IS×GARO《牙狼》~闇を照らす者~   作:ジュンチェ

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決~Destiny~

「ここは……」

 

箒は不思議な夢を見ていた……。

地に足がつかないふわふわとした感覚が頭を充たしているが、はっきりと目の前にある物は認識出来る。

 

「……金色の…剣?」

 

まるで、十字架のように立つ黄金の剣……牙狼剣に……その背後に君臨する漆黒の黄金騎士の鎧……

 

その周りには数多の若き青年たちの亡骸とそれらを踏み越えて立つ見知った顔の姿があった。

 

【俺はついに手に入れた…牙狼の鎧を!】

 

「…流牙?」

 

道外流牙……今とは違う簡素な白い服装で顔も心なしか今より幼い……だが、その笑う表情は血で濡れている。彼が牙狼剣を台座から引き抜くと、鎧がパーツごとにバラバラになり、そのまま血塗られた流牙に纏われる…

 

ここで、箒はあることに気がついた。

 

 

【ぐっ……ぅ…】

 

亡骸の群に紛れて微かにまだ息があり、立つ者が1人。千冬に似た顔つきで…黒い髪の少年。忘れるわけがない。それは箒にとって大切な存在……

そんな彼に黒き黄金騎士は刃を向け……

 

【牙狼の鎧は……俺の物だァ!!!!】

 

 

ー斬!!!!

 

【ぐわあああ!!!!】

 

 

 

「一夏ぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」

 

 

 

 

 

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セシリア救出から翌日……

 

 

・side流牙……

 

あれから俺はセシリアの部屋にあったゲートのオブジェを処理をした。要はホラーが出てこないようにする封印作業だ。

セシリアのゲートとなったあの十字架は列車事故で亡くなった彼女の両親の遺品らしい。死者が多くでた事故現場から直接、持ち帰ったものらしくホラーが出てくるだけの陰我にまみれたものだったがセシリアにとっては大切な両親の形見だ。だからこそ、これからも大切にしてもらいたい……

 

だけど、助けた俺にはまた大きな問題があった………

 

 

 

・side 流牙 end…

 

 

 

 

 

 

「「「流牙くん、クラス代表おめでとう~!」」」

 

「…え?」

 

「流牙さん、凛々しいお姿ですわ。代表の座をお譲りしただけあります。」

 

IS学園・食堂にてパーティー騒ぎになっている理由は簡単。結果は敗北といえど流牙が事実上、セシリアに勝ってしまったも同然からだ。お陰で自分はクラス代表になってしまい、セシリアや女子生徒に囲まれてしまったわけだ。

 

『(あーぁ、どうする坊や?面倒なことになったぞ。)』

 

(大丈夫、もう考えてある。)

 

ザルバがバレないように文句を言ってくるが別に流牙とて何も考えていないわけではない。これ以上、学園の仕事が増えれば間違いなく魔戒騎士の仕事に支障をきたす。それくらいは承知…だから、対策は用意してある。

 

「さ、流牙くん笑って~!」

 

「おめでとうがりゅっち~!」

 

「さぁ、さぁ、今の気持ちを一言…!」

 

 

「あはは……」

 

それにしても、女子の集まった時のエネルギーとは凄まじいものだ。流牙もなんとか笑いながら誤魔化しているが、少し圧され気味だ…。そこへ、セシリアが流牙の隣へと座る。

 

「流牙さん、改めまして代表襲名おめでとうございます。このセシリア・オルコット…心より祝福致しますわ。そして、感謝も……私は貴方のお陰で自分の未熟さを思い知りましたわ。」

 

「いや、俺は別に…。」

 

彼女の流牙に対する意識は明らかにもう違っていた…。目指すべき目標として、何より1人の男性・異性として見る意識が芽生えつつあった。

 

(道外流牙……もしかしたら、貴方には私の求める強さがあるのかもしれません。)

 

「あ、そうだセシリア…」

 

「あ、はい…何でしょう?」

 

「大事な話があるんだけど……」

 

「大事な話ですね………ふぇ!?(い、いきなりですの!?)」

…芽生えつつはあったが、まさかの流牙からのアプローチ。セシリアも不意を突かれ焦ってすっとんきょうな声を出してしまい恥ずかしくなるが何とか冷静さを保つため気合いで呼吸を整える。

 

(ま、まさかこんなすぐに流牙さんからなんて思いませんでしたが……良いですわ、そちらがその気なら心を決めます…!)

 

「あのさ、セシリア……」

 

「はい…何なりと!覚悟は決めておりますわ!」

 

「…そうか。なら………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セシリアに譲ろうと思うんだ…クラス代表。」

 

 

 

 

……え?

 

 

「いや、俺さ……勢いで決闘までしちゃったけど代表はやる気無かったしさ。セシリアが覚悟があるなら任せたいと思う……」

 

 

………あれ?

 

「あの流牙s……」

 

「大丈夫、今のセシリアならきっとできると俺は信じている。だから、さ…!」

 

「え、あの……その…………」

 

……違…

 

ああ、もう良いや。仕方ない…

 

「…今の私でも本当によろしいのでしょうか?」

 

「うん、今のセシリアならきっと皆を引っ張っていけるよ。俺は信じている…だから、セシリアも自分を信じて。」

 

「…………わかりましたわ。クラス代表、責任をもってお受け致しますわ。」

 

 

やれやれ、変に期待してしまった。まあ、良い…ゆっくり時間をかけて距離を詰めていこう。そうすればきっと……

 

「あ、あとセシリア……後で話あるから時間空けててね。」

 

「あ……はい…」

 

すると、最後に流牙がセシリアに言い残した言葉……

 

彼女はまだこれから自分の人生を大きく分けるイベントが待つこなど知る由も無い。

 

 

 

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それから、パーティーは終わって流牙はセシリアを誰もいない中庭へ…。電灯が照らすベンチに2人で座ると彼女に真剣な眼差しを向けた流牙…。

 

「セシリア……昨日のことは覚えているよね?」

 

「はい……」

 

昨日のこと……忘れるわけがない。生まれてはじめてセシリアはホラーに遭遇した。そして、彼女は流牙のもう1つの姿を知ってしまったのだ…。 正直、まだ現実とは信じ難いが流牙の声が彼女にあの夜の記憶を浮き上がらせる…。

 

「…俺達の仕事を見た人間には2つの選択肢がある。1つは何もかも忘れること……これで君はホラー、つまりあの化け物のことを忘れて今まで通りに生活できる。」

 

最初に流牙が赤い札を見せて言った提案。簡単に忘れられるとは思わないが、彼の持つ札が記憶を改変するアイテムなのだろう。そして、彼が出すもう1つの提案……

 

「…そして、もう1つは協力者になること。俺達の陰の領域に踏み込んで手助けをしていくこと。勿論、どんなことがあろうとも誰かに話してはならない辛い道だ。正直、俺は奨めはしないけど……俺はセシリアの意志を尊重したい。今すぐじゃなくても良い…どんな答えでも責めないし、強要もしない。俺は受け入れる……」

 

「……流牙さん…」

それは非日常の陰へと足を踏むこむ選択。またあの恐ろしいホラーと相対することもあるだろうが、流牙を支えていきたいという思いもある。

 

(恐怖が無い…といえば、嘘になります。ですが…私は逃げたくない。そして、流牙さん…貴方の助けになれるなら……)

 

ならば、選ぶ選択肢は…

 

「流牙さん!このセシリア・オルコットでお役に立てるのでしたら…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめときな嬢ちゃん…?」

 

 

 

 

「「!」」

 

 

その時、少女の決意を遮る男の声。立ち上がって振り向けば清掃係の服に青龍刀を担いだ金髪の青年が歩いてきていた。声の主も彼だろう。

 

「な、何者ですの!?」

 

「…俺か?俺はコイツの同業者さ…。」

 

「同業者…まさか!?」

 

セシリアは察した…。同業者で繋がったのはあの流牙の鎧の姿。つまり、彼も陰に生きる者だ。

その反応にニタリと笑うと青年は薄汚れた服を払い、本職の黒に赤のラインが入ってチャラい雰囲気の魔導衣の姿となる。

 

「セシリア…コイツは『蛇崩タケル』……俺と同じ魔戒騎士さ。」

 

「…や、やはり……」

 

「おいおい、流牙ァ…ベラベラ喋ってんじゃねぇよ。インテリ楠神様と苻礼法師が五月蝿いぜ?」

 

外見と相違なく、チンピラ臭いが彼『蛇崩タケル』は流牙と同じ魔戒騎士である。彼の持つ青龍刀も彼の魔戒剣だ。

されど、そこまで流牙は友好的な態度ではない。

 

「うるさい…。別に俺はあの人の下に就いたつもりは無い。俺がどう動こうが俺の勝手だ。」

 

「流牙…言っただろ?お前の仲間は俺達だけだ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…… ま だ 懲 り て な い の か ?

 

 

 

 

 

「…ッ!」

 

ーーチャキ!!

 

 

 

されど最後、タケルが言った言葉にだけは本気の怒りの向けた流牙。魔戒剣を白鞘から引き抜き、鈍く光る切っ先をタケルに突きつける…

 

「なんだ?やるかぁ?魔戒騎士同士の決闘は掟に反するが…ケンカなら問題ないぜ。」

 

一方のタケルも流牙を挑発。まさに、一触即発というべき状態になったが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまでだ!」

 

 

 

 

 

力強い…年忌が入った男の一喝がそれを止めた。見ると、さっきタケルがきた方向に壮年の男性がいた。マントを纏い、逆立つ黒髪の雰囲気はさながら獅子……。手にはグイッと筆先に癖のついた魔導筆が握られている。

 

「苻礼(ぶらい)法師……」

 

「よう。久しぶりだな流牙……」

 

男……『苻礼』の登場により、流牙の敵意は真っ直ぐ彼に向けられた。タケルを突き放すと彼は魔戒剣を握りしめるが、苻礼法師は気にすることなくセシリアへと話かけた。

 

「セシリア・オルコット…タケルの言う通り、半端な覚悟ならやめておけ。俺達の世界は命の保証は無い甘く無い世界だ……。荷物になるような人間を抱えて戦うほどこちらには余裕は無い。」

 

「…そ、そんなこと……!」

 

「苻礼法師…彼女の代表候補生としての立場とブルー・ティアーズの能力は絶対に役立つ!足手まといなんかには…」

 

 

 

 

 

荷物……そうセシリアを一蹴しようとするが、流牙は彼女を必死に庇おうとする。そんな彼に苻礼法師がズシリと告げた…。

 

 

「流牙……また、『繰り返す』かもしれないんだぞ?」

 

 

「!」

 

 

瞬間、流牙が硬直したのをセシリアは見た。まるで、トラウマに触れられたような硬くなった表情だ。

 

「この学園の協力者ならすでに足りている…。余計なことをすれば余計な犠牲がでる。仲間になれるのは俺達だけだ、流牙……」

 

「…ッ」

 

確かに流牙にとって苻礼法師の言葉は理解しているようだが、明らかに震える魔戒剣が尋常ではない彼の心の内を表すようであった。

 

「ま、そういうわけだ。犠牲は出ないに越したことはない。諦めろよ、流牙。」

 

タケルもまた、彼の肩に手を置いてセシリアを諦めるように言うが……

 

「ちょっと、お待ち下さいな。」

 

我慢ならない…と男たちの話に割って入ってきたセシリア。彼女は苻礼法師の前に立つと先の流牙同様に真剣な目を向けた。

 

「当の本人である私を差し置いて、役立たず呼ばわりとはあんまりじゃないですの?中途半端な覚悟とか申しておりましたが、私とて確固とした決意を固めてお誘いにお答えしたつもりですわ!確かに未熟さがあるのは認めます……ですが、私とて知ってしまった以上は見過ごすわけにはいかないんです!」

 

「…ほう?」

苻礼法師は関心したような表情を彼女に向けた。その後、流牙も意を決して口を開いた。

 

「苻礼法師!セシリアを仲間に入れるなら俺も彼女と一緒にアンタの傘下に正式に入る!!これでどうだ…?」

 

「ううむ……」

 

苻礼法師は少しだけ考える素振りをした。すると、懐から赤い封筒を取り出して彼女に告げる。

 

「セシリア・オルコット……なら、お前の力を試す。さっきも言ったように役立たずを抱えるほどこちらに余裕は無い。役に立たないと判断したら、すぐに降りて貰う。そして、お前が死のうとこちらは一切の責任を負わない…それでも良いか?」

 

出されたのは試練……

恐らくはホラー狩りだろう。セシリアの脳裏にまたあの恐ろしい記憶がよぎるが、流牙の顔をみてそれを振り払い意志を答えた。

 

「やります。やらせて下さい!このセシリア・オルコット…逃げはしませんわ!」

 

その彼女を見据えると赤い封筒を流牙に投げ渡し、苻礼法師はニヤリと笑みを見せた…

 

「よし……良いだろう。刻は明日の夜、お前を試すぞセシリア・オルコット…覚悟をみせろ!!!!」

 

 

 

 

…徐々に加速していく物語……

 

………されど、まだ序章に過ぎない…。

 

 

 

 

To be continued……

 

 

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