ベイラム・インダストリー所属パイロット『G7 レイヴン』 作:チームマッチUNRANKED
大型輸送艦離陸支援 ①
BAWS第2工廠での出来事から数日後。ウォッチポイント・アルファが謎のコーラル爆発を起こし、ハンドラー・ウォルターからそれに伴う集積コーラルについての位置情報が企業に提供されてからは、どこもかしこも大慌てだ。
情報を企業に売ったということは中央氷原に猟犬を送る手立てを探している、つまりはノーザークはウォッチポイント襲撃をやり遂げ、さらに無事ということだ。
BAWS第2工廠調査のあいつの無双ぶりで完全に意識から抜け落ちていたが、いくら強かろうとエアとの交信が出来なければコーラルに意識を溶かされて死ぬ。
"交信"適性がノーザークにあったのは本当にラッキーだった。ラッキーなのだが…この周でのエアの交信相手は俺ではなくあいつになるというのが少し悲しい。もし全てが上手く行き、この世界が最後のループになれば今後二度とエアと話せないかもしれない。
…まあ、そんな心配をするよりまず「全てがうまく行」くようにするのが先か。それにベイラムのコーラル技術が技研に追い付けば、また話せるようになるかもしれない。
斜陽企業のアーキバスにはとっととご退場願おう。
…ミシガンが息を大きく吸った!直ぐに強化人間の聴覚システムを調整!!!
「全員揃ったな!?!?!?これより海越えについての説明を行う!!!!!!!!!!」
成功!聴覚への損傷軽微!
「我々、ベイラムグループ専属AC部隊レッドガンは集積コーラルが眠るとされる中央氷原へ活動拠点を移す!!!!!ここに呼ばれた貴様らは海を越える!!!!!残りはベリウスで留守番だ!!!!!」
とは言うものの、番号付きはG2G6以外全員揃ってるし、MT部隊員も壁越えの時の比じゃないぐらい居る。解放戦線を潰すより集積コーラルを見つけるのを優先するようだ。
解放戦線とベイラムの戦力をなるべく伸ばしてXデーに備えたい俺としては願ったり叶ったりだな。記憶ではラスティも氷原入りするはず。連絡を取る試みも続けられるだろう。
「移動手段には大型輸送艦を使用する!!!」
画面に巨大な飛行艦が映し出される。初めて見るものだ。AC単騎での活動がメインだった俺には縁遠いからな。
封鎖機構の強襲艦より一回りデカい船に、申し訳程度の武装が付いている。心許ないな、こりゃ
「ここで一つ問題がある!!!アーレア海側の沿岸部はベイラム制圧下にない!!!!!そこで俺とG7!!!貴様の出番だ!!!!!沿岸部のアーキバスと解放戦線の拠点を潰す!!!」
ビシッと指を刺される。え、歩く地獄サンと二人っきりでデートですか。最上位ナンバーと最下位ナンバーの組み合わせに疑問を抱くやつも多いようだ。イグアスなんか間抜け顔でポカンとしてる。意図が分からなさすぎる。何かやらかしたっけ...?
「輸送艦へは敵対勢力!特にアーキバスの連中からの攻撃が想定される!!!残りのACパイロットとMT部隊は死ぬ気で船を守れ!!!」
よく考えてみれば、これだけの大軍を一隻で運ぶっていうのも妙な話だ。撃墜されたらレッドガンは一発で壊滅、上層部の頭には
まだ敵...。ベイラムのコーラル技術が進歩したらそれを衛星軌道からインフラ丸ごとぶっこ抜いて解放戦線に持ち込もうとしていたが...最終的にベイラムと解放戦線で和解できれば一番いいよな...。まだそこまで入隊から月日は経ってないが、もうレッドガンに情が湧いてきてしまった。
「総員解散!!!機体の最終調整を開始しろ、役立たず共!!!!!G7!支援チーム!拠点襲撃についての詳細な作戦を説明する!!!貴様らは残れ!!!!!」
ぞろぞろと隊員達が退室していく。こっちをチラチラ見ながら。隊員達の表情は戸惑い、疑問、…憐れみ?なんか憐れまれてる?…すごい嫌な予感がする…。
「G7!!!!!!!!!!」
キーン。背後からありえない声量で話しかけられる。UNAWARE状態に声量のバズーカをぶち込まないでほしい。こりゃ憐れまれるか…。
「我々拠点攻撃担当の第一目標は対空レーダーだ!!!!!」
画面に"Primal Target"の文字と共に映し出される巨大なレーダー。デカいな…一回り小さいネペンテスって感じだ。
「我々の海越えを止めるため、当然ながらどちらもレーダー付近の警備は平時より厳しくなっている!!!!!レーダーと紐付く対空砲台を破壊しても構わないが、数が多い!!!!!レーダーを優先しろ!!!!!」
偵察ドローンによるであろう空撮動画が映し出される。警備部隊の規模は大した事ないな。これならMTの僚機はいらないというのも納得だ。
「俺はアーキバスの拠点を!!!!!G7!貴様は解放戦線の拠点を叩け!!!!!総員解散!!!遠足の準備を怠るな!!!!!」
…
ほぼ全員が退室し、ミシガンの先に俺が出ようとしたタイミング。
「G7。」
ミシガンにしては控えめな声で呼び止められる。
「解放戦線相手でも手を抜くなよ…!」
「ヒュ」
ミシガンは立ち尽くす俺を追い越すように扉をくぐっていった…。
…何故解放戦線に付いていることがバレた?アセンを組みつつ考える。仮にラスティへの暗号通信がバレていたとしても、アーキバスのスパイである可能性をまず疑うはずだ。
BAWS第2工廠調査を支援したのを見られた?あれはウォルターの支援としてやったが、解放戦線に肩入れしてるとも取れるか。
それともミシガンの古巣のファーロンからの情報提供でもあったのだろうか?
何にせよ、泳がされてるみたいだ。レッドガンメンバーを積極的に助けたのが響いてるのだろうか。逆に言えば自分で言うのもアレだが、あれだけ活躍してよく飛ぶ勲章どころか昇進すらないのも不穏因子扱いされてたからかもしれない。
いいね。燃えてきた。クビに出来ないぐらい功績を挙げて挙げて挙げまくって、ルビコン解放のその時まで居座り続けてやろうじゃないか。
完成!機体名「Airstrip」、ちょっとした滑走路を表す単語だ。断じてエアの
離陸支援にぴったりなネーミングだと思わないか!?そう思ってメカニックの方に目をやると…笑っていない!俺のネーミングセンスの成長を感じる。…無視されてるだけかもしれない。
武装は固定目標のレーダーを手早くぶち壊すための
色々考えるとやっぱりパイルと重ショに落ち着いてしまう。まあ間違っても落ちるわけには行かない、好きな武器など使ってられない。
フレームは
大量の通常兵器と二脚MTを捌くことになるだろう。装甲を高めておくに越したことはない。重量二脚、それも対MT用の機体に乗るのはかなり久しぶりだ。勘が生きていることを祈りつつ、エアストリップの調整作業を進めていく...。
『メインシステム 戦闘モード起動』
「これよりベイラムグループ専属AC部隊 レッドガンによる作戦行動を開始する。突入するぞ、G7!」
解放戦線の拠点はというと...まあまあな規模だ。あの汚染市街の拠点よりちょっとデカいぐらいか。
そして目を引くのはどでかい対空レーダー!あれだけデカい目標ならコア理論なんか無視して狙撃兵器でも作って遠距離から壊せそうなもんだが。
見回りらしき二足歩行通常兵器にマシンガンの弾をプレゼントすると同時に公開通信が飛び込んでくる。
「敵襲!企業のACだ!狙いは何だ!?」
「砲台を起動しろ!撃退するんだ!」
エアストリップに複数本赤い照準レーザーが照射される。リニア砲台!
普段ならこちらの射程外からちくちく撃ってくるのが鬱陶しいが、今回は対抗手段がある。マニュアルエイムを起動し、他の敵にロックする前に10連装ミサイルを掃射!
「なっ!?砲台が...!」
命中!ファーロンのミサイルはなかなかに優秀で、オールマインドのパーツスペック表によれば、このミサイルの射程は実に2500mもある。
このエリアの守りの要は砲台だったらしい。四脚MTもバズーカ持ちもいない群れを流れ作業のように捌く。対空砲は指示通り無視。
「こっちは全員やられた...!気を付けろ!ACがそっちに行くぞ!」
「狼狽えるな、増援の到着は近い!何とか持たせろ!『コーラルよ ルビコンと共にあれ』!」
増援...?多重ダムや「壁」などの落としたらまずい拠点ならまだしも、敗走しても俺たちを通すだけで済む対空基地に?...面倒ごとになりそうだ。増援とやらが来る前に終わらせる!
対空レーダーの方向にABで移動すると、そこには高い建物の上にミサイル砲台とバズーカ型二脚MT、そして四脚MTがど真ん中で仁王立ちしている。
なかなかどうして厳しい防備だ。多重ダムのログ持ち四脚に近い布陣だな。逆に言えばここが最終防衛ラインと言ったところだろう。
「侵入者の狙いはおそらく対空レーダーだ!死守しろ!」
ミサイル砲台は俯角がとにかく浅い。放置でいいだろう。問題は…
「先にお前らからだ。」
ちょうど近場にあった垂直カタパルトで飛び上がり、二脚たちに強襲!
「させんっ!」
右下方からアラート。四脚のスナイパーキャノンだろう。ギリギリまで引き付けて…切り返しQB!
「ぐっ…!」
QB推力が足りず被弾。やっぱり機体が重いな…。
さらに複数のアラート!一斉にMTがバズーカでこちらに狙いをつけている!
避けきれない…!パルスプロテクションを展開!
バズーカは防いだが、大型輸送艦を防衛するハメになった時に使うつもりだったPPをここで切らされるのは予想外だ。
…耐爆防御性能も盛った機体だし、装甲で受けるべきだったかもな。
「はぁ〜…。」
「何だこいつ?交戦中にため息なんかつきやがって!」
真っ当な怒りを無視しつつ、蹴りとノンチャージパイルとマシンガンとで上の二脚を殲滅。残りは四脚だけだ。
AQB連発でFCSを揺さぶり、軽くスナイパーキャノンを躱す。この機体、
着地寸前に補充したENで一瞬上昇し、着地衝撃を無くす。と同時に両手と右肩の武装を斉射!
蹴りを入れて振り上げられたブレードの狙いをそらし、さらに重ショ!スタッガー!
「相手が悪かったな…!」
QBの慣性を乗せたチャージパイルバンカーを突き刺す!!!
あ、APちょっと残った。決めゼリフまで言ったのに。見なかったことにしてブーストキックでトドメ。はい、ガァーン。
レーダーの麓まで来た。細い頸部にチャージパイルを突き刺すと、一発でへし折れた。エア様々だ。
あとは大型輸送艦を防衛して
「輸送艦防衛部隊よりG1ミシガン総長とG7レイヴンに伝達!所属不明のAC2機がそれぞれの作戦領域に向かっている!また、こちらも不明ACの襲撃に目下対処中!」
MT部隊員の焦った声。AC3機による同時襲撃?それって
「『レイヴン』、通信は聞こえてる?目標を確認したわ。あれが貴方を騙る傭兵…。」
内燃型の朱い炎の翼を纏うACが、沈みかけた夕日を背に降下してくる。
「見せてもらいましょう。借り物の翼でどこまで飛べるか…。」