!帰れ!」

少しずつ人垣が薄くなっていく。

 

「野良犬!!!!!」

イグアスがシミュレーターから顔を出して、ミシガンにも並ぶ声量で叫んでくる。

「なんだイグアス、もういいだろ。」

「ふざけんな!なんでアーキバスのガラクタ使ってんだよ!反則だ反則!」

「別にいいだろそんぐらい、どうせ使ってなくたってイグアスは俺に勝てないだろ?」

「...上等だゴラァァァ!!!ステゴロで決着つけてやらァァァ!!!」

「うおっ!?」

たまたま近くにあった改装資材っぽい鉄パイプで、拳を防ぐ。

「そっちがその気なら...!」

パイプを上段に構える。

無骨に、正面から叩き斬る。

ただ、それだけを一意に専心する...!

ギィンッ!

いつの間にかイグアスも鉄の棒を持っている。俺の振り下ろしはなんとか受け止めたという様子だ。

「あっぶねぇ!てめえ!!!」

イグアスが反撃しようと棒を振りかぶってきた。

 

 

 

...人類がまだ地球の外を知らなかった頃。極東の地の剣豪、イッシン・アシナはこう言ったという。

『無骨に、正面から叩き斬る

反撃が来るならば、もう一度叩き斬る

葦名の一文字は、二連で完全となる』...。

 

「アシナ流、一文字・二連!」

「ぐえっ!?」

棒をへし折られてバランスを崩したイグアスが、ぺちゃっと倒れこむ。

「そなたなど、まだまだ子犬よ...。」

ワッっとまだ残っていた隊員が盛り上がる。

「G5がシミュで瞬殺されるとこ見るよりよっぽどおもしれえや!」

「いい動画が撮れた。しばらく話のネタには事欠かないわ...。」

やべ。まだ周りに人が...!てか動画!?成人男性二名が資材を勝手に使って年甲斐もなくちゃんばらしているところを!?まずい!!!

「イグアス!逃げるぞ!!!」

「もう遅えだろ野良犬!!!」

 

 

 

後日、俺とイグアスは鉄拳制裁と減俸処分の言い渡しを受け取り、俺の金欠はさらに加速することとなった...。

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