ありふれた世界で死が見える剣士が世界最強に 作:烙印バンザイ
「…う、うん……ここは?」
目が覚めるとそこは広い空間にいた。周囲には人が1人入るような柩のようなものが置かれていた。
どうやら他の奴らが中にいるようだ。俺は柩の一つを覗くと眠っている春奈がいた。
春奈の柩の隣を見るとそこには少しだけ空間があり、誰かが目覚めていたようだ。しかし誰もそこにはいなかった。
「……そうか、いるんだなそこに…」
俺は魔眼殺しを外し柩があった場所を見る。相変わらず線と点が見えていたがそこには確かに人がいた。
「……」
「さてと他のやつが目が覚めるまで暇だし暇つぶしでもするか。……どうやって作るか……」
俺はある物の製作に取り掛かる。
———
数分後、琥珀が目を覚ました。
「…ここは?ッ!お嬢様!!」
琥珀は起きて早々に春奈のところに駆け寄っていた。
「まだ、春奈は起きてないから落ち着け」
「これを落ち着いていられますか、ようやく再開できそうなんで……刀真……一体何をしているんですか?」
「うん?……ああ、ぬいぐるみ作り」
「ぬいぐるみ…ですか…それならなぜ魔力をこめているのですか?」
「とりあえず……少し手伝ってくれないか?」
「分かりました。」
琥珀は隣に座りぬいぐるみの製作に協力してくれた。
「……ところで刀真…眠っていた間になんだか変わりましたか?」
「ああ、少し目的ができた。」
「そうですか………」
琥珀は俺の隣に座った。
「……今から独り言を話します……独り言なので応答はしなくていいです。」
「……」
俺は作業の動きを少し止めたがすぐに再開させた。
「私の場合、お嬢様に仕えながら、ししょ……お母さんと一緒に暮らしているという理想の世界でした。」
「本当に楽しかった。偽物の時間でもあの時間は幸せでした…それでも何か違うと思ったんです。」
「……」
琥珀も色々あった奴だから何か思う事が……
「……都合が良すぎて気持ち悪かったですね。」
「……」
どうやらあまりにも都合が良すぎて逆に目覚めることが出来たようだ。
「お嬢様は元から素晴らしいお方です。……それに刀真があんなに……」
「……うん?」
どうやら俺も出てきたようだった。
「……とにかく、私に都合が良すぎてあれが現実じゃないことは分かりました。」
少し気になるところはあったが独り言だったので追求をやめた。
「……戻る時、お母さんとお嬢様を銃で撃ちました。」
「……」
琥珀は手を強く握っていた。
「……偽物だと分かってはいたのですが……それでも」
「………」
琥珀も冷静に見えて抱えてるものがあるみたいだ。
「……抱え込んでるものがあったら……話してみるのはどうだ?」
「………それは刀真が1番言えないことでは?」
「……まあ、そうかもな……でも、もしも抑えきれなくなったら話せよ……相手になるから」
「何故ですか?」
「琥珀には借りがあるし…」
琥珀には借りがある。新夜の件で俺が荒んだ時に対応してくれた事だ。
「……それ以前に……仲間だからな…」
「……」
琥珀は頭を背中に顔を埋めてきた。
「どうしたんだ?」
「……何も聞かず……しばらくこのままでいさせてください。」
「……うん?お、おう。」
その後、次々と他の奴らが目を覚ましたが……
「………」
ダダダダダダッ!!!
「…琥珀落ち着いて…」
「琥珀さん、落ち着いてください!!」
「琥珀ちゃん!?落ち着いて……」
「琥珀よ、落ちつ……激しいのじゃあ!!」
琥珀は顔を赤くしてガトリングガンを乱射させていた。……ちなみにまだ眠っている柩のような物は避難させておいた。
「……元気だな」
「いや、止めろよ……というか何作ってるんだ?」
「え……ぬいぐるみ?」
あの後、ぬいぐるみの製作は大分、完成に近づいていた。
「なんで魔力をこめながらぬいぐるみを作ってるんだ……呪いのアイテムでも作ってるのか?」
「まあ……入れ物ではあるな」
「入れ物?」
南雲と話していると柩のような琥珀が溶け出し雫が呻き声をだしながら目を出した。
「よ、乗り切れてよかった。」
「随分な寝坊だな。だが、乗り切れたようで何よりだ」
「へ?南雲くんにと、刀真……そ、そうね。何よりだわ」
「なんで歯切れが悪いんだ?」
ダダダダダダダダダッッ!!!
琥珀はまだガトリングガンを乱射していた。
「ところで何をしてるの?」
————
琥珀も落ち着き残るは勇者一行の3人と春奈だけになった。現在、雫の精神的な休憩を含めてまだ目を覚ましていない4人が目を覚ます事を待っていた。
雫は隣でぶつぶつとなにかを言っていたが何を言っているのかは分からなかった。ただシアやユエは分かったようだがそれを何か聞こうとすると呆れた目で見られた。
「……よし、出来た。」
ぬいぐるみは完成してあとは理論上可能な事を試すだけになった。ぬいぐるみは人型で一見、春奈に似てるように見える物だった。
「ところで刀真さんはいったい何を作っていたんですか?」
「…どことなく春奈ににているような気がするのじゃがご主人様…これは一体?」
「まあ、気にしないでくれ」
俺はあることをするために魔眼殺しをはずそうとしたが急に柩のような琥珀が輝きだした。
「あれって?春奈の」
「お嬢様!!」
琥珀は溶け出し春奈が目を覚ました。琥珀は春奈の元へすぐに向かった。
「う、ううん…あれ?ここは?琥珀?」
「はい、お嬢様…」
「よ、春奈……ずいぶん遅かったな?」
「うん、なんだか……長い旅をしてたのような気がするの……え?」
「どうしたんだ?」
「お嬢様?」
「な、なんで?」
「春奈さん?」
「遠野?」
「春奈?一体どうしたの?」
「なんで、春乃がそこに居るの?」
春奈は驚きながら春乃がいる方向を指に指していたが他の奴らには見えていなかった。
「え?」
「…お嬢様?」
「春乃て誰なのじゃ?」
春奈は体がふらつきながら歩き出し春乃がいるところに向かったが途中で気を失い倒れ込んだ。
「……っ!?……春奈!」
俺はすぐに倒れた春奈のもとに駆け寄った。どうやら眠っているだけだったが何故、春奈が見えていたのかは分からなかった。
「刀真…説明しなさい。なぜお嬢様は妹様の名前を言ったのですか?」
「分かった……だがそれを説明するのは…まず試したい事をしてからでいいか?」
前に白崎を復活させた方法を聞いた時はあまり気にしなかったが、あの世界に入り春乃が霊体でずっと近くにいた事が分かりある事を思いついた。
魂魄魔法を使ってもう一度、春奈達に会わせることを。
「それはどうしてそう思ったんですか?…罪を無くすためと言ったら貴方を許しませんよ……」
琥珀は低い声で喋る。
「別に罪を無くすためとか……そんなんじゃないよ……いくらぬいぐるみに魂を定着させて復活させようとしても……事実は変わらない……まあ、自己満足ではあるかもな……」
「自己満足……それは?」
「今度こそ……約束を果たすためだ……あの世界で約束したんだよ」
「……分かりました。」
俺は魔眼殺しを外し、春乃を認識して魂魄魔法を使った。
————
「う、ううん……あれ?刀真君…」
「よ、お疲れ様」
「うん……え?あ、え?今……」
現在、春奈を膝枕していた。これはぬいぐるみに定着させた奴の提案で膝枕をすれば起きるんじゃないと言ったので試してみた。
「……」
パタン!
春奈は顔を赤くしてまた気を失った。
「え?…え?」
その後、春奈が目を覚ましたが顔は赤くなっていた。
———
「まあ、後3人は少し置いといて……まあ、とりあえず春乃について話すよ」
俺は春乃について話した。俺たちとの関係性や過去になにがあったのか。そして何故、俺が殺したかについても。
「そんなことが……」
「なるほどな……それにしても…遠野……」
「「どうしたの?」」
「そうか双子だからどっちも遠野なのか…それなら春乃」
「何?」
「お前は自分が殺した奴が目の前にいるがそこは大丈夫なのか?」
「うん気にしてないし……殺してって頼んだのは自分だから…それに……」
春乃は春奈と雫と琥珀を見た。
「なんか楽しそう…後……急がないと誰かに取られちゃうよ……まあ、刀真君なら大丈夫なのか!」
春奈と雫は顔を赤くしてうずくまっていた。
「儂は?」
ティオはなにか言いたそうにしていた。
精神的に休んでいたはずが3人は更に疲れた様子だった。俺は魔力を消費しすぎたのでまた、休憩する時間が延びたがその間、3人は自力で目覚めることはなかった。
春奈は何故、霊体の春乃を認識することが出来たのか。それは後に分かります。