ベイラム・インダストリー所属パイロット『G7 レイヴン』   作:チームマッチUNRANKED

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ヴェスパー部隊迎撃 ②

「なんだこの…訳のわからねえ機体は…!?」

「G7が…機体を乗り換えてきたのか!?」

 驚くイグアスとMT乗りの声をよそに、続けてオーロラと8分裂ミサイルを発射!そして高速でホバーし、距離を離す。

 

「なんだありゃ…!ベイラム系のパーツ1個しか使ってねえじゃねえか!」

「そんな無法な!ヴェスパー1じゃないんだぞ!?」

「…チッ」

 独立傭兵どもは三者三様の反応をしている。

「そんな悠長にしてていいのかよオイ!?早く俺を捕まえないとプラズマで真っ黒焦げだぜ!ハハハハハハハハ!!!」

 ABで寄ってくる奴らをネビュラのチャージショットで叩き落としていく。これが引く側の視点か、あーめちゃくちゃ楽しい。

 

 

 

 機体名「LOADER 4」。とりあえずコールドコールに組むだけ組んで持ってきてもらったせいで、名前を変えられていない。オールマインドデータベースに最初に登録したローダーの名前が便宜的につけられている、全身グレーの無塗装機体だ。

 最初から耳鳴りを起こす距離に入らなけりゃいいんだ!とのアセン思想のもと、一時期NESTを席巻した機体群、新型20B搭載軽量四脚AC(カニ軽四)を流通パーツで再現。

 

 このアセンブルは、高速で距離を離しながら遠距離武装や迎撃武装をばらまく戦法に適している。コールドコールにHALの隠し場所は教えたくないので一世代古いものにはなってしまったが、それでも十二分な力がある。

 むしろ専門外の配達任務で、要求通り試作フレームのラマーガイアーを用意してくれたコールドコールを拝みたいぐらいだ。

 

 対するLOADER 5は…ダケットにLRB。なるほど、俺がNESTに持ち込んだ機体(BEDFELLOW)を自分のアセンに落とし込んだか。だがブースター炎は赤、内燃型ジェネレーターの特徴だ。あれじゃあLRBでろくな火力は出せない。付け焼き刃のアセンブル知識に負けるわけにはいかないな。

 

「イグアス!動けるか!?」

「ぐっ…なんとかな。この耳鳴りは?お前何か知ってるだろ」

「ノーザークが原因だ!LOADER 5から距離をとってMT掃討に専念してくれ!」

「ったく仕切りやがって…」

 不満を言う元気があるようでなによりだ。ヘッドブリンガーはAC戦の前線から離脱していった。

 

 再び傭兵連中に向き直る。流石は内燃ジェネ、既に立ち直ったのか早速再度のABでノーザークが接近。

 近付いてきたところに太陽守をぶちまける!さらにネビュラのチャージショット!スタッガー!ミサイルたちを投げ、自分はまっすぐ引いてEN補充にかかる。負ける気がしない!

 

 再度追ってくる。リペアを1つ切ったようだな。中距離からのLRBは機体を細かく左右に揺らしつつ引き、予測射撃を外させる。レッドの方に目をやると、ブレード持ちと交戦しているようだ。四脚はこっちに向かってこそいるが、全くついてこられてない。重いんだよな、VERRIL(重四脚)。当社製品をご愛用いただきありがとうございます。

 

 太陽守を…ばらまく!FCSのスポット機能は…"SHIELD"?もう対応してきたか、相変わらずとんでもないポテンシャルだな。引きながら武装をドバドバばらまきつつ考える。でもな…

 

「成長するのがそっちだけだと思うなよ!」

 マニュアルエイム起動!"置く"ような位置に向けて散布軌道で太陽守を…ばら撒く!

 "HIT"!盾を捲るように背面に命中!決まった!

 

 スタッガーしたローダー5に向けてABで距離を詰め、キックで弾き飛ばす。飛んで行った先にさらにチャージネビュラ!2つ目のリペアを切ったのが見えた。

 太陽守を背後に当てる技。知識として知ってはいたが、ぶっつけ本番でこうも上手くいくとはな。あと一息だ。

 

 

 

『───!』

 突然微かに耳鳴りがしたかと思うと、数十メートル上で隔壁がガシャンと閉まった。ここにも隔壁があったのか…!これじゃ上方向に引きにくくなる。

「チッ、エアか!」

「…!?」

 まずい、つい声に出してしまった。

「お前…何故その名前を…!?」

 

 

 

「おい!あれ!隔壁が!」

「なっ!?あれじゃ俺たちの増援が…!」

 

「アーキバスが混乱してる!一気呵成に攻めるぞ!」

「G5のACから離れすぎるなよ!突出すると傭兵に食われるぞ!」

 

 

 

 一度さらに大きく距離を取り、ネペンテスの残骸の上から隔壁を眺める。戦闘後の補給のこともある、このままにはしておけない。どうにかして解除する方法は…?アクセスポイントは隔壁より上だ。

 

「おい!レイヴン!」

 機体を振り向かせ、ローダー5を見下ろす。

「お前は…どこまで知っているんだ?」

「話す必要はない。お前は"異物"…危険因子だ。俺の目的のため、ここで消えてもらう!」

 再び飛び上がり、変形。ルビコンの、俺たちの可能性のために。いずれ避けては通れない道だ!

 

 

 

 左右に機体を振り、LRBをギリギリで避けつつチャージネビュラ。AQBなどお構いなしに巨大なネビュラの爆風がローダー5を呑み込んでいく。

 

「なぜエアのことを知っている!」

 

 分裂ミサイルとオーロラを斉射。大半は躱されるが、複数の光波と子弾ミサイルが掠った。

 

「なんでだろう…なっ!」

 

 言うと同時に太陽守をばら撒く!パルスシールドで防がれたようだ。

 

「お前の言う"目的"ってなんだ!」

 

 微かに耳鳴りがする距離まで距離を詰められた。この距離だと機体を左右に振ってなおLRBが当たるかもしれない。

 

「強さに理由がない、背景がない、何より"翼"がないお前に教えることは…何もない!」

 

 ターゲットアシストを射撃の瞬間だけ切り、最高の精度でチャージネビュラを予測射撃する。ACSゲージは既に橙色!そのブーストキックも届かないだろう。最後のリペアを使わせることなく一気に終わらせてやる!!!

 

「強さに理由がない…だと…?」

 

 …おかしい。ACSゲージは既にマックス。機体が硬直し、その場でアサルトブーストを緊急停止するはず。極限まで加速した思考を、泥のように鈍化した時間の中でブン回す。

 

「俺は…ウォルターのためにここまで来た」

 

 ようやく、リペアの光に紛れてローダー5の背部から光が漏れ出ていることに気付く。キックを急制動でキャンセルしてのコア拡張…!

 

「俺の"理由"は…ウォルターだ…!!!」

 

 普通にACを動かしてるだけじゃありえない慣性の乗り方。速度を保ったまま、パルスアーマー展開予備動作中のローダー5が肉薄して来る。

『───…』

 耳鳴りが一気に大きくなる。頭が、脳深部コーラル管理デバイスが焼けるように熱い…!まずい…!

 

 PAで被弾お構いなしに詰めてくるACを止めるのは至難の業だ。落下しながらこちらもPAを展開。回避行動をアーマーで踏み倒して逃げれば、軽四が中二にスピード負けする道理はない。重力に任せて距離を大きく離し、耳鳴りを遠ざける。

 

 ここで迎撃にネビュラは使えない。チャージショットの反動で機体が浮けば、上から迫るノーザークにたちまち追いつかれることになる。

 

 

 

 

 

「理由がウォルターだと?」

 頭痛を堪えながら問いかける。

「それはお前自身の意思じゃない!」

「お前に、何も知らないお前に…何が分かる!?」

「俺はウォルターの猟犬だった」

「…っ!?」

 

 撃ち合いながら話を続ける。やっぱり排除する前に分かり合えないのか見定めておくのもありだろう。PAが消えた。

「…ウォルター自身だってそうだ。"友人"の意思を継いでるのは本当にあの人自身が望んだことか?」

 …違う。俺も、ウォルターがちゃんと自らの意思で第1助手の遺産を清算しようとしていることぐらい分かってる。

 でもここは嘘をつく。多分ここが、ノーザークを引き入れる最後のチャンスだ。

「お前は…本当に破綻を回避するには火を点けるしかないと思うか?」

 

 

 

「…"友人"?破綻?火を点ける?」

「あっ」

「何を言っているんだ?お前は」

「あーーーーーっ」

 人生最大の大やらかしだ!ノーザークってまだオーバーシアーのこと知らないじゃん!

「あー…忘れろ!!!!!」

「はあ?」

 

「…どいつもこいつもウォルターのことを訳知り顔でふんわりと語りやがって、なんなんだよ!?」

「あっ!お前スッラなんかとまとめてんじゃねぇ!!」

「うるせえ!!!一緒だ一緒!!!!!」

 

「なんなんだあいつら…深刻そうに話してたと思ったら急にバカみてぇに騒ぎやがって…気持ち悪りぃ…」

 MT部隊員からの実に冷めきった声が公開回線に乗って届く。ははは。

 ダメだ、俺本当に嘘つけない。

 

「話す気がないなら無理やりにでも…ウォルター?…はい…了解しました」

 ノーザークが突然通信をしだす。ってウォルター!?ウォルターに俺がオーバーシアーについて知ってることを知られた!?

「だーーー!!!もうなるようになれ!!!!!」

 チャージネビュラをぶっ放す!

 

 

 

「G7、何をモタモタしている?!こちらは独立傭兵を一機落としたぞ!」

 レッドか!

「そっちはどうなってる?」

「イグアス先輩を中心に敵MTの掃討が進んでいる!必要ならそちらに何機か回せそうだがいるか!?」

「ACは回せるか?」

「無理だ!」

「じゃあ必要ない。相手のレーザーライフルは強力だ、BAWSのMTで間合いに入ると四脚タイプでも危ないぞ!」

「了解した、ではこちらが済み次第ハーミットでそちらのカバーに入る!!!」

「それでいい、頼んだ!」

 

 

 

 再び撃ち合いが激化する。時間をかければレッドがこっちに来てくれる、そうでなくても完封は視野に入ってる。この後にヴェスパー2人も控えてるしな、こんなところでつっかえてられない。

 

 ネビュラのチャージショットが切り返しAQBで避けられる。弾速が遅いと、切り返しで弾が明後日の方向に飛んで行ってしまうな。

 反撃のLRBとミサイルをホバー巡航で躱し、再びのマニュアル太陽守を半ば無理やり命中させる。まだハンドガンは有効圏外の距離だ。

 

 

 

 突然ローダー5がLRBをチャージしだす。向こうはリペアも切れている、一発逆転の可能性に賭けたか。

 チャージLRBは一撃で致命傷になり得る。とりわけかなり脆いこの機体では危険極まりない。ここが正念場だ!

 

 奴はミサイルとダケットをパージ。盾でこちらのミサイルと光波を弾き、高速で強引に距離を詰めてくる。速度が一気に速くなった。パージでブースターの制御アルゴリズム閾値重量(75000ライン)を下回ったか!

 

『───』

 だんだん強くなる耳鳴りを堪え、全力でモニターに集中する。

 アラート!それに合わせて横QB!

 しかし、ノーザークは横っ飛びしている。QBの射撃キャンセルか!

 再度のアラート!QB燃費に優れるP10ブースターを装備しているとは言え、ホバーし続けでENが十分じゃない。何処かでQBをあえて出さず読み勝って、EN不利を捲らなければならない。

 

 アラート!ここも回避!

 ローダー5は中量二脚、内燃ジェネにブースターは不明、コアはアーキバスの量産型。考えろ…!どのタイミングで撃つ…!?

 

 中量二脚ならP04かFLUEGELかNGI、それか長距離移動用のBUERZEL。C兵器のNGIは持ってないはず、AB速度からBUERZELも違う…。

 P04もフリュもQB消費ENは600ぐらい、VP-40Sのブースタ効率補正はほぼ100、消費ENはそのまま600前後と見た!

 

 アラート!回避!こちらは次のQBが最後だ。

 出力的にヤバか明堂なら乗るはずだ。ヤバなら容量は3000ぐらい、明堂なら3100だ。

 ここまで詰めてくるのに三分の一ぐらいENを吐いているだろう。既に向こうはQBを3回吹かした。ヤバならおそらく次が最後のQB、明堂ならあと2回吐ける…。

 クソッ、あと一歩が詰めきれない!一か八かの賭けに出るしかないか!?

 

 …!あの手があった!息を目一杯吸う!

 

 

 

 

 

大豊(ウチ)のジェネだよなそれ!ご愛用頂きありがとうございます!!!」

「えっあっどうも」

「明堂か!!!!!」

「えっ!?!?!?」

 

 愛(社精神)は勝つ!

 アラート!ここでQBを吐かない!ENギリギリまでキャンセルしてこちらのENを枯らそうとするはず!ノーザークは…キャンセルしたか!よし、それでいい!

 

「───」

 さらに強くなった耳鳴りを堪える。俺、集中を切らすなよ…!反撃のためにネビュラのトリガーをホールドし始める!

 

 お互い最後のQB!アラートからギリギリまで待って…QB!ノーザークもQB!

 次の射撃までに2次ロックが完了しなければ俺の勝ちだ!

 

 …いや待て、この距離…130m圏内…!?いつの間に…!激しい耳鳴りの中、最後の思考力を振り絞る。限界が間近らしい、鼻血が止まらない。

 ロックオンが…間に合ってしまう…!こんな…ところで…!

 

『ブォン』

 突然、機体が…急停止する。なんだ…?LRBの…チャージショットは…予測射撃が外れた…?そうか…ホバーQBの慣性を打ち消す…急制動の…。

 とにかく、好機だ…!チャージしたネビュラで…反撃を………!

 

 …あれ…?腕が…動か、ない…。

 

 ああ…そうか…。

 無茶な思考加速と…耳鳴りで…頭の…コーラルの…焼き…付き…が………。

 

 俺は、固く握り込んでいたトリガーと意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『G7 レイヴン 起動反応ロスト』

「なっ…!G7!?」

 

 見上げると、奴の機体がプラズマライフルのチャージショットで上位独立傭兵にとどめを刺しているところだった。

 しかし、様子がおかしい。その後空中で止まったままなのだ。DEVICEも点灯していない。スキャンをすると…オートパイロットが起動している。

「G7!?どうした!?応答しろ!!!」

「野良犬の野郎…何やってやがる?」

 

「なんだか知らねえがラッキー、番号付きの撃破報酬は俺のもんだ!」

 四脚の独立傭兵がここぞとばかりにG7の機体に取り付かんとしている。まずい!

 

「総員!G7はあのノーザークを墜とした今回の功労者だ!死なせるな!」

「了解だ!」

 MT部隊員たちが息巻く。だがMTたちも限界が近い。ランク外傭兵とはいえACはAC、流石に分が悪い状況だ。俺も、まだMTの相手で手一杯だ。せめてイグアス先輩が十分に動ければ…!

 

「これは…耳鳴りが消えた…!?」

「イグアス先輩!?」

 目に見えて先輩の機体の動きが良くなる。

「G5が持ち直したぞ!一気に押し返せ!!!」

「うおおお!!!」

 

 先輩が動けるならここは手が足りるだろう。約束通り、G7の援護に入らなければ…!

「そこの独立傭兵!俺が相手だ!!!」

「…ハン、誰かと思えばレッドガン末席のレッドか。お前を倒して俺もオールマインドランク入りだ!!!」

 

 思い出せ…真似ろ…イグアス先輩の戦う姿を…どんな攻撃にもQBで反応できるあの技術を…!

 アラート!ギリギリでグレネードを回避!

 

「精鋭部隊レッドガンを…舐めるな!!!」

 バズーカで反撃!

 

「クソッ、避けきれねぇ!」

 スタッガーだ!すかさずブーストキックを…ぶちこむ!

「畜生…こんなところで…!」

 四脚ACは沈黙した。

 

 

 

 何故か稼働した隔壁のおかげで、増援は一旦ここで打ち止めらしい。

「第四波殲滅確認!全員一度引け!ヴェスパーの社畜野郎どもが来る前に補給だ、態勢を立て直すぞ!!!」

 イグアス先輩から通信が入る。

 

 G7はまだ反応が戻らない。このままダウンしたままなら、AC2機でヴェスパーの大部隊を相手にすることになる。

 膝をついたままの、奴の元の機体に目をやる。

「…レイヴン…」

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