ベイラム・インダストリー所属パイロット『G7 レイヴン』 作:チームマッチUNRANKED
鉄塔をぶっ壊しつつジャガーノートが登場。
「これも巡り合わせだ。ともに壁越えと行こうじゃないか」
「お前……そんなキャラだったか?」
「無駄口を叩くな!!! 奴の正面装甲は強固だ!!! 背部のブースター部分から潰せ!!!!!」
「「了解!!」」
折角オールマインドから守ったんだ、こんな所で死なれるわけにはいかない。
「横にQBしろヴォルタ!」
「!? ……分かった!」
直後凄まじい勢いで俺たちの間をジャガーノートが走り抜ける!何度見ても馬鹿げた推力だ。あのブースターAC用に欲しいな。
奴はドリフトターンで素早くこちらに向き直り、装甲で俺のチャージショットを弾く。
あ、あのセリフを言うチャンスかも。
「ホークウィングのスピードで撹乱する。君は背後から叩いてくれ」
「さっきからその口ぶりは何なんだよ!」
正面装甲に細かく攻撃を入れて姿勢安定回復を阻害しつつ、キャノンヘッド、ジャガーノート、俺が一直線になるようにふわふわ飛び回る。
ジャガーノートが壁際に逃げた。挟撃を嫌ったか。だが無駄だ!急停止動作でこちらに側面を向けたのが運の尽き。側面装甲とキャタピラの間、装甲の薄いところに
「ここだ!」
キャノンヘッドの恐ろしいほどの火力が背部に叩き込まれる!俺の双対ミサイルは……側面装甲に吸われた。
奴は推力任せに離脱しようとブースターを起動させる。
「「逃さねぇぞ!!」」
ヴォルタのグレネードと俺のチャージショットが命中!再びスタッガー!
軽リニアチャージショットの低発熱を活かし連続で撃ち込む! 撃ち込む! 撃ち込む! 撃ち込む! 撃ち込む!
ヴォルタも両肩部の大火力武装をぶち込み、さらにブーストキック!
「見せてくれる……流石はG4……!」
『ザザッ!』
唐突に通信が入る。
「北側担当チーム!!! 敵の増援らしき反応を広域レーダーでキャッチした!!! かなりの大群だ、南の役立たず共では歯が立たない可能性もある!!! G7! 尻拭いに向かえ!!!!!」
あっ! ラスティごっこしてたくせに完全に忘れてた! たしか敵の増援には別のジャガーノートも居たはず……! いくら訓練しようと正面からじゃMTでジャガーノートには勝てない!
だがタンクAC単騎とジャガーノートも相性が悪い、トップアタックも地雷の回避も難しい……! 最悪ヴォルタがここで死ぬかもしれない……! MT部隊員には悪いが見捨てるべきか……!?
「G7! 何をしている!!! とっとと援護に向かえ!!!」
ここで増援チームを全滅させればラスティのスパイバレを防げる……だがヴォルタを助ければイグアスのオールマインド堕ちを防げる……どうする……どうする……!?
「がッ!?」
キャノンヘッドからブーストキックを受け、ふっ飛ばされる。
「何すん」
ゴオッ! さっきまで自分がいた所をジャガーノートがその巨体に似つかわしくない速度で通り過ぎていく。
「最初の突進の借りは返したぜ!」
「あ、ああ…」
「てめぇ、俺がやられんじゃねぇかと思って下の援護に行くか迷ってんだろ」
「!」
「そいつぁ余計なお世話だ! 見ての通り俺は突進の予測もこなしてみせた! このデカブツを潰す程度訳ねぇんだよ!」
「ヴォルタ……! 分かった、ここは任せた!」
「おう、行って来い! "特例上位ランカー
こ……こいつ……!思わず笑みがこぼれる。
「了解!!!」
俺は壁上から飛び去った。
「壁」南側。北と比べると砲台も少ない。遮蔽も多く、訓練されたMT乗りの質と物量で押すやり方は通りやすいだろう。
「6時の方向に増援! AC乗りが援護に来てくれたぞ!」
「やっとか! 待ちくたびれたぞ!」
「済まない。だが遅れた分はきっちり仕事をさせてもらう!状況は?」
「被害はまだ少ない! 「壁」に元から配備されていた敵は全滅させた! 現在は敵の増援に「壁」側にじわじわ追い詰められてる! こっちの主力は四脚MTだ! あんたは前線で交戦してる味方四脚が落ちないよう援護してくれ!」
「了解した!」
言うと同時に飛び出す!
幸いまだジャガーノートは来ていないようだ。輸送ヘリでぽんと運べるACや二脚MTと比べると輸送に時間が掛かるのだろう。「壁」陥落寸前の緊急時に足並み揃えて突撃とも行くまい。このまま先遣隊を全滅させる!
居た!友軍タグの四脚!二脚に囲まれてる!
イヤーショット!友軍に射撃情報が送信され、ACSがフレンドリーファイアを完全に防ぐ。兵器の発達は破壊を広げるだけではないのだ。
「! 援護感謝する!」
「いいから離脱しろ!」
「はぁ!? なんで」
「南側攻撃部隊に伝達!!! そちらに向かってる増援の中にジャガーノートを確認した!!!」
やっぱり来た!
「貴様ら役立たずでは話にならん! 直近に自殺の予定がある者以外は「壁」内部に退避しろ!!! 増援にはG7!!! 貴様が対処しろ!!!」
「聞こえたな!? 残党を制圧しつつ避難するんだ!」
「っ……! だが今俺たちが対処している奴らはどうする……!?」
アサルトアーマー!!! ドウン!!!!!
「ハイ全滅!!! 引け!!! 早く!!!!!」
「え、えぇ……? 了解……」
なんか不服そうだったが結果的に大人しく引いてくれたからいい。
「目視距離に入った!!! マークする!!! 確認しろ! G7!!!!!」
マーカーの方向に2体のBAWS四脚MTとジャガーノート! この機体ではキツいか……? 実際ログハントのグリッド086四脚2体組には大苦戦させられた。だがジャガーノートの狙撃で壁上を狙われたらことだ。絶対に近付かせるわけには行かない!
「ホークウィング、出るッ!」
「あれが「壁」を襲撃したACだ!」
「同志の
おーおー、散々な言われようだ。これでも一応最終的にルビコンを解放するためにやってるんだがな……。まあ仕方ないか。そんなの分かるはず無いし、逆の立場なら俺だってああなるだろう。
状況を分析する。リペアはまだ使ってない。双対ミサイル以外はまだ十分な弾薬がある。AAは冷却中。敵を分断できれば楽だ。こいつらは全員機動力がしょぼい。
……崖際ならどうだ! 転落の恐れがあるジャガーノートの突進を控えさせ、更に上手く行けば四脚を蹴り落とせる!
ABで崖際に飛び、遠距離から双対とイヤーショットを撃ち込む!軽リニアは跳弾するから使えない。
敵四脚はレーザーブレード型と九連バズーカ型だ。ブレード型はスナイパーキャノンがあるが、より威力のあるブレードを当てるために近づいてくるだろう。バズーカ型は拡散が激しい。こっちに来るしか無い。肝心のジャガーノートは……作戦大成功! 遠くからちまちま撃ち込んでくるだけだ!
「こ、小癪な!」
ブレード型とジャガーノートの攻撃を躱し、後隙のタイミングでチャージショットを連射、バズーカ型をスタッガー!ターゲットアシストAQBで素早く崖を背負った状態から回り込み、崖底に……蹴り落とす!
「なっ!? あぁーーー!!!」
情けない声を公開通信に乗せながら崖底に落ちていく。四脚ならブースト制御がある、落下で壊れることはないだろう。やつの上昇推力は貧弱、上ってくる前に残りを仕留める!
「よくも!!!」
9連バズーカがこちらを向く。至近距離での9連バズーカの威力はOSフルチューンでもシャレにならないダメージが出る。だが!
「無駄だ!アサルトアーマー!!!」
丁度冷却の終わったAAで弾を掻き消しつつ攻撃!四脚の姿勢制御は強靭だ、AA直撃を耐えてくる。スタッガーさせるためにブーストキックをぶちこ
『ピーッピーッ!』アラート音! すんでの所で後ろQB! 地面で炸裂したジャガーノートのグレネードの爆風を受ける。
さらに続いてアラート! 三連グレネード2連射はジャガーノートの突進に次ぐ主兵装だ。
目の前にはガトリングを2門構えるバズーカ型。前方に切り返しQBをすればガトリング照射をガッツリもらう、しなければ三連グレネードの予測射撃の餌食だ。ACSゲージはすでに橙。AAは……今使ったばかりだった。
「ここで仕留めてやる!」
「まだだ!」
ABを起動し後ろQBの慣性を打ち消す! さらにブーストキックでガトリングの構えを崩す! グレネードの弾は……背後を通り過ぎて行った! 成功!
「こいつ…!只者じゃない!」
「どうも、っと!」
チャージショット!
先の衝撃残留と合わさりスタッガー! 蹴り落としは……崖から遠いな。イヤーショットをぶち込む! まだ動くか。流石BAWS。100人乗っても大丈夫そうだ。
「「壁」を貴様ら侵略者に渡すわけには行かない……!死守だ!」
敵前だから平静を保ってはいるが、今みたいな読み合いが何度も続けば俺も落ちるかもしれない。この機体は装甲が薄い上にこいつらの火力は圧倒的。一度の読み違えが致命的ダメージになってしまう。これはまずい……!
「援護する!」
ズドン! スタッガー状態だったバズーカ型が爆発四散! 弾の飛んできた方を見ると、「壁」の入口にスナイパーキャノンの硝煙を燻らせるBAWS四脚MTが。
「おい! 命令違反だぞ!」
冗談めかして言う。
「俺はあいにく直近に自殺の予定があんだよ!」
「俺もだ!」「狙撃援護ぐらいさせろ!」「新入りだけに武功は取らせねーぞ!」
建物の影から二脚MTが続々と現れる…!
「お前ら……!」
「隙だらけだ!!! 死ね!!! 侵略者!!!」
ブレード型! 思ったより復帰が早い! 垂直カタパルトを見つけたか……!
「撃て!!!」
大量のバズーカやロケット弾がブレード型に撃ち込まれる!
「チッ……!」
崖際のここから「壁」までにはかなり距離がある。四脚サイズの標的に対しての援護射撃の命中はあまり期待できないが、回避を強制させる力ぐらいはある。
ブレード型はブレードをしまい、横にブーストする。
そういえばジャガーノートからなかなか射撃が来ない。砲口がこちらを向いていない……? ……!
「お前ら、遮蔽に隠れろ!!!!!」
俺が言うより早くジャガーノートの狙撃が「壁」方向に飛んでいく!
「ぐあああザあザザあ!!!ザザーッ」
向こうに照準を定めていやがった!爆煙で向こうは視認できないが、友軍反応が複数消えている!
「脱出できなかったか、クソッ!」
「全員! 極力遮蔽から顔を出すな!!!」
ベイラムMT部隊とジャガーノートは睨み合いに入っている。MT部隊の方はこのままじゃジリ貧だ。
「余所見が癖なのか!?」
「がッ!」
しまった! ブレードをモロに受け、スタッガー……!
「しゃらくせぇ! アサルトアーマー!!!」
最後のアサルトアーマーを切って機体の硬直を無理矢理戻し、同時にリペアを使う。
軽リニアを素早く連続で撃ち込み、さらに衝撃を蓄積させる。
多くのACSを搭載する一般兵器には致命的欠点がある。ACS負荷が高い状態だとスタッガーせずとも衝撃で硬直を起こすのだ。
そしてその硬直は対AC戦闘では致命的な隙になる! イヤーショット! ブレード型が吹き飛ぶ!
「侵略者……どもめ……!「コーラルよ、ルビコンと共にあれ」……!」
あとはジャガーノートだけだ!
載せたは良いけど全然使いこなせなかった双対ミサイルをパージ! 気持ち軽くなった機体で背後にターゲットアシストAQBで回り込み、蹴る!
「壁」の友軍と挟み込むような位置取りを意識しつつ、軽リニアを撃ち込みまくる!
「お前の相手は俺だ!」
ジャガーノートが狙撃の構えを解いた! こちらに後退しつつ向き直る!
「奴は狙撃の構えを取るのに時間が掛かるらしい! こいつがこっちを向いてる間に撃ちまくれ!」
「「「了解!!!」」」
バズーカの豪雨がジャガーノートに降り注ぐ!
物量による制圧! これぞベイラム!
俺もジャガーノートに飛び乗り、武装を全て撃ち尽くす勢いで連射!
あまりの衝撃にジャガーノートは一瞬でスタッガー、復帰もままならないままに爆散した。
あとは壁上のジャガーノートだが……壁上でひときわ大きな爆発!
「こちらG4! ジャガーノートは潰した!」
通信回線が歓声で一杯になる。
「よくやった!!! 命知らずども!!! これより待機していた救護班と警備部隊、回収用ヘリを送る!!!!! 到着次第帰投しろ!!!!!」
ミシガンのクソデカボイスも心なしか嬉しそうだ。
キャノンヘッドが壁上から飛び降りてこっちに来た。奇しくもダム襲撃に成功したときと逆の立場だな。
「これ全部お前がか!? やるじゃねえか!」
「いや、これはMT部隊の援護あってこそだ」
パイルチェーンソーソングバーズ重ショなら俺一人で余裕だったがな。心の中でふんぞり返る。
「そっちこそタンクでジャガーノートを撃破するとは流石だ」
「俺とキャノンヘッドは最強だからな!」
なんかインビンシブルなセリフだな。
今までにないぐらい苦戦した。ここまで辛いのは武装採掘艦護衛以来だ。疲れた……帰ろう……。
デブリーフィングを終え、部屋に戻る。
増援撃破の特別手当と撃破報酬で報酬が凄い桁になっていた。具体的にはLOADER 4一式をもう3機買って1人ハウンズができるぐらい。
……ハウンズといえば、ウォルターは俺に代わる強化人間を見つけられただろうか。そいつが弱っちければウォッチポイント襲撃の手助けをしてやらなくてはならない。
しばらく休めないかもな……まあ、どうにかなるだろう。疲れた身体を休ませるべく、自身で休眠モードをオンにした。
薄暗い手術室のような部屋に、特殊な布で巻かれた異様な姿の人間が台の上に横たわっている。
「またお前か…何だって毎回機能以外死んでるようなやつを買っていくんだ?」
「御託はいいと前にも言っただろう」
「分かってるさ。622じゃなくていいのか?」
「ああ、こいつからは何か違う物を感じる……621と似たものを……」
「起動するぞ」
台を照らす照明が動く。何らかのケーブルが横たわった人間から抜かれていく……
「635。お前に意味を与えてやる……」