ありふれた世界で死が見える剣士が世界最強に 作:烙印バンザイ
春奈「どうしたの作者?」
作者「当初は、ルーン魔術で戦うスタイルで書いていましたが」
春奈「書いていましたが?」
作者「刀真にあのセイバーの要素をつけて。思ったんですよ。強化案にサーヴァントの要素をつけてみるのを」
春奈「は、はあ」
作者「というわけなのでそう言う事なので」
春奈「え?」
その竜の体長は七メートル程。漆黒の鱗に全身を覆われ、長い前足には五本の鋭い爪がある。背中からは大きな翼が生えており、薄らと輝いて見えることから魔力で纏われているようだった。
(でも…なんだ・…なんか別の意思が向いてきているような気がする)
黒竜を見ると少し違和感を感じた。黒竜は、ウィルの姿を確認するとギロリとその鋭い視線を向けた。そして、硬直する人間達を前に、おもむろに頭部を持ち上げ仰け反ると、鋭い牙の並ぶ顎門をガパッと開けてそこに魔力を集束しだした。
キュゥワァアアア!!
(あれは、まともに喰らったらやばい)
「ッ! 退避しろ!」
南雲が警告を出し、退避しようとしたが愛子先生や他の生徒、ウィルはその場に硬直したまま動けていない。
「チッィ!!」
「ハジメ!」
「ハジメさん!」
「南雲さん!」
「南雲君!って刀真君!?」
「刀真!?」
南雲は、盾を出していたが俺は、眼鏡を外しその前に立ち刀を抜いた。そしてブレスの線を刀で斬った。
「ッ…」ピシッ
ブレスを殺す事は出来たが刀から嫌な音がした。直死の魔眼は脳をフル稼働する必要がある更に元の世界より負荷がかかるため眼鏡をかけ直した。
「〝禍天〟」
「グゥルァアアア!?」
ユエが重力魔法をかけ黒竜は、地面に磔にされた。苦しげに四肢を踏ん張り何とか襲いかかる圧力から逃れようとしている。
「止めですぅ~!」ドォガァアアア!!!
まともに喰らえば深刻なダメージまともに喰らえばの話だが…シアの攻撃により舞い上げられた粉塵の中から火炎弾がユエに迫っていた。ユエは落ちる事によって回避したが重力魔法が解けてしまった。そしてシアに大質量の尾を叩きつけた。
「あっぐぅ!!」
間一髪、シアは武器を盾にしつつ自ら跳ぶことで衝撃を殺すことに成功するが、同時に大きく吹き飛ばされてしまい、木々の向こう側へと消えていってしまった。黒竜に向かい南雲や琥珀が攻撃をするが黒竜は、それを無視してウィルに向かい火炎弾を撃ち放った。
「ユエ!」
「んっ〝波城〟」
飛来した火炎弾はユエの構築した城壁の如き水の壁に阻まれて霧散した。生徒達が魔法の詠唱を始めた。加勢しようというのだろう。早々に発動した炎弾や風刃は弧を描いて黒竜に殺到する。
「ユエ! ウィルの守りに専念しろ!」
「んっ、任せて!」
ユエは、南雲の指示を聞くとウィルの方へ落ちることで急速に移動し、その前に立ちはだかった。チラリと後ろを振り返り、愛子と生徒達を見ると、こういう状況で碌に動けていない事に苛立ちをあらわにしつつ不機嫌そうな声で呟いた。
「……死にたくないなら、私の後ろに」
生徒達は、ユエの冷たい言葉にも特に反応することなくほうほうの体で傍に寄って来た。周囲の水分を利用し、無詠唱で氷の城壁を築いていくユエの傍が一番安全と悟ったのだろう。南雲と琥珀が攻撃しているので俺も剣圧で応戦しようとしたが…
「カチッ」ズドーン、ピシッ
剣を高速で抜いた衝撃で刃のヒビが広がった。
(頼むからもってくれよ)
黒竜は、ようやく視線をこちらに向けてきた。そしてシアのように俺を尾で叩きつけられそうだったので防御したら…
バキン
使っていた刀が折れてしまった。
(あの剣を使うか…いやそういえば)
「前に趣味で春奈に作ってもらった武器があったんだけ…」
俺は空間収納から某ロボットアニメに出ってきた。◯ー◯メイスを取り出した。
「刀真、なんだそれ」
「うん?ああ、いや少し使ってみたかったんだよ。だから春奈に作ってもらった」
メイスの長さは、俺の身長より少し大きかったが使う分には、問題はなかった。
俺は、足を強く踏み込み空中の黒竜のところまでジャンプをしてメイスで地面に叩きつけた。
「グルァアアア!!」
黒竜は、悲鳴をあげていたが構わず追撃をした。そして黒竜が空に飛ぼうとした瞬間、後ろに回り込みメイスを突き刺した。しかし突き刺したところがちょうど黒竜の尻のあたりだった。しかも流れ作業のようにやっていたため勢いよく突き刺してしまった。すると
〝アッーーーーーなのじゃああああーーーーー!!!〟
くわっと目を見開いた黒竜が悲痛な絶叫を上げて目を覚ました。
「…え」
〝お尻がぁ~、妾のお尻がぁ~〟
ここにいる全員が「一体何事!?」と度肝を抜かれ、黒竜を凝視したまま硬直する。
〝ぬ、抜いてたもぉ~、お尻のそれ抜いてたもぉ~〟
声質は女だった。直接声を出しているわけではなく、広域版の念話の様に響いている。竜の声帯と口内では人間の言葉など話せないから、空気の振動以外の方法で伝達しているのは間違いなかった。
「なあ、お前て…」
「お前……まさか、竜人族なのか?」
俺が聞こうとしたが南雲が先に質問をした。
〝む? いかにも。妾は誇り高き竜人族の一人じゃ。偉いんじゃぞ? 凄いんじゃぞ? だからの、いい加減お尻のそれ抜いて欲しいんじゃが……そろそろ魔力が切れそうなのじゃ。この状態で元に戻ったら……大変なことになるのじゃ……妾のお尻が〟
どうやら南雲の質問は、当たっていたようだった。竜人族は、五百年以上前に滅びたはずだが、ユエやシアの例があったため別に驚きはしなかった。
「……なぜ、こんなところに?」
ユエが質問をしていた。そろそろうるさいのでメイスを抜こうとしたが
(…あれ?)
〝いや、そんなことよりお尻のそれを……魔力残量がもうほとんど…ってアッ、止めるのじゃ! ツンツンはダメじゃ! 刺激がっ! 刺激がっ~!〟
メイスがぬけなくなっていた。南雲が「ユエが質問してんだろうが、あぁ?」とか質問をしていたがそんなことよりも俺は絵面的にメイスを抜きたかった。
〝あっ、くっ、ぐりぐりはらめぇ~なのじゃ~。は、話すから!〟
周りがドン引きしていた。春奈が
「刀真君、そろそろメイスを抜いてあげたら」
「いや…あのメイスが抜けない」
「とりあえずメイスを抜くのは説明の後にしましょう」
とりあえず抜こうとしても話が進まないのでメイスは説明の後に抜く事にした。
〝妾は、操られておったのじゃ。お主等を襲ったのも本意ではない。仮初の主、あの男にそこの青年と仲間達を見つけて殺せと命じられたのじゃ〟
「どういうことだ?」
〝うむ、順番に話す。妾は……〟
この黒竜は、ある目的のために竜人族の隠れ里を飛び出して来たらしい。その目的とは、異世界からの来訪者について調べるというものだ。詳細は省かれたが、竜人族の中には魔力感知に優れた者がおり、数ヶ月前に大魔力の放出と何かがこの世界にやって来たことを感知したらしいこの黒竜は、ある目的のために竜人族の隠れ里を飛び出して来たらしい。その目的とは、異世界からの来訪者について調べるというものだ。
竜人族は表舞台には関わらないという種族の掟があるらしいのだが、流石に、この未知の来訪者の件を何も知らないまま放置するのは、自分達にとっても不味いのではないかと、議論の末、遂に調査の決定がなされたそうだ。
目の前の黒竜は、その調査の目的で集落から出てきたらしい。本来なら、山脈を越えた後は人型で市井に紛れ込み、竜人族であることを秘匿して情報収集に励むつもりだったのだが、その前に一度しっかり休息をと思い、この一つ目の山脈と二つ目の山脈の中間辺りで休んでいたらしい。当然、周囲には魔物もいるので竜人族の代名詞たる固有魔法〝竜化〟により黒竜状態になって。睡眠状態に入った黒竜の前に一人の黒いローブを頭からすっぽりと被った男が現れた。その男は、眠る黒竜に洗脳や暗示などの闇系魔法を多用して徐々にその思考と精神を蝕んでいった。
ただ疑問に思ったことが竜人族は精神力においても強靭なタフネスを誇るので、そう簡単に操られたりはしないらしい。だとするとどうして操られたのかと言うと
〝恐ろしい男じゃった。闇系統の魔法に関しては天才と言っていいレベルじゃろうな。そんな男に丸一日かけて間断なく魔法を行使されたのじゃ。いくら妾と言えど、流石に耐えられんかった……
「それはつまり、調査に来ておいて丸一日、魔法が掛けられているのにも気づかないくらい爆睡していたって事じゃないのか?」
南雲が冷ややかな目を向けながらツッコミをいれた。
全員の目が、何となくバカを見る目になる。黒竜は視線を明後日の方向に向け、何事もなかったように話を続けた。ちなみに、なぜ丸一日かけたと知っているのかというと、洗脳が完了した後も意識自体はあるし記憶も残るところ、本人が「丸一日もかかるなんて……」と愚痴を零していたのを聞いていたからだ。
その後、ローブの男に従い、二つ目の山脈以降で魔物の洗脳を手伝わされていたのだという。そして、ある日、一つ目の山脈に移動させていたブルタールの群れが、山に調査依頼で訪れていたウィル達と遭遇し、目撃者は消せという命令を受けていたため、これを追いかけた。うち一匹がローブの男に報告に向かい、万一、自分が魔物を洗脳して数を集めていると知られるのは不味いと万全を期して黒竜を差し向けたらしい。
「・・・・・・・」
俺は、操られた、理由がアホなのと思ったのともうひと波乱がありそうな気がしてきた
春奈の強化案は、ある程度きまりつつあるためその要素は、次の章に入るあたりから追加していきたいです。ただ琥珀はだれの要素を入れようか迷うのと原作キャラとのインフレをどうにかうめたいです。あと、刀真は、あまり直死を使わなくも戦えるようにしているためタイトル詐欺みたいになっていて怖くなっています。なので直死を使わないと倒せない敵とかを考えています。