ベイラム・インダストリー所属パイロット『G7 レイヴン』   作:チームマッチUNRANKED

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大型輸送艦離陸支援 ②

「はああああああああああ!?!?!?」

なんでブランチがここで来るんだよ!?思わず叫んでしまった。

「"当たり"を引いたようね。他の二人は?…了解、作戦続行ね。」

多重ダムのときみたいに俺狙い以外のやつらは作戦放棄してくれたら楽だったが、そうもいかないか。

「…おいおい、随分お早い登場じゃねーか。レイヴンの名前で企業に尻尾振られるのがそんなに嫌か?」

「あら、ブランチをご存知なのね。その上でレイヴンを名乗るなんて…。」

だって〜…他に良いライセンスなかったし〜…。

 

軽くさながら翼のような双対を横QBで躱し、ウェポンハンガーから素早く引き抜いた重ショをぶちかます。挟み込むような機動なのに上下方向回避への命中精度以外はお粗末、何度見てもよくわからないミサイルだ。

「レイヴンとは意志の表象…。ふさわしいのは選び、戦うものだけです。」

「で、ハンドラーの犬ごときがレイヴン名乗んじゃねーって出てきたわけだろ?」

ソングバーズ(中量二連グレネード)がエアストリップに向けられる。装甲を盛りに盛ったこの機体なら…!

ベリル頭部のその蜘蛛のような顔面で榴弾を受けつつ迫る!ノンチャージパイルバンカー!!!

クソ、躱された。機体が重くて近接攻撃推力が足りない。だが相手は途中でソングバーズの射撃をやめた。被弾は一発分。まだまだ装甲はもつ。

 

「悪いね。今は傭兵どころかベイラムの専属パイロットだよ。」

「ええ、調べさせてもらいました。」

…!

「戦闘ログ回収…!」

思わず呟く。「レイヴン」なら見つかったMTを所属が割れる前に消し飛ばすことなど造作もないだろう。辻褄が合う。

 

敵のアサルトアーマー!この機体の拡張はPPだ。カウンターは出来ない。大人しくQBで引く。先程の最終防衛ラインあたりまで戻ってきたが、大きな障害物の多いこのエリアは重量機にとって射線を切られやすく、ACSゲージを冷やされやすい。

AAの衝撃波に当てられて気付いたが、火力型アサルトライフルとミサイルにチクチクされ続けてそろそろACS負荷限界が近い。幾ら性能で劣るアサルトライフルと言えど、ソングバーズ一発分の衝撃残留のハンデがあれば厳しい。だが、スタッガーが近いのはお互い様だ。

装甲の厚さの差を考えると向こうはパイルの直撃を狙ってくるだろう。

輸送艦へ戻れば補給できるだろうとは思うが、万一を考えてリソースは温存しておきたい。俺もリペアを使わせない、パイルバンカーの一撃必殺を狙う!

俺は引かない!

 

「レイヴン」に向けてマシンガンを撃ちながらAB!ナイトフォールの交差を狙ったと思わしき横QBに合わせ、こちらもAQB!ナイトフォールのコアにブーストキックがクリーンヒット!

衝撃で動けないナイトフォールに再度重ショ!スタッガー!!!QBで距離を詰め…

「こっちだって…選んで戦ってんだよ!」

チャージパイルバンカー!炸薬の凄まじい爆煙の先にはコアに大穴を開けられたナイトフォールが…

 

居ない?FCSのスポット機能によるHIT表記もでていない。

スキャン起動…!強化人間システムHUDの下部のレーダーは正面に敵機がいることを示している。いや…この表記は…

 

アラート!上からだ!反応が遅れ、もろに榴弾を受ける…!スタッガー…!

照準性能上昇を狙ってターゲットロック機能を切っていたが、裏目に出たか…!だがどうやって一瞬であの高度に…!?

幸いにも高度差により追撃のキック、パイル共に間に合わなさそうだ。ACの可動域は直上や直下への格闘攻撃を想定していない。アサルトライフルと双対ミサイルの直撃だけならあまり問題にはならない。

仕切り直しだ。ナイトフォールは着地と同時にリペアを切る。その背後には垂直カタパルト。

なるほど、そういう動きもあるのか。面白いな。お前の戦い方、まさに鳥という感じだ、なーんて。

パイル直撃による即死のリスクを考えるとAPはなるべく高いままキープするべきだ。こちらも合わせてリペアを切る。

 

「…ええ、私も感じているわ、レイヴン。この傭兵…いえ、パイロットには可能性がある…。」

「へえそりゃどうも、じゃあ引いてくれよ。」

「…。」

 

「レイヴン」はあいも変わらず無言のままパイルを振るう。もうお仲間と一緒に帰れよ!

パイルが冷却中なのを確認し、距離を詰めつつABの速度による衝撃を乗せたマシンガンとショットガンをぶっ放す!さらに蹴りを入れる!

あとショットガン一発でスタッガーに入る。距離を更に詰める!

「…。」

再びナイトフォールの背部から翡翠色の光が溢れる。すぐさまバックQBするが間に合うか怪しい…!

アサルトアーマー!巻き込まれた四脚の残骸がパルスの奔流に揉まれ、どこかに吹っ飛んでいく。どうにか高威力範囲は免れる。

今だ!パルスを目眩ましにバックQBを連発し、垂直カタパルトに乗る!…起動!空高く飛び上がる!

 

…ガッツリ捕捉されてる。そりゃそうか。ナイトフォールのバイザー降りてるもんな、ターゲットアシスト付いてるに決まってる。

というかトップアタックに有効な武装が乗ってない。とりあえず十連ミサイルを撃ってお茶を濁す。

 

自由落下しつつ重ショットガン。スタッガー!

さらに落下して高さを合わせ…ここでマシンガンをパージ!

「なっ!?」

「レイヴン」オペレーターの驚く声をよそに右手で殴りつけて装甲をひしゃげさせつつ、パイルバンカーをウェポンハンガーから抜刀...!

 

パンチの大きな衝撃でACSの再起動を阻害されたナイトフォールに向かってQB!パイルバンカーの撃鉄を起こし...振り抜く!

 

ガァン!三度のパンチで歪み、強度を保てなくなった箇所を巨大な鉄杭が貫通する!

「レイヴン!反撃を...!」

「ジェネレーター部分をぶち抜いた。ナイトフォールはもう動けないぞ。」

杭を引き抜くと、ナイトフォールが膝をつく。機体制御をやめたらしい...。

「...!」

オペレーターが息を呑む。いや、諦めの溜息かもしれない。

「そう、見届けようというのね。この翼が...彼らをどこに運ぶのかを...。」

少しの間ののち、通信が切られた。

 

 

 

大急ぎでレッドガンの通信回線に接続。

「こちらG7...」

...一度息を大きく吸い、言い直す。

「G7"レイヴン"!襲撃ACを撃退した、ミシガンと輸送艦防衛部隊の状況を!」

「こちら防衛部隊!ミシガン総長はアリーナランク6、識別名"シャルトルーズ"と交戦中!こちらはランク4の識別名"キング"とです!」

ラッキーだ。アンバーオックスの正面火力じゃMT部隊にとてつもない被害が出る。

「戦況は!どっちに増援が要る!?」

「少しお待ちを!...ミシガン総長からの伝言を読み上げます!『G7!貴様の増援なぞ足手まといにすらならん!!!役立たずは役立たずらしく他の役立たずと固まっていろ!!!!!』...だそうです!こちらへ増援をお願いします!」

ランクで言えばミシガンのほうが上だ。鈍重なライガーテイルとアンバーオックスじゃ相性は悪いが、ミシガンなら勝てるだろう。彼も伊達にレッドガン総長をしていない。

「了解!」

 

...さっきの、もしかして録音じゃなくて声真似か?レッドガンにもペイターレベルの逸材がいるとは...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベイラム大型輸送艦、臨時停泊地。

「なんなんだよこいつは...!」

G5イグアスがつぶやく。

アーキバス、解放戦線、ベイラムの三つ巴での大混戦が起きる中、突如アーキバス側として参戦した特例上位ランカーにより戦場は混乱状態にあった。

スナイパーキャノンを持つ四脚MTにのる隊員や解放戦線たちはVE-60LCA(破壊天使砲)の圧力を恐れ射撃できず、AC乗りたちも四脚のホバー機動による回避とパルススクトゥムによる堅実な防備を誇るアスタークラウンに強く出られる者はその場にいなかった。

()()()()()()()

 

ヘッドブリンガーが移動している。

「おい!イグアス!」

「止めんなよヴォルタ...!毎日ミシガンの野郎にクソみたいなシゴキを受けて...野良犬の野郎にまで手を借りて...!ランク4が何だ!俺ぁもう...引っ込んでられねえんだよ!」

「...!...分かった。だが俺も行く。」

「よっしゃ。完成された傭兵さんに目にもの見せてやろうぜ...!」

 

 

 

「やっとACのお出ましか。」

俺とヴォルタを前にキングとやらは平然と言葉を繋ぐ。

「まとめてかかってこい。」

「チッ、安く見られたもんだな...!ヴォルタ!打ち合わせたとおりに行くぞ!」

「おうよ!」

ブーストを起動する。ハンドガンの弾を通常巡行だけでかわしながら距離を詰める!

 

...

 

『イグアス、お前の戦い方ならブースターはP06SPD(ファーロン推力特化ブースター)のほうが向いてると思うぞ。』

『は?何言ってやがる野良犬。ありゃ重量機向けだろうが。』

『チッチッチ...分かってないなあイグアスくん。QBをあんま使わないお前のスタイルならQB絡みの性能より推力重視したほうがいいだろ?』

『なんなんだよその口調は...。』

『試しにシミュレーターにお前の機体データ入れてブースターだけ換装してみたんだが、速度が伸びるのなんの。ヘッドブリンガーは通常ガードが強いシールド(SI-27:SU-R8)もあるし巡行だけで弾とかミサイルとか躱せると強いぞ。それにもう一つこいつを使う理由があってだな───』

 

...

 

クソッ。野良犬野郎の言う通りかよ。被弾率がぜんぜん違う。

「ヴォルタ!」

「おう!」

ヴォルタの支援砲火!盾は前面180度からの攻撃しか受け止められない!多対一は不得手だ。俺はよく知ってる。

「ほう、なかなかの圧力だ...!」

さっきからこいつの口ぶりはなんだか知らねえが気に食わねえ。

挟撃を意識し、二人で弾を叩きこみ続ける。だが火力が足らない。普段大火力での攻撃担当のヴォルタの弾がパルススクトゥムで防がれ続けてやがるからだ。

 

...

 

『お前のヘッドブリンガーに足りないもの...それはずばり火力だ!』

『俺はんなもんなくたっていいんだよ。堅実に立ちまわりゃダメージレースには勝てるし基本的にヴォルタとツーマンセルだからな。』

『甘い!もしヴォルタが戦線に出られなくなったら?もしヴォルタのキャノンが当たらない素早い敵が相手なら?他にもリスクはある!』

『...じゃあどうしろってんだよ。』

野良犬が気取った感じで指を鳴らす。

『ったく…俺は召使いじゃないんですよ、G7。』

野良犬の専属メカニック?のスピーカーを通してくぐもった声がガレージに響く。クレーンにつり下げられたAC用の武装が俺たちの前に降りてくる。

『これを使え。』

『これは…。』

 

『俺のお気に入り、タキガワのパルスブレードの"HI-32:BU-TT/A"だ。お前にやるよ。』

 

『てめえが多重ダムで使ってたやつか。』

『シールド開きっぱが基本ならルドロー(ベイラム軽マシンガン)より瞬間的に火力出せるブレードのほうが合ってる。』

『俺は近接武器なんて使えねえぞ。』

『そこでさっき言ったP06SPDのもう一つの利点、"近接攻撃推力"。当てるのが楽になる。強化人間なら今日中に実用レベルまで持っていけるぞ。というか俺が持っていかせる。…それにだ。』

『?』

『お前は近接戦闘の才能がある。』

『なんでお前がそんなこと分かんだよ。』

『未来で見た。』

『…は?』

『…なんてな。さあ、座学はここまで、楽しい特訓の始まりだ。直近に自殺の予定があるイグアスだけ付いてこい!』

『俺限定かよ!?』

 

 

「早速使うことになるとはな…。…イラつくぜ…!」

左腕に付けたパルスブレードを起動!

「なっ!?」

一気に距離を詰め、パルススクトゥムを叩き割る!スタッガーに入った!

「ここだな!」

ヴォルタのグレネードも決まった!

「シールドは一度割れたらしばらく復帰しない!ヴォルタ!てめえも距離を詰めろ、一気に終わらせるぞ!」

「やるじゃねえか…!了解だ!」

 

「思ったよりやるようだな、ベイラムの。」

「てめえはどうにも気に食わねえと思ってたが…その理由がわかったぜ。そのデケえ態度がフロイトのやつと似てやがんだ。」

弾丸を素早く躱しながら続ける。

「てめえにはリベンジの踏み台になってもらうぜ…ランク4…!」

 

「だが、」

空気が凍る。コールドコールのジジイやフロイトを前にした時にも感じた、機体越しにも分かる冷たい殺気。

「若いな。」

けたたましく鳴り響く警告音。一拍遅れてアサルトアーマーを食らったことに気付いた。

「イグアス!」

ヴォルタの声がどこか遠く聞こえる。凄まじいパルスの晴れた視界には砲口から青い光を放っているレーザーキャノン。

ああ…ここまでかよ…。ミシガンどころか野良犬にさえ一泡吹かせられないまま…。クソ…!

 

 

 

ガァン!

 

 

 

「…野良犬?」

異様な音に目を開くと、重量二脚がアスタークラウンを蹴り飛ばしている。

 

「始めまして、キング。俺はベイラム・インダストリー所属パイロット…G7"レイヴン"だ…!」

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