マギ ~もう一人の攻略者~   作:青い巨星

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主人公の歳は20前後の設定です。


アモン編
第1夜


「お!あれがチーシャンの町か!?」

 

周りには人はいないのに独り言とは思えないボリュームで声を出してしゃべっている。

 

今の状況を他人に見られたら俺はおかしな人だと思われるんじゃないだろうか?という考えも出たが、俺の声に反応してくれるやつはいる。

 

『えぇ、情報を照らし合わせるとおそらくあれが目的地でしょう』

 

この声は俺の首に掛けているネックレスから聞こえる。

 

「よっしゃ!やっと着いたぜ」

 

俺はついつい無邪気な子供のように笑ってしまう。

 

『まだ目的地に着いただけですよ?とりあえず宿を探しましょう』

 

「おう、分かった」

 

 

 

 

 

所変わって宿屋

 

「お、兄ちゃんも『迷宮』に挑戦しにきたのか?」

 

宿屋に入ったら真っ先におっさんが話しかけてきた。

 

「あぁ、そうだよ」

 

「やめといたほうがいいぜ、あの『迷宮』は今までで一万以上の人間が挑戦してんだ。無駄死にするだけだぞ?」

 

さっきまで豪快に笑ってたおっさんが急に真顔になり、俺もつい後ずさる。

 

「俺も覚悟決めてここまで来たんだ。後にはひかねぇよ。ところでこの宿の宿主はどこだ?」

 

「ワハハ!!気に入った!!そこまでの覚悟があるんなら、もう止めねぇ。俺がここの宿主だ!好きなだけ泊まっていっていいぞ!……まぁ、代金はちゃんと貰うがな!ワハハ!!」

 

 

 

 

「よし!準備できたぞ!」

 

俺は食料をつめたバッグを持ち、首元にしゃべりかける。

 

『えぇ、向かいましょうか』

 

俺は宿のおっさんに簡単な挨拶を済ませ、『迷宮』に向かうことにした。

 

 

 

『『ガヤガヤ……ガヤガヤ……』』

 

「なんか騒がしいな」

 

『迷宮』に向かう途中には人だかりが出来ていた。その騒ぎが気になり、俺の足は自然と歩みを変えていた。

 

『(また始まってしまった……ディーノは昔から何をやってても、気になった事は自分の目で見なきゃ気が済まないって癖が)』

 

―――俺は自分でも自覚してるつもりだった。好奇心が強く子供みたいな性格だということを。

 

 

「奴隷は辛いぞぉ~~?何をされても、なーにも言えないし、だーれも庇ってくれない。こいつみたいになっ!」

 

近くまで来てみると小太りな男が少女を足で蹴っていた。

 

「ほ~れ、どうした~?文句があるならワシに歯向かってもいいんだぞ~?もっとも、ワシに歯向かったら領主様にいいつけて死罪にしてもらうがの~~」

 

「オラァッ!!」

 

「ブフッ!!…………貴様ぁ、よくもワシの華麗な顔に傷をつけてくれたな~~!」

 

俺は気がつくと小太りな男に殴りかかっていた。小太りな男から開放された少女が倒れそうになるのも見逃さずに、すかさず両手で受け止める。

 

「華麗な顔?俺にはあんたの顔より、こっちの女の子の顔のほうがよっぽど華麗に見えるけどな!……おっと、すまん。あんな奴の顔と比べられたくなかったよな?」

 

俺は少女の顔が微妙な表情になったのを見逃さずにフォローをする。

 

「……」

 

だけど、まだ少女は微妙な顔のままだ。

 

俺は気づいた。少女が微妙な顔をする意味は他にあるんじゃないかと。最も可能性の高いのはこれだ!

 

「おっと、失礼。女の子の体に軽々しく触ちゃったね」

 

体から手を離すも少女の表情は変わらない。

 

「おまわりさ~~~~~ん!!!!!泥棒で~~~~~す!!!!奴隷泥棒で~~~~す!!!!!」

 

小太りな男が声を出すと、『『『ダダダッッ』』』とものすごい数の足音が聞こえてきた。

 

『……まずいですよディーノ。あの人達に捕まったらしばらく『迷宮』に入れなくなるかもしれません』

 

するとグフタフが俺にだけ分かるような大きさで話しかけてきた。

 

「……こんな状況になったらどうすればいいんだ?」

 

『まずは自分で思ったことをしてみてください』

 

グフタフにちょっと期待したんだが帰ってきたのはいつもと同じ返答。なら逃げるしかない!

 

「お嬢さん、名残惜しいがお別れだ。また会おう!」

 

「おい!貴様、逃げるのか!?」

 

「頼むぞ、グフタフ!   『ヒート・ブースト』」

 

俺は一瞬ににし大空に上がった。

 

『ヒート・ブースト』はグフタフの雷の力を借り、脳の電波信号を変える技だ。人間は不思議なもので危機的状況になると力の限界を超える。いわゆる火事場の馬鹿力。その力を使い脚力の限界を上げた。使おうとした当初はグスタフに物凄く止められたが、どうにか制御できるようになったのでグフタフはそれ以上言わなくなった。

 

高く上がったはいいが、上がりすぎてしまった。とりあえずは落ち着くために着地をしようと試みる。

 

「あの建物でいいか」

 

俺は近くにあった高級そうな建物に足を落ち着かせる。すると、数秒経ったころ、

 

「「「賊だぁぁ!!!!!賊が出たぞぉ!!!!」」」

 

「賊?賊ってなんだ?グフタフ」

 

『人の家に勝手に入るような人のことですよ』

 

「そいつは悪い奴だな」

 

人の家に勝手に入るなんて悪い奴すぎるな。そんなことが近くで起きてるなら一度見てみたい気もしてきた。

 

『あなたのことですよ』

 

あれ

 

 

 

 

ドサッ

 

「痛っ!もうちょっと優しくしろよ!」

 

警備兵らしき者に捕まって、体はロープで巻かれてしまった。身動きもまったく出来ない。

 

「領主様。これが屋敷内にいた賊でございます」

 

「へぇ~~、これがねぇ」

 

領主様と呼ばれた男は俺を品定めするかのように見下ろしてくる。

 

「牢に入れておけ」

 

男がそういうと俺は乱暴に牢へと運ばれていった。

 

 

 

『結局捕まりましたね』

 

「そうだな」

 

牢屋かぁ。子供のころは入ってみたいなとか思ってたけど、実際入ってみると早く外の空気が吸いたくなるなぁ。

 

コンコン

 

すると、扉が控えめにたたかれる音がした。

 

「何だ?」

 

「失礼します」

 

扉が開かれ、そこに立っていたのは先ほどの少女だった。

 

「あぁ!さっきの!いやぁ、こんな場所でも会うなんてね。これはまさに運命だ!」

 

「……領主様がお呼びです」

 

少女との温度差を感じながらも俺は少女について(ひきづられて)いった。

 

 

 

「遅いぞ、モルジアナ」

 

「すみません」

 

俺もさっきまでいた領主様の部屋(?)についた。

 

「で、君に話があるんだけどさぁ」

 

領主様は綺麗な笑顔を浮かべながらこう言った。

 

 

 

 

 

「僕の奴隷にならないかい?」




技の名前が残念なのは仕様です。

第6夜(総字数15,000ぐらいですが)まで書き溜めてますので一話ずつ更新していきたいと思います。
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