事象の地平線にて少女(?)は踊る   作:白麻エル

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第2話 ステ振りは極端に

 

 腰まで届く夜空を切り取ったかのような黒髪、本紫と黄色のオッドアイ。全てを見透かしているかのような鋭い目付きにすらっとした鼻。160cm程の身長に、少し力を入れてしまえばすぐにでも折れてしまいそうな華奢(きゃしゃ)な体の少女────それが今完成した俺のキャラクターである。

 

「出来たぞ……!! 俺の理想のキャラ────ミステリアスな美少女が……!!」

 

 作り始めてから現実世界で何時間が経過しただろうか。

 メニュー画面を開くと表示される時計の短針は10周以上しているだろう。

 

 だがそのようなことはどうでも良いのである。俺は勝ち誇ったような笑顔……あるいは疲労によって引き攣った笑みを浮かべながらキャラクタークリエイト終了ボタンを押した。

 

 〔職業を選んでください〕

 

 事前情報によれば、選んだ職業によってステータスや特定の武器に補正が入るらしいのだが、キャラクリ以外の情報にほとんど関心を持たなかった俺は職業について詳しくは分からない。

 

「セイバー、ウォーリア、ウィザード、アーチャー、シーフ。初期から取れるのはこの5つだけのはずなんだが……」

 

 アミキィは一次職こそ少ないものの、二次職三次職にかけて数が急激に増加するタイプのゲームだ。

 それに加えて、サブ職や特殊職もあるのだが……前者は特定のステータスを伸ばし、経験を積むなどの条件を満たせば簡単に取得出来るものの、後者の特殊職に関しては一切の事前情報が無かった。

 

 よって特殊職は取得条件も職業名も明かされておらず、謎に包まれた存在なのだが……

 

「あからさまに目立って表示されてる3つの職業……これ絶対特殊職だよな?」

 

 目を向ける先には赤い枠で囲まれた『審判官』『宰導』『法騎』と書かれた職業。

 

「審判官は名前の通りで、宰導は宰相の宰に導くだから指導者的な職、法騎は法の下で戦う騎士ってことなのか? 分からないな……」

 

 職に関する説明が無いため自分なりに解釈をしてみたが、分からないことだらけである。

 

 だがこの中から選ぶとするならば────

 

「審判官こそがミステリアスなロールプレイングをする上で最適な職だろ!!」

 

 俺は勘で審判官を選択することにした。

 

 

〔ステータスポイントを振り分けてください〕

 

 表示されたのは体力、魔力、防御、速度、技術、筋力の6つと『残りステータスポイント』と書かれた『200』という数値

 

 本来ならば、この200あるステータスポイントを使って職に合ったステータスをバランス良く伸ばすのが定石なのだろう。

 

 だが、俺が選んだのは特殊職の審判官である。それによる補正なのだろう。魔力と技術にとてつもなく高い補正が掛かっていた。

 

「いやいや、初期値は全部10のはずだろ…? なんで魔力と技術のステータスポイントが既に200もあるんだ……?」

 

 事前情報にて明かされた、魔法特化のウィザードの魔力初期値が50であることを考えると、このステータスはかなり異常である。

 

「考えても仕方が無いな。とりあえずステータスポイントを振り分けることにしよう」

 

 まず、防御はいらない。当たらなければどうということはないからだ。

 

 既に補正が掛かっている魔力と技術もこのままで十分だろう。

 筋力? そんなものあったところでこの華奢な体には似つかわしくない。

 

 となれば残すは体力と速度のみである。俺は悩みに悩み抜いた結果────

 

「短期決戦で終わらせれば良いだけだし、体力なんて必要ないだろう。よって速度に全振りするしかない!!」

 

 極論、敵など一撃で仕留めてしまえば良い。よって継戦能力は無視してしまうことにした。

 

「中々尖ったステータスだが……まあこんなもんだろう」

 

 体力 10

 魔力 200

 防御 10

 速度 210

 技術 200

 筋力 10

 

〔上記のステータスでは偏りがあるため、プレイに支障をきたす可能性があります。本当にこれでよろしいですか?〕

 

 どうやら、アミキィではご丁寧に極振りへの警告文を出してくれるようだ。

 

「そんなこと関係ないね! 俺はこのステータスで行く!!」

 

 意味があってないようなものである警告文を無視し、ステータスポイントの振り分けを終了した。

 

 

 

〔キャラクターのスキルを選んでください〕

 

 次に行うのは初期スキルの選択。

 本来ならば職業やステータスに合ったものを選ぶべきなのだが………

 

「なんだこれ……固定されてて他のスキルを選べないぞ……」

 

 

 

 『ユスティティア』  『フリーデン』  『ナチャーラ』

 

 

 表示されたのは3つ見慣れないスキル。その全てが既にスキルとして選択されており、他スキルとの入れ替えが不可能であった。

 

 

「仕方あるまい、スキルなんて後からでも取れるし、今は放置で良いか」

 

 ひとまずスキルについては置いておき、次に進むことにした。

 

 

 

 

〔キャラクターの名前を決めてください〕

 

 

 アミキィのキャラクター作成における最後の工程、キャラクターの名付け。

 

 俺は名前入力欄に指を触れ、迷いなく文字を打ち込み始めた。

 

 

「このキャラの名前は───────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1789/5/9 11:35:24 『審判官』着任の承認中…………

 

 

 1789/5/9 11:35:32 承認完了。 正式に『審判官』の着任を認めます。

 

 

 どうか、貴女がこの世界を正しい方向へと導くことを願っています

 

 

 ────────『審判官』アルシオーネ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





そこの貴方。評価をすでになされていますか?

愛と美少女の神様は、評価する貴方を天高くから見守って下さるでしょう。
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