ここからは原作よりではなくなる予定なので原作との矛盾点が多少あると思いますが見逃してくれると有難いです。
第7夜
「ふぁ~」
しばらくして俺は起きた。寝起きの欠伸を盛大に行う。
「そういえばここはどこだ?『迷宮攻略』したとこまでは覚えてるんだが。グフタフ分かるか?」
グフタフに問い掛けるが反応がない。
首元を見るとネックレスは存在していた。ということは回りに人がいるってことだ。
そう思い、あたりを見渡してみるが一面に草があるだけで人の気配もしない。
ふと気になり、腕の傷を見てみる。
傷は完全に塞がっていた。
「今回は意外と治りが遅かったな。それだけ深く刺されたって事か?」
ジャミルに刺された傷を見ながら呟いた。腐っても領主だ。使ってる剣の切れ味はなかなかのものなのだろう。
「それにしてもここはどこだろう」
「あなたやっと起きたのね」
すると馬に跨ってる女と男が現れた。
「怪我は治してあげたわ。感謝しなさいよね」
「それはありがとう、お嬢さん。ついでと言っては何だがここがどこだか教えてくれないか?」
女は少し考える素振りを見せて応えた。
「ここは煌帝国《こうていこく》よ」
煌帝国?聞いたことがない。
「今度はこちらから質問させていただきます。あなたはなぜ、このような場所で倒れていたのですか?」
女の後ろにいた男が聞いてくる。
なんでこの場所にいるかは俺も聞きたいところだけど。嘘をつくのも面倒なので素直に答える。
「ついさっきまで『迷宮』にいたんだが攻略したらここに着いた」
「『迷宮攻略者』ですか。姫様ここはこの男を連行しましょう」
「どうして?」
「この男は『攻略者』です。それなりの武力を持っているはずです。そんな男を放っておいたら何が起こるかわかりません」
男は『攻略者』と聞いてから用心深くなっていた。
「なので大人しくついてきてくれませんか?」
男は下手になって聞いてくる。
「嫌だ。と言ったら?」
お約束といわんばかりに俺は断る。
「力ずくで連れて行きます。ですが私は戦闘が苦手なので姫様、お願いします」
男はそういうと一歩後ろへ下がる。
「別にいいけど。病み上がりなんでしょ、平気なの?」
「気遣いありがとう、俺も女性とは戦いたくないんでね。ここは見逃してくれないか?」
「嫌よ。と言ったら?」
皮肉にも女は先ほどの俺のような返しをしてきた。
「力ずく……じゃなくて話し合いで解決できないかな」
「私、話し合いよりもこっちのほうが得意なの」
女はそういうと自身の髪飾りへと手を伸ばした。
すると髪飾りは長剣へと変化した。
『ジンの金属器』だ。
女が戦いのほうが得意というのも無理もない。
『ジンの金属器』を持っているのと持っていないでは違いが大きい。
「行くわよ!」
女はその言葉を合図に剣を構える。
「くっ」
女はすぐさま剣を振りかかって来る。
俺はそれを避け、女との距離をとる。
「早く、『ジン』を使いなさい!」
女は『ジン』を使うように促すがすぐさまに剣を振りかざす。
「言葉と行動が矛盾してるぞ、お嬢さん!」
仕方ない。『ジン』を使うか。
俺は首元のネックレスを握り締める。
次の瞬間、ネックレスはガントレットへと変化する。
「それがあなたの『ジン』?」
「あぁ、これが俺の『グフタフ』の力だ!」
なるべくなら使いたくはなかったが慣れない剣や槍などを使うよりも、慣れている拳で戦ったほうがやりやすい。
「行くぜ、お嬢さん!」
俺は相手の手に狙いをつけて拳を放つ。
だが俺の拳は剣で防がれてしまった。
なるべくなら降参をしてもらいたかったんだがそうにもいかないらしい。
俺は意を決し、ガントレットの武装を解除する。
そして、相手と同じくらいの長剣へ変化させる。
剣へと変化させたものの慣れない武器だと防戦一方になってしまう。
「その程度の力なの!?」
「くっ」
しばらく時間が経っても勝負は終わらない。
俺は一か八かの賭けにでることにした。
相手が剣を振りかぶった直後、俺は手に持っていた剣を横に投げ、素手で構えを取る。
「えっ!」
案の定、女は動揺した。
その隙を突き、俺は相手の手に手刀をかます。相手の腕の神経を麻痺させ、俺は相手の剣を奪う。
「あっ」
剣が俺の手に移った時に剣から髪飾りへと変化した。
「俺の勝ちだ」
俺は女の髪飾りを手に勝利を宣言する。
「う、ひっく」
「え?」
すると女は泣き出してしまった。
「うえぇえぇん!!」
「ちょ、ちょっと大げさじゃないか?」
「それ大事なものなの、返して!」
女は片方の手を出し、返せのポーズをしてくる。
「あ、あぁ」
俺はつい髪飾りを返してしまう。
「今です、姫様!」
すると男はチャンスだとばかりに声を出した。男の手元を見てみると俺のネックレスが握られている。
「あ、ありがとう」
女は男を無視し、素直に感謝をしてくる。
「あ、あの姫様?」
すると女は男のほうへ行き、女は男の手から俺のネックレスを取る。
「あ、あのこれ……」
そういうと女はおずおずとネックレスを渡してきた。
「フフッ、ありがとう」
俺はまるで少女のような様子につい笑ってしまう。
「な、何か可笑しかったかしら?」
「あぁ、ごめん。ただ可愛くて」
「か、可愛い!?」
女は『可愛い』という言葉に反応した。
「君は、可愛いより綺麗のほうが嬉しいかな?」
「き、綺麗!?」
会話が成り立たなくなってしまった。
しばし沈黙が続いた。
「あの、お客さんとして家に来てくださいませんか?」
お客さんとしてということは手荒なことはしないってことだろう。
「喜んで」
返事をし、男のほうへ目を向ける。
「いけません!いけませんぞ、姫様!こんなどこの馬の骨とも分からぬ者を連れて行くなど!」
「それじゃあ、わ、私の馬に乗ってくださる?」
女は男の言葉を無視し、自分の馬へと跨る。
「ならばその男は私が乗せます、姫様!」
「あなたの名前教えてくださる?」
「俺はディーノ。お嬢さんは?」
「私は紅玉《こうぎょく》。よろしく」
「こちらこそ」
「私は夏黄文《かこうぶん》と申します」
男。夏黄文は諦めたのか落ち着きを取り戻していた。
俺は紅玉の馬に跨る。
「二人背中に乗せて大丈夫なのか?」
「私の馬よ。やわな鍛え方してないわ」
紅玉は自身ありげに答えた。
「それじゃあ、行きますわ」
そして俺は紅玉たちと共に紅玉の家へと向かった。
思った以上に忙しく7夜しか出来上がってません。
なるべく早く8夜を投稿しようと思うので生暖かい目で見守ってくれたら幸いです。